「阿吽の呼吸」の意味や由来とは?使い方や類語を分かりやすく解説!

「阿吽の呼吸」の意味や由来とは?使い方や類語を分かりやすく解説!

阿吽の呼吸、そう聞いて意味を即座に理解できるとしても阿吽の呼吸がどうしてそう呼ばれているのか。どういう由来で阿吽の呼吸と呼ばれるようになったかの意味を知る人はあまり多くありません。そこで、阿吽の呼吸の意味や使い方、英語表記などをご紹介します。

記事の目次

  1. 1.阿吽の呼吸の意味とは?
  2. 2.阿吽の呼吸の由来
  3. 3.阿吽の呼吸の特徴
  4. 4.阿吽の呼吸の類語と英語表記
  5. 5.阿吽の呼吸の使い方
  6. 6.阿吽の呼吸は相手と行動を一致させるという意味

阿吽の呼吸の意味とは?

フリー写真素材ぱくたそ

「阿吽の呼吸」とは”あうんのこきゅう”と読みます。阿吽の呼吸の意味は「二人以上の人が、何かを一緒にする時の、お互いの複雑な感情や行動規範が一致し、行動に現れること」といった意味を持ちます。

この項ではそんな阿吽の呼吸という言葉が持つ意味だけではなく、その使い方や類語、そしてその由来や英語表記に関するまで様々な「阿吽の呼吸」という言葉の側面を一つ一つご紹介していきます。

単純に仲がよいことだけを意味する言葉ではなかったり、感情や考え方が一致していても阿吽の呼吸とは呼べなかったりと、意外と定義が難しい「阿吽の呼吸」の意味や使い方についてしっかりと掘り下げていきましょう。

阿吽の呼吸の由来

Photo by gidlark

阿吽の呼吸という言葉が一体どういった物事を由来として生まれた言葉なのかについてです。阿吽の呼吸の由来には様々な諸説がありますが、最も有力なものとして金剛力士像や狛犬のような宗教的な像が由来となっていると言われています。

由来となった象についてはもちろんですが、阿吽の呼吸の言葉の由来となっている「阿吽」についても、どのような意味で由来となった言葉なのかについて説明します。

阿吽とは?

Photo byDeltaWorks

阿吽の呼吸という言葉に由来する「阿吽」とは、仏教で使われている言葉で、口を開いて最初に出す音から、口を閉じて最後に出す音をのことを意味して「阿吽」という言葉になっています。

つまり、「阿」で始まって「吽」で終わる言葉ということで、物事や万物の始まりから終わりまでを意味すると定義されている言葉です。サンスクリット語の中でも、始まりの音である「阿」、終わりの音の「吽」に由来しているのです。

また、それぞれ単一の漢字が意味するものとして「阿」は万物が発生する元となるものを意味し、「吽」は万物が集い結ばれる叡知や徳を意味するとされています。

狛犬や金剛力士像が由来

フリー写真素材ぱくたそ

また、「阿吽」には「対比・対立・対象・相対」などの反発し合う二つの存在を意味する言葉でもあります。神社に据えられている狛犬や金剛力士像、沖縄県でおなじみのシーサーなど二体で一体として扱われている宗教的な象は、得てして阿吽の表情をしています。

そうした意味を持つ阿吽の存在が転じて、相対するものが呼吸を合わせて同じことをしている様子から「何かを同時に行うときに、ぶれなくしっかりと呼吸を合わせて行動すること」という意味へとつながっていきました。

そのような経緯が由来となって「阿吽の呼吸」という言葉が生まれました。金剛力士像や狛犬などの相対する姿が由来となり、この言葉が生まれたのです。また相撲で使われる言葉としても知られています。

阿吽の呼吸の特徴

Photo byninocare

阿吽の呼吸という言葉は、阿吽という言葉と呼吸が合わさってできた言葉です。それぞれ単体の二字熟語では全く別の意味となる言葉が合わさって一つの言葉となっているので、使い方にも特徴があります。その特徴と気を付けるべき点を知りましょう。

形容詞以外の使い方ができない

Photo byPexels

阿吽の呼吸というのは、他人に対してもしくは自分と誰かに対して用いる言葉です。しかも、行動に対する評価に使用する言葉なので、単体で動詞のような使い方をすることはできません。あくまでも阿吽の呼吸という一つの言葉としてしか使えないのです。

ですので後述しますが、あまり多くのバリエーションでの使用法はありません。基本的な意味として阿吽の呼吸という状態をさしているので、活用方法が限定的になっていることが使い方のポイントと言えます。

阿吽の呼吸の類語と英語表記

Photo byDariuszSankowski

阿吽の呼吸という言葉と似たような意味合いを持つ類語や、英語で阿吽の呼吸という言葉を表現した場合にどのような表現になるのかについてご紹介します。阿吽の呼吸という言葉が仏教的な概念を成しているので、英語には完全に同じ内容の言葉はありません。

そこで英語表記を行う場合は、かぎりなくニュアンスをよせた文面として表現する形となります。また類語としても、阿吽の呼吸というのは一つの文節にちかいため、類語として挙げられるものも単語よりは熟語や慣用句が上がりがちです。

阿吽の呼吸の類語

Photo byFree-Photos

類語というのは、完全に同じ、もしくは限りなく対象となる言葉に対して近い意味を持った言葉のことを類語と言います。ここからは阿吽の呼吸という言葉の限りなく近しい意味を持った言葉について紹介します。

前述しましたが、熟語や慣用句のなかに類語が多く見られます。阿吽の呼吸という言葉のもつ意味を鑑みれば、そもそもが複雑な状況を端的に表せる言葉である必要があるためです。順番に紹介しますのでごらんください。

阿吽の呼吸の類語「以心伝心」の意味や使い方

Photo by 蔡佩書

阿吽の呼吸の類語「以心伝心(いしんでんしん)」です。意味は、”何も話さなくても心のうちが通じ合うこと”、”言葉に頼ることなく心の思いを相手と伝え合うこと”もしくは”言葉では説明できないことを心と心で通じ合うこと”といった意味があります。

使い方としては、「彼と私はいつでも以心伝心だから」というように単体でも通用する言葉となっています。阿吽の呼吸という言葉の意味が何らかの行動と併せて使用しなければならない点が違いと言えます。

阿吽の呼吸の類語「ツーカー」の意味や使い方

フリー写真素材ぱくたそ

阿吽の呼吸の類語「ツーカー」です。意味は、”ツーと言えばカーとしてわずかな言葉でお互いの意思を通じ合うことができること”や、”互いのことを知り尽くしている間柄を指す言葉”などと定義されている現代用語です。

昭和40年頃から用いられてきた言葉で、使い方としては「俺とあいつはツーカーの仲だからな」として、関係性を表す言葉として用いられています。由来は諸説がありますが「つーことだ」という相手の言葉に対して「そうか」と答える様を表したことがはじまりとも言われています。

阿吽が「あ」と「うん」という言葉から生まれたという由来にも似通った類語だと言えます。言葉を発しているところが阿吽の呼吸との違いであるとも考えられます。

阿吽の呼吸の類語「暗黙の了解」の意味や使い方

Photo byJerzyGorecki

阿吽の呼吸の類語「馬(うま)が合(あ)う」です。意味は、”性格や互いの気性が合致すること”もしくは”見ず知らずの相手同士がちょっとしたきっかけで意気投合する”というような意味を持ちます。

使い方としては「偶然居合わせた男と馬が合い、朝まで酒を酌み交わすことになった」「あの人とは馬が合うのかしょっちゅう一緒に遊ぶ」というような使い方をします。馬との呼吸を合わせることから生まれた言葉と言われています。

阿吽の呼吸の類語「馬が合う」の意味や使い方

Photo by sabamiso

阿吽の呼吸の類語「暗黙の了解(あんもくのりょうかい)」です。意味は、”お互いに明確に取り決めを交わしたわけではないが、いつのまにか周知の事実として決められた規則や規約のこと”もしくは、”当事者同士の言葉の明文のない約束や取り決め”という意味です。

阿吽の呼吸との違いは、約束や取り決めといった意味を阿吽の呼吸には含まれていないということにあります。使い方としては「いつの日からか、暗黙の了解として私たちの間にひっそりと寝そべるようにそこにあった」のような使い方をします。

阿吽の呼吸の英語

Photo bylibellule789

続いては、阿吽の呼吸という意味を持った英語での表現についてのご紹介です。そのまま直訳してしまうと、”Aun's breath”として表現されてしまうので、互いの意思疎通が言葉なくして叶う、という意味合いの英語単語もしくは英語文にて意味を表現することになります。

そのため言葉を使わずに、という部分をそのまま英語として表現したり、「inspiration and inspiration(インスピレーション アンド インスピレーション)」 というような意味の表現で、英語化するという使い方もあります。

具体的に様々な表現を使って阿吽の呼吸という言葉を英語の例文でいくつか意味を表現したものを紹介します。それぞれに直訳した意味合いは全く別の言葉になってしまいますが、阿吽の呼吸という言葉を意味した英語表現となります。

「阿吽の呼吸」英語の例文①

フリー写真素材ぱくたそ

「They have a nice chemistry with respect to playing a song together.(ゼイ ハブ ア ナイス ケミストリー ウィズ リスペクト トゥ プレイング ア ソング トゥギャザー)」意味は「彼らは歌を阿吽の呼吸で演奏する」と意味します。

 nice chemistry with respect toを阿吽の呼吸として言い換えています。意味を直訳した場合は、「彼らは歌を一緒に演奏することに関して素晴らしい相性を持っています。」という意味になります。

「阿吽の呼吸」英語の例文②

フリー写真素材ぱくたそ

「You and I can communicate through inspiration and inspiration.(ユー アンド アイ キャン コミュニケイト スルー インスピレイション アンド インスピレイション)」意味は僕と君は阿吽の呼吸で通じ合うことができる」となります。

さきほど紹介した、「inspiration and inspiration」を阿吽の呼吸として使った例文です。意味を直訳した場合は、「私とあなたは直感と直感で会話することが出来る」といった意味になります。直感と直感を繋げることが阿吽の呼吸として意味した英語表現です。

「阿吽の呼吸」の類義的英語表現

Photo bykaboompics

他にも、阿吽の呼吸という意味合いに近い表現を英語で表現した場合に、「communicate without even a word」(=言葉を一切使わずにコミュニケーションする)というような意味での表現方法もあります。

また他にも「getting along very well」(=仲がとても良い)というような意味に置き換えることもできます。また、「compatible」(=両立させる、矛盾しない、互換性)という言葉を阿吽の呼吸として意味させることもあります。

いずれにしても、言葉を使わずに意思を疎通させる。もしくは、とても仲が良くて通じ合ってる意味をもつ様子をそのまま阿吽の呼吸として表現することが多いです。

阿吽の呼吸の使い方

Photo byDarkWorkX

続いては、阿吽の呼吸という言葉をどのような使い方で使用すればいいのかについて、様々な例文を用いることでより詳しい使い方をご紹介します。それほど間違った使い方をすることが難しい言葉ではありますが、誤った使い方も含めてご紹介します。

例文①

Photo byvait_mcright

「繰り返し繰り返し、何度もひたすら同じ練習をし続けるのは、限られた状況下で阿吽の呼吸という最高のタイミングを意図的に生み出すためなのだ。積み上げられた経験がなければそうした奇跡のタイミングを得ることはできない」

阿吽の呼吸は互いを知っていないと生み出せないということを表現した例文です。名詞としての使い方となります。目的に阿吽の呼吸を据えて、それに対して行動を起こすという意味で使われています。

例文②

Photo byAnemone123

「私たちが一緒に暮らし始めてからかれこれ十数年が経つが、未だに阿吽の呼吸というものを体験したり感じたことはない。あの人が何かをしようとしていても全く理解ができない、考えが及ばないのは相性が悪いからなのでしょうか」

長年連れ添った夫婦が、お互いのことを未だによく理解できないという意味のことを、阿吽の呼吸を使って表現した例文です。人はいつまでたっても孤独ですから、表面上は阿吽の呼吸のように振舞っているように見えても、お互いはそうは思っていないという意味も含まれています。

例文③

Photo bysasint

「戦いは瞬間ですべてが決まってしまう。だからちょっとしたことを見落とすなんてあり得ないんだ。一挙手一投足、すべての行動に意味をもたせれば自然と阿吽の呼吸になるものさ。でなけりゃ明日ここには居られないんだから当たり前の話だよ」

仲間同士が生き残るための最低条件が、お互いに無駄を省いて阿吽の呼吸を手に入れる事だ、と自嘲気味に語るという使い方です。阿吽の呼吸が生まれるという意味はこういう意味だといった使い方で表現しています。

例文④

フリー写真素材ぱくたそ

「ようやくここまできた。年月を経てようやっと至ったと実感できる。これぞ阿吽の呼吸、修練に修練を重ねてついにこの身に宿した頂点の一端よ。これでようやくこの身に課したな難行にも終止符が打てるというものだ」

この使い方は間違いです。この場合では語り手一人だけで可能な特殊能力のような扱いになるため、本来の「阿吽の呼吸」の意味とはまったく異なった意味での使い方になってしまうからです。

阿吽の呼吸は相手と行動を一致させるという意味

Photo by karlman72

阿吽の呼吸とは、呼吸を合わせられる相手がいて初めて成り立つ行動をあらわす言葉です。あなた、もしくは二人以上の人たちが、何かの行動を驚くほどの精度とタイミングでこなすさまを表すことばですので、くれぐれも奇妙な特殊能力のような使い方はしないようにしましょう。

五所川原銭男
ライター

五所川原銭男

ガジェット系を好む。雑食。暴食。時折暴走する。知る人ぞ知る某国産プロジェクトの中の人。

関連するまとめ

人気の記事