「迎合」の意味
「迎合」とは主に書籍やメディアで使われる頻度の高い言葉のひとつです。読み方としては「げいごう」になりますが、なかなか日常会話では取り入れる機会がないことから、その読み方や意味がわからないといった人もしばしば存在します。
言葉にはそれぞれ意味があり、使っていくうえで正確に意味を理解する必要があります。まずは「迎合」の意味を理解して使いこなせるわけでなく、その言葉が含まれる内容を正確に読み取れるようになりましょう。
意味①他人の意見に合うようにすること
「迎合」の意味の一つ目として紹介するのが「他人の意見に合うようにすること」です。個人によって物事の価値観や考えは異なりますので衝突するのは決して少なくありません。その時に、自身の考えではなく相手の考えを優先する際に用いられる意味を持っています。
一見すると「同意」や「賛成」といったような「他の人の意見に賛成する」意味を持つ言葉の類義語のように見えますが、実は「相手の考えを優先する」という行動に大きな違いがあります。
具体的には「相手に気に入られたい」という目的をもって行われる行為のことを指します。そのため、良し悪しの判断に関係なくあくまで「相手に良い評価をされるため」に行動する際に用いられる言葉です。
そのため、「迎合」はどちらかというとマイナスなニュアンスを持っている言葉であることが特徴のひとつと言えます。
意味②あいづち
「迎合」の意味の二つ目として紹介するのが「あいづち」です。「あいづち」の意味としては「誰かの話を聞いている時に同じ気持ちや同感した時に見せる動作や反応のこと」を指します。
コミュニケーションにおいては「あいづち」は「ちゃんとあなたの話を聞いていますよ」といった表現ができる動作でもあります。つまり相手にとって良い印象を与えることができます。
そういった意味を持つことから、「人に気に入られる行為」という使い方もできる言葉となっています。
意味③媚を売る
「迎合」の意味の三つ目として紹介するのが「媚を売る」です。「媚を売る」の意味としては「誰かに気に入られようとしたり、機嫌をとうろとすること」となっています。
「迎合」もまた、自身の考えや価値観をないがしろにして、相手に気に入られることを目的に相手の意思に沿う行動などに使われる表現です。そういったことから、「媚を売る」という使い方もできる言葉になっています。
「迎合」の類義語
「迎合」には同じ意味や使い方もできる類義語となる言葉が幾つかあります。しかしそれぞれ「迎合」とは異なる使い方もできる場合もあるため、上手に使い分けていくにはそれぞれの言葉の意味を理解していく必要があります。
類義語の意味や使い方を理解することは、「迎合」という言葉への理解も深めるうえでは、とても大切なプロセスです。どういった類義語があるかについても知っていきましょう。
ゴマをする
「迎合」の類義語としてまず紹介するのが「ゴマをする」です。「ゴマをする」は「他人に気に入られるような振る舞いをすることによって、利益を得ようとすること」を意味します。
類義語としては「他者に気に入られようとする」という目的においては同じ使い方ができるという共通点があります。使い方の違いとしては使う時の適切なシーンが異なることです。
「ゴマをする」というのは、俗っぽい表現に分類される言葉になります。そのため、フォーマルな場で使う言葉としては適していません。対して「迎合」は日常会話などでは取り入れるよりも、フォーマルな場で用いられるのが適切とされる表現です。
意味合いや使い方としては類義語に分類されますが、それぞれ使えるシーンが異なってくるので、使う時は注意してください。
お先棒をかつぐ
「お先棒をかつぐ」というのは、「誰かの手先となって軽々しい振る舞いや行動をすること」を意味する言葉です。この「お先棒」というのは、荷物を担ぐ人のことを指します。昔は二本の棒を使用して運搬がなされるのが一般的でした。
運び方としては二本の棒の前後を二人で担ぐわけですが、棒の前方を持つ人のことを指したことが始まりと言われています。
類義語としては「相手の意思に沿う」という点が大きく似通っている言葉と言えます。しかし「お先棒をかつぐ」には「相手に気に入られたい、利益を得たい」といった考えを持たずに行動する際に用いられる表現です。
対して「迎合」は目的を見据えて行動している意味合いを持っていることから、類義語でありながら若干そのニュアンスが異なってくるのが大きなポイントになります。
おべっかする
「おべっかをする」は「ご機嫌をうかがったり、媚びへつらう態度や動作」という意味を持つ言葉です。類義語としての共通点は「相手に気に入られることを目的とした行動」であることがポイントです。
しかし「おべっかをする」は使い方として「上司など目上の人に対して行う態度や動作」に限定されます。対して「迎合」は特に対象を限定されていません。
そのため、使う対象が限定されているか、いないのかについて大きな違いがある類義語であることが特徴となります。
顔色をうかがう
「顔色をうかがう」は「相手の機嫌をうかがったり、顔色を見たり、気持ちを推し量ること」を意味する言葉です。類義語としての共通点は、自分以外の「相手の様子」を気にした行動であることがわかります。
ただ「顔色をうかがう」は「相手の様子を知ろうとする動作」を主に中心とした表現となるのが大きな違いと言えます。対して「迎合」は相手の機嫌や顔色、その気持ちが自分にとって良い結果となるように行動することを指す言葉です。
そのため類義語のなかでも細かなニュアンスが異なってくるので注意する必要があると言えるでしょう。
「迎合」の対義語
「迎合」には幾つか似た使い方や意味を持っている言葉がたくさんありますが、同じく対義語もあります。異なる性質を持った対義語への理解を深めることもまた、「迎合」の意味との違いが理解できるので正しい使い方ができるようになります。
対義語の使い方や意味を知ることは語彙力アップにも繋がりますから、積極的にその意味や使い方について知っていきましょう。
批判
「批判」は「良し悪しの区別をはっきり分けて、評価や判定をすること」を意味する言葉です。またそのほかにも、「間違いを指摘したり、否定的な視点で評価や判断すること」といった意味を持ちます。
対義語として「迎合」と違うのは、「相手の意思に関係なく自身の意見を主張すること」が挙げられます。「批判」は相手の反応や評価に関係なく行動しているので、「相手に気に入られようとして行動する」という意味を持つ「迎合」とは大きな違いがあります。
「批判」も「迎合」のどちらかというとマイナス的な表現を用いられる言葉です。しかし「批判」は特に「否定的」な行動をする際に用いられる対義語であることが特徴と言えるでしょう。
反抗
「反抗」は「従わず、歯向かうような言動をとること」を意味する言葉です。対義語として「迎合」と比較してみると「相手の意に沿わない行動や態度」であることがわかります。
また「反抗」は特に「権力や権威」といったものに対して用いることが多いのも特徴です。「迎合」もまたその意味合いやかしこまった文章などに用いられることから使うシーンは似通っています。
しかしどちらかというと「親に反抗している」といった例文があるように、「反抗」の方が使われる機会が多い対義語である点も違いのひとつです。
反骨
「反骨」とは「簡単には相手の意に沿わない、従わない態度や精神のこと」を意味する対義語です。同じ対義語である「反抗」と似た意味合いを持っており、「相手の気持ちに沿って行動しない、気に入られようとするしない」といった点が「迎合」と大きな違いがあります。
また使い方として「反骨」は権威や権力だけでなく、時代の風潮といったあらゆるものに対して用いられる性質を持っています。そして態度や行動だけでなく、精神的なニュアンスにも用いられる対義語です。
そういったことから「反骨」は、「迎合」よりも幅広い使い方ができる言葉であることもまた大きな違いと言えるでしょう。
排斥
「排斥」とは「自分にとって好ましくないものを受け入れなかったり、押しのけたり、退けること」を意味する対義語です。
「反抗」や「反骨」もまた「相手にとって敵対的な態度、行動をとる」点が共通していることから、「相手の意に沿う態度や言動をとること」を意味する「迎合」とは大きな違いがあります。
特に「排斥」は「受け入れなかったり、押しのけたり、退ける」といったより具体的な行動を表現する際に使うことも特徴の対義語であることから、敵対行動などに対して用いられるケースが多く見受けられます。
そのため意味だけでなく、使い方においても大きな違いが見えてくる対義語のひとつと言えるでしょう。
「迎合」と協調の違い
「迎合」と似た意味合いとして使われる言葉として挙げられるものに「協調」があります。そのため、人によっては混同して捉えられてしまいがちですが、実はどちらも性質の異なりますので使う際には注意が必要です。
「迎合」への理解を深めるためにも「協調」の違いをしっかり理解して、適切な場面で使い分けられるようにしていきましょう。
協調の意味はお互い協力しあうこと
「協調」の基本的な意味は「お互い協力しあうこと」になります。またそのほかにも利害や立場などそれぞれ異なる者同士が手をとることを意味する言葉となります。
ここで「迎合」と大きく異なってくるのは、協力する目的です。「迎合」はあくまで「自分のみ」の視点で使われる言葉に対し、「協調」は「両者」にとっての利益を目的として協力する場合に用いられます。
つまり一方的か、そうでないかによって考えることができますので、そういった点を基準に正しい場面で使い方を変えていきましょう。
「迎合」の使い方
「迎合」という言葉は、文章などに組み込む場合、そのあとに続く言葉についても注意していかなければならない言葉となっています。特にかしこまった表現となりますので、「迎合」の特徴をしっかりとらえていきましょう。
~する・~したと動詞と組み合わせて使用
「迎合」は名詞に分類される言葉になりますが、文章などに用いる場合は「~する」「~した」といった動詞と組み合わせて使われるのが一般的です。
理由としては「迎合」は「他人に気に入られようとする態度・行動」といったそのものを指している言葉だからと考えられます。そのため、使用する際はマイナスなニュアンスで用いられるケースが多い表現です。
意味を理解せず、間違った使い方をしてしまうと相手に対して失礼な表現となってしまいますので、「迎合」を使う場合は注意してください。
「迎合」の例文
「迎合」はかしこまった場面で使われる傾向にありますが、その場所や相手によってより細かく使い方に注意していくことも大切です。
もちろん意味や類義語、対義語を知るだけでも十分に理解度が高まりますが、例文を知ることで実際の場面でも臨機応変に対応することができます。紹介する例文を通して、更に「迎合」の意味や使い方についてマスターしていきましょう。
上司に迎合するのがうまい
例文の一つ目は「上司に迎合するのがうまい」です。「迎合」は「相手の意見に合うようにすること」を意味する言葉であることから、「上司に気に入られたいがために気に入られようと相手の意見に合わせるのがうまい」ことを表現している例文となっています。
スタンダードな意味合いとして使用しながら、そういった態度や言動をとっている相手に対して皮肉を込めた褒め言葉になっていることがわかります。
迎合しない生き方をする
例文の二つ目は「迎合しない生き方をする」です。「迎合」の意味から一般的にマイナスな表現として用いられるケースが多くありますが、この例文はそれ以外の表現で使われていることがポイントです。
つまり「他人に媚を売るような生き方はしない」ということを表しており、自身の生き方について説明している例文となります。
他人の意見に迎合する
例文の三つ目は「他人の意見に迎合する」です。「迎合」はその意味から第三者が相手に対して批判する際などに用いられる表現ですが、行動そのものを表現する時にも使用される場合も多い言葉でもあります。
この例文では、「他人の意見に沿うことで相手に気に入られようとしている」ことを説明しているだけでなく、良し悪し関係なく自身の考えや価値観を捻じ曲げて相手の意思に沿おうとしていることが読み取ることができます。
視聴者に迎合するメディアの姿勢
例文の四つ目は「視聴者に迎合するメディアの姿勢」です。「迎合」というのはその意味から文章だけでなく、雑誌などメディア媒介においてキャッチコピーや見出しとして使用されるケースも多くある言葉です。
この例文では、メディアの一部が行っている姿勢をよくないと糾弾しようとしています。権威や権力を対象にも「迎合」は使用することが可能です。
大衆迎合主義の問題点
例文の五つ目は「大衆迎合主義の問題点」です。例文に用いられている「大衆迎合主義」とはポピュリズムとも言われ、「民衆の利益となるように政治は行うべきである」という主義主張のひとつです。
日本では人民主義とも混合されることもありますが、その意味合いは微妙に異なるので注意しましょう。つまりこの場合は「民衆の利益に沿うことは必ずしも良いことばかりではない」ということを批判している例文になります。
「迎合」とは主に例文のような政治的な話題では特に使用頻度の高い言葉であることがわかる例文です。
「迎合」の英語表現
「迎合」を英語表現する場合は、適切な意味を持った単語がありません。そのため、英語で用いる場合は、「迎合」の意味に近い単語を使用することで会話や文章に用いることができます。
「迎合」の意味に近い単語は幾つかありますが、マイナスな意味合いを持っていることから使用する単語によっては、相手を選ばなければいけないものがありますので注意が必要です。
英語表現についても理解を深めることで、グローバルな世界でも「迎合」を活用できるようにしておきましょう。
ゴマをするという意味で表現
「迎合」を英語で表現する場合は、ぴったりな単語が存在しないため、もっとも意味が近いとされている「flatter」や「pander」を使用するのが一般的です。それぞれ英単語としては意味が異なってきますから、活用していくうえで正確に理解しておくようにしましょう。
flatter
「flatter」は「おべっかを使う」や「媚を売る」といった意味を持つ英語になります。「迎合」の意味合いとかなり似ていますが、実は「flatter」の場合はより幅広いニュアンスを持っていることが特徴です。
具体的には「相手を喜ばせようとして発言する」といった表現として用いられることが多く、日本で言うところの「お世辞」に近い英語となっています。
そのため、マイナス的な表現として使用されるより、「今のお世辞でしょ」といったニュアンスを持っている英語となっているのが特徴です。
pander
「pander」の英語としての意味合いは「おもねる」といったものがあります。辞書によって「flatter」は「迎合する」という記載もありますので、「flatter」よりも意味が伝わりやすい単語です。
しかし「pander」はこのほかにも「情事」などマイナス的なニュアンスがかなり強い意味を持つ単語となりますので、注意が必要です。そういったことから「迎合」を英語表現したいのであれば、「flatter」の方が一般的に用いられるケースが多くあります。
使用する相手に注意が必要な意味表現
「迎合」を英語表現する時は一般的に「pander」や「flatter」といった単語を用いられるのが一般的ですが、その他にも似たような意味を持っているものが幾つかあります。
特に仲の良い人同士で使える単語にも「迎合」の意味に近い英単語は幾つかあるのですが、その相手によっては使わない方がよい表現があります。
単語によって使える相手や場所が異なってきますので、正しい使い方ができるようにその違いについてもしっかり理解していきましょう。
suck up
「suck up」は「ごまをする」「へつらう」といった意味を持つ英単語になります。またそのほかにも「吸い上げる」といった意味も持っている単語です。
英語表現するうえで「迎合」に近い意味合いを持っていますが、かなりマイナス表現の強い意味合いになります。そのため、相手を不快にさせる可能性がありますので、英語表現として使用するには避けた方が良いでしょう。
butter up
「butter up」は「人のご機嫌をとろうとする」「おべっかを使う」といった意味があることから、「迎合」の英語表現に適している単語の一つです。特に「人のご機嫌をとろうとする」の表現においては、「迎合」の意味とも非常に似通っていることがわかります。
またこの表現に含まれる「butter」は日本でもポピュラーな食べ物である「バター」を指しています。そのため、「バターに塗る」といった動詞にも用いられる表現です。
「butter up」という表現もかなりマイナスな、相手をけなすような表現を持った単語となります。そのため、英語表現として用いる場合は注意が必要です。
「迎合」は相手に媚びを売る意味の言葉
「迎合」の意味は「相手に媚を売る」といった気に入られようとする行為や言動を意味する言葉になります。かなり固い表現ではありますが、どちらかというとマイナスなニュアンスが含まれていることから、使い方には注意が必要です。
特に英語表現においては意味の近い単語がたくさん存在しますが、相手を深いにさせるものもありますから、用いる際には使い分けがしっかりできるようにしておきましょう。