プールの塩素消毒は安全?体に危険な影響は?
プールの水に塩素が含れているのは知っていても、その塩素が入ったことでどのような効果があるのかは知らないという方も少なくありません。プールの塩素は鼻にツンとくる臭いがありますが、それは体にとって危険はないのでしょうか?今回はそんなプールの塩素についてご紹介いたします!
プールの塩素とは
学校や公共のプールでは、家庭用のプールでは感じない独特の臭いを感じますが、その臭いは塩素によるものなのでしょうか?
家庭用の水道水からは感じない臭いを発するプールの水は、沢山の塩素が投入されているのでしょうか?
気になる点は沢山ありますが、まずはなぜ公共のプールには塩素を投入するのか、またその塩素の担う役割とはなんなのかをご紹介いたします。
プールでの塩素の役割
学校や公共のプールには塩素が含まれていますが、そう言ったプールは毎日水を入れ替えているわけではありません。
そのため、沢山の不特定多数の人たちが使うプールの水を綺麗に保たなくては伝染病や感染症などを広めてしまう可能性があります。
そう言った病原菌などを広めないためにも、消毒して水質を綺麗に保つためにプールの水には塩素が適切な分量で投入されているので、安心してプールを楽しめるのです。
プールの塩素の安全性
プールの臭いは鼻をつくようなツンとした刺激のある臭いですが、そのような刺激的な臭いを発するプールの水は、体にとって安全なものなのでしょうか?
続いては、子供から大人まで楽しむ事ができるプールに投入されている塩素の気になる注意点や危険性、安全性、そして濃度、家庭用の水との違いについてご紹介いたします。
プールの塩素の濃度
プールの水を消毒して衛生を保つために必要な塩素は、厚生労働省や文部科学省によって厳密に濃度が決められています。
その基準とはプールの水に塩素が0.4mg/L以上1.0mg/L以下である事とされています。こう聞くとどれぐらいの塩素が入っているのかイメージしづらいかもしれません。割合でいうと1Lペットボトルの水に目薬を1〜2滴といった具合です。
もしもこの塩素をプールの水に投入しないで1週間放置したとしましょう。そうするとたちまちプールには藻が生えてしまいます。
藻が生えたプールで泳ぎたいという方はあまりいないでしょう。そしてもしも塩素の投入を怠って藻が生えてしまったら、その藻を取り除くことが出来ても、発生の可能性が格段に上がってしまいます。
家庭用の水道水にも塩素は使われている
塩素というと真っ先に頭に思い浮かぶのがプールかもしれません。しかし実は私たちが毎日使用している家庭用の水道水にも0.1mg/L以上1.0mg/L以下の塩素は入っているのです。
水道からでる家庭用の水にはプールの水のような臭いを感じないので、入っている塩素も少ないと感じるかもしれません。しかし実際には家庭用の水道水とプールの塩素の濃度上限値は同じです。
そういった事からも分かる通り、家庭用の水道水でお風呂に入っているのと成分的には安全性は何ら変わりはないのです。
不特定多数の人が利用する公共のプールですから、むしろ塩素を使用しない方が危険で安全性にかけるという事です。様々な病原菌から体を守るためにも、プールの水に塩素を投入するのは必要不可欠なのです。
塩素で防げるプールでの感染症
不特定多数の人が楽しむためのプールには、水を消毒するために塩素が入れられていますが、塩素によって防ぐ事ができる感染症はどのようなものがあるのでしょうか?
人の安全を脅かす感染症は、どこから感染るかわかりません。様々な人が利用数プールは、そういった面でも水を塩素で消毒する必要があるのです。
プール熱
正式には「咽頭結膜熱」と言われるプール熱は、プールの水から「アデノウイルス」というウイルスに感染する事があるためにこのように呼ばれています。
プール熱の主な症状として、喉の痛み、結膜炎、そして発熱の症状があるために「咽頭結膜熱」という病名がつけられています。しかしこの3つの症状が全て現れない場合もあります。
プールに入った後に急な発熱、のどの痛み、そして結膜炎の炎症が現れたらこの感染症が疑われます。そのほかにも腹痛や下痢を伴う場合もあるようです。症状は3〜5日続きます。ごくまれに肺炎に発展するケースもある為注意が必要です。
はやり目
続いて、プールの水によって感染る感染症の「はやり目」についてご紹介いたします。こちらは正式名を「流行性角結膜炎」といい、先ほどのウイルスと同じ「アデノウイルス」というウイルスから発症する目の病気です。
感染してすぐに発症するわけではなく、5日~2週間の潜伏期間があるので、感染していることに気づかずにプールに入ると、他の人に感染させてしまう可能性があります。
発症すると、普段よりも光が眩しく感じたり、さらさらした目やにが出たり、涙が出るといった普段とは違う症状が見られます。目が充血したり、まぶたが腫れて重たく感じたりします。
そして発症してから1週間くらい立つと、目の角膜に点状の濁りが出ることもあります。その他にも耳が痛くなったり、耳前のリンパが腫れたりという症状が出ます。
もしも何らかの異変を目に感じたら、早めに病院に行くのがおすすめです。もしもはやり目と判断されたら、登校、出社は出来ない非常に強い感染症に指定されています。
現在でもこの感染症の治療薬はなく、感染力が衰えるまで待つしかありません。そして家族であっても感染者と同じタオルを使用しない、感染者がお風呂を一番最後に使用するなどの感染防止の注意が必要です。
急性出血性結膜炎
続いてプールの水から感染する感染症でご紹介するのは「急性出血性結膜炎」です。こちらの目の感染症ですが、通常の結膜炎とは違うのが一目でわかるほどに、白目が出血で真っ赤に染まります。
こちらも他の人に感染してしまうので感染力がなくなるまでは他人との接触は避けたほうがいいようです。目が出血でべっとりと赤くなるのはとても危険に感じますが、治療は通常のはやり目などと同じです。
塩素による体への影響は?
プールの水を消毒して感染症を抑える効果がある塩素ですが、体には危険はないのでしょうか?感染症という危険からは守られますが、体にとって安全かどうかも気になるところです。
では続いては、プールに入った後に体に現れる症状や、気になる臭いの原因、そしてプールから出た際の注意点などご紹介いたします。
髪がキシキシになるのは塩素のせい?
プールの後に髪の毛がキシキシとしてごわつきを感じるという方も多いかもしれません。この髪の毛がキシキシするという症状は、塩素が関係しているのです。
髪の毛に付着した塩素が髪の毛のタンパク質を壊してしまう為、キューティクルが失われてキシキシとしてしまうのです。もしもこういった症状を緩和させたいという場合は、水を通さないスイミングキャップなどをかぶるといいでしょう。
独特な臭いは大丈夫なの?
家庭用の水道水に含まれている塩素とプールの水の塩素の濃度には、それほど違いがないのにもかかわらず、プールに訪れると独特の臭いを感じるでしょう。
その臭いの原因ですが、実は塩素と人間の尿や汗が深く関わっているのです。塩素と汗、尿が合わさることで化学変化を起こしクロラミンという成分が発生して臭いの素となるのです。
その為、体に特に危険があるわけではないので安全にプールを楽しむ事が出来ますが、プールに入る前には体を綺麗にしたり、トイレを済ませておくという個人個人のマナーが大切になってきます。
プール後の予防方法・注意点
プールを楽しんだ後にも、ちょっとした注意をする事で感染症などから身を危険から回避する事が出来ます。
年代によってはプールの後に目をシャワーで洗顔するという知識を持っている方もいるでしょう。しかし、現代では眼球を塩素で痛めてしまう為、水道水でしっかりとした洗眼を行うのは推奨されていません。
そしてプールからあがったあとは、プールで体に付着した水分を綺麗なシャワーの水で洗い流し、手洗いうがいを怠らない事がおすすめです。塩素で消毒されていると安心せずに、自ら注意するようにしましょう。
プールの塩素は感染症から体を守ってくれている
塩素で消毒された家庭用の水が安全に飲めるように、塩素が投入される事でプールの水が清潔に保たれて安全に遊ぶ事ができるのです。塩素は、不特定多数の人が使うプールの水を消毒して綺麗に保ち、感染症が広がらないように私たちの体を危険から守ってくれているのです!