メスティンは使用前のシーズニングが重要!
アウトドア料理にグッと幅が出る、今大注目のメスティン 。国分太一さんと栗原心平さんの料理番組「男子ごはん」でも取り上げられるほど話題のおしゃれアイテム。メスティンは元々は飯盒ですが、ご飯を炊くだけでなく、炒める、煮る、揚げる、何でもこなせる便利グッズでもあります。
メスティンさえあれば、炊き込みご飯やピラフはもちろん、アヒージョや煮込み料理など、見栄えがいいアウトドア料理を簡単に、おしゃれに作ることが出来ます。そんなメスティンについて紹介します。
シーズニングとは?
メスティンは、スキレットやダッチオーブンなどと同じように、使う前に簡単な準備が必要。その一つがシーズニングと呼ばれる簡単な前処理です。シーズニングとは「慣らし」のことですが、難しいことはありません。メスティンのシーズニングについて早速見ていきましょう。
メスティンをシーズニングする理由
シーズニングという言葉は、ひょっとするとあまり馴染みのない言葉かも知れません。スキレットなどを使ったことがある人はピンとくるかも知れませんが、シーズニングとはあらかじめ表面を保護する作業のことです。
メスティンの表面にごく薄い皮膜を作ることで、長く快適に使うことができるため、メスティンを使う前には必ず行うようにして下さい。
目に見えない膜を作る!
メスティンは、よく見かけるアルミ鍋のようにアルマイト加工されておらず、アルミそのものの表面が剥き出しの状態になります。そこで、メスティンを使う前にはシーズニングを行うことで目に見えないほど薄い膜を形成してあげる必要があるのです。
アルマイト加工ほどしっかりとしたガードではないですが、この薄い膜がメスティンの表面を守ってくれるのです。
シーズニングしないとどうなる?
シーズニングでこの膜を作ってあげないと、メスティンを使う上で焦げ付きやこびりつきが発生します。焦げ付きやこびりつきはスポンジではきれいにならないので、金だわしなどでゴシゴシと擦らないと取れません。
すると、擦った部分はアルミが剥き出しになり、また焦げ付きの原因になり、悪循環に陥ってしまいます。そこで、使う前にシーズニングが重要になってくるのです。
メスティンは使用前に必ずバリ取り!
また、メスティンはアウトドア用品にありがちな無骨な道具です。そこがメスティンの良さでもあるのですが、使う際に少し気を付けたい点が「バリ」の存在です。
買ってきたばかりのメスティンにはエッジ部分にバリが残っていることがあります。このバリ取りも重要なメスティンのお手入れになります。
バリ取りの必要性
バリとは、加工時にエッジ部分に残るささくれのようなものです。これは非常に鋭利なため、メスティンから直接食べる時に口を付ければ唇が切れるかも知れませんし、メスティンを洗う時に指を切るかも知れません。
アルミは柔らかい金属なので、軽く磨いてやるだけで簡単にバリを取り除くことができます。以下では簡単なメスティンのバリ取りのやり方を説明していきます。
バリ取りのやり方
メスティンのバリ取りのやり方は比較的簡単です。理由はメスティンの材質がアルミであること。紙やすりで軽く擦るだけでメスティンのエッジを滑らかにすることが出来ます。
この時、比較的粗めの紙やすりでエッジ部分だけを擦り、次第に細かいやすりに変えていきましょう。指先で軽く触れて引っ掛かりが感じられないようになるまで、優しくみがく感じで行えばメスティンのバリ取りは完了です。
一つバリ取りのコツを挙げるとすると、粗めの紙やすりでは特にメスティンのエッジに垂直に擦るようにすること。壁面に傷がつかないように気を付けてください。
細かい紙やすりでは、少しだけエッジを跨ぐように、断面がかまぼこ型になるようなイメージで擦ってあげると、メスティンの壁面に傷がつかずきれいに仕上がります。
メスティンの簡単なシーズニングのやり方
次にシーズニングのやり方を説明します。要は無害な有機物の膜を作ってあげれば良いです。昔から、土鍋でも使い始めにはかゆを煮たりして目止めをしたものですが、同じような理由です。
無害な有機物としては、デンプンが挙げられます。メスティンのアルミの表面の細かい凹凸をデンプン質で埋めていくのがシーズニングです。ただ、土鍋ほど濃いでんぷん質で覆う必要はなく、ごく薄いデンプン質でメスティンをコートしてやるのが理想になります。
米の汁を使うのは合理的!
ごく薄いデンプン質のコートに最も理想的なのが、米の研ぎ汁なのです。では、米の研ぎ汁でメスティンのシーズニングを行うやり方を説明していきます。
まず、メスティンがすっぽり入るお鍋を用意します。お鍋に米の研ぎ汁を入れ、メスティンをどっぷり漬けます。その状態で沸騰させ、しばらく煮てください。30分程度煮れば完璧ですが、もう少し短くても大丈夫。
取り出して洗剤を付けずに柔らかいスポンジで軽く洗ってからよく乾かしてください。これでシーズニングの完成です。
シーズニング後のお手入れ方法とは?
シーズニングは最初の一回だけでOKです。理由は、使用するたびにどんどん皮膜が作られていくから。きちんと使っていればこびりつくことはなく、シーズニングで作った皮膜がどんどんと育っていくことでしょう。
そうなるまでは、次に示すように使用後の洗い方に気を付けて使うようにしてください。洗い方を間違えると、またシーズニングからやり直しになりますから、次に示す洗い方をきちんと守るようにしましょう。
シーズニング後の洗い方
シーズニング後は、とにかくせっかくシーズニングで作った皮膜をはがさないこと!シーズニングの皮膜は非常に薄くてデリケートなので、優しく洗うことです。具体的には、洗剤をなるべく使わないこと、硬い物で擦らないこと。
金属たわしはもってのほかです。絶対に使用しないでください。柔らかめのスポンジで優しく洗うように心がけましょう。シーズニングで作った皮膜を上手に育てるイメージで。
普段のお手入れ
シーズニングで作った皮膜は使えば使うほど育っていきます。それでもアルマイト加工のような強靭な膜でないので、普段のお手入れも同じ。金属たわしは使わない、なるべく洗剤も使わない、柔らかいスポンジで優しく洗う。これだけです。
また、シーズニングの皮膜を育てるという意味では、アウトドアだけでなく普段使いでどんどん使うことも大事。ただし、強火でガンガン熱して焦がしてしまうような使い方は避けましょう。アウトドアでカッコいい料理を作る練習の意味でも、普段から調理に取り入れていくのがベストです。
メスティンのシーズニング時の注意点
シーズニングは有機物の膜をつけることが重要でした。この点から、野菜クズを煮てもシーズニングになりますし、コーラを煮るという方法を試している人もいます。
ただ、これらのシーズニング方法はあまりお勧めできません。多くの人が実践して成功している米の研ぎ汁によるシーズニングがベストですし、最も簡単です。特に理由がなければ、米の研ぎ汁を使ってシーズニングしましょう。
また、煮た後でぬめりを残したままで乾燥させるのもよくありません。シーズニング後はぬめりを感じない程度までよく洗って、きちんと乾燥させましょう。表面の細かい凹凸にはきちんと皮膜がついているのでシーズニングには問題ありません。
重曹の使用は避ける
例えば焦げ付かせてしまったとき、よく使うのは重曹。ただ、メスティンの素材はアルミなので、アルミは重曹で侵されてしまいます。
アルミが重曹と反応して水酸化アルミニウムという物質が形成されるため、重曹で洗うとメスティンの内面が白く粉を噴いたようになってしまいます。
これはメスティンを水洗いをしても取れません。せっかくのピカピカのメスティンを台無しにしないように、重曹は絶対に使用しないでください。
持ち手のゴム部分は浸さない
シーズニングをする際に、メスティンを米の研ぎ汁にどっぷり漬けると書きましたが、その時にゴムの持ち手は漬けないようにしましょう。
理由はゴム部分が熱に強くないから。持ち手を外してからシーズニングを行うようにしましょう。持ち手部分はシーズニングする必要はありません。また、洗剤で洗っても大丈夫です。別に洗って乾かしてから取りつけましょう。
持ち手が取れないメスティンの場合には、シーズニング時に持ち手部分に熱がかからないようにしましょう。
シーズニング後は洗剤NG
シーズニング後の皮膜を育てていくためには、洗剤は使わないのが鉄則。シーズニングによる皮膜はデンプンなどの有機質なので、洗剤で取れやすく、せっかくシーズニングしても台無しになってしまうからです。
大抵の汚れはお湯とスポンジで取ることができます。油でギトギトになるような使い方はするべきではありませんが、そんな時は柔らかいティッシュなどで優しく拭き取ってからお湯で洗ってみてください。
失敗した場合はお酢を使う
汚れがどうしても取れない場合には、お酢を使ってみることをお勧めします。お酢は酢酸という弱い酸を薄めた物ですが、アルミは弱い酸でも微少量溶けます。要は、表面を薄く溶かして汚れを落とすイメージです。
頑固な汚れに悩まされたら、お酢を使ってスポンジで擦ってみてください。その後、またシーズニングをしてあげてください。
メスティンのシーズニングは美味しく炊く為に重要!
メスティンのお手入れやシーズニングについて紹介してきました。メスティン は様々な調理に大活躍しますが、基本的にはお米を炊く道具です。いきなりお米を炊いてしまうと、焦げ付きの原因になったり、ご飯に金属臭が付いたりしてせっかくの美味しい料理が台無しになってしまうことがあります。
そんな失敗をしないためにも、ちょっとした一手間でできるシーズニングで、ご飯、ピラフ、パエリアなどをメスティンで作って、アウトドア料理をカッコよく、美味しく仕上げましょう。