就職祝い金の相場金額
就職祝い金とは、失業者が失業保険を受給中に就職先が決まった時支払われる手当のことを言います。再就職手当とも呼ばれ、失業者の早期就職を支援するための制度です。支給金額は残りの支給日数を元に算出されます。この記事では就職祝い金の相場金額や、受給する条件や手続きの方法、職種別の申請方法の違いをご紹介します。
就職祝い金の相場は離職する前の会社の月給と再就職が決まった時点での残り支給日数次第で大きく変動します。基本的に残り支給日数が多いほど支給される額の相場が高くなります。
失業保険の給与日数・雇用保険の期間で金額が変わる
就職祝い金で支給される金額の相場は、失業保険の受給を申請する際に受け取る雇用保険受給資格者証によって変わります。また、残りの支給日数によって受給率が変化します。2/3以上の場合は60%、1/3以上2/3未満の場合は50%です。就職先が決まるのが早い程受給できる手当の相場が多くなる仕組みとなっています。
就職祝い金を受給するには残り支給日数が1/3以上あることが条件です。残りの支給日数は再就職が決まった時点での残り日数が適用されるので注意しておきましょう。
就職祝い金の計算方法
受給で出来る就職祝い金の相場金額を算出するための計算方法があります。「給付率」×「基本手当日額」×「支給残日数」=「再就職手当(就職祝い金)」です。支給残日数と基本手当日額は失業保険の申請の際にもらえる雇用保険受給資格者証に記載されています。計算式さえ知っていれば誰でも簡単に支給金額の算出を行うことが出来ます。
雇用保険受給資格者証はハローワークに就職祝い金の申請をする際に提出しなければならないので大切に保管しておきましょう。
就職祝い金の計算の具体例
では実際に例を使って計算してみましょう。例えば、所定給付日数(給付期間)が60日間の失業保険に加入し、基本手当日額が5000円、支給残日数が20日だとします。支給残日数20日は給付期間60日間の1/3以上となりますので給付率は規定により50%となります。なので計算式に出すと5000円×20日×50%=50000円となります。
支給残日数が給付期間の2/3以上なら給付率が60%になりますので支給される就職祝い金の相場が更に上がります。
基本手当とは
基本手当日額とは雇用保険または失業保険で受給することが出来る1日当たりの金額のことです。離職した日の直近6か月に支払われていた毎月の賃金(賞与は除く)の合計を180で割った金額のおよそ50%〜80%が支給されます。尚、賃金が低い程支給される金額の割合が高くなります。年齢が60〜64歳の場合は45%〜80%となります。
所定給付日数とは
所定給付日数とは基本手当が給付される期間のことで、条件によって日数が変化します。雇用保険の被保険者期間が1年未満だった場合は、失業保険の支給は行うことが出来ません。被保険者期間が1年以上10年未満だった場合は90日間、10年以上20年未満は120日、20年以上は150日間となります。
就職祝い金に必要な手続き
就職祝い金を受給するためには、必要な手続きを踏まなければなりません。再就職が決まったらハローワークに行き、再就職手当(就職祝い金)をもらう手続きをします。手続きを行わなかったり、申請期限をすぎるともらえなくなるので再就職が決まればすぐに手続きを行うようにしましょう。
職種別で申請方法が変わることはありませんが例外もあります。ここでは就職祝い金の申請方法とその際の注意点について説明します。
ハローワークへ申請する
就職祝い金の申請はハローワークに行って行います。まずは再就職した会社から採用証明書をもらい、ハローワークに提出します。するとハローワークから「再就職手当支給申請書」または「常用就職手当支給申請書」がもらえるのでそれを再就職した会社に提出します。会社から証明をもらったら雇用保険受給資格者証と一緒にハローワークに提出します。
これで手続きに不備がなければ就職祝い金を受け取ることが出来ます。最後に雇用保険受給資格者証と一緒にハローワークに提出する場合は郵送でも大丈夫です。
職種別に申請方法が分かれてはいない
就職祝い金の申請は職種別に分かれてはいません。職種別で申請方法は分かれていませんが、起業や独立で就職祝い金を申請する場合は申請方法が少しだけ複雑になります。
失業保険や就職祝い金の制度は条件が細かく設定されているので職種別で申請方法があると思われがちですが、起業、独立以外では基本的に申請方法は同じなので職種別の申請方法というのはないので大丈夫です。
しかし、職種別で申請方法が変わらないといっても短期アルバイトや1年に満たない派遣業務の場合は職種別に関わらず就職祝い金受給の対象外となっているのでそもそも申請自体が出来ないので注意しましょう。尚、アルバイトや派遣業務でも条件を満たせば職種別に関わらず再就職手当を受給することが出来ます。
申請時の注意点
就職祝い金の申請を行うときにはいくつか注意しなければならない点があります。まずは同じ会社への再就職の場合は支給されないという点です。または以前勤めていた会社の子会社や資金的、取引的に強い結びつきがある会社の場合も対象外となる場合があります。
もうひとつは申請には期限がある点です。原則として就職した翌日から1か月以内に申請をしなければ受給することが出来なくなります。就職祝い金を申請する際にはハローワークと職場を行き来する手間があるのですぐに終わらない場合もあります。再就職が決まったらすぐに申請を行うようにしましょう。
就職祝い金の対象者の条件
就職祝い金を受給するにはいくつかある条件を満たしている必要があります。再就職が決まれば誰でも受給出来る訳ではないので、自分が条件を満たしているかを確認してから手続きを行うようにしましょう。ここでは就職祝い金を受給するための条件と、対象外になる場合の条件を説明します。
職種別の雇用形態によって就職祝い金の受け取りの可否が分かれます。再就職先の雇用形態にも目を凝らして申請するようにしましょう。
正社員採用の人・条件を満たす派遣社員
失業保険の期間中に正社員として早期に再就職した場合は就職祝い金を受給することが出来ます。また、派遣社員でも1年以上の雇用が見込めると判断された場合受給することが出来ます。派遣社員の場合雇用期間が1年未満で途中で契約が更新されて1年以上となる場合でも受給出来ます。
就職祝い金を一番受け取りやすいのは正社員として雇用された人です。条件も比較的簡単なので受け取れる確率が一番高い雇用形態と言えます。
独立・起業した人
独立、起業した人でも失業保険の待期期間満了後1か月が経過していれば受給することが出来ます。独立や企業の場合は再就職の時よりも手続き方法が少し変わるので注意が必要です。ハローワークに通い失業認定を受け、必要な書類を提出して審査が通れば受給資格を得ることが出来ます。
受給資格を得るまでにだいたい2〜3か月程かかります。独立や企業の場合最初の頃は収入が安定しないことも多いので条件に合っているのであれば受給しておいて損はありません。
しかし退職前から起業の手続きを行っていたり法人設立をしていた場合は就職祝い金の受給の対象外となってしまいます。手続きには手間がかかるので自分が条件に合っているかを予め確認してから申請するようにしましょう。
条件を満たしたアルバイト・パート
失業保険期間中にアルバイトやパートでの採用となった場合でも「雇用保険の加入」「1年以上の勤務見込みがある」のであれば手当をもらうことが出来ます。この場合もらえる手当は再就職手当(就職祝い金)ではなく就業手当となります。1週間に20時間以上の労働時間がある場合は雇用保険に加入することが義務付けられています。
しかし労働時間が20時間以下で雇用保険に加入を許されない場合は条件を満たすことが出来ずに就業手当をもらうことが出来ません。必ず勤務先に確認をとっておいてから申請を行うようにしましょう。
もう1つの条件の「1年以上の勤務見込みがある」についても勤務先で1年以上の勤務見込みがある旨を証明する書類に記入してもらってハローワークに提出する必要があります。
就業手当の相場金額
就業手当は就職祝い金と違い、支給残日数から算出された一括支払いではなく勤務した日の基本手当当日額の30%が支給される形になります。勤務していない日でも失業保険分の基本手当当日額が支給されます。勤務していない日でもしている日でも失業保険の所定給付日数は減っていくのでタイミング次第では就業手当の申請をしない方が良い場合もあります。
「1年以上の勤務見込みがある」の判断基準
派遣業務やアルバイト、パートなので1年以上働くかどうかなんてわからない、と考えてしまうのは当然のことです。派遣社員や契約社員の場合3か月更新という人も多く、このような場合にどう対処したらいいのかわからなくなってしまいます。
この場合、契約に「更新の可能性あり」という条件での雇用であれば就職祝い金の対象となります。ただし、1年以上勤務することが条件で、1年以内に自己都合で退職した場合は失業保険から就職祝い金の相場金額分が差し引きされてしまいます。「更新の可能性なし」という条件の雇用形態なら就職祝い金の対象外となります。
アルバイトの場合で就職祝い金をもらうのは雇用の証明という点で難しくなってしまいます。しかし申請が通ったという事例もたくさんあるので申請しておいて損はありません。
就職祝い金の対象者にならない条件
就職祝い金を受給するにはいくつかの条件がありますが、条件を満たしていても対象外となってしまう場合もあります。ここでは就職祝い金の対象外となる条件について説明します。就職祝い金を受け取るための条件は細かく規定されているので自分が受給出来るかしっかりと確認しておきましょう。
せっかく早期に再就職出来ても受給の対象外となると残りの日数分の基本手当金がなかったことになってしまうのでとてももったいないです。
再就職手当申請後すぐに退職した
再就職手当(就職祝い金)の申請を行った後3か月以内に退職すると手当をもらえなくなります。再就職手当は申請後にすぐもらえる訳ではなく、申請から3か月後にハローワーク側から就職先に勤務状態を確認して初めて支給が決定します。支給が決定しても1年以内に自己都合で退職した場合、支給された分の再就職手当が失業保険から差し引かれてしまいます。
なので再就職手当を支給してもらうには最低1年以上は働く必要があるのです。再就職した先で職場に馴染めず退職をする場合もこの点には注意しておかなければなりません。
関連会社などに就職した
離職前に勤務していた会社の関連会社や、資金面、取引面で近しい関係にある会社に雇用された場合も就職祝い金を受給することが出来ません。理由に関係なく、離職前の事業主に再び雇われることは再就職手当の対象外となる点には注意しましょう。たまたま再就職した先が離職前の会社の関連会社だったというケースは稀ですが予めチェックしましょう。
再就職手当の申請を行う時に提出する書類には不正受給を防ぐための書類も含まれています。再就職先が離職前の会社と繋がりがあるかどうか調査されるので注意しておきましょう。
支給残日数の不足
失業保険の残り支給日数が所定給付日数の1/3以下の場合も再就職手当が支給されなくなります。残りの支給日数は再就職する日の前日までの期間に当たります。なので再就職の内定が決まった時点で残り支給日数が1/3以上なければ受給の対象外となってしまいます。1日でもズレると対象外となってしまうので注意しておきましょう。
転職先を探す際に再就職手当をもらうことを考慮するならば再就職するタイミングも考えておく必要があります。
短期アルバイトでの就労
先ほど説明した通り「雇用保険の加入」「1年以上の勤務見込みがある」の条件を満たさないアルバイト、パート勤務や派遣業務は再就職と見なされず、手当を受けることが出来ません。退職後は収入が減るので短期アルバイトで次まで繋ぐことも多くなります。ハローワークに働いた日を申告すれば失業保険が引き続き受け取ることが出来ます。
就職祝い金はハローワークで受け取れる
就職祝い金は様々な条件をクリアして初めてもらえる手当なので手間がかかりますが前以って内容を理解しておけばもらえる可能性もずっと高くなります。転職活動中にお金に困ってしまわないためにも失業保険と就職祝い金の制度は利用する方がお得です。早期に再スタートを始めるためにも失業保険と就職祝い金について理解を深めておきましょう。
失業保険と就職祝い金は転職する人の就職活動を支援するための制度です。職種別で申請方法や相場の金額を踏まえながらどんどん活用していきましょう。