ファスティングとは断食のこと
最近よく目にするファスティングとは、断食のことです。一見おしゃれにも見えてしまうこのカタカナ書きの言葉は、英語のfastで、breakfastは、断食の時間を破ることを示すことから、朝食を意味します。
過食飽食の時代と言われる今、なぜ断食が注目されているのでしょうか。ファスティングの効果や方法、ファスティング前に摂取する準備食をご紹介します。
効果①胃腸が楽になる
ファスティングすると、消化のために内臓にかかっていた負担が減ります。体内に消化するべき食物が入ると、脳から消化活動するように内臓に指令が伝わりますが、そのためにもエネルギーは使われますし、食欲を司るホルモン等の分泌にもエネルギーが使われます。
不摂生から、食べ過ぎて胃が重くなったり、消化不良になったりすると、腸への負担が大きくなるために便通に異常が起こったりするので、注意が必要です。
そのような時には、ファスティングすることによって、消化器官だけでなく、ホルモンを分泌する各種器官の負担、脳の負担を軽減できます。胃腸の疲れをリセットして休められるので、胃腸がとても楽になるでしょう。
効果②免疫力が高まる
前段で、ファスティングは胃腸を休めることに効果があることがわかりましたが、では、胃腸を休めることでどのような効果があるでしょうか。ただ食べないだけでよいのでしょうか。
食べ過ぎなどから腸の負担が増え、腸壁が荒れると、未消化の、通常なら吸収しないものまで吸収してしまいます。すると、体に異物が侵入したと判断されアレルギーを引き起こしたり、自己免疫疾患が起こります。
過食を避けるのはもちろんのこと、ファスティングによって胃腸を休めると、そのような不都合を避けられるという効果が期待されます。
ただし、生活活動は行うわけですから、水分やミネラルの補給はするように注意が必要です。ファスティングに摂取するべきものは、食べ方などの注意を怠らずに、食べるようにしましょう。
効果③肌がキレイになる
チョコレートやピーナツなどの脂質や塩分の多い刺激物を取りすぎて、ニキビや吹き出物が増えたという経験のある人は多いでしょう。十分な食物繊維を取ると腸の動きが良くなり、体に不要なものの排出が良くなり、毒素を外に出せますが、過不足は、どちらも不調を招く原因になるので注意しましょう。
過食や偏食を避け、腸に負担をかけずに健康な状態にしておくことで、肌に不都合が起きることを防げるので、日ごろから、肌に良いレシピなどの研究をすることも忘れないようにしましょう。
ファスティングによって栄養吸収がうまくできるようにすると、腸の異常を防げるので、必要な栄養の吸収・不用な毒素の排出がうまくできるようになり、肌がきれいになります。
効果④精神が楽になる
昨今の社会はストレス社会と呼ばれ、人間関係だけでなく、自然から離れた住環境や、ラッシュ時の通勤など、多くの人が、日々、ストレスを抱えています。ストレスがかかると、ホルモンの分泌に異常が現れ、不眠症になったり、食欲に異常が出たりして、日常生活に支障が生まれることも多いです。
食欲に異常があると、過食になったり、便通異常になったりしますし、不眠になると、一日中眠気に襲われたり、失敗が増えるなど、悩みの種になり、さらにストレスが増すので、注意しましょう。
ファスティングをしてそのようなホルモンの分泌異常が抑えられると、それが引き起こすストレスが軽減され、睡眠の異常や便通の異常が避けられます。異常を改善する薬を飲まなくてよくなりますし、眠れない不安や、便意への不安も抑えられ、精神的に安定することが期待できます。
ファスティングの準備食
ファスティングが体に良いと言っても、いきなりファスティング本番、何も食べなくなるというわけではありません。まず、ファスティング本番の前に準備食を摂る期間があります。
また、ファスティング本番終了後には、回復食を摂る期間を設けます。効率の良いファスティングには、準備食期間に摂取する準備食と、回復食期間に摂取する回復食の両方がとても大切です。
ファスティング期間中の過ごし方、ファスティングの準備食、回復食に適した食物、食べて良いもの、食べてはいけないものについてご紹介しましょう。
準備食を食べる期間
準備食を食べる期間は、ファスティング本番の前2日間です。体の負担を軽減するためを考慮すると、理想的には3日から5日かけるのが望ましいです。
この準備食を摂取する期間は、ファスティング本番の前哨戦、準備期間なので、本番に備え、より良い流れになるように食べ物を選んで過ごします。十分な滑らかな変化を続けていくためには、準備食摂取の期間は長めに取るように調整するのがおすすめです。
準備食におすすめの飲み物
準備食期間の飲み物として適しているのは、水と、フルーツや野菜を使ったスムージーです。食べるものを減らしたり避けたりする期間とはいえ、水分やミネラルは必要です。
フルーツや野菜は、酵素が豊富で、ミネラルの補給もできるので、この期間に摂取する飲み物として適しています。消化器官を休ませ、デトックスできる酵素豊富な飲み物は、ダイエット効果、美肌効果が期待できます。
準備食におすすめの食べ物
準備食の期間と回復食の期間に適した食物は「ま・ご・は・や・さ・し・い」と覚えましょう。それぞれ、豆、ゴマ、発酵食品、野菜、魚、しいたけ、芋の類を意味します。
まず、生野菜、加熱野菜から食べ、炭水化物は後で食べるようにすると、血糖値の急上昇を防げ、消化酵素の分泌も促進されます。ファスティング期間だけでなく、日ごろからこの食べる順序に注意を払うことは、健康維持に有効なので、おすすめです。
また、ファスティング本番に備え、ファスティングの準備食期間には、準備食のやわらかい食物や、脂質などの刺激物を避けた食物、ある程度腹持ちの良い食物を選びます。料理方法としては、軟らかく煮たものが準備食に適しています。
リゾットは、消化吸収が良く、かつ腹持ちが良いので、準備食としても回復食としてもおすすめです。野菜スープも、水分の補給ができるのと、野菜を使うことによってミネラルの補給もできるので、準備食期間・回復食期間ともにおすすめです。また、体を温めることで、代謝も促進できます。
ファスティングの準備食は、季節の野菜を取り入れて手製で作ると、市販のものを使うより塩分控えめに調理できたり、添加物を避けられて、より高い効果が望めます。効果的なファスティング期間を過ごすために、ファスティングの準備期間に摂取する準備食や過ごし方に留意しましょう。
ファスティングのおすすめレシピ
ファスティングの準備食として適している「ま・ご・は・や・さ・し・い」を取り入れた準備食のおすすめレシピをご紹介します。ファスティングの準備食期間の注意点である、消化が良く、必要なミネラルを補えて、体を温められるレシピを選びました。ぜひ作ってみて下さい。
小松菜と豆乳スープ
ファスティング時のおすすめレシピひとつ目は「小松菜と豆乳スープ」をご紹介します。鍋に、水・豆乳・固形コンソメを入れ、火にかけます。沸騰したら、カットした小松菜を入れ、4分程度煮ます。小松菜に火が通ったら、塩コショウして出来上がりです。
食感が欲しい場合は、スープカップに入れてからクルトンを足しましょう。パセリを振るときれいです。
小松菜は、ビタミン・ミネラルが豊富な緑黄色野菜です。カルシウム・鉄分に豊富で、また、非常にたくさんのカロテンを含みます。豆乳は、豆腐に固める前の液体の状態のものです。かすの部分がこしとられているので、消化が良く栄養が豊富です。
ミネラル豊富な小松菜と栄養が吸収されやすい豆乳を使った温かいスープは、ファスティング時のメニューとして、準備食期間、回復食期間両方に適しています。
ひじきの白和え
ファスティング時のおすすめレシピ二つ目は「ひじきの白和え」です。豆腐は水切りし、ひじきは水につけて戻しておきます。にんじんは千切りし、ラップで包み電子レンジで1分ほど加熱します。練りごま、粉末だし、砂糖を加え混ぜます。器にとりわけて出来上がりです。
ひじきは、ミネラルが豊富で、豆腐はたんぱく源として優秀です。ミネラル・栄養豊富な取り合わせの「ひじきの白和え」はファスティング準備食期間・回復食期間のレシピとして、応用も利いて、優秀です。
野菜とキノコのスープ
ファスティング時のおすすめレシピ三つ目は「野菜とキノコのスープ」です。しめじは根元を切り、小房に分け、にんじんとたまねぎは薄切り、豆腐はさいの目に切っておきます。鍋に水と具材を入れ火にかけます。玉ねぎが透明になったら、固形のコンソメとあらびき胡椒で味付けして出来上がりです。
しめじは繊維質が豊富で、豆腐は良質のたんぱく質、にんじんはカロテンが豊富です。軟らかく煮て、温かいうちに食べましょう。胃にやさしく、体を温めるので、ファスティング期間の準備食・回復食に向いています。
ファスティングの注意点
ファスティングは、一時的に食物を取らないことにより、体調を改善または整えることを目的としています。ファスティングで成果を得た人は、方法や効果を事前にしっかり学んだ人で、ファスティング期間のつらさも知りながら、効果を得られることをめざして計画的に努力されたことでしょう。
けれども、ファスティングは、体のエネルギー源を断つことでもあり、準備食期間から本番、回復期の食事まで、正しい知識と計画がなければ、体調改善どころか、体調不良を招く危険もあります。ファスティングするときの注意点を見てみましょう。
断食していけない時もある
ファスティングに挑戦する人は、事前に方法をしっかり知ることが大切です。病中病後の時期など、勝手な断食や減食をすると、病気の快復に支障が起こることが考えられます。糖尿病・貧血・妊娠中や病中病後で体力が落ちている時期などには、勝手なファスティングを行ってはいけません。
また、日ごろ健康な人でも、例えば痩せたいからとか、ファスティングが流行っていておしゃれに見えるからなどという理由でファスティングに挑戦する場合は、要注意です。
ファスティングに挑戦して成功したとしても、終了後に満足してドカ食いしてしまうとか、自分で健康維持をできなくなってしまうと考えられる場合は、ファスティングに挑戦しても逆効果になるかもしれないので、避けた方が良いでしょう
断食中の運動は避ける
ファスティング時には、水分やミネラル補給以外の消化の必要な食物を断ちます。エネルギー源となりやすい栄養も断つことになり、普段の食生活とは異なります。
糖分を摂取しないことで、脳の働きが鈍ったり、注意が散漫になったりすることも起こり得るので、過度の運動をさけ、失敗してはいけない大事があるときなどは、ファスティングの期間に重ならないようにする必要があります。
普段はなんでもなくできるような運動でも、貧血を起こしたりして危険なことも考えられるので、これくらい大丈夫と思って注意を怠らないようにしましょう。
断食後は回復食を摂る
ファスティング本番の期間を終えた直後は、体の中に食物がない状態になっています。ですから、直後に刺激の強いものや消化の悪い固形物を突然入れると体調を壊し、断食からの回復が出来なくなってしまうので、ファスティング本番終了後の回復期の食事は、準備食同様、配慮する必要があります。
ファスティングは準備食をしっかりとれば成功しやすい!
腸を休め、体を整えるファスティングは、長期間に限らず、半日、一日など短い期間の計画からでも効果があります。また、週に1日定期的にファスティングを取り入れることでも効果が望め、体調を改善できます。
長い期間のファスティングの場合は、準備食期間・回復食期間の食事のレシピにも配慮が必要です。特に、突然にファスティング本番に入るのではなく、本番前の準備食期間の食生活をよりうまく過ごすことで、ファスティングの効果は上がります。
準備食の覚え方は「ま・ご・は・や・さ・し・い」と、水、スムージー、スープです。水分やミネラルの補給にも配慮しましょう。
ファスティング全期間を通して効果が上がるように、胃腸に負担をかけない食事のレシピに配慮して、有効なファスティングに挑戦してください。