かくかくしかじかの意味や語源は?漢字表記もご紹介!
長い文章を、たった一言で省略できる「かくかくしかじか」という表現。小説や物語、そして舞台の台詞など、様々なシーンで登場する便利な日本語です。「かくかくしかじか」とは、そもそもどんな意味を持つ言葉なのでしょうか?
今回は、知っているようで知らない「かくかくしかじか」の使い方や、その語源と類語などをご紹介。漢字では「かくかくしかじか」とはどう書くのかも含めて、詳しく解説します。
「かくかくしかじか」の意味とは
西暦720年頃に編纂されたと言われる「日本書紀」。ヤマトタケルをはじめとする日本国の創世記をつづった壮大な物語です。「かくかくしかじか」という言葉が、最初に登場したのは、この「日本書紀」だと言われています。
「かくかくしかじか」という表現、「日本書紀」の中では、漢字で表記されていたようですが、おそらく日本人が独自に発達させてきた言葉と考えて良さそうです。
まずは、「かくかくしかじか」とは、どんな意味を持つ言葉なのか?そこから探っていきましょう。「かくかくしかじか」とは、大きく分けて2つの意味を持つ言葉です。一つは、長い文章を書くときに使う言葉という意味です。
意味①文章を省く時に使う言葉
「かくかくしかじか」とは、「あんなことやこんなことがあった」という長い話や文章を省略する時に使用する言葉です。この使い方をする場合には、「かくかくしかじか」という言葉自体に、特に意味はありません。
その理由は、過去に起こった出来事を、会話の中で簡略化して話すために生まれた表現であるため、言葉自体に特に意味を持たせ庭内からなのです。「かくかくしかじか」とは、なんの意味もない言葉でありながら、大変便利な表現なのです。
なぜ「かくかくしかじか」という言葉が話を省略する意味でとして記号的な使い方をされるようになったのでしょうか?実は、「かくかくしかじか」という言葉は、古文の一つで、「かくかく」と「しかじか」の二つの言葉に語源があります。
意味②前に話したことと同じ
「かくかくしかじか」の語源については、後述するとして、もう一つ、「かくかくしかじか」とは、どんな意味で使用されるのかという例をあげてみましょう。
「かくかくしかじか」のもう一つの意味は「前に話したことと同じ意味です」という表現でもあります。「Aをして、Bをして、Cをして、そしてDになって、結局Eになった」というような長い話を「長いので省略する」という意味の使い方をします。
「かくかくしかじか」とは、情報量が多い時に、前の部分を省略したい場合に使える表現なのです。そういう意味では、「前略」なども、「かくかくしかじか」と使い方が似ている類語と言うことができるかもしれません。
「かくかくしかじか」の漢字
「日本書紀」には、漢字で表記されていたという「かくかくしかじか」。最近では、漢字ではなく、もっぱらひらがなで表記される使い方が一般的です。
「かくかくしかじか」とは、言葉そのものに意味を持たず、長い話を省略したり、前置きの部分を省略する際に使用する表現として定着しています。では、古文にあった、元々の「かくかくしかじか」とは、漢字でどのように表記されるのでしょうか?
「かくかくしかじか」とは、漢字で「斯々然々」または、「斯斯然然」と表記します。「斯々」という漢字と「然々」という漢字を合わせた四字熟語によって構成されています。
斯々然々(斯斯然然)
また、小説や物語などに登場する「かくかくしかじか」の漢字表記には、「斯く斯く然然」と書かれる場合もあります。この場合も読み方や意味、そして使い方も他の「かくかくしかじか」と同様です。
漢字表記になるとこの字面で「かくかくしかじか」と読むとは、一見分かり辛いかもしれません。常用漢字として使用される頻度はあまり多くありませんので、あくまでも一般教養として、漢字の使い方も覚えておくとよいでしょう。
近代日本文学では、「斯斯然然」と繰り返しの「々」(ノマ)を使用しないパターンが多いようです。現代文学では、省略を意味する「々」を使った「斯々然々」という使い方が一般的です。
「かくかくしかじか」の語源
古くは「日本書紀」にも登場する「かくかくしかじか」。古語の一つであることは間違いありませんが、一体その語源はどこにあるのでしょうか?
誰が使い始めたのかは、定かではありませんが、かくかくしかじかの漢字を見ると、その語源が分かってくるかもしれません。「かくかくしかじか」とは、言葉そのものに意味を持たない珍しい日本語表現です。
漢字を見ると「斯々然々」と書きますが、この字面から「斯々」と「然々」の2つの言葉の組み合わせから成り立っている言葉であることが予想できます。
斯々と然々を合わせた言葉
「斯々」(斯斯)とは、「斯く斯く」という漢字で表記されることも多く、「しかじか」あるいは「これこれ」という意味を持っています。実は、「かくかく」と「しかじか」は意味や語源がほぼ同じなのです。
続いて、「然々」(然然)ですが、然々の意味は特になく、同じことを繰り返して言わない時に、不要な部分を省略する表現として使われます。然々は、漢字で「云々」と書く場合もあり、この時は「いろいろと言う」という意味に変化します。
ちなみに、然々を云々という漢字で書いた場合は、読み方が「うんぬん」に変わります。これについては、後述しますが、うんぬんは、かくかくしかじかの類語の一つです。
ここまでご覧いただいて分かる通り、「かくかくしかじか」の語源は、「斯々」と「然々」の両方に共通する「省略する時の代用」という意味があり、同じ意味を持つ2つの言葉を組み合わせて、「省略する表現」として使われるようになったと考えられます。
「かくかくしかじか」の語源は、説明するのも面倒な長い話を省略する、前置き部分を割愛する、そういった意味で使用できる大変便利な使い方ができる便利な表現であるということが分かりました。
続いては、「かくかくしかじか」と同じ意味で使用される、便利な類語表現を見ていきましょう。「かくかくしかじか」と合わせて、文章を省略できるので、会話の中でうまく使い分けてみてください。
「かくかくしかじか」の類語と意味
「かくかくしかじか」とは、「斯く斯く」と「然々」の二つの漢字に語源を持つ表現であることがわかりました。ですので「かくかくしかじか」の類語も、この二つの語源と同様、言葉そのものに意味は持たず、文章を省略する意味を持つ表現となります。
「かくかくしかじか」は、「ここでああなって、こうなって、それで、こうして、どうした」というような長い文章や説明をたった一言で短くまとめることができる、非常に便利な表現です。
類語には主に3つの言葉があり、それぞれ「あれこれ」「うんぬん」「あーだこーだ」と表現します。マンがの台詞や、ドラマのワンシーンなどにも登場しますが、使い方を日常会話でも話をはしょる時に使える便利な表現です。
あれこれ
「かくかくしかじか」の類語、一つ目は「あれこれ」という表現です。例えば「あれこれ考えても仕方ない」「あれこれ言ったけど、とりあえず、最初の案でいこう」などの使い方をします。
「かくかくしかじか」の類語である「あれこれ」は、いくつもの事柄を短く省略して表現する際に使用します。「あれや、これや、それも」というように、いくつかの事柄を一気に短く伝えることができます。
「あれこれ」の語源は、元々、物を指し示す指示語から着ています。対象物があるので、そういった意味では、若干「かくかくしかじか」とはニュアンスが違うということだけ覚えておいてください。
うんぬん
続いてご紹介する「かくかくしかじか」の類語は「うんぬん」です。先ほど漢字表記のところでも、少し触れましたが「うんぬん」も、然々と同じ意味を持ちますので、「かくかくしかじか」の類語といえます。
「うんぬん」は、人から聴いた話を会話の中で省略する場合等に使える表現で、長い引用部分を短くはしょる際に使用します。使い方としては「A子は、うんぬんと語り」のように使用します。漢字では、「云々」「(云云)と表記します。
「うんぬん」は「かくかくしかじか」と同じく、そこに至る経緯を省略していますが、いろいろな事情を割愛する表現という意味では、もっとも使い方が似ている類語と言えます。
あーだこーだ
もう一つ「かくかくしかじか」の類語をご紹介しましょう。「あーだこーだ」は、「かくかくしかじか」の類語の一つで、様々な事柄を一から十まで説明せず、省略したいときに使用する表現です。
使い方の例をあげてみましょう。「あーだこーだ言い訳しないの」「あーだこーだ言っても仕方ない」のように使用します。この例文を見ると分かるように、あーだこーだは、わりとネガティブな会話内容を省略する意味で使用するのが一般的です。
「あーだこーだ」にも、特に語源はなく、基本的に、会話内容を省略する意味で使用されますが、悪いことをしたときの言い訳などに使われることが多いので、厳密には、かくかくしかじかとまったく同じ意味ではありません。
「かくかくしかじか」の使い方と例文
「かくかくしかじか」の意味や語源、そして同じ意味合いで使用される類語についてご紹介してきました。かくかくしかじかは、前置きとなる長い説明文を省略する際に使用される便利な口語表現の一つです。
余談ですが「かくかくしかじか」という言葉をタイトルにした漫画も発売されており、若い世代に人気があるようです。
「かくかくしかじか」は、いろいろな事情や面倒な話を割愛したりする際に使える表現ですので、どんなシーンでどのように使うと良いのか、具体例を見ながら覚えていきましょう。
説明する際に省略する意味で使用
「かくかくしかじか」はどのような状況で使えるのか、使い方の中でもっともよくある例は、「面倒な長い説明を端折る」シーンで登場します。「こんなことがあったので、こうすることにしました」というような長い話を一気に省略して前に会話を進めます。
例えば、恋人との待ち合わせに遅れてしまったときなどに、自分がどうして遅れたのかを長々と説明すると、相手への印象も悪くなります。理由は多少はしょったとして、きちんと遅れたことを謝罪する方が、相手は許してあげようという気にもなるものです。
例文:面倒な長い説明を端折る
使い方としては、「遅刻して本当にごめんなさい。かくかくしかじかありまして、遅れてしまいました」というように伝えましょう。
こうしてみると、「かくかくしかじか」という表現は、皆まで言わずとも分かるという、日本人特有の文化を象徴しているように感じられます。相手の気持ちを慮ることができる、日本人の繊細な心遣いがあってこその表現なのでしょう。
「あ、うん」の呼吸、「つーかーの仲」とでも申しましょうか。「かくかくしかじか」とは、日本語が持つ、曖昧さに対して寛容な口語表現とも言えるようです。
「かくかくしかじか」とは英語ではどのように表現する?
面倒なことや、長い説明などを、簡単にはしょることができる「かくかくしかじか」という表現。言葉自体に意味はないものの、時間を短縮して、会話をスムーズに進められる大変便利な言葉です。
「かくかくしかじか」は、日本語特有の表現のような気がしますが、英語で言うと、この曖昧な言葉はどのように表現されるのでしょうか?最後に、英語で「かくかくしかじか」はどのように表現するのか?
同じような意味を持つ類語や、語源、そして使い方の例文も合わせて、いくつかご紹介してみましょう。
英語で「かくかくしかじか」を表現する方法は、2つあります。一つは「あれこれ」「いろいろと」といった意味で使用する場合のSo and soです。類語にはSucn and soなどがあります。
「かくかくしかじか」の英語例文と使い方
もう一つは、その前の部分の会話を省略する意味で使用するAnywayです。Anywayには、「つまり」という意味があり、その前の部分の説明をはしょって、結論だけを手っ取り早く伝える際に使う文頭語です。
使い方の例文です。He explained that the incident had happened for such‐and‐such a reason.(ことの起こりはかくかくしかじかだと彼は説明した)のように使用します。
「かくかくしかじか」の意味は文章を省略!
かくかくしかじかは、古語の一つで、古くは「日本書紀」や「万葉集」にもその類語と見られる表現が記載されているようです。いつどこで誰が使い始めたのか、定かではありませんが、使い方を知って居れば「かくかくしかじか」とは大変便利な言葉のようです。
今回ご紹介した「かくかくしかじか」の意味や語源をしっかりと理解して、会話の中でうまく利用してみてください。