収入保障保険とは
人々の生活や働き方が多様化する中、保険も選ぶ時代になってきました。保険の種類には医療保険、死亡保険、収入保障保険、学資保険など色々な保障の保険があります。
その中でも、主たる生計者が死亡、または病気や事故で長期にわたり働けなくなった場合に備える保険、収入保障保険とは。
収入保障保険を検討するにあたって、知っておきたいメリットやデメリット。今回は、その収入保障保険の特徴や、メリットとデメリットについて紹介していきます。
掛け捨てタイプの死亡保険
死亡保険とは、契約者が亡くなった場合、契約内容の保険金額に従って、保障が下りるタイプの保険です。保障内容によっては、高度障害状態になると補償は続きますが、保険料の支払いがなくなるものもあります。
掛け捨てタイプの死亡保険とは、「掛け捨て」という通り、保障期間満了まで生存していた場合、払い込んだ保険料は戻ってきません。設定した満期日までに死亡しなかった場合、満期日を迎えた時点で保障は終了となります。
メリットとしては貯蓄型の死亡保険と違い、毎月の掛け金が安く、高い保障を持てることが挙げられます。
子供がいるご家庭では、子供が成人するまでに万が一のことがあったら、という場合に、子供が成人するまでの保障としての保険の持ち方もあります。
デメリットは、契約者が死亡、または高度障害状態にならずに保障期間が終了してしまっても、払い込んだ保険料は全く戻ってこないことです。10年更新の場合、10年後に再度同じ保障内容で更新する場合でも、月々の払い込み保険料が上がってしまう事があげられます。
収入保障保険の特徴とは
収入保障保険とは、何を保障して、どんな時に備える保険なのか。収入保障保険には、どの様な特徴があり、どんなメリットとデメリットがあるのか。保険会社のパンフレットは少し複雑で理解するのが大変な事もあります。ここからは、収入保障保険の特徴を、簡単に説明していきます。
①基本的な保障・死亡時と高度障害時
収入保障保険とは、契約者が死亡または高度障害状態になった場合に、保障金額を年金として受け取れるのが特徴の保険です。また、受け取り方を選べるのも、収入保障保険の特徴になります。
高度障害状態とは、障害または疾病による、所定の状態のことを言います。契約者が死亡しなくても、その所定のいずれかの状態になった場合、死亡保険金、または収入保障保険の年金支払事由となります。
ただし、収入保障保険だけでなく、全ての保険に加入した際に渡される、各保険会社の「約款」。その約款に記されている、約款所定の高度障害状態に当てはまらない場合。または、保険の保障期間開始前に約款所定の高度障害状態になってしまった場合には、高度障害保険金は受け取ることができません。
とはいえ、保険会社から渡される約款はとても細かく、すべてを把握するのは困難です。一通り目を通し、ある程度把握することはもちろん大切です。
ですが、万が一の時には、保険会社のコールセンターに確認しましょう。パンフレットや約款などに、必ずコールセンターは記載してあります。一度確認をしておきましょう。
②受け取りは給料のような形で支給
収入保障保険の保障の受け取りは、払込年金相当額を一括、または契約時に設定した保険金額を、保障期間満期までお給料をもらう様に月々で支払われます。
また、収入保障保険では年金支払い保障期間というものが設定できます。契約者が死亡、または高度障害状態になった時から、保険の保障期間満了日までが、契約時に設定した年金支払い保障期間に満たなかった場合に、設定した年金支払い保障期間中は、毎月年金を受け取る事ができます。
③時間経過とともに保証金総額が下がる
子供の成長と共に、必要な資金は減少します。収入保障保険の特徴として、時間の経過と共に年金総受取額は減ります。
つまり収入保障保険は、契約後すぐが年金の総受取額が大きく、満期日近につれ総受取額が減ってしまうという事です。収入保障保険は、その分月々の保険料を抑えることで、負担を減らしながら万が一に備えることができます。
収入保障保険のメリットとは
収入保障保険にのみにかかわらず、保険の加入にあたって、自身が入ろうとしている保険にはどんな保障があるのか、自分にはどんな保障があっているのか、じっくり考え、知る事が大切です。では、収入保障保険に加入するメリットとは何か。次のようなものが挙げられます。
①保険料が割安
収入保障保険のメリットとしては、ほとんどが掛け捨ての為、毎月の保険料を安く抑えることが出来ます。万が一の為に保障は持ちたい、でも月々の負担は減らしたい。という方にお勧めです。
また、収入保障保険の年金受取は、一時受け取りまたは、毎月の年金受取、その両方と、受け取り方を選べるメリットがあります。
②合理的な保障準備が可能
収入保障保険は、時間の経過と共に年金総受取額が減る事で、月々の保険料を抑えながら、必要な保障を準備できる、合理的な保障内容となっています。
また、三大疾病や特定疾病など、保険会社が販売する特約を、主契約に付ける事で、所定の疾病状態になった時に、その後の保険料払い込みをしなくても良くなります。ただし、それらの特約を付けると、払込保険料は少し高くなります。
特約は、収入保障保険だけでなく、いろいろな種類の保険に付けられるものがあります。特約だけでも種類はたくさんあるので、自身に必要な物を選択し、備える事ができます。
収入保障保険のデメリットとは
収入保障保険に限らず、それぞれの保険の加入にあたっては、必ずメリットとデメリットの両方があります。保険の良いところを知るのはもちろんのこと、反対の面を知る事も大切になります。
ここからは、その収入保障保険のデメリットとは何か、を紹介していきます。大切な保障だからこそ、不利な面もしっかり知り、検討していきましょう。
①解約返戻金がない・あっても少ない
収入保障保険のデメリットは、殆どは掛け捨て、または低解約返戻金タイプの為、月々支払った保険料は戻ってこないか、返戻金があっても保険料の合計支払額より少ない金額になります。
その為、収入保障保険は、死亡または高度障害状態にならずに満期日を迎えた時点で、返戻金が少ない、または全くない状態で、保障も終了するというデメリットもあります。
②受け取った保証金が課税対象になる場合も
収入保障保険の年金支払事由が、高度障害状態になった場合に受け取れる、高度障害年金、リビング・ニーズ保険金以外だった場合、受け取った保証金は課税対象となります。
リビング・ニーズは、主契約に付ける事ができる特約になりますが、保険料が上がらず付ける事が出来る為、契約の際に保険会社側が付けてくれる事が多いです。
リビング・ニーズ保険金とは
リビング・ニーズ保険金とは、余命6か月以内と診断を受けた場合に、死亡保険金の一部または全部、収入保障年金を、生前に受け取る事ができるものです。ただし、ほかの保険で同様にリビング・ニーズ保険金を請求した場合には、通算した限度額が設定されています。
また、先に主契約で年金一時金または、月々の年金を請求した後に、リビング・ニーズ保険金を請求することはできません。
反対に、リビング・ニーズ保険金を請求した後に、主契約である年金一時金または、月々の年金支払いを請求した場合、主契約は減額または消滅します。
これは、収入保障保険だけでなく、その他の保障保険にも特約として付加することができます。
収入保障保険の注意点とは
ここまでは、収入保障保険の加入を検討するにあたって、知っておきたいメリット、デメリットを紹介してきました。では、実際に収入保障保険に加入した際に、どんな事に注意が必要なのか。
収入保障保険に加入後、契約者の死亡、または高度障害状態により保証金を受け取る状況になった場合、気を付けなければならない事は何か。ここからは、収入保障保険に加入し、年金を受け取る際の注意点を説明します。
税金関係に注意
収入保障保険の特徴は、保険金を年金で受け取ることができる、という事ですが、収入保障保険を年金受取する際の注意点として、一括で受け取る場合は相続税、または贈与税、所得税のいずれかが掛かります。
また、収入保障保険の保障を月々の年金として受け取る場合、契約者と、受取人が同一の場合を除き、相続税または贈与税と、所得税の2段階で税金がかかる事になります。
死亡保険と収入保障保険の違いは
掛け捨てにする事で保険料を安く、大きな保障を持てるなら、掛け捨てタイプの死亡保険と収入保障保険、どちらを持っても一緒かというと、そういう事ではありません。やはり、死亡保険、収入保障保険と分けているには理由があり、だからこそ、家族構成などの違いで、必要な保障も違います。
では、一体なにが大きく違うのか。ここからは、掛け捨てタイプの死亡保険と、収入保障保険の違いを簡単に説明します。
死亡保険と収入保障保険、どう違う?
掛け捨てタイプの死亡保険とは、契約者が死亡または、高度障害状態になった場合に、契約時に設定した保険金額が一括で支払われます。
死亡保険と収入保障保険、死亡または高度障害状態になった場合に保険金が下りる、といった点では違いはありません。では、どこに違いがあるのか。
掛け捨てタイプの死亡保障は、保険料払込期間が保障期間となり、保障の満期日までに契約者が死亡、または高度障害状態になった際、契約時に設定した死亡保険金額を一括で受け取れます。
収入保障保険は、保険料払込期間が保障期間となる点は一緒です。死亡保険との一番の違いは、収入保障保険の特徴である、保険金を一時金と毎月の年金受けとりとして選べるほか、一時金と年金受取を組み合わせた受け取り方ができることです。
掛け捨てタイプの死亡保障と収入保障保険どちらを選ぶ?
実際加入をしようとした時に、死亡保険と収入保障保険、一体何を基準に選べばいいのか。何のために、どのくらいの保障を必要とするのかは、それぞれの家庭で全く違ってきます。
掛け捨てタイプの死亡保険は、契約時すぐに支払事由に該当した場合でも、保障期間内終了間際に該当した場合でも、下りてくる保険金の額は変わらないのが特徴です。その代り、収入保障保険の月額保険料と比べた場合、払込保険料は高くなります。
収入保障保険は、掛け捨てタイプの死亡保障と同じ期間保障を持った場合、月々の払込保険料は安くなりますが、収入保障保険の年金総受取額は、加入時が一番高く、時間が経つごとに総受取額は下がっていきます。
誰に、どこに備えるか
死亡保険や収入保障保険などの加入を検討するにあたっては、家族構成や環境を整理し、誰に残し、どこに備えるのかを考えてみます。家族は子供がいる場合、子供に残すのか、配偶者またはその他の親族に残すのか。子供に残す場合は、現在何歳で、どこまで備えるか。
環境は、住宅やその他ローンなどはどの位あって、いつまで払っていくのか等を、一度整理し、契約内容を決める際の目安にしていきます。
保険会社を選ぶ方法
現在、多くの保険会社が、様々な種類の保険を販売しています。選択の範囲は広がりますが、多すぎて逆に悩んだり、違いが判りずらい事もあります。
では、一体何を基準に選べば良いのか。一つは、単純に支払う保険料の差があります。同じような保障であれば、少しでも安い所を選ぶというのも、一つの選択です。
また、現在持病がある人や、通院をしている人。現在は完治していても、過去に入院や手術をした事のある人は、そこも踏まえた保険の選択が必要になる場合もあります。
保険の加入方法を選ぶ
誰かが良いと言っていた事が、自分にも合っているとは限りません。もちろん、参考として聞いておくのは大切です。
保険が多様化し、代理店やネットなど加入方法も選べる様になってきた中で、じっくり話を聞いて悩むか、スマートフォンやパソコン一つで効率良く加入するか。そこも、自分に合った方法を選び加入しましょう。
ネットで加入する
今は、いろいろな事がネットで手軽に行える時代です。保険の比較や加入もその中の一つで、保険というワードで検索すると、悩む程沢山の検索結果が羅列します。
その中でも、自身の生年月日、性別を入力すると、いくつかの保険会社で同じ条件のものを、簡単に比較できるサイトもあります。
また、ダイレクト商品といって、ネットのみで加入できる保険もあります。人を介さない分、若干保険料が安いのが特徴です。選択肢の一つとして考えられます。ただし、それとは反対にネットでは加入できない商品もあるので注意が必要です。
保険会社で加入する
気を付けて見てみると、保険会社の代理店は沢山点在しています。パンフレットを見ただけでは理解できない所などは、やはりプロに聞いて教えてもらうのが安心です。
各保険会社の代理店は、契約している保険会社のみの商品を取り扱うので、他の保険会社の商品を説明してもらう事はできません。その分、自身の保険会社の商品の仕組みを、細かく把握しているアドバイザーが多く、安心して相談することができます。
乗合代理店で加入する
最近、増えてきているのが保険会社の乗合代理店です。乗合代理店の特徴は、2社以上の保険会社と契約を結んでいる代理店のことです。
たくさんの保険会社を取り扱っていますが、乗合代理店の社員は、取り扱っている保険会社の社員ではない為、同じ保障内容の保険を、公平に数社比較することが出来ます。
パンフレットを見ても難しいと感じている人や、健康状態に不安のある人は、直接店舗へ行って相談してみるとアドバイザーが相談に乗ってくれます。自身や家族の大切な保障です。じっくり相談し、納得いくまで相談すると良いでしょう。
健康体割引と非喫煙者割引
最近は多くの保険会社が、優良体特約などの保険料割引制度を導入していますが、その基準は保険会社によって様々です。
健康に関して一定の基準を満たした場合に適用される優良体割引など、いくつかの割引が提供されると、10%以上保険料が割引になる場合もあります。
また、非喫煙者割引(1~2年以上煙草を吸っていない)の適用でも、さらに保険料を安く抑えることができる場合があります。
非喫煙者割引の注意点としては、近くに喫煙者がいる場合、非喫煙検査キットで反応が出てしまうと、自身が煙草を吸っていなくても、割引適用外となる場合があります。喫煙者が一緒に住んでいる環境にいる人などは注意が必要です。
誕生日に注意!
収入保障保険にかかわらず、月額保険料は、年齢で決まる場合が殆どです。支払方法は、月々で払う月払いや、半年払い、年払い、一時払い等多様ですが、その方法によって、誕生日月の前月に加入しなければ、1歳年齢をプラスした保険料になる可能性もあります。
誕生日前に慌てる事の無いよう、誕生日月より数か月前に、余裕をもって検討を始めると良いです。また、口座振替やカード払い等によっても、引き落とし月が替わる場合があるので、加入する際は忘れずに確認しましょう。
収入保障保険とは残された家族の為にも準備できる保険
以上、収入保障保険について説明してきましたが、いかがだったでしょうか。何も起こらないかもしれないのに毎月保険料を払っていくのは勿体ないと考えるか、安心料のようなものとして万が一の時の為に保障を持つか。働き方や保険の選び方が多様化する中で、家族にどんな保障が必要か、一度話し合ってみてもいいかもしれません。