インドの公用語は何語?使われている言語の数や歴史を徹底解説!

インドの公用語は何語?使われている言語の数や歴史を徹底解説!

インドの公用語は何語か知っていますか?インドは公用語以外に使われている言語が30言語以上あります。今回は、インドの公用語を使っている人の割合や、なぜ言語が複数使われているのか歴史を探ってみましょう。また、どの言語を使って会話するのかも詳しく解説します。

記事の目次

  1. 1.インドの公用語とは?
  2. 2.インドでヒンディー語を使う人の割合は?
  3. 3.インドの「指定言語」は各地域で違う
  4. 4.インドの公用語と歴史の関係性
  5. 5.インド社会が抱える言語問題
  6. 6.インド・言語と貨幣の関係
  7. 7.多言語社会のインドはコミュニケーションの工夫が必要

インドの公用語とは?

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日本は日本語を使って会話をしますが、インドは30以上の異なる言語があり全体では2000ほどの方言が確認されています。インド憲法では連邦政府が2つの言語を公用語として定めており、連邦憲法では22の指定言語を定めています。ここからは、インドの公用語についてご紹介していきます。

ヒンディー語はインドの連邦公用語

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インド憲法の条文(第343条)において、インドにおける連邦政府の公用語はデーヴァナーガリー表記の「ヒンディー語」と定められています。つまり、インドではヒンディー語はインドの連邦公用語として決められているということです。ヒンディー語は、デリー首都圏を中心とした北インド一帯で会話されている言語になります。

元々はペルシア語が公用語だった

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むかしのインドは、イスラム系の王朝が統治していました。その時代の公用語はペルシア語でした。ペルシア語はインド発祥の言語ではなく中東地域の言語になります。ペルシア語はイランを中心として中東地域で会話されている言語で、ペルシャ語、パールシー語、ファールシー語とも言われています。

準公用語は英語

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インド憲法では、インドにおける連邦政府の公用語はヒンディー語が定められていますが、準公用語として英語を定めています。インド憲法を制定するとき、予定では1965年に英語を公用語から外す動きがありましたが、ヒンディー語を使い会話をすることがあまりないタミル・ナードゥ州などの反対により1963年公用語法によって定められました。

インドでヒンディー語を使う人の割合は?

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インドの連邦公用語のヒンディー語は、インド全体でどのくらいの人が使っているのでしょうか。また、多様な言語を使っているインドは、教育現場でどのような言語の対応をしているのでしょうか。ここからは、インドでヒンディー語を使う人の割合やインドの言語教育についてご紹介していきます。

約40%の割合の人が使う

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インドの公用語と定められているヒンディー語ですが、使う人の割合はどのくらいでしょうか。インドでヒンディー語を使う人の割合はインド全体の約40%で、3億3,372万人ほどいると言われています。公用語と定められている言語としては、使う人の割合が少ないと感じる人もいるのではないでしょうか。それだけ多言語が使われているということでしょう。

つまり、ヒンディー語と英語が話せる人でもインド全域で言葉が通じるとは限らず、コミュニケーションが難しい地域がたくさんあるということです。

言語教育では3言語以上の習得が必要

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インドの初等や中等の言語教育では、3言語以上の習得が必要とされています。3言語とは、州の指定公用語または母語とインドの連邦公用語のヒンディー語、準公用語の英語のことです。ヒンディー語を公用語としている州では、ヒンディー語以外の州の公用語を習得します。

そのため、インド人が3言語以上話せても珍しいことではありません。高等以上のの言語教育では、教育用語は英語が使用されています。

インドの「指定言語」は各地域で違う

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インドの指定言語は、28の州と連邦外地域など各地域で公用語が違い、連邦憲法で22の指定言語を定められています。では、インドの人々が会話するとき、どこの州の人がどの言語を公用語としているのでしょうか。ここからは、インドの「指定言語」についていくつかご紹介していきます。

指定言語①アッサム言語

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インドの「指定言語」、1つめは「アッサム言語」です。アッサム言語を公用語として会話するのは主に「アッサム州」の人々で、アッサム文字を使います。アッサム州はインドの北東部に位置し、北東インドの中心的な州です。アッサムは世界最大の紅茶の産地で、主にインド国内で消費されます。

アッサムの紅茶はミルクティーで飲まれることが多く、アールグレイやダージリンなどと並び有名な紅茶です。アッサムは「アソム」と呼ばれたり記載されることもあります。アッサム言語で会話する人々の割合は、インド全体で1.55%とごく少数と言えます。

指定言語②オリヤー言語

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インドの「指定言語」、2つめは「オリヤー言語」です。オリヤー言語を公用語として会話するのは主に「オリッサ州」の人々で、オリヤー文字を使います。オリッサ州はインドの万東部にある州のひとつで、昔はサイクロンなどの自然災害が多く貧困地域でした。近年は鉱物資源がたくさんあることが分かり、各国の大手製鉄企業が進出しているようです。

アッサム言語で会話する人々の割合はインド全体で3.32%ほどで、アッサム言語と同じく少数と言えます。

指定言語③カシミール言語

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インドの「指定言語」、3つめは「カシミール言語」です。カシミール言語を公用語として会話するのは主に「ジャンムー・カシミール州西部」の人々で、ラテン文字・シャーラダー文字・ペルシア文字、デーヴァナーガリーを使います。また、カシミール言語はパキスタンでも少数の人々に使われています。カシミール語の文法は、ヒンディー語に似ています。

カシミールは「カシュミール」と呼ばれたり記載されることもあります。カシミール言語で会話する人々の割合は、2001年の時点で約558万人とされています。

指定言語④ウルドゥー語

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インドの「指定言語」、4つめは「ウルドゥー語」です。ウルドゥー語言語を公用語として会話するのは主に「ジャンムー・カシミール州」の人々で、ウルドゥー文字を使います。ジャンムー・カシミール州はインド最北部に位置し、ウルドゥー語は唯一の公用語とされています。

ウルドゥー語で会話する人々の割合はインド全体で5.13%ほどで、北インドを中心に世界で20番目に多い人口です。ウルドゥー語はパキスタンの国語にもなっています。

インドの公用語と歴史の関係性

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インドの公用語は連邦公用語のヒンディー語と準公用語の英語に加え、28の州と連邦外地域など各地域で公用語が違います。なぜこのように多言語が使われるようになったのでしょうか。インドが多言語社会になった理由は歴史に関係があるようです。ここからは、インドの公用語と歴史の関係性についてご紹介していきます。

アーリア語族とドラヴィダ語族

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インドの公用語と歴史の関係性、1つめは「アーリア語族とドラヴィダ語族」です。インドの言語は主に2つの系統の語族に分類されています。それぞれインドのどの地域を指し、どのような特徴があるのでしょうか。アーリア語族とドラヴィダ語族について見ていきましょう。

アーリア語族

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アーリア語族とご紹介しましたが、正確には「インド語群」と呼ばれています。ただ、インド語群では「インドの言語」という意味に捉えられてしまう可能性があるため、誤解されないよう「インド・アーリア語群」と呼ぶことが多いです。言語系統は「インド・ヨーロッパ語族」に属し、その主要な語派のひとつ「インド・イラン語派」の下位に分類されます。

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インド語群(インド・アーリア語群)を公用語としている人はインド北部で人口は9憶人以上と言われています。インドで最も多い言語群になり、ヒンディー語とウルドゥー語をまとめて呼ぶヒンドゥスターニー語やベンガル語などが含まれます。インド語群(インド・アーリア語群)で最も歴史があるのは、ヴェーダ州の公用語のヴェーダ語です。

ドラヴィダ語族

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ドラヴィダ語族を公用語としている人は南インドの5州で、およそ26の言語が含まれています。ドラヴィダ語はスリランカや南インドで使用されているほか、ネパールやアフガニスタン・パキスタンなどの一部の地域でも使用されており、2億人以上と言われています。ドラヴィダ語の起源はわからないことが多く、いまだ研究が進んでいないようです。

ヒンドゥー教と仏教に記された言語

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インドの公用語と歴史の関係性、2つめは「ヒンドゥー教と仏教に記された言語」です。古代のヒンドゥー教の聖典に記された言語は「サンスクリット語」で、仏教の経典(聖典)に記された言語は「パーリ語」以外にもサンスクリット語やチベット語、モンゴル語や漢語などさまざまな言語で記されたものがあります。

ほかにも、ジャイナ教の聖典に記された言語は「アルダマーガディー語」でしたが、現在インドの公用語として定められている言語はサンスクリット語のみです。

インド諸語が分岐した歴史

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インドの公用語と歴史の関係性、3つめは「インド諸語が分岐した歴史」です。インド諸語が分岐した歴史は、3つの時期に分類することができます。サンスクリットはインド語群(インド・アーリア語群)に属する古代語でヴェーダ語を祖とします。紀元前1500年頃~、およそ3世紀以降、およそ10世紀以降と分類することができます。

インド社会が抱える言語問題

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インドは多言語社会であり、初等教育から3言語以上の習得が必要とされているとご紹介しました。日本でも小学校から英語の授業を取り入れる学校が増えてきましたが、強化が増えるということはそれだけほかの分野を習得する時間が減るということです。

インドではひと昔前に比べ教育を受けることができる子どもが増えたことにより、読み書きができる識字率も上昇傾向にあります。しかし、現在もなお地域や男女の差別が根強く残っています。ここからは、インド社会が抱える言語問題についてご紹介していきます。

準公用語の英語を重視しすぎる

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インド社会が抱える言語問題、1つめは「準公用語の英語を重視しすぎる」です。インドではイギリスの植民地の時代から英語が使用されており、現在も準公用語として定められています。教育現場では、初等教育から習得が必要とされている3言語のうちに英語が含まれており、国内外でのさまざまなシーンで必要不可欠な言語になっています。

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3言語以上の教育を受けていることで、その地域は社会的・経済的な地位が中間所得以上と判断することができます。そのため、英語を話せる人が多くインド人同士でも英語で会話するほうがコミュニケーションが取れることも少なくありません。一方で、英語を重視しすぎて母国語の教育に影響を及ぼすのではないかという見解を述べる人もいます。

会話が成り立ちにくい

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インド社会が抱える言語問題、2つめは「会話が成り立ちにくい」です。ご紹介したように、インドの言語は地域により公用語が違います。日本で言うと、地域により方言が違い聞き取れないといったレベルではなく、海外の人と会話をするレベルと同じくらい違いがあります。

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つまり、お互いが話す言葉が理解できず、会話が成り立ちにくいという現象が起きてしまいます。連邦公用語のヒンディー語や準公用語の英語がすべての地域に広まっていればこのようなことは起こりにくくなりますが、現状ではヒンディー語を話す人の割合はインド全体の40%にとどまっていることから難しいと言えるでしょう。

文字が異なる

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インド社会が抱える言語問題、3つめは「文字が異なる」です。インドの公用語は、会話の言葉づかいが同じでも文字が違うという現象が起きています。たとえば、ヒンディー語とウルドゥー語を公用語とする人々がそれぞれの言語を話しても会話が成立しコミュニケーションを取ることができます。しかし文字が違うため、筆談での会話は成立しなくなります。

ヒンディー語を話すヒンドゥー教徒はデーヴァナーガリー文字を使い、ウルドゥー語を話すイスラム教徒はアラビア文字を使います。

インド・言語と貨幣の関係

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インドでは「ルピー」というインド通貨の単位があり、補助単位として「パイサ」があります。インド準備銀行が発行している硬貨や紙幣のことを指し、1ルピーは100パイサになります。主に流通しているのは、「1・2・5・10ルピー硬貨」と「5・10・20・50・100ルピー紙幣」になります。

流通は稀ですが、「200・500・2000ルピー紙幣」やパイサ硬貨もあります。2016年に高額紙幣の1000ルピーが廃止になり、500ルピーは新札が発行され2000ルピー札が登場しました。新札には偽造防止技術が加えられサイズも金額ごとに異なります。

2017年~2018年のあいだに10・50・100ルピーの新札が発行され、200ルピー札が登場しました。そのため、現在は新札と旧札が流通しています。

インド・ルピーの紙幣

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では、多言語社会と言われるインドの紙幣の文字はどの言語が使用されているのでしょうか。ルピー紙幣の表面には、ヒンディー語と英語が使用されています。裏面には15言語が使用されており、合計17言語となります。

裏面の15言語の詳細は、アッサム語・アッサム語・カシミール語・ウルドゥー語・ベンガル語・パンジャーブ語・グジャラート語・コンカニ語・ネパール語・マラヤーラム語・マラーティー語・カンナダ語・タミル語・テルグ語・オリヤー語・サンスクリットです。

多言語社会のインドはコミュニケーションの工夫が必要

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インドが多言語社会になったのは、インドの歴史に関係があることがわかりました。インドは州をまたげば言葉が通じないだけでなく、文字が読めないことも起こりうることが分かりました。会話や筆談ではコミュニケーションが取れないこともあり、工夫が必要でしょう。

ここでは紹介しきれなかったインドの言語に関する歴史などに興味がありましたら、掘り下げて調べてみてはいかがでしょうか。

enisi
ライター

enisi

月に1回のジェルネイルを楽しみに過ごしており、暇な時には新しいデザインを検索しています。片付けが苦手なので、収納アイデアに興味があります。疑問に感じたことは、手を抜かず納得できるまでしっかり調べることを大切にしています。

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