「お大事に」の意味とは?
「お大事に」という言葉は、私たちの会話のなかでもよく使われている言葉の一つです。では、「お大事に」という言葉にはどのような意味があるのでしょうか。
「お大事に」という言葉は、相手の具合が悪いときに早く体調が戻ることも祈りつつ相手に伝えるという意味があります。相手の体調をいたわる意味があり、相手を気遣いたい意味であれば、いつでも使うことができる意味があります。
しかし、「お大事に」の大事という言葉の意味に、おおごと、重大ごと、大変なことといったように、相手の体調を気遣う以外にも意味が込められています。そのため、大きなことという意味を込めて使うことができる言葉でもあります。
「お大事に」の由来
では、「お大事に」という言葉の意味の由来はどこにあるのでしょうか。「お大事に」という言葉は、友人や家族間など親しい関係で使われることが多いです。
「お大事に」という言葉が、もともと「お大事になさってください」や「お大事にお過ごしください」という言葉を省略した言葉です。敬語として使う場合は、「お大事になさってください」や「お大事にお過ごしください」が正しいです。
そのため、上司や目上の人に使う場合は、敬語のあたる「お大事になさってください」や「お大事にお過ごしください」のほうが適切です。「お大事に」では意味は同じですが物足りなさがあるため、上手に使い分けるようにしましょう。
「お大事に」の特徴
次に、「お大事に」という言葉の特徴について説明します。「お大事に」という言葉は、場合によっては間違った使い方をしている場合があります。「お大事に」という言葉の意味をしっかりと理解して、正しく使いましょう。
「お大事に」は敬語だけど目上には使えない
「お大事に」という言葉は、「お」ついているため敬語に分類されます。しかし、「お大事に」という言葉は、「お大事になさってください」や「お大事にお過ごしください」という略語で同じ意味をもっています。
そのため、意味は同じでも言葉を略した言葉でもあるので、目上の人に使ってしまうのは失礼にあたってしまいます。そのため、上司、お客様、取引先、学校や職場の先輩には、「お大事に」という言葉は使わないようにしましょう。
「お大事にどうぞ」も目上にはNG
「お大事に」のほかに、「お大事にどうぞ」という言葉もよく使われているのをみることが多いです。「どうぞ」という言葉には、似たような意味で祈願するという意味が困られています。「お大事に」が略語であることは変わりません。
そのため、意味は同じの「お大事にどうぞ」という言葉でも、目上の人に使ってしまうと失礼になってしまうため注意が必要です。また、「どうぞお大事に」も同じ意味になってしまうため、目上の人には使わないようにしましょう。
「お大事にしてください」は目上の人には使うべきではない
「お大事にしてください」という言葉は、風邪や怪我をした際に病院などでよく聞く言葉です。一般的にも使われているので、どこでも使えるイメージです。しかし、「お大事にしてください」には、見落としがちな注意点があります。
「お大事にしてください」は、一見敬語にみえますが、実は命令文に含まれます。そのため、目上の人に使う場合、少し要求が強くなってしまい、失礼だと思われてしまう可能性があります。特に、ビジネスでは注意が必要です。
「お大事になさってください」は目上の人にもOK
「お大事になさってください」という言葉も、同じ意味を持ち、風邪や怪我をした際に病院でよく使われている言葉です。「お大事になさってください」は尊敬語のため、目上の人にも使えるため、ビジネスシーンにもおすすめです。
より丁寧な言葉で伝える場合は
「お大事になさってください」という言葉だけでも十分目上の人に使える言葉ではありますが、これから紹介する言葉を付け加えるとより丁寧になります。
「お大事になさってください」の文頭に、「ご無理をなさらずに」「くれぐれも」「何卒」「どうぞ」「どうか」などの言葉を付け加えるだけで、「お大事に」という意味をより丁寧に伝えることができます。
また、「どうぞ」と「何卒」の使いまわしがわからない場合は、「どうぞ」は話し言葉、「何卒」は書き言葉であるということを覚えておきましょう。特に、「何卒」はビジネスシーンにぴったりの言葉です。
「お大事に」の意味と似た言葉
「お大事に」という言葉は、相手の体調を気遣う意味が込められていますが、実は「お大事に」以外にも似たような意味をもつ言葉があります。また、似たような意味でも使い方が違ったりするので、その意味の違いを把握しておきましょう。
「ご自愛ください」
「ご自愛ください」という言葉には、「身体を大事にしてください」「無理しないでください」などという「お大事に」と似た意味が込められています。
「お大事に」と同じ意味ですが「ご自愛ください」は男女関係なく、目上の人にも使える言葉なので、どの相手でも使うことができます。しかし、使う場面に違いがあります。「お大事に」は、直接相手に伝えることが多い言葉です。
一方、「ご自愛ください」は、メールや手紙などの末尾で使われることが多い言葉です。また、体調を崩さないようにという意味が込められている言葉の為、すでに体調を崩している人に使うことはできないので注意が必要です。
「ご自愛ください」の例文
「ご自愛ください」の意味を自然に使いたい場合、「大事に至りませんよう、ご自愛ください」「お忙しいかと存じますが、何卒ご自愛ください」「○○様におかれましたら、体調を崩さないようにご自愛ください」などと使うのがおすすめです。
「お大事にされてください」
会話のなかでもよく使われている「お大事にされてください」という言葉ですが、「お大事にされてください」という言葉には、少し違和感がある言葉ということをご存知でしょうか。よく使われているため、気が付かない人が多いです。
「お大事にされてください」という言葉を詳しく見ていくと、「大事にする」という言葉を尊敬語に変えたあとに、「ください」という丁寧語を混ぜている言葉です。そのため、正しい言葉として違和感はありますが、日常的に使える言葉です。
「大事にされてください」の例文
「大事にされてください」の意味を自然に伝えるなら「風邪をひかれたのですね、お大事にされてください」といったように伝えるのもいいでしょう。病院から出る際に受付の人に言われることも多く、帰り際に伝えましょう。
「お大事になさいませ」
「お大事になさいませ」は、同じ意味をもつ言葉のなかでもとても尊敬した意思を表す尊敬表現です。「お大事に」という言葉と同じ意味がありますが、「お大事になさいませ」は目上の人、目上の人の中でも尊敬する人に使うことができる言葉です。
「お大事になさいませ」の例文
「お大事になさいませ」の例文は、「こちらがお薬です、お大事になさいませ」といったように、「お大事にされてください」と同じ意味で使われることが多い言葉です。そのため、医療現場などで使われています。
「お大事にどうぞ」
「お大事にどうぞ」は、医師や看護師、薬剤師などの医療現場でよく使われている言葉です。そのため、医療の現場で使われる言葉を思われがちですが、同じ意味なので会社の同僚にも使うことができますが、違和感が残る場合があります。
「お大事にどうぞ」の例文
「お大事にどうぞ」の例文は、上記で紹介した「お大事にされてください」や「お大事になさいませ」といった言葉と同じ場面で使われています。特に医療現場で使われているイメージが強いため、日常的に使うと違和感が出てしまいます。
お体おいといてください
「お体おいといてください」は、「お大事に」という言葉と同じ「お体を大事にしてください」という意味が込められています。そのため、「お大事に」という言葉が使えない場面で使うという使い方がおすすめです。
「おいとい」という言葉には、かばう、大事にする、労わるという意味があり、健康の意味で使われている言葉です。また、「お体おいといてください」は、言葉の中でも丁寧な言葉なので、目上の人にも使うことができる言葉です。
「お体おいといてください」の例文
例文としては、「これから暑さが増してきますので、お体おいといてください」や、「先日、お母様にお会いしました。○○のご健康を気にかけていらっしゃいました。くれぐれもお体おいといてください」といったように使います。
「お労りください」
「お労りください」という言葉の「労り」には、気にかけること、心を用いて大切にするという意味が込められています。そのため、「お大事に」という言葉の意味と同じような意味があるため、似たような言葉として使われます。
そのため、相手の体調を労わる場面では、「お労りください」という言葉は最適の言葉です。また、「お労りください」という言葉が、「お大事になさってください」という言葉よりも強く気持ちを伝えることができます。
「お労りください」の例文
「お労りください」の例文としては、「今日は早く帰って、お体をお労りください。」「最近は何かと忙しいですが、日頃の疲れがでないよう、お体をお労りください。」といったような使い方がおすすめです。
養生なさってください
「養生なさってください」の養生には、相手の怪我や風邪などの病気の回復に努めるという意味があります。つまり、「養生なさってください」には、風邪や怪我を治すために身体を休ませるという意味があります。
「養生なさってください」という言葉で相手の身体を労わる気持ちを表現する場合、「養生なさってください」の前に「ゆっくり」「気長に」という言葉をつける人もいますが、なるべく早く回復したほうがいいのでおすすめできません。
「養生なさってください」の例文
「養生なさってください」の例文は、「この機会にしっかり養生なさってください。」「しっかり養生なさって、一日でも早いご回復をお祈り申し上げます。」です。もちろん目上の人にも使える言葉なので、ビジネスにもおすすめです。
「静養なさってください」
「静養なさってください」という言葉の静養には、相手の身体が回復するために心身ともにしっかりと休ませるという意味があります。つまり、風邪や怪我がしっかりと回復することを目的として、身体を休ませてあげるということです。
「静養なさってください」の例文
「静養なさってください」の例文として、「無理をなさらずしっかりご静養ください。」「日頃の疲れが溜まっていたのではないでしょうか。十分に静養なさってください。」といったような使い方をすることができます。
「お大事に」の使い方
では、実際に「お大事に」という言葉を使いたい場合、どのような使い方をすれば正しいのでしょうか。「お大事に」という言葉はよく使われている言葉ですが、「お大事に」という言葉は正しい場面や相手に使われているのでしょうか。
例文①風邪や怪我をしたとき
「お大事に」という言葉の使い方の1つ目は、相手が風邪や怪我をしてしまっているときです。「お大事に」という言葉には、相手を労わる意味があります。
そのため、相手が風邪や怪我をしてしまっている際にかける言葉として、「お大事に」という言葉を使うことができます。しかし、「お大事に」という言葉は、風邪や怪我、一時的な入院など軽い怪我の際に使われます。
重症度が高い風邪や怪我の場合に「お大事に」という言葉を使ってしまうと、はばかられてしまうことがあるので使わないようにしましょう。この場合は、「養生なさってください」などの言葉をかけるのが望ましいです。
例文②本人以外の家族に使う
「お大事に」という言葉は、風邪や怪我をしている本人ではなく、その家族に使うこともできます。しかし、本人以外の家族に伝える場合は、「お大事に」と伝えるのではなく、「お大事になさってください」と伝えるのが望ましいです。
例文としては、「この度は○○さんが風邪を召されたと聞きました。お大事になさってください」と伝えると、とても丁寧で「お大事に」という言葉の意味もしっかりと伝わります。また、本人が年下でも家族に対してはこのように伝えましょう。
例文③身内・家族に使う
「お大事に」という言葉は、自分の身内や家族が風邪や怪我をしてしまった際に伝えることができます。自分の家族であれば、かしこまった言い方をする必要はないため、そのまま「お大事に」と伝えるだけでも十分です。
自分の身内や家族が風邪や怪我をしてしまった際に伝える例文としては、そのまま「お大事にしてね」と伝えたり、「お大事にね」と伝えましょう。帰り際に「お大事に」と伝えるだけで、相手を労わる気持ちを表すことができます。
例文④ビジネス
「お大事に」という言葉は、同僚、友達、家族、親戚など親しい人に使う言葉なので、ビジネスで「お大事に」という言葉は不向きです。
では、ビジネスで「お大事に」という気持ちを表すためには、どのような言葉を使えばいいのでしょうか。この場合は、上記でも説明したように、同じ「お大事に」の意味をもつ、丁寧な言葉を使うのがおすすめです。
ビジネスで同じ「お大事に」という意味をもつ言葉を使うとするならば、「お大事になさってください」「ご自愛ください」「お大事にお過ごしください」といった言葉を使えば、ビジネスでも違和感なく使えます。
ビジネスメールでの使い方
ビジネスメールで、「お大事に」という気持ちを表すおすすめの使い方を紹介します。ビジネスでは、「お大事に」という言葉は使えません。
そのため、ビジネスでは全く違う言葉でも同じ意味を持つ言葉で伝えるのがおすすめです。例文として、「一日も早い復帰を皆でお待ちしています」「どうかご静養に専念されますようお願い申し上げます」などがおすすめです。
相手の体調が悪いわけではなく、身体を気遣った言葉でビジネスで使いたい場合は、「寒さが厳しくなってきましたので、どうかご自愛くださいませ」といったような使い方をすれば、ビジネスでも文末の挨拶として使えます。
例文⑤英語で伝える
「お大事に」という意味を英語で伝えたい場合、どのように伝えればいいのでしょうか。「お大事に」という意味を英語で伝えることができれば、ビジネスなどでも役に立ちます。では、ビジネスや日常生活で使える英語を紹介します。
「Take care!」の意味
「お大事に」を英語で伝えたい場合のおすすめの1つ目は、「Take care!」です。「お大事に」の意味を英語で伝えたいときに、一番しっくりくる英語です。
「お大事に」と同じように、ちょっとした風邪や怪我の際に使うことができる英語です。例文としては、「Have you caught a cold? Take care!」(風邪をひいたの?お大事に!)といったような使い方がおすすめです。
また、より丁寧に英語で伝えたい場合は、「Please take good care of yourself.」(どうぞお大事にしてください)といったように「good」を付け加えるのがおすすめです。この英語は、別れ際の「元気でね」の意味でも使えます。
「I'm sorry!」の意味
「I'm sorry!」という英語は、「ごめんなさい」という意味でよく使われている英語です。しかし、相手が辛いときに思いやる意味としても使えます。
相手が風邪や怪我をしている際に、「I'm sorry, I heard that you are not feeling well.」(気分がよくないと聞きましたが、大丈夫ですか?)と伝えたり、「I'm so sorry.」(とても辛いですね)といった使い方ができます。
「I'm so sorry.」(とても辛いですね)といったように、「I'm sorry!」に「so」をプラスすれば、より風邪や怪我をしている相手への気持ちを強調した意味を表す英語になります。「deeply」深くという意味の英語もおすすめです。
「Get well!」の意味
「Get well!」という英語は、風邪や怪我をしている相手に「よくなりますように」という意味で使うことができます。例文としては、「Get well soon!」(はやくよくなりますように)と伝えるのがおすすめです。
更に相手への労りの気持ちを強調させたい場合は、「hope」という希望という意味をもつ英語を使うのがおすすめです。例文としては、「I hope you recover soon!」(早く回復しますように)という意味で使うことができます。
「(God) bless you!」の意味
「(God) bless you!」という英語は、知り合いやビジネスシーン問わず、誰かがくしゃみをしたら、「大丈夫?」という意味で使われます。外国では、くしゃみをすると風邪の前兆として、言葉のエチケットの意味で使われています。
「お大事に」と言われた時の返事の仕方
実際に「お大事に」と言われると、どのような返事をすればいいのかわからないという人もいるのではないでしょうか。もし、「お大事に」と言われたら、次のように返事をすることで、気持ちのいい返答をすることができます。
返事の例としては、「ありがとうございます」「お気遣いありがとうございます」「お心遣いありがとうございます」などがおすすめです。また、病院などで言われた場合は、「ありがとうございました」がおすすめです。
「お大事に」の注意点
「お大事に」という言葉の意味を使いたい場合、使い方で注意しなければいけないことがあります。気づかないうちに失礼なことをしている可能性もあるため、ここでしっかりと「お大事」という言葉の注意点を知っておきましょう。
使い方によっては失礼にあたってしまう
「お大事に」という言葉には、そのまま「お大事に」と伝える以外にも、さまざまな使い方があります。その中で、同じ意味をもつ「お大事にしてください」という言葉があります。
「お大事にしてください」という言葉自体は意味も同じで間違っていませんが、「してください」という言葉には要求、強制の意味があります。そのため、人によっては失礼だと思ってしまう人もいるため、注意が必要です。
「お大事にしてください」という言葉は気にならない人もいますが、気にしてしまう人も少なからずいます。そのため、「お大事にしてください」よりも「お大事になさってください」のほうがより丁寧で無難な使い方です。
「お大事に」は相手を労わるという意味
「お大事に」という言葉には、相手を労わるという意味が込められていて、相手が風邪や怪我などをおってしまっている際に使うことができます。意味は同じでも、ビジネスなどの場面によっては失礼になってしまうことがあります。