手に余るの意味とは?
「これは私には手に余る」などという言い方を聞いたことがある人は少なくないでしょう。「手に余る」という言葉は日常生活の中でも時折使われるため、見たり聞いたりしたことがある人は結構多いですが、「手に余る」という言葉の意味をちゃんと知っているという人はそう多くはないでしょう。
「手に余る」という言葉の文字を見れば何となくイメージが湧くため、ニュアンス的に意味がわかっている気になる人も多いですが、実際に「手に余る」の意味とはどういう意味なのかを尋ねられると、即座に「手に余る」という言葉の正しい意味を答えられるという人はかなり少ないはずです。
一般的な日常生活の中でも時々使われることのある「手に余る」という言葉の意味とはどういう意味なのか、「手に余る」という言葉の意味からまずはご紹介しましょう。
量が多いため手で持ちきれないという意味
「手に余る」の意味の一つ目は、量が多いため手で持ちきれないという意味です。この意味は「手に余る」の意味として誰もが思い浮かべることができる意味です。
たくさんのお菓子などをもらってしまった時などに「手に余る」という言い方をすることがありますが、その場合の「手に余る」の意味はこういう意味です。
日本語の標準語では「手に余る」という言葉は少し難しい意味でとらえられる場合が多く、日常生活ではあまり使わないという人もいます。
ですが一部の方言では「手に余る」という言葉を日常的に使っていることもあります。その場合、野菜などを目一杯抱えている人に対して「手に余るほど持っている」などという言い方をします。
自分の能力を超えていて解決できない状態という意味
「手に余る」の意味の二つ目は、自分の能力を超えていて解決できない状態という意味です。仕事などを命じられた場合にはこちらの「自分の能力を超えていて解決できない状態」という意味で「手に余る」という言葉が使われることが多いです。
この「自分の能力を超えていて解決できない状態」という意味は、先にご紹介した「手に余る」の一つ目の意味とは違い、自分の能力というものを手に例えている意味になります。
手イコール自分の能力と例えて、それに対して余るほどの仕事や用事などが与えられてとてもこなせないような場合にこちらの意味で「手に余る」を使います。
どうして良いかわからない状態という意味
「手に余る」の意味の三つ目は、どうして良いかわからない状態という意味です。こちらは二つ目の意味と共通する意味を持っています。自分の能力を超えていて解決できない状態なので、どうして良いかわからなくなってしまったということです。
「手に余る」という言葉は二つ目にご紹介した「自分の能力を超えていて解決できない状態」という意味で良く使われますが、その他にも「量が多いため手で持ちきれない」「どうして良いかわからない」という意味があります。
主に使われるのは「自分の能力を超えていて解決できない状態」という意味だということを覚えておきましょう。
手に余るの対義語・類語
「手に余る」の意味についてご紹介しましたので、次は「手に余る」の対義語と類語についてご紹介します。「手に余る」の意味は「自分の能力を超えていて解決できない状態」という意味ですので、この意味に近い意味を持つ言葉が類語、この意味とは反対の意味を持つ言葉が対義語です。
「手に余る」の主な意味は「自分の能力を超えていて解決できない状態」という少し複雑な意味ですので、類語や対義語に当たる言葉を探すのは難しそうですが、実はそうでもありません。「手に余る」の対義語と類語についてご紹介しましょう。
手に余るの対義語の意味
「手に余る」の対義語と類語をご紹介しますが、まずは「手に余る」の対義語についてご紹介します。「手に余る」の意味は「自分の能力を超えていて解決できない状態」という意味ですので、それとは反対の意味を持つ言葉が「手に余る」の対義語になりますが、そう難しく考える必要はありません。
「自分の能力を超えていて解決できない状態」というととても難しそうな意味になりますが、簡単に言えば「難しくてできない」というような意味になります。なので「手に余る」の対義語は「簡単にできる」といった意味の言葉になります。それでは「手に余る」の対義語をご紹介しましょう。
取るに足らない
「手に余る」の対義語の一つ目は、「取るに足らない」です。「取るに足らない」の意味は「わざわざ取り上げるにも値しない」「着目したり気にしたりするほどではない」といった意味で、とても能力の高い人が能力の高さを求められないような仕事などに対して使うことが多い言葉です。
「取るに足らない」という言葉は「こんな仕事は私にとっては取るに足らない仕事だ」などという言い方に使われ、その仕事が大したことがないということを表します。
このように「取るに足らない」は「手に余る」とは正反対の意味を持っていると言えますので、「取るに足らない」は「手に余る」の対義語だと言えます。
役不足
「手に余る」の対義語の二つ目は、「役不足」です。「役不足」の意味は「役目が実力とは不相応に軽いこと」という意味で、与えられている役目に対して実力は有り余るほどだといった場合に使われます。
人望も厚く仕事の実力もあって係長クラス程度ではないのに係長にとどまっている人などに対して「役不足」という言葉が使われます。
「役不足」という言葉は「あの人は係長程度でおさまるような器ではないのに係長どまりなんて役不足だ」などという言い方をして、与えられた役職に対して実力がはるかに上回っているといった場合に使われます。そういった意味で「役不足」は「手に余る」の対義語であると言えます。
手に余るの類語の意味
「手に余る」の対義語についてご紹介しましたので、次は「手に余る」の類語についてご紹介します。「手に余る」の意味は「自分の能力を超えていて解決できない状態」という意味ですので、この「手に余る」の意味に似た意味を持つ言葉が「手に余る」の類語ということになります。
「手に余る」の意味「自分の能力を超えていて解決できない状態」という意味に近い意味を持つ言葉はちょっと難しいので類語がなさそうですが、「手に余る」の類語もちゃんと存在しています。
「手に余る」の類語にはいったいどういう言葉があるのか、「手に余る」の類語についてご紹介しましょう。
手に負えない
「手に余る」の類語の一つ目は、「手に負えない」です。「手に負えない」の意味は「自分の力では扱いきれない、困難な状態」、「手に余る」の意味は「自分の能力を超えていて解決できない状態」のため極めて近いと言えます。そのため「手に負えない」は「手に余る」の類語だと言えます。
力不足
「手に余る」の類語の二つ目は、「力不足」です。「力不足」の意味は「自分の力が足りていないため与えられた仕事などがこなせない」という意味なので、「手に余る」に極めて近い意味を持つと言えます。そのため、「力不足」という言葉も「手に余る」の類語であると言えます。
手に余るの使い方・例文
「手に余る」という言葉の対義語と類語についてご紹介しましたので、次は「手に余る」の使い方と例文についてご紹介します。「手に余る」の意味は「自分の能力を超えていて解決できない状態」という意味ですので、そういった状態になったという場面で「手に余る」という言葉を使うことができます。
「手に余る」という言葉の意味さえきちんと把握していれば、「手に余る」という言葉を正しい使い方で使うことができるということです。それでは、「手に余る」という言葉の使い方とはどのような使い方なのか、「手に余る」の使い方と例文についてご紹介しましょう。
例文①
「手に余る」の使い方と例文の一つ目は、「この案件は私の経歴から考えると手に余る仕事だ」という例文です。仕事をするうえで大切なことの中には経験や経歴などもあります。
なので、そういった点から「これは自分にはとても無理だ」と判断できるような場合に、このような「手に余る」の使い方ができるということです。
例文②
「手に余る」の使い方と例文の二つ目は、「あの二人のけんかの仲裁をするなんて、私には手に余ることです」という例文です。
「あの二人」というのはこの人から見ると扱いにくい相手だったり目上の相手だったりするということで、そのような人達のけんかの仲裁などとてもできないと言う場合の「手に余る」の使い方です。
例文③
「手に余る」の使い方と例文の三つ目は、「こんなにたくさんの仕事をいっぺんにするなんて、私には手に余る」という例文です。
この場合は「量が多いため手で持ちきれない」という意味も含んだ「手に余る」の使い方の例文で、「手に余る」は主に使われる「自分の能力を超えていて解決できない状態」という意味以外でも使えるということです。
例文④
「手に余る」の使い方と例文の四つ目は、「最近の子供はませているので、大人の手に余る」という例文です。
この例文では「手に余る」の三つ目の意味「どうして良いかわからない」という意味で「手に余る」が使われています。このように「手に余る」は、その場面や状況などによって色々な意味での使い方ができるということです。
手に余ると身に余るの違い
「手に余る」の使い方と例文についてご紹介しましたので、次は「手に余る」と「身に余る」の違いについてご紹介します。「手に余る」と似た言葉に「身に余る」ということばがありますが、実はこの二つの言葉は全く違う意味を持ちます。
「手に余る」という言葉と「身に余る」という言葉にはどのような違いがあるのかについてご紹介しましょう。
身に余るは処遇や待遇が身分に対して良すぎることという意味
「手に余る」の意味は「自分の能力を超えていて解決できない状態」という意味ですが、「身に余る」の意味は「処遇や待遇が身分に対して良すぎること」という意味で、言葉は似ていても全く違います。
時代劇などで「身に余る光栄」などという使い方がされるように、「身に余る」は身分に対して待遇が良すぎる場合などに使われます。
手に余るを使う際の注意点
「手に余る」の意味などについてご紹介してきましたが、次は「手に余る」を使う際の注意点についてご紹介します。「手に余る」の意味は「自分の能力を超えていて解決できない状態」という意味ですので、その意味に留意すれば「手に余る」という言葉を使う上で何も注意すべき点はありません。
ですが、何となくニュアンスで「手に余る」の意味を理解した気分になっている場合には、「手に余る」という言葉を使う際に注意が必要です。それでは、「手に余る」を使う際の注意点についてご紹介しましょう。
自分で何とかできる状況では使えない
「手に余る」を使う際の注意点として、自分で何とかできる状況では使えないということが挙げられます。「手に余る」という言葉は、自分の力では何ともできないような状況にしか使えません。
それなのに簡単に「手に余る」などと言ってしまうと上司などから「そんなに仕事ができないのか」と思われてしまいかねません。
「手に余る」は本当に自分ではどうにもならないような状況に陥った場合にのみ使わなければ、仕事場などで「あの人こんな仕事もできないんだって」などと誤解されてしまいますので、「手に余る」という言葉を使う際には注意が必要です。
手に余るの語源
「手に余る」を使う際の注意点についてご紹介しましたので、次に「手に余る」の語源についてご紹介します。「手に余る」の一つ目の意味は「量が多いため手で持ちきれない」という意味ですが、実はこの意味の中に「手に余る」の語源が含まれていると言えます。
「手に余る」の語源とはいったいどのようなことなのか、「手に余る」の語源についてご紹介しましょう。
手の平からあふれて零れ落ちる
「手に余る」の語源とは何かというと、「手の平からあふれて零れ落ちる」というのが語源と言われています。「量が多いため手で持ちきれない」という「手に余る」の意味に語源が含まれていると言ったのはこのためです。「手に余る」の一つ目の意味はその語源からストレートに来ています。
この「手の平からあふれて零れ落ちる」という語源には、ちょっと深い意味があります。人の手の平というのは人それぞれ大きさが違います。大きな手の平の人に持ちきれるものでも小さな手の平の人には持ちきれません。
この「手の平」を「能力」と結びつけたことが、「手に余る」の語源であり、意味にもつながっています。
手に余るは自分の能力を超えていて解決できない状態という意味
「手に余る」という言葉の意味や対義語や類語、使い方と例文や語源などについて色々とご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。
「手に余る」が主に使われるのは「自分の能力を超えていて解決できない状態」という意味で、似た言葉「身に余る」は全く意味が違いますので、間違えて使ったりしないよう注意しましょう。