倫理観の意味とは?
昨今、「倫理観」という言葉をニュースなどでよく見かけるようになりました。「倫理観が問われる」、「倫理観がない」というように使われています。
では、その多く使われるようになった「倫理観」とはどういう意味なのでしょうか?難しいような、何か哲学的なものかと思われる人も多いでしょう。しかし、私たちにとって、とても身近なものなのです。ここで意味を確認しましょう。
倫理観の意味
「倫理観」は、「倫理」と「観」の2語から成り立っています。別々に考えるとわかりやすいです。まず「倫理」とは、「倫(人の輪や仲間)」と「理(模様やことわり)」、これが合わさり、「仲間の間での守るべき秩序やこと」という意味になります。
わかりやすく言うと、「社会生活を送る上での一般的な決まりごと、守るべきこと」ということになります。決まりごとや守るべきことには、法律や条例などの公的なものも入ります。では「観」はどういう意味でしょうか?
この「観」はよく、「人生観」や「価値観」という使い方をされます。意味は「ものの捉え方、見方、考え方」です。これらを組み合わせると「倫理観」は、「社会生活を送る上で守るべきことについての考え方」という意味になります。
倫理観の語源
「社会生活を送る上で守るべきことについての考え方」という意味を持つ「倫理観」。これはどこから来た言葉なのでしょうか?
語源はギリシア語の「ethos」です。「ethos」は「社会や民族特有の慣習」という意味です。そしてこのギリシア語の「ethos」を英語で訳した言葉が「ethics」であり、意味も転じて「社会の中で守られるべき基準」となりました。
そしてその「ethics」を日本語に訳すと、「倫理」となるのです。「倫理」とはギリシア語から来た言葉だったのです。
英語での表現の仕方
「倫理」の語源が英語、ギリシア語であることがわかりました。その語源となった英語では、「倫理観」はどう表現されるのでしょうか?
いくつか表現の仕方はありますが、代表的なもので「ethics view」と「a sense of ethics」があります。「view」は「考え、見方」という意味で、「a sense of~」は「認識、感覚」という意味です。
ちなみに「ethics」の形容詞で「ethical」がありますがあまり使われないので、英語で表現する際は気をつけましょう。
倫理観の使い方は?例文までを紹介
倫理観の意味が「社会生活を送る上で守るべきことについての考え方」ということがわかりました。こうして改めて意味を確認すると、想像していたよりも意味はわかりやすかったのではないでしょうか?
では意味がわかったところで、「倫理観」という言葉の使い方を今度は見ていきましょう!よく使われる使い方で、例文を交えながら意味を確認しましょう。例文は5つ挙げます。使い方を理解し、自身でも「倫理観」という言葉を使えるようにしましょう。
使い方と例文①倫理観の欠如
最初は「倫理観の欠如」です。ニュースで事件を報道した際に、「倫理観の欠如が原因だと思われ」などと使われます。「欠如」は「足りない、欠けている」という意味です。
つまり、「倫理観の欠如」とは、「(社会全体や集団などの)規則を守ろうとする意識が希薄」という意味になります。
例文は次の通りです。「昨今はSNS上の倫理観の欠如が甚だしい」。SNS上では顔が見えないため、相手との距離感を失い、マナーが悪くなりがちな人が多いです。
SNS上とはいえ、人と関わっていることには変わりありません。倫理観を持ってSNS上でもマナーを守り、倫理観のある人でいましょう。
使い方と例文②倫理観を持つ
次に「倫理観を持つ」です。意味は「社会生活を送る上で守るべきことを守ろうとする気持ちがある」となります。
社会的に(または集団の中で)正しいとされていることを貫き、行動していれば、それは倫理観を持っていることになります。
例文は次の通りです。「率先してごみを拾う彼は、高い倫理観を持っている」。いわゆる良い行いを率先して行うことは、社会的に正しいとされていることを把握して、行動に移しているので、倫理観を持っていることになります。
使い方と例文③倫理観がない
次に「倫理観がない」です。「倫理観の欠如」と同じ意味です。倫理観がないと、人間関係を良好には築けません。良くない態度や行動に対し、使われることが多いフレーズの1つです。
例文は次の通りです。「倫理観がない人とは、一緒に仕事をしたくない」。仕事上では特に倫理観が問われます。自分のことだけを考えていると、相手ありきの仕事ではうまく事が進まないでしょう。
使い方と例文④倫理観が問われる
次に「倫理観が問われる」です。意味は「社会や集団の中で、正しいとされる行いについてしっかり理解しているかどうか」です。
例文は次の通りです。「不正が発覚したA社の倫理観が問われる」。間違ったことをしたことに対して、隠さずしっかりと公表、謝罪することが世間的には正しいとされています。不正を隠し続けた場合、それは倫理観がないことになります。
使い方と例文⑤倫理綱領(りんりこうりょう)
最後は「倫理綱領」です。「倫理綱領」は、「専門職の団体(医療やマスコミなど)が社会的責任を果たすことや、職業倫理(その職業に求められる倫理)を守ることをまとめた文書のことです。
どの職業に就いても、やっていいこと、やってはいけないことがあります。それを認識するためにも、この「倫理綱領」は必要なのです。
例文は次の通りです。「看護職である私たちは専門職として、自らの行動を律するために看護者の倫理綱領を定めています」。仕事をするには、自分を律し、仕事に取り組むことが要求されます。
倫理綱領の存在意義を改めて確認し、しっかりとした倫理観を持って仕事に取り組んでいきましょう。
倫理観の意味と道徳観との違い
「倫理観」の意味と使い方を確認してきました。「倫理観」は、「社会生活を送る上で守るべきことについての考え方」という意味でした。では、ここで「倫理観」と似ている意味を持つ「道徳観」との違いを見ていきましょう。
道徳観の意味
「道徳観」も「倫理観」と同じでは?と思う方もいるでしょうが、違いがしっかりあります。「道徳観」とは、「個人の価値観(理想)によって、善悪の判断をする考え方(捉え方)」という意味です。つまり違いとしては、「倫理観」は社会、「道徳観」は個人にそれぞれ則しているのです。
道徳観の意味は“理想”に近い考え方が中心
「道徳観」は個人に則すということですが、どういうことでしょうか?例えば、Bさんが何かを決めることとなった時。
社会的な規範に則していれば「倫理観」、Bさん自身の今までの経験や、受けてきた教育で身につけた正しさなどに則していれば、それは「道徳観」となるのです。
自身の今までを判断材料にする、つまり自分の理想とするものを基準に物事を考える、それが「道徳観」なのです。
倫理観が欠如している人の特徴
同じように見える「倫理観」と「道徳観」ですが、現実と理想、どちらを判断基準にしているかの違いがありました。意味や違いを理解し、正しい使い方で2つの言葉を使い分けていきましょう!
では、最後に社会的規範を考えずに過ごす、「倫理観が欠如している人」の特徴についてご紹介しましょう。
良い人間関係を築くには欠かせない「倫理観」。これが欠如している人は周りの人と上手くいっていない可能性が非常に高いです。そんな人たちの特徴を3つ挙げます。
特徴①平気でウソをつく
ウソをつくことはいけないことだと、小さな頃から教えられてきました。しかしそれを平気で破る人、つまり社会上のルールを破る人が、倫理観が欠如している人なのです。当人はウソをつくことがやってはいけないことだと理解していないため、ウソを重ねます。
特徴②欲をコントロールできない
欲と闘うことは誰にだってあります。ダイエット中なのに食べたくなるスイーツといった、食欲との闘いなど様々です。
しかし、倫理観が欠如している人はそういった可愛らしい欲ではなく、犯罪や不倫といった社会的に許されないことに関する欲に負けてしまう人なのです。
特徴③自己中心的
社会の中で生きるためには、周りと協力して生きていくことが大切です。しかし、倫理観が欠如している人は周りの人と協力するどころか、蹴落とし自分の幸福を追求します。自分勝手な人は正しく、倫理観が欠如している人です。
「倫理観」は現実的なルールに基づく考え方
あやふやだった「倫理観」の意味がこれではっきりしました!社会の中で生きていく上では、現実的なルールに基づき、倫理観のある人間でいたいものです。今一度、自分を振り返り、倫理観ある行動が出来ているか見直してみてください。