イモリとヤモリの違いが分からない人は多い
ヤモリ、イモリという名前を聞くと尻尾が長くて黒っぽい茶色で、トカゲと同じように地面や壁などを這いつくばっているトカゲの仲間というイメージがあります。
名前も「ヤモリ」と「イモリ」は一文字違いなこともあり、同じ脊椎動物の種の生き物なのではないかと気にとめずに日々を過ごしている人が多いのではないでしょうか。今回は意外と気になってくる「イモリ」と「ヤモリ」の違いをご紹介していきます。
イモリとヤモリの生態や見た目の特徴、見分け方などを説明していきます。爬虫類好きはもちろんご存知でしょうが、全くわからない人も知識として持っておくと次にイモリやヤモリを発見した時に2匹の違いを見つけるのが楽しみになるでしょう。
イモリの生態と特徴
まず初めに、イモリの生態と特徴についてご紹介していきましょう。イモリの見た目はトカゲとそっくりで、小さくて手足が短い黒っぽい手にのるサイズの生き物です。
草むらだったり旧家の井戸の付近などで見かける事が多いイモリは、ヤモリとどうゆう違いの生態や特徴があるのでしょうか。先にイモリのことをよく知っておいて、ヤモリとの生態の違いを確認していきましょう。
イモリは両生類でカエルの仲間
イモリはアメリカ・カナダ・メキシコなどの北アメリカ大陸、アフリカ大陸、東アジアやヨーロッパ、そして日本と全大陸に生息する生き物です。
ヤモリと似ているイモリですが、実は水辺や水中に住んでいる両生類です。表面に鱗は存在せず、皮膚呼吸のためいつも湿った状態の粘膜に覆われています。よく見ると手足に両生類の特徴でもある「エラ」が付いています。
ぷにぷにっとした柔らかい卵を水草に産み繁殖しているイモリは、外部の敵からの自己防衛のため「テトロドトキシン」というフグと同じ毒を持っています。イモリを手で触れた後は石鹸でしっかり手洗いをするようにしましょう。
イモリの見た目の特徴
全身が黒々しているところまではあくまでもヤモリと似ているイモリ。イモリを見た目で区別する場合は、まずイモリを裏返してみましょう。イモリはお腹部分が赤くなっているのが特徴的です。
イモリのお腹が赤いのは自己防衛のための「テトロドトキシン」を持っているためで、他の動物に毒を持っていることをアピールするためと言われています。他にも尾がヤモリと比べると側偏していて、爪がないのもイモリの特徴です。
尾や爪は虫眼鏡などでじっくり見ないと確認出来ない部分なので、お腹部分が赤いかどうかでイモリなのかどうかを確認するのが一番分かりやすいでしょう。
イモリと同じ両生類の仲間
イモリと同じ両生類の仲間は、カエル、オオサンショウウオ、ウーパールーパーなどになります。両生類の仲間の大きな特徴としては幼少期にエラで呼吸し、成長すると肺呼吸に変わります。また皮膚呼吸も行なっているため皮膚はいつも濡れている状態になっています。
カエルは表面がねっとりとしているイメージがありますが、イモリもどちらかというとカエルと同じく表面は濡れていて、陸上で見かけますが水の多い付近で生活していることが多いです。
ヤモリの生態と特徴
次はヤモリの生態と特徴についてご紹介していきましょう。イモリと同じく黒々しくてトカゲのような出で立ちをしているヤモリ。家の天井や柱などを這いつくばり、いきなり私たちの目の前に出現するイメージがある人も多いのではないでしょうか。
ヤモリもまた、イモリと同じく両生類で皮膚呼吸をしているのでしょうか。ヤモリの生態や特徴について詳しく解説していきましょう。
ヤモリは爬虫類でカメとトカゲの仲間
ヤモリは中国や朝鮮半島、そして日本大陸に生息している生き物で、実は爬虫類の仲間です。イモリが水辺や水中で生活しているのに対して、ヤモリは陸上で生活し、全身を細かい鱗で覆われながら肺呼吸しているのが特徴になります。
全身以外にも指にも鱗が付いているので、垂直なガラス面の窓や壁、天井などを張り付いて行動することができます。
ヤモリの卵はイモリとは違い固い殻で覆われた卵で、壁などに産み付け繁殖をしています。家の中や家の外の壁によく出現するヤモリは、家に出没する害虫を餌にしていることから、「縁起のいい物」として扱われていた風習があります。
たまに突然変異で生まれてくる白いヤモリは特に縁起がいいと言い伝えられているそうで、見かけると「宝くじが当たった」という報告もあります。
ヤモリの見た目の特徴
ヤモリの見た目は、全身にゴツゴツとした細かい鱗で覆われているのが特徴の一つです。腹部が赤く毒性があるイモリと比べると、ヤモリの腹部は白くあまり特徴的ではありません。
他にも尾が側偏していない、爪がある、まぶたがないなどありますが虫眼鏡で見ないとなかなか確認出来ないかもしれません。普段人間には危害を加えたりしないヤモリですが、危険を察知すると「ミー」と鳴くこともあります。
ヤモリと同じ爬虫類の仲間
ヤモリと同じ爬虫類の仲間は、トカゲやヘビ、カメの仲間、スッポン、イグアナ、そして絶滅した恐竜も爬虫類になります。爬虫類の仲間の大きな特徴としては、皮膚から水分が抜けていかないように体が硬い鱗に覆われています。
両生類のように体を湿らせて皮膚呼吸をしなくて良くなったため、肺が発達し肺呼吸になったと言われています。爬虫類のトカゲやヘビ、カメ、イグアナなどは人間にペットとして買われることも多く、水分が必要がないことから飼育がしやすいのかもしれません。
イモリとヤモリの違いの見分け方
イモリはカエルの仲間の両生類で水辺で暮らしていて、ヤモリはカメやトカゲの仲間の爬虫類で陸上で暮らしていることからイモリとヤモリには違いがたくさんあって別々の種族の生き物であることが分かりました。
しかしイモリやヤモリをもしどこか見かけた場合、果たしてイモリなのかヤモリなのか判別が出来るのか、見た目が似過ぎている2匹を区別するのはなかなか困難ではあります。
そこで次にイモリとヤモリの違いの見分け方をご紹介していきましょう。イモリとヤモリの見分け方を知っていれば、見かけた時もどちらなのかすぐに分かるようになるかもしれません。
見分け方①漢字に変換して違い
イモリとヤモリの1つ目の見分け方は、イモリとヤモリは漢字に変換することで2匹の違いを確認する方法です。イモリは「井守」、ヤモリは「家守」という漢字で書くことができます。
イモリは水の中に生息していて家にある井戸を守っている、ヤモリは家の中に生息していて家全体を守っていると覚えておきましょう。
イモリの「イ」が井戸の「イ」ではなく、家の「イ」と間違えてしまいそうになりますが、ヤモリの「ヤ」を「家主」の「ヤ」である事を先に覚えるようにしましょう。ヤモリは家にいる害虫を食べてくれるので、まさに「家守」という漢字にふさわしい生き物です。
見分け方②お腹の色の違い
イモリとヤモリの2つ目の見分け方は、「お腹の色の違い」です。イモリはお腹の色が赤く、ヤモリはお腹の色が赤くないのでイモリやヤモリを見分ける時はひっくり返して腹部を確認してみましょう。
イモリのお腹の赤い色は、他の動物からの自己防衛のためにフグと同じ毒「テトロドトキシン」を持っていると言われています。毒を持っていてお腹が赤いのがイモリ、お腹が全く赤くないのがヤモリと覚えるようにしましょう。
イモリの種類の中の「アカハラヤモリ」が日本でよく見かけられるので、イモリではなく「アカハライモリ」と覚えておくのもいいでしょう。
見分け方③両生類と爬虫類の特徴の違い
イモリとヤモリの3つ目の見分け方は、「両生類と爬虫類の特徴の違い」です。イモリは両生類でヤモリは爬虫類であると先程ご紹介した通り、両生類と爬虫類には大きな違いがあります。
両生類は固い部分や鱗がなく、皮膚呼吸のため体が湿っているのが特徴です。水草などに産み付ける卵には殻がなく水辺に住んでいることが多いです。一方、爬虫類は体には固い鱗があり肺呼吸で卵には固い殻がついているのも特徴の一つです。
爬虫類は両生類から進化して初めて陸で生活できるようになった生き物なので、どちらが両生類で爬虫類なのか区別しにくくなっています。「皮膚が湿っていて皮膚呼吸の両生類なのがイモリ」、「肺呼吸で爬虫類なのがヤモリ」と覚えるのがいいでしょう。
イモリとヤモリの違いは漢字に変換すると見分けやすい!
イモリとヤモリの違いは両生類と爬虫類の違いであり、腹部が赤いか赤くないかなどイモリとヤモリには様々な違いがあることが分かりました。しかしパッとイモリかヤモリが居た際は正直どちらがどちらかの区別はつきにくいでしょう。
井戸を守っているイモリが「井守」、家を全体を守っているヤモリが「家守」と漢字に変換するのが一番分かりやすく見分けやすいのでぜひこの方法で覚えておきましょう。