「忍びない」の意味とは
「忍びない」という言葉がありますが、「忍びない」という言葉の意味を間違って使っている人も少なくありません。「忍びない」を「申し訳ない」という意味だと勘違いしている人は意外に多いです。
「忍びない」を「申し訳ない」の言い換えに使うことができますので、「忍びない」の意味を「申し訳ない」だと勘違いしている人が多いと言えます。
間違った意味で覚えられていることが意外に多い「忍びない」の正しい意味とはいったいどういう意味なのか、「忍びない」の意味についてご紹介しましょう。
意味①耐えられない
「忍びない」の意味の一つ目は、「耐えられない」という意味です。「忍びない」の「忍ぶ」の意味は「我慢する」「こらえる」「耐える」という意味ですので、これに「ない」がつくことで否定になります。
そのため「忍びない」の意味は「耐えられない」という意味になりますが、この「耐えられない」という意味は精神的に耐えられないという意味になります。
「忍びない」の意味とは、悲しみや怒りや心苦しさなどの色々な感情で「耐えられない」という意味だということです。
意味➁我慢できない
「忍びない」の意味の二つ目は、「我慢できない」という意味です。「忍びない」の一つ目の意味「耐えられない」の所でもご紹介しましたが、「忍ぶ」の意味は「我慢する」「こらえる」「耐える」です。
それらに「ない」がついて否定形になっているので、「忍びない」の二つ目の意味は「我慢できない」になります。「忍ぶ」の意味には他に「こらえる」もありますので、「こらえられない」も「忍ぶ」の意味になります。
「耐えられない」「我慢できない」という意味なら「忍べない」になりそうですが、昔から「忍びない」と言われてきましたので、現代でも「忍びない」と言われています。
「忍びない」の類語
「忍びない」の意味とはどういう意味なのかについてご紹介しましたので、次は「忍びない」の類語とはどういう言葉なのかについてご紹介します。
先にご紹介したように「忍びない」の意味とは「耐えられない」「我慢できない」という意味ですので、これらの意味と同じような意味を持つ言葉が「忍びない」の類語になります。
「忍びない」という言葉の類語とはいったいどういう言葉なのか、「忍びない」の類語についてご紹介しましょう。
耐え難い
「忍びない」の類語の一つ目は、「耐え難い」です。「耐え難い」の意味は「耐えることができない」という意味ですので、「耐えられない」という意味を持つ「忍びない」と同じ意味を持つ類語だと言えます。
「耐え難い」は意味的には「忍びない」と同じなのですが、「忍びない」と同じように使うことはできません。
「忍びない」は「申し訳ない」の代わりに使うことができますが、「耐え難い」を「申し訳ない」の代わりに使うことができません。
なので「耐え難い」は「忍びない」と同じ意味を持っていても、使い方は違う言葉だということになります。
つらい
「忍びない」の類語の二つ目は、「つらい」です。「つらい」の意味は「耐え難い」「苦しい」という意味で、「忍びない」と似た意味を持っていますので、「つらい」も「忍びない」の類語になります。
「つらい」も「忍びない」の類語ではありますが、こちらも「忍びない」のように「申し訳ない」の代わりに使うことはできません。
「忍びない」の類語は意味的には同じであっても、「忍びない」と同じような使い方はできない場合があると言えます。
やりきれない
「忍びない」の類語の三つ目は、「やりきれない」です。「やりきれない」の意味は「耐えられない」「我慢できない」という意味ですので、「忍びない」と全く同じ意味を持っていると言えます。
ですがやはり「やりきれない」も「忍びない」と同じような「申し訳ない」の代わりに使うという使い方はできません。
全く同じ意味を持つ類語であっても言い換えができないというのは、「忍びない」という言葉の大きな特徴とも言えます。
目も当てられない
「忍びない」の類語の四つ目は、「目も当てられない」です。「目も当てられない」の意味は「あまりにひどくて見るにたえない」という意味ですので、意味的には「忍びない」とは少し違います。
ですが「見るにたえない」という部分が「忍びない」の意味「耐えられない」「我慢できない」に似ているため、「目も当てられない」という言葉も「忍びない」の類語になります。
「目も当てられない」も他の「忍びない」の類語同様、「申し訳ない」の代わりに使うという使い方はできません。
たまらない
「忍びない」の類語の五つ目は、「たまらない」です。「たまらない」の意味は「耐えられない」「我慢できない」「こらえきれない」といった意味ですので、「忍びない」と全く同じ意味になります。
「たまらない」は「やりきれない」と同じように、「忍びない」と同じ意味を持っているので「忍びない」の類語だと言えます。
「たまらない」は意味的には「忍びない」と全く同じですが、やはり他の「忍びない」の類語同様「申し訳ない」の代わりに使うことはできません。
胸が苦しい
「忍びない」の類語の六つ目は、「胸が苦しい」です。「胸が苦しい」の意味は「胸が押さえられているような感じがして息苦しい」という意味ですので、「忍びない」とは意味が違いますが、これも「忍びない」の類語になります。
なぜ「胸が苦しい」が「忍びない」の類語なのかというと、それは心情的な苦しさという点からです。「胸が苦しい」はニュアンス的に「耐えられない」といった意味を含んでいます。
そのため一見全く違う言葉のように見える「胸が苦しい」も、ニュアンス的には「忍びない」の類語だと言えるということです。
耳を覆う
「忍びない」の類語の七つ目は、「耳を覆う」です。「耳を覆う」の意味は「聞かないようにすること」という意味ですので、意味的には「忍びない」とは全く違いますので、一見すると「忍びない」の類語には見えません。
ですが「耳を覆う」という言葉には「聞くにたえない」というニュアンスが含まれていますので、そういった意味で「耳を覆う」も「忍びない」の類語になります。
「耳を覆う」という言葉も「忍びない」の類語ではありますが、やはり「申し訳ない」の代わりに使うことはできません。
不憫
「忍びない」の類語の八つ目は、「不憫」です。「不憫」の意味は「あわれなこと」「かわいそうなこと」という意味ですので、「忍びない」とは意味が違いますが、こちらも「忍びない」の類語になります。
「不憫」の意味は「あわれなこと」「かわいそうなこと」という意味ですが、「かわいそうで見るにたえない」といったニュアンスが含まれます。
そういったニュアンスが含まれているため、全く意味が違うようでも「不憫」も「忍びない」の類語だと言うことができます。
「忍びない」の使い方
「忍びない」の類語とはどういう言葉なのかについてご紹介しましたので、次は「忍びない」の使い方についてご紹介します。「忍びない」の使い方は難しそうですが、実は意外に簡単です。
「忍びない」という言葉は普段の日常生活の中ではあまり使われないようですが、ビジネスシーンなどにおいて使われることは結構多いです。
「忍びない」の使い方とはいったいどういう使い方なのか、「忍びない」の使い方についてご紹介しましょう。
自分の行動に対して使う場合
「忍びない」の使い方の一つ目は、自分の行動に対して使う場合です。「忍びない」の意味は「耐えられない」「我慢できない」ですので、基本的には自分の行動に対して使うことが多いと言えます。
誰かが聞くに堪えないようなことを言っている場合に「彼の言葉は聞くに忍びない」といった言い方をすることができますが、これは自分の行動に対しての「忍びない」の使い方になります。
また、誰かが見るに堪えないようなことをしている場合には「彼女の行動は見るに忍びない」といった言い方ができます。こちらもやはり、自分の行動に対しての「忍びない」の使い方になります。
相手に対して使う場合
「忍びない」の使い方の二つ目は、相手に対して使う場合の使い方です。「忍びない」を相手に対して使う場合の使い方として、「申し訳ない」の代わりに使うという使い方が挙げられます。
「忍びない」を「申し訳ない」の代わりに使う場合には、「大変忍びないのですが、お願いできないでしょうか」というように、敬語表現とセットで使うことになります。
他にも「ご足労願うのは大変忍びないですので、こちらから伺います」というような使い方ができますが、こちらもやはり敬語表現とセットで使っています。
「忍びない」を「申し訳ない」の代わりに使う場合は、敬語表現とセットで使うということになりますので、覚えておきましょう。
謝罪の「申し訳ない」という意味とは違う
「忍びない」の使い方の三つ目は、謝罪の「申し訳ない」という意味とは違うということです。「忍びない」という言葉は「申し訳ない」という言葉の代わりに使うことができますが、意味的には違います。
「申し訳ない」という言葉には謝罪的な意味がありますが、「忍びない」には謝罪的な意味はありません。
「忍びない」を「申し訳ない」の代わりに使う時には、謝罪ではなく「心苦しい」といったニュアンスで使います。
「忍びない」には「耐えられない」「我慢できない」といった意味がありますので、「相手に何かしてもらうのが心苦しくて我慢できない」といった、日本人特有の遠慮する気持ちが含まれていると言えます。
「忍びない」の敬語表現
「忍びない」の使い方についてご紹介しましたので、次は「忍びない」の敬語表現についてご紹介します。「忍びない」を相手に対して使う場合には、敬語表現とセットだということを先にご紹介しました。
「忍びない」をビジネスシーンなどで使う場合には、必ず敬語表現とセットにして使いますが、それにはちゃんとした理由があります。それは「忍びない」が含んでいる「心苦しい」というニュアンスのためです。
「忍びない」の敬語表現をビジネスシーンで使う場合には言い方に注意が必要ですので、ビジネスシーンでの「忍びない」の敬語表現の使い方についてご紹介しましょう。
ビジネスシーンでは言い方に注意
「忍びない」をビジネスシーンで使う場合には、その言い方に注意が必要です。ビジネスシーンで「忍びない」を使う時には「忍びないですが、お願い致します」というように敬語表現を使います。
ビジネスシーンで「忍びないですが」と言う場合には必ず、相手に対して何かお願いをしますが、そのお願いをするのが心苦しいというのを表すために「忍びない」を使います。
そのためビジネスシーンで「忍びない」を使う場合には、「忍びなく存じますが」「忍びないことではございますが」というように、しっかりとした敬語表現を使うようにしましょう。
「忍びない」の英語表現
「忍びない」の敬語表現についてご紹介しましたので、次は「忍びない」の英語表現についてご紹介します。
日本語には英語に翻訳することが難しい難解な言葉や繊細な言葉がたくさんありますが、「忍びない」も実は結構繊細な言葉ですので、英語に翻訳することはとても難しく、意訳になってしまいます。
それほどに日本語は複雑で繊細だということですが、あえて「忍びない」を英語に翻訳するなら、翻訳できないこともありません。
「忍びない」を英語に翻訳する場合にはどのような言葉を使えば良いのか、「忍びない」の英語表現についてご紹介しましょう。
「我慢する」という意味で表現
「忍びない」の英語表現は「我慢する」という意味で「cannot bear」という言葉を用いて使うことがありますが、「bear」には「不愉快なことを我慢する」という意味がありますので、「忍びない」とは微妙に違います。
「忍びない」の意味は「耐えられない」「我慢できない」ですが、「心苦しい」といったニュアンスがありますので、そういった点では「不愉快なことを我慢する」という意味を持った「cannot bear」とは違うと言えます。
「忍びない」の英語表現としては他に「I can't let」がありますが、こちらには「心苦しい」という意味がありますので、こちらの方が「忍びない」の英語表現として近いと言えます。
「忍びない」は耐えられないことを意味する言葉
「忍びない」という言葉の意味や類語や使い方、「忍びない」の敬語表現や英語表現など、「忍びない」について色々とご紹介してきましたが如何だったでしょうか。
「忍びない」は「申し訳ない」の代わりに使うことが多いですが、本来「耐えられないこと」を意味する言葉であって「申し訳ない」という意味はありませんので、正しい意味を理解して正しく使いましょう。