揶揄とはどんな意味?読み方や英語の例文もご紹介!
皆さんは「揶揄」という言葉を普段から使っていますか?揶揄は常用漢字にも含まれていないため、一般的にはあまり馴染みがない語彙かもしれません。揶揄とは一体どんな意味なのか、また読み方も分からない方がほんどではないでしょうか?
今回は、揶揄という言葉の意味や使い方、そして揶揄の類語や例文もご紹介。また、英語で「揶揄」を表す言葉や、揶揄に相当する類語も含めて、詳しく学んでいきましょう!
揶揄の意味とは
揶揄の読み方や使い方の例文をご紹介する前に、まずは、揶揄とは一体どんな意味があるのかをご紹介致します。揶揄という言葉の意味には、大きく分けて4つの意味があります。
もっともよく使われているのが、「からかう」という意味で、揶揄という漢字を使用して「揶揄う」と書きます。この漢字の読み方は「からかう」です。知らない方は、ついでに覚えておいてください。
他には、相手をバカにしたように笑うことや、くすぐること、小突くことなども揶揄の意味に含まれます。一つ一つの意味を確かめながら、揶揄が使われる場面を想像してみましょう。
からかうこと
揶揄の意味の中で、もっともよく使用されるのが「からかう」という意味です。相手をおちょくったり、茶化したり、ふざけて相手の興味を引くさまをこの「揶揄」という一言で表現することができます。
悪意からではありませんが、相手のことをおもしろおかしく言ったりすることも、揶揄の最初の意味である「からかうこと」に含まれます。
例文を挙げると「肌の浅黒い転校生を男子たちが揶揄した」のように、他の誰かの容姿や態度などに対してからかうさまを指すのが揶揄という言葉の意味です。
くすぐること
揶揄と言う言葉には、「くすぐる」という意味も含まれます。子供をくすぐったり、小突いたり、おどけて見せたりと、何かとちょっかいを出すさまを「揶揄する」と表現します。
この場合の揶揄とは「ふざける」「いじり回す」「いじる」と言った意味合いが強く、例えば、「司会者が芸人を揶揄した」などの例文だと、芸人が「いじられるさま」を表現していることになります。
揶揄には、少し相手をバカにするといった意味合いもあるため、お笑い芸人や芸能人などに対して、ちょっとふざけた感じで小馬鹿にするときにも使われます。
おちょくること
揶揄の意味には、他にも「おちょくる」という意味があります。最初のからかうという意味とほぼ同義語になりますが、まったく興味を示していない相手に対して、こちらの注意を引くようなおもしろい場面をわざと作って笑わせることなども含まれます。
この意味で揶揄を使う時には、「冷やかす」と言った意味合いが強くなりますので、「若い男の子たちは、ミニスカートの女の子を揶揄した」と言った例文のように、男性が女性を冷やかす場面などにも使用されます。
「公園で手をつないでいる若いカップルを揶揄した」などのように、ヒューヒューと口笛を吹いて、相手を冷やかしたりする場面でも使用することができます。
はやしたてる
揶揄には、他にも様々な意味合いがありますが、「はやしたてる」というのも、揶揄の意味を端的に表す意味の一つです。
いじめっこが、弱い子供を囲んではやしたてたりするさまを「揶揄する」と表現することができます。もう少し難しい言葉に置き換えると、この意味で揶揄を使う場合は、「嬲る」という類語を使うこともできます。
「嬲る」とは、読み方は「なぶる」で、意味は困らせたりいじめたりして喜ぶこととなっています。浦島太郎の冒頭のシーンで亀が嬲られている様子も、置き換えてみれば「揶揄している」状況の一例です。
揶揄の読み方とは
揶揄の意味や使い方について、ざっくりと理解したところで、続いては揶揄の読み方をご紹介致します。揶揄の類語もいくつか出てきましたが、揶揄の漢字は、「揶」読み方は「や」と、「揄」読み方は「ゆ」の2つの漢字から成り立っています。
「揶」という漢字には、からかう、あざけるという意味が含まれています。また「揄」という漢字にも、からかうの他、なぶる、引き出すという意味が含まれています。
この2つの漢字の組み合わせで揶揄という言葉ができていますので、転じて「からかう、なぶる」と言った意味が生まれました。
読み方:やゆ
先ほど、一文ずつ漢字の読み方をご紹介しましたが、「揶」には音読みしか読み方がなく「や」と読みます。一方、「揄」は「ゆ」と読む読み方のほか、「とう」という読み方もできます。
揶揄は音読み同士の組み合わせで「やゆ」と読むのが正しい読み方です。画数も多く読み方も難しいので、漢字検定一級レベルの漢字として認定されています。
揶揄の類語とは
揶揄の意味と読み方は、これでばっちり分かりました。続いて、揶揄の類語と使い方の例文を見ていきましょう。揶揄には、「からかう」「あざける」「相手をばかにする」「いじめる」と言った意味が含まれています。
それぞれの意味に呼応する類語がいくつかありますので、使い方に合わせて置き換えできる類語を覚えていきましょう。揶揄自体はそれほど汎用性のある語彙でもないため日常的には、使いずらいかもしれません。
これからご紹介する揶揄の類語の方が、使用しやすい語彙が多くありますので、例文ごと覚えて使えるようにしておきましょう。
①嘲笑
揶揄の類語として使われる言葉の一つに「嘲笑」があります。読み方は「ちょうしょう」で、文字通り「あざけりわらう」という意味があります。相手のことを蔑むように、バカにして笑うという意味です。使い方の例文は以下の通り。
「彼の態度は嘲笑の的となった」「あまりにも不出来だったため嘲笑を受けた」などのように使います。嘲笑は、揶揄の中でも「相手をバカにしている」という要素が強い使い方となります。
そのまま「嘲り笑った」のように文章の中で使われることもあります。嘲笑は、揶揄の類語の中では、比較的日常会話に出てきやすい単語です。
②愚弄
揶揄の類語として、次にご紹介するのは「愚弄」です。読み方は「ぐろう」と読みます。愚弄の「愚」は「おろか」という意味。そして弄は「もてあそぶ」という意味があります。転じて、愚弄の意味は、「人をバカにしてからかう」という意味になります。
使い方の例文を見てみましょう。揶揄の類語である愚弄の例文には「弱者を愚弄する」「臣下を愚弄する」のように使います。この使い方の例文を見てお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、愚弄という言葉は、相手が自分よりも下の身分に使われることが多い単語です。
揶揄の意味の中では、相手を「おちょくる」という意味に近い使い方で、腹をたてた相手が逆に「私を愚弄する気ですか」と反論したりする場合にも使用されます。
③非難
揶揄の類語として3つ目にご紹介するのは「非難」という言葉です。類語の中では、もっともひねくれた部分のないストレートな表現がこの「非難」という言葉です。非難は、相手の良くないところや欠点、過失を追求して責めるという意味を持ちます。
揶揄の類語「非難」の使い方の例文は以下の通りです。「不誠実な態度を非難する」「作戦の失敗を非難された」。
揶揄という言葉の対象が「人物」そのものであることが多いのに対し、類語の「非難」は、起こった現象や物事に対して責める時に使用されるという特徴があります。
揶揄の正しい使い方とは
揶揄には、「非難」「愚弄」「嘲笑」と言った類語があることが分かりました。使う文脈によっては、揶揄という言葉よりも、この3つの違った意味の類語を使用する方が、より状況がわかりやすい場合もあります。
揶揄と合わせて類語の例文も覚えておくと、言葉の使い方に幅が出ますので、文章を書くときにも大いに役立ちます。
続いては、「揶揄」という言葉の使い方を詳しく見ていきましょう。揶揄は、そのままなら名詞として使用されますが、大抵の場合は、口語でも文語でも、「する、される」などを追加して動詞として表現する使い方が一般的です。
~する・~されるをつけて使用
使い方は「(誰かを)揶揄する」、「(誰かに)揶揄された。」のようになります。名詞として使った場合の例文には「揶揄と名指し、どちらが良いか?」と言った使い方があります。
また名詞としてそのまま使う場合には、「揶揄を受けた」という使い方も多いようです。「揶揄したり、皮肉を言ったり」と類語と並列で使われる場合は、動詞の「する」をつけて活用します。
英語の場合は、活用するよりは、もう少し類語が多いため、単語ごとに使い方が細分化されています。英語表現については、本文の最後の方で詳しくご紹介致しますので、そちらをご参考になさってください。
揶揄を使った例文とは
他人をからかう、くすぐる、非難するなど、いくつかの意味を持つ「揶揄」という言葉。使い方は、「する」「される」をつけて動詞として活用するほか、そのまま活用せず、名詞としても使えることが分かりました。
続いては、文脈や台詞に出てくる「揶揄」の例文を見ながら、使い分けの方法をさらに詳しくご紹介していきます。揶揄は、少しネガティブな意味も含まれる言葉ですので、使い方には十分注意してください。それでは、早速一つ目の例文をご覧ください。
①プロフィールをからかう
揶揄の一つ目の例文は「学歴や職歴の悪さを揶揄してはならない」です。これは、他人のプロフィールを見て、相手をからかうという場面を想定した例文です。
「お見合い写真を揶揄する」「経験のなさを揶揄する」といった表現も、このプロフィールをからかうという意味の「揶揄」と同じ使い方の例です。女性も男性も、履歴書を提出するときは「揶揄されないように」誤字・脱字などにご注意ください。
②能力に対し嫌味を言う
揶揄の使い方、2つ目の例文を見てみましょう。「君の提案は稚拙だと揶揄された」「子供でも分かる内容を理解できないと揶揄された」といった表現では、相手の能力のなさに対する嫌味を述べています。
この文脈では使われている揶揄の意味は、「相手の嫌なところを突く、嫌味を言う」といった意味で使用されています。使い方としては、「お局に揶揄された」「上司に揶揄された」のように、自分より目上の人から嫌味を言われた時などに使用します。
③態度をなじる
続いての揶揄を使った例文は「あなたは嫌味が多くまるでお局のようだと揶揄された」「勤務態度が怠慢で怠け者だと揶揄された」です。この例文で使用されている揶揄の使い方は、相手の態度をなじるという意味があります。
この使い方をするときには、揶揄の対象となる相手は、必ず目下の人とはかぎりません。目上の人に対しても「揶揄」という表現を使うのが特徴です。接客態度、電話応対の態度、生活態度など、様々な態度をなじるシーンで使われます。
類語で言うと「非難」に限りなく近い表現と言い換えることができますので、合わせて覚えておきましょう。
④現代社会の行方の皮肉
揶揄の使い方の例文は「市場主義社会を揶揄する」「アベノミクスは見せかけだと揶揄する」と言った表現です。この例文での揶揄の意味は、現代社会の問題点を浮き彫りにして「皮肉を言う」あるいは、「風刺する」という意味があります。
新聞の社説欄や風刺画などは、政治家や今の社会に対する大衆の不満などを皮肉めいた表現で痛切に批判します。こういった場面で「揶揄」という言葉を使う時には「皮肉を言う」と言う意味を持つようになります。
「あの政治家の発言を揶揄する」のように、起こっている社会現象だけでなく、発言内容など「現象・もの・こと」にも使用することができます。
⑤態度を非難
最後にご紹介する揶揄の例文は「列に並ばないマナーの悪さを周囲は揶揄した」「傍若無人な態度だと他人から揶揄されることとなる」といった表現です。この文脈での揶揄の意味は、「態度を非難する」という意味合いで使用されています。
使い方としては、相手の高慢な態度や、鼻持ちならない態度などに対して、怒り、憤り、苛立ちなどを露にして文句を言うといった場面に使用します。相手を諫めたいというよりは、飽きれてものが言えないと思うぐらい、バカにしている時に使います。
揶揄の英語表現とは
ここまで、日本語で揶揄という言葉の意味や読み方、そして使い方の例文などをご紹介してきました。ここからは、英語で揶揄を意味する単語や類語、また英語例文も具体的に挙げつつ、揶揄について見ていきましょう。
英語で揶揄を意味する単語は、言葉の重さや度合いによって異なります。例えば、相手を軽くからかっているときと、深刻ないじめ(=嘲笑、愚弄を含む)の場合では、まったく違った英語表現を使用します。まずは、この2つの違いを念頭に置いて続きをご覧ください。
①おふざけ程度のからかい
英語で「軽くからかっている」状態や「おふざけ程度のからかい」を意味する単語はbanterやrailleryがあります。banterの読み方は「バンター」で、意味は、「冗談」「ひやかし」「からかい」などです。
英語の慣用句やイディオムでは、。light banter(軽いひやかし)、frivolous banter(取るに足らないからかい)のように使用します。また、to banterやbanter withという形で動詞として使うことも可能です。英語で軽く冗談を言っている時に使用します。
一方、railleryですが、こちらは読み方が「レイレリー」で、意味は、からかい、冷やかしとなります。英語での使い方の例文は、次の項目で詳しくご紹介致します。
②からかう・いじめる
英語で揶揄を意味する表現、続いてのイディオムはmake fun ofとridiculeです。make fun of は、高等英語でも出てくる慣用句の一つで、形式ばった形で「相手をいじめる」「ひどくからかう」と言った状況に使用する語彙です。
主語+make fun of+対象者という構造で、相手をバカにするといった意味の英語になります。ridiculeは「相手を笑いものにする」「嘲笑う」という意味を持つ単語で、英語では、軽蔑の気持ちを込めてバカにしている時にこの単語を使います。
英語で揶揄を表す表現は、banter、raillery、make fun of、ridiculeなどがありました。他にも、からかいやあざけりを意味する英語の単語にはchaffがあります。
chaffには、「もみがら」「くず」「つまらないもの」といった意味があり、そこから転じて「からかい」「取るに足らないひやかし」と言った意味が誕生したようです。chaffもbanter同様、軽いからかいを意味する単語ですので、日常のシーンでも気軽に利用できます。
英語で揶揄を表す表現には、他にも嘲笑する意味で使用されるlaugh atや、相手をいじめる、からかうという意味を持つteaseなどがあります。
この他にも、強い批判や非難を表すrazzや、悪意を持って相手を悩ますような行動を取るという意味のtantaliseなどがあります。laugh atは、バカにして笑うという慣用句で、高校英語などにも登場する基本表現です。ぜひ、覚えておきましょう。
英語表現では、取り入れる単語の違いによって、意味の強さ(深刻度)が変わりますので、注意が必要です。banterは、重い意味にも軽い意味にも取れる単語です。他の単語の使い方が分からない場合は、banterを使うことをおすすめします。
揶揄を使った英語の例文
英語で揶揄を意味する単語とイディオムを5つ紹介しました。banter、raillery、make fun of、ridicule、そしてchaffなどがありました。
ここからは、この5つの英語表現を用いて、実際にどのように英語の文章を作るのかを例文付きで解説していきます。動詞として使える単語、そのまま名詞として使用する単語、そしてmake fun of のように慣用句として使い方が固定されているものの3種類があります。
まずは軽いからかいを意味するrailleryの例文を見てみましょう。He is a good hand of raillery.(彼はひやかしの名人だ)のように使用します。この例文で分かる通り、railleryは名詞として使用される単語です。
続いては軽いからかいを意味するbanterの例文です。The writer used to banter with actresses.(その作家は女優とよく冗談を言い合っていた)のように使用します。
では、形式ばった英語表現であるmake fun ofの例文はいかがでしょうか?Don't make fun of me!(私のことをからかわないで!)のように使用します。外国人男性に冷やかされたら、英語でこのように訴えてみましょう。
揶揄の注意点とは
揶揄という言葉には、「からかう」「相手をバカにして笑う」「くすぐる」「非難する」と言ったいくつかの意味がありました。また、英語では、からかいの度合いに応じて、単語を使い分けする必要があることも分かりました。
最後に揶揄という言葉を使用する際の注意点について、少しまとめておきましょう。実際に揶揄という言葉を使う際の参考にしてください。
揶揄の類語の使用に注意
揶揄には「嘲笑」「愚弄」「非難」といった類語がいくつかありました。揶揄に比べると、これらの類語は、とにかく相手を蔑むといった強い意味を持ち合わせているものもあります。
類語には、揶揄が本来持つ「からかう」というニュアンスから外れているものもありますので、使い間違いしないように気をつけてください。
揶揄は相手をからかう意味で使われる
揶揄の読み方や意味、そして英語での表現方法のコツなどをご紹介致しました。揶揄には相手をからかうという意味があり、類語表現の中には、揶揄よりずっと重い意味を持つ単語もあるため、言葉選びに注意する必要がありました。
揶揄とはどんな意味であるかが分かった今でも、使い方を間違うとかなり失礼になります。ネガティブな語彙ですので、例文を参考に上手な使い方を覚えて揶揄という言葉で状況を表現してみてください。