幻の魚ことクエの特徴を紹介!
クエという魚は昔から幻の魚として有名で、漁獲高が少ないため高級魚です。養殖もされていますが、天然のクエはあまり釣れないためかなり価格が高く、一般的なスーパーなどではほとんど見かけることのない幻の魚です。
クエが幻の魚と言われているのは単に漁獲高が少ないという理由からではありません。クエはその生態が謎であることからなかなか発見することができなかったり、生態を知っていてもお目にかかることがほとんどないからです。
幻の魚と言われるクエの生態や特徴、釣り方や食べ方などについてこれから詳しくご紹介していきますが、クエという魚を知らないという人もいるでしょう。
クエを食べたことがあるのに「クエ」という名前で呼ばれていないためクエを知らないという人がいるのには、実はちょっとした理由があります。
地域によって呼び方が違う魚
幻の魚と言われるクエは地域によって呼び方が違う魚なので、クエを見たり食べたりしたことがあってもその魚の名前が「クエ」以外の名前で呼ばれているため、「クエなんて知らない」と言う人もいます。それはクエには色々な名前があるということです。
クエの名前は全国的に知られているようですが、実はクエという名前でクエを呼んでいるのは釣り好きな人や魚料理が好きな人ぐらいです。クエは九州では「アラ」、愛知県では「マス」、三重県では「クエマス」などと呼ばれています。
また四国の一部では「アオナ」と呼ばれ、日本各地で「モロコ」と呼ばれていますが、西日本には琵琶湖の淡水魚「モロコ」がいるため混同されません。
また九州でクエは「アラ」と呼ばれていますが、他に本式の名称が「アラ」という魚が存在していて、クエとアラは混同されがちになります。
クエの特徴・生態
それではまず、クエの特徴と生態についてご紹介します。クエは幻の魚と言われていますが、これは釣りを趣味としている人達の間での呼び名です。釣りが好きな人はいつかクエを釣ってみたいと思うことが多いですが、なかなか釣れないため幻と言われています。
クエは養殖もされていますが養殖場で育ててもなかなか成長しないため養殖での漁獲高も少なく、一般市場に出回る数も少ないのでそういった点でも幻の魚と言われていて、養殖のクエでもお目にかかることはあまりありません。
天然もののクエにも養殖もののクエにもほとんど出会うことはないため幻の魚と言われているクエはいったいどのような生態や特徴の魚なのかについてご紹介しましょう。
クエはどんな魚か①分類
クエとはどんな魚かの一つ目は、クエの分類です。クエはハタに似ている魚ですが、実際分類はスズキ目ハタ科でハタの仲間とされています。ですがクエは正しくはスズキ目スズキ亜目ハタ科ハタ亜科マハタ属というとんでもなく複雑な分類になります。
魚や貝や鳥などには学名という別名もありますが、クエの学名は「Epinephelus」という名前です。またクエは英語では「Longtooth grouper」という名前で、「長い歯を持っているハタ」という意味になります。
クエはどんな魚か②見た目
クエとはどんな魚かの二つ目は、クエの見た目です。クエの見た目は体の割に頭が大きく、特に口が大きいのが特徴です。やや受け口のような大きな口の中には鋭くとがった歯があり、これが英語名の「Longtooth」の元になっていると言えます。
クエは成長が遅い魚ですが、成長すると体長は120cmにもなりますので小学校低学年の子供ぐらいになります。また体重は50kgを超えるようになりますので、成人女性と同じぐらいの重さになります。
クエの見た目として特徴的なのはその体色で、幼魚の頃には体に縞模様がありますが、成長するにつれてその縞模様はだんだんと目立たなくなっていき、体色自体も変化していきます。
クエはどんな魚か③生息域・産地
クエとはどんな魚かの三つ目は、クエの生息地と産地です。クエは西日本から東シナ海や南シナ海にかけての沿岸部に生息しているので、産地はそれらの地方になります。またクエは大きな魚ですが意外に浅い水深50mまでの岩礁にいるのも生態の特徴です。
沿岸部の岩礁地帯に生息しているなら磯釣りなどで簡単に釣れそうですが、クエは夜行性で岩礁の岩の間を泳いで餌を探すという生態なので、釣りのベテランでもなかなか釣ることができず、そのため「幻の魚」と言われます。
クエが餌にするのは自分より小さい魚やイカなどですが、なんと伊勢海老なども餌にするので、かなり贅沢な餌を食べていると言えるのもクエの生態の特徴です。
クエはどんな魚か④性転換
クエとはどんな魚かの四つ目は、クエは性転換をする魚だということです。魚の生態として「雌性先熟(しせいせんじゅく)」という言葉がありますが、これは最初雌として成熟して繁殖し、体が大きくなると雄になって繁殖をするということです。
クエも体が小さいうちは雌として交尾をして産卵しますが、成長して体が大きくなると今度は雄になって交尾をして繁殖活動をします。
動物の世界では強い雄が雌を独占するなど一夫多妻制になるため弱い雄には雌が当たりませんが、クエなどの魚類の中にはそういったことを避けるために雌性先熟という変わった生態のものもいます。
この雌性先熟という特殊な生態によって縄張り争いで傷つく雄などがいなくなるため、少しでも多く子孫を残すことができるということです。
クエの旬・時期
クエの生態と特徴についてご紹介しましたので、次はクエの旬と時期についてご紹介します。どんな魚にも旬と釣りに適した時期がありますが、クエにも特に身が美味しい旬の時期と釣りに適した時期があります。
クエは生息域が限られている希少な魚なので、所によっては漁獲量を厳しく取り締まったり禁漁にする場合もありますので釣り好きな人が個人で釣りに行く際には注意が必要です。
クエを釣ったり食べたりする旬や釣りに適した時期とはいったいいつ頃なのか、クエの旬と時期についてもご紹介しましょう。
釣りにベストな時期は9~2月
クエの旬と時期の一つ目は、クエの釣りにベストな時期は9月から2月の秋から冬にかけてだということです。クエという魚は夏に産卵するので、産卵のために失った体力を回復しようと貪欲になるのが9月ごろです。
またクエは越冬のためにも体力をつけなければならないので、9月から2月にかけてはとても食欲が旺盛になり、やや釣りやすくなると言えます。
ですが元々クエは岩礁の間をゆったりと泳いでゆっくりと餌を探すタイプの魚なので、あまり元気な生餌をつけると釣りにくくなります。
クエの生餌にはアジやイカなどがおすすめですが、できればあまり元気いっぱいではない程度の生餌を用意した方がクエが食いつきやすいです。
5~8月は大物を狙える
クエの旬と時期の二つ目は、5月から8月は大物を狙えるということです。先にもご紹介したように、クエは体が大きくなると雄になります。そして夏には繁殖をして産卵をしますが、それがこの5月から8月の時期です。
繁殖をするために活動が活発になってきた体の大きな雄を釣りあげたいなら、5月から8月の繁殖時期を狙うのがおすすめです。9月から2月には産卵を終えた体の小さな雌が多く釣れますので、大物を狙うならやはり5月から8月の夏になります。
クエは成長すると120cm50kgの大きな体になるため、釣り人にとっては一度は釣ってみたい幻の魚ですが、クエはそこまで成長するのになんと20年もかかります。
釣りをする人には魚を大切にする人が多いですが、クエは特に希少な幻の魚なので、運よくクエを釣ることができたら骨まで大切に扱いましょう。
食べて美味しいのは夏から秋
クエの旬と時期の三つ目は、クエを食べて美味しいのは夏から秋にかけてだということです。クエは夏に産卵するためそこまでにしっかりと餌を食べて栄養をつけていますので、この時期のクエは脂がしっかりとのっていて美味しいです。
白身魚というと淡白なイメージがありますが、白身魚のクエにはたっぷりと脂がのるため淡白なイメージはなく、色々な料理方法で楽しむことができます。
産卵後のメスのクエは一気に体力が落ちているため貪欲になって釣りやすくはなりますが、産卵直後は痩せてしまっていますので味は今ひとつになります。
産卵後のメスのクエを釣るなら、産卵直後ではなく産卵後たくさんの餌をしっかりと食べて体力を回復した後がおすすめです。その頃のメスのクエを釣れば脂ものってきているため、産卵前に近い美味しい身になっています。
クエの釣り方
クエの旬と時期についてご紹介しましたので、次はクエの釣り方についてご紹介します。クエは幻の魚と言われているほどなかなか釣れない高級魚なので、ひと口に釣り方と言っても簡単には釣ることはできません。
百戦錬磨の釣り師であってもなかなかお目にかかれない幻の高級魚・クエなので、釣りの素人などではとても釣れるものではありません。
ずっと釣りが好きで頑張ってきた人なら、一生に一度は釣れるかもしれないという程度なので、クエを釣るのはかなり難しいと言えます。
幻の魚と言われる高級魚であるクエを釣るためにはいったいどのような釣り方をすれば良いのか、クエの釣り方についてご紹介しましょう。
エサ釣りの方法
クエの釣り方の一つ目は、エサ釣りの方法です。クエの釣り方として代表的なのはやはり生餌を使った釣り方です。9月から2月はクエが比較的釣りやすいので、その時期に生きたアジやイカなどをつけて釣るのがおすすめです。
9月ごろのクエは産卵直後で体力を失っているためとても食いつきが良いですが、やや味は落ちます。産卵後ある程度体力を回復し、冬に備えてさらに餌を食べ始めた頃に生餌をつけてクエを釣るとかなり脂がのっています。
雌のクエは産卵直後に良く釣れるようになりますが、9月から2月は越冬のためにまた食欲旺盛になりますので、その時期を狙ってエサ釣りをしましょう。
先にも少し触れたように、クエは基本的にのんびりゆったりとした泳ぎ方なので、あまり元気な生餌をつけないようにするのがポイントになります。
磯釣り
クエの釣り方の二つ目は、磯釣りです。クエは幼魚時代は潮溜まりなどの磯近辺で暮らしますが、少し大きくなると岩礁の方に移動していきます。そして大きくなるにつれて少しずつ深い方に移動していきますが、やはり岩礁地帯で生活します。
そのため磯釣りをするとクエを釣ることが可能になりますが、クエは夜行性なのでクエを釣りたいなら夜釣りがおすすめです。
夜になるとクエはエサを求めて行動を開始しますので、夜になってクエが動き出す時間帯に生餌をつけてエサ釣りをするとクエが釣れる可能性があります。
ですがクエは幻の高級魚なので、そう簡単には釣れません。夜に磯釣りでクエを狙う場合にはかなり粘る必要があります。じっくりと時間をかけて生餌をやや弱らせると、クエが釣れる可能性が出てきますので焦らず粘りましょう。
ルアー釣り
クエの釣り方の三つ目は、ルアー釣りです。クエは生餌をつけたエサ釣りの方がおすすめですが、ルアーで釣ることも可能です。ルアーには色々な形のものがありますが、クエを狙うならイカ型のルアーがおすすめです。
エサを使わずルアー釣りという釣り方ばかりしているという人なら、ルアーの扱いにも慣れているため上手にルアーを生きているように見せることも可能です。
クエはあまり元気な生餌には飛びつけませんので、ルアーで釣る際にもあまり元気そうに動かさないようにするのが大切なポイントです。
生餌を使う場合には先に生餌となるアジやイカを釣っておく必要がありますが、ルアーなら先にエサになる魚を釣っておく必要がありませんので、生餌となる魚が釣れそうにない場合にはルアーでの釣り方がおすすめです。
船釣り
クエの釣り方の四つ目は、船釣りです。クエは岩礁地帯にいるため海岸の磯で釣ることもできますが、大型のクエを釣り上げた人の多くは船釣りでクエを釣っているため、船釣りもおすすめです。
遠浅の海の多くは砂浜ですが、遠浅でも岩礁地帯があるなら船釣りで大型のクエを狙うことが可能になります。クエは大型になるととても重いので、船に釣り竿を固定して太目のワイヤーでしっかりと備えましょう。
通常の漁港などではあまり釣り船を出してくれるところはありませんが、釣り船を出すのを仕事としてやっている海辺の宿などもありますので、船釣りをする場合には船を出してくれる宿などを探すと良いでしょう。
クエの市場価格
クエの釣り方をご紹介しましたので、次はクエの市場価格についてご紹介します。クエは幻の魚で高級魚と言われていますが、実は少しは養殖されているため養殖のクエなら食べることも可能です。
ですがクエの成長はとても遅いため、養殖してもなかなか大きくなりません。和歌山県や奄美大島などでクエの養殖がおこなわれていますが、和歌山県の場合3kgになるまでに5年かかり、温暖な奄美大島でも3年かかります。
このため養殖であってもクエの価格はかなり高くなり、まさに高級魚となります。それではクエの価格は天然と養殖ではどのぐらい違うのかについてご紹介しましょう。
天然クエの価格
まずは天然クエの価格ですが、これは非常に高いです。時期などにもよりますが、1kgあたり1万円ぐらいの高値になることもかなり多いです。天然のクエは非常に漁獲高が少ないため、これほどの高値になるのも仕方がないと言えます。
ですがいかに高級魚であっても天然のクエの方が養殖のクエより脂がのって美味しいため、多少の高値は気にせずクエを食べたいと思う人も多いです。クエは通販で購入することもできますが、通販のクエは養殖なので注意しましょう。
養殖クエの価格
次に養殖クエの価格ですが、こちらは天然クエよりは安く1kg5千円程度で購入することができます。養殖の場合3kgまで育てるのに3年から5年かかりますので、その分他の魚に比べて高級になるのはやむを得ないと言えます。
養殖のクエなら通販で購入することも可能なので、「天然のクエでなくてもいい、どうしても一度クエを食べてみたい」と思うなら通販で養殖のクエを購入してみることをおすすめします。
クエのおすすめの食べ方
クエの市場価格についてご紹介しましたので、次はクエのおすすめの食べ方についてご紹介します。クエは高級魚ではありますが、養殖ものなら通販で購入することも可能なので、自宅で料理をすることもできます。
幻の高級魚・クエを料理して食べる場合にはいったいどのような食べ方をすれば美味しく食べられるのか、クエのおすすめの食べ方についてご紹介しましょう。
クエの刺身
クエのおすすめの食べ方の一つ目は、クエの刺身です。クエは白身魚なので刺身は向いていなさそうだと思う人も多いですが、クエは薄く削ぎ切りにしてフグの刺身のように柄のあるお皿に並べるという食べ方がおすすめです。
クエの刺身はフグの刺身よりおいしいと言う人も多く、クエの食べ方の中では最も人気が高い食べ方ですが、実はクエの内臓にはカツオなどに寄生しているのと同じような寄生虫がいることが多いため、この寄生虫には注意が必要です。
クエ鍋
クエのおすすめの食べ方の二つ目は、クエ鍋です。幻の高級魚・クエを手に入れたらクエ鍋を楽しむという人もとても多く、こちらもおすすめの食べ方です。クエ鍋といっても特に変わった材料が必要になるわけではありません。
鍋に昆布と水を入れて先に煮立てておいて出汁を取り、昆布を取り出した後きれいに身と骨を分けたクエの骨を入れてこちらでも出汁を取ります。その後クエの身と野菜などの具材を入れて蓋をして煮立て、煮えたらポン酢で食べましょう。
クエの唐揚げ
クエのおすすめの食べ方の三つ目は、クエの唐揚げです。唐揚げにするとおいしい魚はフグやウツボなど色々ありますが、超高級魚であるクエを唐揚げにするという贅沢な食べ方もおすすめです。
鶏肉を唐揚げにするのと同じようにクエを唐揚げにするだけですが、ちょっとしたポイントがあります。鍋にする場合でも唐揚げにする場合でも、クエは鱗を取ったら皮を残したまま調理すると旨味が引き立ちますので皮をつけたままにしましょう。
クエの煮つけ
クエのおすすめの食べ方の四つ目は、クエの煮付けです。カレイなどの白身魚は煮付けにするととても美味しいですが、クエも煮付けにするととても美味しいので、煮付けにするという食べ方もおすすめです。
カレイなどと比べるととても高級な魚なので、煮付けにするのはもったいないという人もいますが、希少な高級魚だからこそ一度煮付けでも味わってみることをおすすめします。クエが一尾丸々手に入ったら、是非煮付けもやってみましょう。
クエの塩焼き
クエのおすすめの食べ方の五つ目は、クエの塩焼きです。こちらもやはり鱗を落とし、皮を残したまま塩焼きにします。クエは脂がのっていてとても美味しいので塩焼きにするのはもったいないようですが、塩焼きにすると違った美味しさが味わえます。
アジなどの魚を塩焼きにするのと同じようにクエに適度に塩を振ってグリルなどで焼くだけですが、元々のクエの身の美味しさのためにアジなどの塩焼きより断然美味しく仕上がりますので、塩焼も是非試してみましょう。
クエのあら汁
クエのおすすめの食べ方の六つ目は、クエのあら汁です。刺身などを楽しんだ後クエのあらが残ったら、クエのあら汁がおすすめです。クエの皮はゼラチン質で栄養満点なので、クエのあらは是非あら汁にして食べましょう。
クエのあらに昆布出汁と塩少々とあさつきを準備して、昆布出汁の中に塩とクエのあらを入れて煮立て、仕上げにあさつきの小口切りを入れれば出来上がりです。
クエはフグより美味しいと言われる高級魚
クエの生態や釣り方や食べ方などについて色々とご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。天然ものどころか養殖ものもなかなか手に入らないクエですが、フグより美味しいと言われる高級魚なので、機会があれば是非食べてみましょう。