マグナキッドは2chバイク板にあった伝説のストーリー
『マグナキッド伝説』をご存知でしょうか。普通に生活していて『マグナキッド伝説』の話を聞く機会はほとんどの方に無かったのではないでしょうか。今回はこの、大袈裟とも思われるキャッチーな伝説名でもある『マグナキッド伝説』について紹介します。
まずこの名称を分解することで、『マグナキッド伝説』がどのような伝説なのかを理解できるようにしましょう。伝説は良いとして、「マグナキッド」とは何なのでしょうか。
「マグナ」というのは実は「バイクの名前」です。この伝説に登場する主人公の愛車「マグナ50」のことを指している名称です。「キッド」はもちろん「子ども」のことです。つまり「マグナキッド」は「マグナ50」に乗った「子ども」のことを指しているのです。
「マグナキッド」が何なのかが分かったところで、次はその彼の「伝説」について簡単に説明しましょう。『マグナキッド伝説』は、当時人気のあった2ch(2ちゃん)と呼ばれていた掲示板の「バイク板」の中に書き込まれた短いストーリの数々のことです。
この中に書き込まれた、「マグナキッド」と呼ばれる愛すべき、おバカな主人公のお話の数々をまとめたタイトルを『マグナキッド伝説』と呼んでいます。今でも『マグナキッド伝説』と検索すると数々のストーリーがヒットするので興味を持った方はこれを読んだら調べてみましょう。
まず簡単に整理すると、『マグナキッド伝説』はマグナ50を愛する主人公と、バイクが大好きな人達とのお話です。バイクに詳しい方は「マグナ50」がどの様なバイクかお分かりになるのではないでしょうか。
バイクに詳しくない方がこの伝説を楽しんでいただくために補足をすると、マグナキッドの愛する「マグナ50」は名前のとおり排気量が50ccのバイクです。50ccのバイクという事は、つまりは原付の括りに入るバイクです。まずはそれだけ覚えておいてください。
マグナ50のもう少し詳しい紹介は、『マグナキッド伝説』を語る中で徐々に紹介していきます。伝説を楽しみながら、「マグナキッド」の愛車にも詳しくなってください。
本筋の他派生の話が多い
ゲームや冒険物語において、主人公が世界を救う旅に出るきっかけのストーリーがあります。そしてそのきっかけになるストーリーから続く様々な事象を経て最終的に伝説が作られていきます。
そして、伝説に続く本筋のストーリーから派生するようなストーリーがいくつかあることで、冒険物語に厚みがでる。その様な構成になっていることが多くあります。
『マグナキッド伝説』は元々が作られたストーリーではない為、この様な本筋と派生のストーリーという様な明確な意図をもって作られた伝説ではありません。
しかし当然ながら『マグナキッド伝説』の始まりのストーリーがあり、その流れを本筋とした場合、本筋から派生したお話がとても多く語られているのです。そのすべてが『マグナキッド伝説』となって語り継がれているのです。
今回は、そんな愛すべきおバカなバイク好きの伝説である『マグナキッド伝説』の中から、厳選に厳選を重ねた主要なストーリー(伝説)を紹介します。
マグナキッドの本家
『マグナキッド伝説』が何か分かったところで、マグナキッド伝説の中身を紹介していくことにしましょう。本筋と派生の話があることを紹介しました。
伝説の本筋かつ「始まり」のストーリは、2ch(現在は5ch/2017年に変更)のバイク板で、後に人気者になる高校生(マグナキッド)が、オフ会ツーリングに「マグナ50」で参加しようとしたら「50ccバイクは行けない」と断られるストーリーでした。
このストーリーが元となり、続編や派生ストーリーがたくさん作られるようになりました。そのストーリーが様々な場面でコピペされ続け、『マグナキッド伝説』として語り継がれている、というのが『マグナキッド伝説』の概略になります。
ちなみに「マグナ50」は、バイク乗りが最初に乗ることが多いバイクとして人気があります。『マグナキッド伝説』は、まだ若い主人公がマグナ50に跨り「このバイクはとても速い!」と信じながらも、様々な出来事を通じて大人になっていく。
そして大型バイクに乗り換え、かつての自分を見ているような若者に出会うことで自分の過去を思い出すという、最終的には1人の人生が語られるストーリーにまで発展していきます。いずれのストーリーもバイク乗りは確実に共感できるお話ばかりです。
バイクに興味がない方でも、この伝説を楽しむことはもちろんできます。今回は、各ストーリーのあらすじを紹介しますので、フルでコピペされているストーリーに興味を持った場合は、検索でフルストーリーを楽しんでください。それでは、伝説の幕開けです。
始まりは原付で高速道路に乗ろうとした伝説の書き込み
【マグナキッド伝説・コピペまとめ①/マグナ50を馬鹿にされたお話】まずは、マグナキッド伝説の始まりとなったストーリーを紹介します。
バイク愛好家が集まるサイトのオフ会(ツーリング)に参加するため、マグナキッドは集合場所に愛車「マグナ50」で乗り付けます。既に来ているメンバーは7人。
元気よく「マグナキッドです。今日はよろしく!」と自己紹介するも、メンバーは困惑気味。そこにやってきたのがZZR(バイクの名称)に跨った、オフ会主催者かつサイト管理人の「カワサキオヤジさん」。
マグナキッドが挨拶をすると、カワサキオヤジはマグナキッドとマグナ50をジロジロ見てきます。そして「え~っと君さぁ、今日どこに行くか知ってる?」と聞いてくるのです。
マグナキッドが「富士山を見ながらそばを食うオフ会っすよね?」と返すと、「そう。で、君のバイク、原付だよね?」と言われます。マグナキッドは何を言われているのか分からず、更に愛車を「原付」呼ばわりされてイラっとして「何が言いたいんすか?」と言いました。
「高速道路乗るけど原付じゃ乗れないよね」とカワサキオヤジが言うと、「大丈夫っスよ!ブン回せば皆さんに迷惑かけないくらいのスピードは出ますし」そう返すと爆笑の渦が起き、カワサキオヤジも苦笑い。「原付は高速道路を走れないんだ。それにメーター見てごらん」と。
マグナキッドがマグナ50のメーターに視線を落とすと、60km/hが限界のメーターがその目に入ります。「高速は80~100kmくらいで流れてるから、君の原付じゃ付いてこれないよ」と苦笑交じりに言われてしまうのです。
マグナキッドは泣きながら帰宅し、枕を濡らして眠ってしまいます。そしてその晩、パソコンでカワサキオヤジのサイトを覗いてみると、そこには今日のオフ会を楽しそうに振り返る書き込みがありました。
マグナキッドは偽のハンドルネームで「カワサキオヤジ臭ぇんだよ!死ね!」と書き込みを行うと、すぐに管理人からレスがあります。「マグナキッド君だね。サイトのルール通り、君をアクセス禁止にします」と。
50ccバイクで高速道路に乗ろうとオフ会に参加し、原付でも他のバイクのスピードに負けないと信じている、この愛らしくもバカすぎるエピソードが『マグナキッド伝説』の始まりのストーリーです。
マグナキッドの続編的な派生ネタ
『マグナキッド伝説』の始まりのストーリーはいかがでしたか。先ほどのストーリーが2chで話題になり、その後の伝説へとつながっていきます。まだ若い(高校生)のマグナキッドの無知で少し抜けた側面を紹介する、始まりのストーリーでした。
伝説の始まりのストーリーに登場し、その後も語り継がれる名セリフが「カワサキオヤジ臭ぇんだよ!死ね!」です。このストーリーをきっかけに、その後は続編が2chに続々登場します。
続編は何と、初回ストーリーの直後にマグナキッドがとった行動。そしてその後、マグナキッドが大人になっていくさまが本筋のストーリーとして語られています。まずは本筋ストーリーを紹介し、その後、派生ストーリーも紹介していくことにしましょう。
マグナキッドの書き込みの最初の続編
『マグナキッド伝説・2ch本筋コピペストーリー①/最初の続編』を紹介しましょう。この物語は始まりのストーリーの続きで、アクセス禁止処分を下された後の人気ストーリーです。
カワサキオヤジにアク禁処分を受けたマグナキッドは、毎晩のようにあの日の悪夢を見るようになっていました。午前0時をちょっと過ぎたころに目を覚まし、ベッドに腰掛けてため息をつきつつ「俺のマグナ。50ccだけど本当に遅いのか?」と考え込みます。
夢に出てくるZZR1400に乗ったカワサキオヤジは、いつもマグナ50をバカにするが、どうしてもマグナキッドはマグナ50が遅いバイクだとは思えないのです。
堂々としたスタイルにパワフルタフエンジン、そして4速ミッション。本当に高速道路に乗れないくらい遅いのか?そんな疑問を持っていると、ひとつの提案が浮かびます。 「マグナが速いってことを証明してやる!」。
そう決めたマグナキッドは、マグナ50に跨り「あの場所」を目指して走り出します。そう、「マグナ50」の実力を試す場所「高速道路」へ。
原付は高速道路に入っていけないことは知っている。でもこれは「俺とマグナ50の挑戦」なんだ。そう決意を固め、発券機から券を抜き取ると、スロットル全開で走り出します。「行くぜ!マグナ50の実力を証明してやる!」。
メーターの針はまもなく60km/hを指そうとしているが、トラックや車に次々と追い越されていく中、マグナキッドは思います。「やっぱりマグナ50は遅いのか」「まだだ!マグナ50はこんなもんじゃない!」。
前傾姿勢で前の軽自動車を睨みつけ、「行ける!追いつける!追い越せる!」右のウインカーを出す。そして素早く車線変更すると、3速に落としてエンジンのパワーを開放!「行っけぇぇぇぇぇ!!!!!」並んだ!そして抜いた!。マグナ50が軽に勝利した瞬間でした。
激しいバトルを終えたマグナキッドは夜のサービスエリアへ。静寂に包まれたSAは戦士が休息を取るのに最適な場所でした。マグナ50を駐車場に置き、食堂でうどんを注文します。
「さっきのバトルで消耗したから栄養補給だ。あとでマグナ50にも給油してやろう。今日は頑張ってくれたから、特別にハイオクを入れてやろうかな」なんて考えているとうどんが出来上がります。
熱々のうどんを頬張っているとマグナキッドの肩を叩く人がいます。振り返ると警察官が二人。「あっちに停めてある原付は君のか?」「原付というか、マグナ50っスけど」。
「ちょっと来い」食べかけのうどんを残し、マグナキッドはパトカーへと連行されてしまいます。そして午前6時。連絡を受けたマグナキッドの父が警察署まで迎えに来ます。そして殴られました。
これが『マグナキッド伝説』の続編です。2chでも大人気を博し、様々な場所でコピペが繰り返された伝説のストーリーです。
マグナキッドの書き込みの親父編
『マグナキッド伝説・2ch本筋コピペストーリー②/親父編』を紹介しましょう。このストーリーはマグナ50を送ってくれたお父さん(親父)との心温まる感動ストーリーとして2chでも人気でした。それではあらすじをお届けします。
社会人になったマグナキッドが会社から帰宅し留守電を再生すると、父が過労で倒れ危篤であるとのメッセージが残っていました。
すぐさまマグナ50に飛び乗り故郷へ向かいます。実はこのマグナ50、マグナキッドのお父さんが苦しい家計の中からプレゼントしてくれたものだったのです。実家を離れてもマグナ50の中に父がいる、マグナキッドはそう思っていました。
運転しながら「事故を起こさないように安全運転でな」と父の言葉が聞こえた気がしました。「親父、死ぬんじゃねーぞ!」叫びながら、大好きな父のもとへ向かって走ります。
辺りが薄明るくなってくるなか、突然マグナ50がエンストしてしまいます。押しがけしてようやく動き出したころには、日は完全に昇っていました。
そのまま走り続けていると、大型トレーラーが数台事故を起こしたことで道路が封鎖されていました。廻り道をして病院につくと、そこには泣いている母と、冷たくなった父がいました。
話しを聞くと、エンジンが止まった時刻に他界したことが判ります。「あのまま走っていたら事故に巻き込まれてた。父さん、ありがとう。さようなら」。
お葬式が終わって落ち着いてきた頃、母が父のことを話してきます。マグナキッドの大学合格を心から喜んでいたこと、反対する母に対し「風を切って初めて見える世界があるから」とマグナ50をプレゼントしてくれたこと。定年後はマグナキッドとツーリングするつもりだったこと。
マグナキッドはキーを掴みマグナ50に跨ると、親父の野生とプライドを乗せて走り出した。「親父!今日は飛ばして行こうぜ!」。
最後の「親父の野生とプライドを乗せて走り出した」というのは、マグナ発売時の広告コピーをそのまま文章にしたものです。マグナを愛する気持ちと、父への気持ちをうまく表現しています。とても感動的なお話です。
マグナキッドの書き込みのハーレー編
『マグナキッド伝説・2ch本筋コピペストーリー③/ハーレー編』を紹介しましょう。このストーリーは、マグナ50からハーレーに乗り換えたマグナキッドが、ふとしたことで昔を思い出すというお話です。
まだ20歳の頃、バイク屋で一目惚れしたマグナ50に乗っていたマグナキッド。50ccなのに風格のあるマグナ50に酔いしれ、街中で他のバイクを見かけては、隣でメンチを切って空ぶかしをしていました。マグナ50に敵うバイクなんかないと信じて。
そんなある日、マグナキッドは現実を知ります。隣に並んだスティードのオジサンを睨みつけ威嚇しますが、オジサンはニッコリ笑いながら「かっこいいなぁ。それなんてバイクだい?」と話しかけてきます。
不意を突かれたマグナキッドは強がりながら「そっちこそなんてバイクだよ!何cc?」と返します。オジサンは「これはスティード。600ccだよ。君のは何cc?」と答えます。
600ccのバイクがあるなんて知らなかったマグナキッド。「600ccといえばマグナ50の12倍、敵うわけがない。」考えているうちに信号が変わり、オッサンのスティードはマグナ50がどうやっても追いつけないスピードで走り去っていきました。
そして今、ハーレーに跨ったマグナキッドは、隣に並ぶあの時のマグナキッドとそっくりなマグナ50に乗った青年に話しかけます。「かっこいいバイクだね。何cc?」と。
青年は驚いた顔をした後、不敵な顔つきで「に、ニーハンだよ!ニーハン!!勝負すっか?」と言い放ちます。信号が青に変わり走り出します。加速するミラーに写っているのはあの日のマグナキッドでした。
マグナキッドの書き込みの家族編
『マグナキッド伝説・2ch本筋コピペストーリー④/家族編』を紹介します。本筋のストーリーはこれで最後になります。このストーリーは家族を持ったマグナキッドのお話です。家族との時間でバイクに乗る時間が無い中、それでもバイクに乗りたい気持ちを表現した物語です。
「ちょっとコンビニに行ってくる」ヘルメットを抱えて妻に言うと、妻はあきれた表情で夕飯の準備を続けます。丁寧に暖気して、5分もかからないコンビニに向かいます。マグナキッドは今、何かの理由をつけてマグナ50に乗るのです。
今日は家族で出かけたのでバイクに乗っていないのです。休日は少しの時間でもバイクに乗るようにしているので、すぐに夕飯なのに5分だけでも乗りたいと出かけているのです。
夕暮れで薄暗くなっている中、反対車線を走るハーレーのおじさんが手を振ってくれます。目的のコンビニが見えたものの、そのまま通り過ぎます。
しばらく進むと大きな川の土手へ上がっていきます。まだ太陽は見えるものの、既に半分沈んでしまいました。夕日がマグナキッドとマグナ50の長い影をつくっています。
気づくと、いつの間にか海まで来てしまっています。港にマグナ50を停め、缶コーヒーを飲みながら暗くなった海を見ていると、あれから1時間以上経過しています。
妻は怒っているかもしれない。「パパはしょうがないね」と言いながら、既に夕飯を食べているかもしれない。でも、マグナキッドはまだマグナ50に乗っていたいと思っています。
このままどこかへ行ってしまいたいと。北海道や四国、九州に行くのもいい。そんな想像にふけながら自宅に向け、マグナ50の軽いクラッチをゆっくりつなぐマグナキッドでした。
マグナキッドの番外的な派生ネタ
マグナキッド伝説の本筋ストーリーを紹介しました。きっかけは、高校生だったマグナキッドがオフ会に参加しようとしたときの愛らしいストーリーから始まったお話でした。
それが2chに公開されるや、いくつかのサイトにコピペで展開され人気が出ます。すると、その続編やそのまた続編が2chを中心に展開されていき、それも2ch以外のサイトにコピペで広がっていくという事を繰り返します。
いつしかそれは2chバイク板を中心に「伝説」となり、まとめられたストーリーが「本筋ストーリー」として、今なお閲覧できる、まさに「伝説」となった物語です。
さて「本筋ストーリー」の人気が高まると、どんどん現れてくるのが本筋から派生した「派生ストーリー」です。本筋ストーリーは、マグナキッドの人生の節目、マグナ50を通して自分の過去を振り返るなど、マグナキッドの人生の物語でした。
一方、その本筋から派生したストーリーは、別の視点でマグナキッドのストーリーを楽しめる内容となっています。派生ストーリー、今風にいうと「スピンオフ」です。
この派生ストーリーも、本筋ストーリーに負けず劣らず人気があり、2chを中心に様々なサイトにコピペ展開されていますので、今でもまとめて閲覧することができます。
マグナキッドの書き込みの旅行編
『マグナキッド伝説・2ch派生コピペストーリー①/旅行編』を紹介しましょう。このストーリーは、雨の日の女性ライダー(私)のお話です。
雨宿り出来そうな場所を探したが、この山道では期待できない。そう諦めかけた時、屋根付のバス停を見つけました。バス停の横には1台停まっています。私はバイクを停めて屋根の下に入っていきました。
「雨宿りですか?」大学生くらいの男性が声をかけてきました。「さすがにこの雨だと危ないので」濡れたウェアを払いながら答えましたが、実は、あまり人と話す気分ではなかったのです。
しかし男性は、自分のツーリング先の出来事を話し出したので、私は話半分で聞いていました。「あなたはどちらへ?」男性に問われます。
どこからの帰りなんだろう。同棲していた彼氏にフラれ、合鍵を返しに行った帰り道でした。「大丈夫ですか?」と声をかけられ、自分が泣いていることに気づきました。
「何かあったのなら聞きますよ。」話す気分ではなかったが、誰かに聞いて欲しかったんだと思います。彼との出会い、初めて乗ったバイクの後ろ、ツーリング。そして先週、自分の未来が消えたこと。
雨はいつの間にか止んでいました。男性は空を見上げながら「バイクっていいですよね。僕も昔、最高速にチャレンジしたり、仲間と遠くまで蕎麦を食べに行ったりしました。」
「彼との別れは辛かったでしょうが、彼のおかげでバイクに出会えた。僕達もここで会うことが出来た。あなたにもきっといい出会いが待ってるんですよ。」男性は言いました。
「また会えますか?」私の口から自然とその言葉が出ていました。「あなたがバイクに乗り続けていれば、また会えます。」 男性はそう言うとバイクに向かって歩き出しました。
私は夢中で声をかけました。「そのバイク、何て言うバイクなんですか?」男性はとびっきりの笑顔で「マグナ50です」と答えました。
マグナキッドの書き込みのNS-1編
『マグナキッド伝説・2ch派生コピペストーリー②/NS-1編』を紹介します。NS-1というのは「マグナ50」と同じホンダの50ccバイクで、こちらはスポーツタイプのバイクです。今回の主役はこのNS-1に乗る高校生(俺)です。
県内有数の進学高に通っている俺は、新学期のクラス替えで憧れの女の子と同じクラスに。どうやって仲良くなるかを妄想しながらNS-1に跨ります。途中でモンキーに抜かれても今は気になりません。
NS-1は原付だけど速い。峠では最強だ。どんなコーナーだって俺が一番上手い。俺はこの峠の主なんだ。そう考えながらバトルスーツに着替え走り出しました。
峠の頂上にはマグナ50に乗った男がいました。その男は近寄ってきて「いつもここで走ってるの?」と聞いてきたので「俺はここの主だ。」と返しました。「俺のマグナと勝負しないか。」「夕日が山に隠れたらスタートだ」命がけのバトルが始まりました。
夕日が山に隠れた瞬間、NS-1が勢いよく飛び出しどんどんスピードが上がっていきます。後ろを見ると、マグナは小さくなっています。「いける!」そう思った瞬間でした。前から来たおばちゃんトゥデイを避けるためにバランスを失い転倒してしましました。
「おい、大丈夫か!」男の声で俺は気が付きました。マグナの男が介抱してくれていました。俺のNS-1は草むらに突っ込んで、フォークが曲がりカウルが割れていた。「NS-1はお前を守ったんだよ」マグナの男が言いました。
「俺も今までマグナと色々なことをした。高速を走ったりもしたんだ。こいつは俺の一生の相棒なんだ」まさか!「お前はまさか、マグナキッドか?」「そうさ。俺はマグナキッドさ。」俺は驚愕します。あの2chで話題になったマグナキッドが実在したとは。
マグナキッドの書き込みのバイク屋編
『マグナキッド伝説・2ch派生コピペストーリー③/バイク屋編』を紹介します。マグナキッド伝説本筋・派生を含めた最後のお話で、マグナ50を買うと決めた少年の物語です。
30年バイク屋をやって色んな客と出会ったが、今でも印象に残ってるのは「マグナ50を買った高校生」だとバイク屋は語ります。マグナ50が発売された頃、毎日店の前からマグナ50を見ている少年にバイク屋は「マグナ50が気に入ったのかい?」と声を掛けました。
少年は照れくさそうに笑いながら「マグナ50って原付なのにかっこいいから」と答えました。少年をマグナに跨らせ「うわぁかっこいい!すげぇ!」と感動している姿を見ると、バイク屋も初めてバイクに跨ったときのことを思い出してしまいます。
「バイトして買います!」そう宣言してからも、少年は毎日マグナ50を見に来ていました。そんな少年に心を打たれてマグナ50を店の前から移動させると、バイト帰りの少年が店に来て、昨日まであった場所にマグナがないことからオロオロしていました。
奥のマグナ50を見て少年はホッとした様子でした。「お前に売るって決めたから、迎えに来るまで置いておく」伝えると、少年の目はウルウルしていました。
それから半年後、ついに少年がマグナ50を手に入れる日が来ました。いざエンジンをかけて跨ろうってときに、少年は泣きだしてしまって、店にいた常連達も立ち上がって拍手していました。
それから1ヵ月ほど経ったころ、少年がマグナ50に乗って店にやってきました。「愛車の調子はどう?今日はオイル交換か?」尋ねるバイク屋に、少年は申し訳なさそうに「マグナ50って糞バイクですね。買い取ってほしいんですけど、査定してもらえますか?」と言いました。
マグナキッドの魅力
いかがでしたか『マグナキッド伝説』。2chで物語が紡がれる人気のストーリでした。今回は、マグナキッド伝説を本筋と派生ストーリーに分けて紹介しました。当時は2chに代表される掲示板の中で、不特定多数の方が物語を創ったり、板の中でのやり取りが書籍化したりしました。
代表的な物語が『電車男』で、女性とのデートで何を着て、どこにいけば良いかも分からないので助けて欲しいという、たったそれだけの書き込みから板に張り付いていた多数の人のアドバイスを受けながら恋を成就させるというストーリーでした。
この話は大変な人気となり、書籍化されるとともにテレビドラマ化もされるという想像以上の人気を獲得することになりました。
『マグナキッド伝説』も『電車男』も、掲示板に書き込む人たち全員が参加型で楽しみながらも真剣に物事を考えたという共通項がありました。
原付免許があれば誰でも乗れるMTバイク
ところで、マグナキッドが愛するバイク「マグナ50」について解説していませんでしたので、簡単にではありますが紹介しておきましょう。
まず読み方ですが、「マグナごじゅう」ではなく「マグナフィフティー」が正解です。マグナには排気量別にいくつかのラインナップがあり、「マグナ50」は末っ子に当たるバイクです。
エンジンは空冷50ccSOHC単気筒で、郵便局等で使われているカブと同じエンジンです。しかも、カブよりも出力が小さく重量もあるため、カブよりも遅いバイクと言われてきました。一方で、圧倒的な見た目に人気が集まり、一部の人には崇拝されるバイクでした。
マグナ50は原付免許で乗れるMTバイクなので敷居が低く、特に学生に人気の高いバイクでした。最初のバイクがマグナ50という方も多いのではないでしょうか。
マグナキッドの歴史
もう少しだけ、マグナの歴史について触れていきましょう。マグナはホンダのバイクの中でも人気のあったブランドですが、今では販売されていません。ここではマグナの歴史や広告など、マグナキッド伝説をより深く楽しんでいただくための豆知識を紹介します。
1995年に登場したアメリカンスタイルバイク
マグナ50は1995年にホンダが開発、販売したバイクです。50ccでクルーザータイプということで非常に人気があり、更にエンジンが強く、壊れにくいバイクとしても人気がありました。広告キャッチコピーは「野生がある、プライドがある~」が使われました。
排ガス規制により販売終了になった
「本格的アメリカンスタイルの原付」として販売された「マグナ50」は、兄貴分である「Vツインマグナ」譲りのゴツい外見が特徴です。
とても50ccとは思えない外見が特に高校生に人気でしたが、登場から約12年後の2007年、排ガス規制により多くの方に惜しまれながら生産・販売終了となりました。
マグナキッド伝説以外のバイク板の人気コピペ
『マグナキッド伝説』が人気になったことから、同じバイク板の中で、マグナキッド伝説以外にもいくつかのストーリーが作られました。
今回はマグナキッド伝説を中心に紹介していますが、他のバイク板の人気ストーリーもここで紹介しておきます。バイク好きな方はマグナキッド伝説同様に楽しんでいただけるストーリーです。是非、お読みください。
DQNとの絡み系バイクのコピペ
俺がコンビニから出ると、俺のバイク(ハーレー)にDQNなガキが張り付いていた。「何してんだ」って言ったら、「あ、スイマセン。バイク興味あるんで」って言ったきたから、リヤシートに乗せて山道を走ってやった。凄く喜んでいた。
見た目は金髪だけど、中身は純粋な奴だった。山の頂上付近に置いて帰ってきたけど、今アイツはどうしてるんだろう?こちらが「DQNとの絡み系コピペ」です。
YAMAHAの歴史のコピペ
「輸入ピアノの修理」から始まり「楽器関係」を作る。その流れで「電子楽器」もり「DSP」も作る。DSPを利用しようとして「ルータ」を作る。こんな流れで楽器、電子機器、ネットワーク関係の製品を作るようになりましたた。
また、ピアノの修理で「木工のノウハウ」が溜まり「家具」を作り「住宅設備」も作る。戦時中、「家具作ってるんだから木製のプロペラ作れるだろ」と言われて戦闘機の「プロペラ」を作り、ついでに「エンジン」も作る。
「エンジン」作ったから「バイク」や「船」も作る。船体を作るのにFRPを作る。FRPを利用して「ウォータースライダー」と「プール」も作る。プールの水が濁ったから「浄水器」作る。浄水器の失敗作で藻が大繁殖したから「藻の養殖」を初めて「バイオ事業化」する。
バイクで「ニュートラルから1速に落とした時の音」のコピペ
信号待ちでバス亭の前で止まると7人くらい全員年寄だらけ。ニュートラルから1速にしたときの「ガコン!」って音にみんな(゜д゜)(゜д゜)(゜д゜)(゜д゜)(゜д゜)(゜д゜)(゜д゜)ってこっちみて驚いて「バイク壊れたで」って騒ぐから、ウィンクしながら親指たてて進んだら立ちごけした。
誰もが聞いたことのある昔話+バイクのコピペ
「バイクを般若心経で埋め尽くしたら盗難されなくなったわ」という投稿に「ミラーが盗まれたりしてなw」と返した投稿。こちらも人気のコピペとして有名です。体中に般若心経を書き尽くして耳だけ書き忘れたという昔話がありましたが、それになぞらえてのコメントでした。
バイクをローンで買うことを激推しするコピペ
お前が1年我慢している間に、俺たちは慣らしを終える。お前が2年我慢している間に、俺たちは日本を1周している。お前が3年我慢している間に、俺たちは無数の出会いと別れを繰り返している。お前が4年我慢している間に、俺たちは気付くだろう「バイクとはなんぞや?」。
お前が5年我慢している間に、俺たちは愛車に無数の傷が付き一心同体となっている。お前が6年我慢している間に、俺はローンを終えている。イヤッッホォォォオオゥオウ!。通称「イヤッッホォォォオオゥオウ!分割払い!」です。
マグナキッドは高校生による伝説の書き込み!
いかがでしたか『マグナキッド伝説』は。タイトルを見てご存じだった方は、再びこの伝説に出会えたこと、そして初めて『マグナキッド伝説』に触れた方は、この面白さに触れることが出来たこと。
最初は高校生の書き込みから始まった、たった1つの小さな話だったものが、どんどん広がり、今なお残る伝説にまでなったこのお話。是非、原文も検索して確認してみて下さい。