同じ穴の狢の意味とは?
皆さんは同じ穴の狢ということわざの意味を知っていますか?読み方は「同じ穴の狢(おなじあなのむじな)」と読みます。よく小説やアニメ、ドラマなどで出てくることも多いですが、日常会話で用いられることは比較的少ないでしょう。
馴染みのないことわざだという事もあって「ニュアンスとしては分かるけど曖昧だ、何となく分かるけどちゃんとした意味を知っているかと言われると分かっていない」と実際、意味を問われても答えられないという人も多いのではないでしょうか。
今回は「同じ穴の狢の意味をちゃんと知りたい、正しい意味を知りたい」という人に向けて同じ穴の狢の意味について説明していきます。
では、同じ穴の狢とは一体どんな意味なのか解説していきましょう。同じ穴の狢の意味とは、一見無関係そうに見える2人でも裏では悪事を働いている、同じことをしている仲間・同類という意味を表すことわざです。
またこのことわざは、あからさまに悪事を働いている人間と悪事を働いていないようで、気づかない所で悪事を働いている人と必ず2人の人間の存在が必要となります。主に悪党や悪者同士を指す時に用いられることわざなので、悪い意味で使われることが多いです。
特に人の事を馬鹿にしている当人が見下している相手と全く同じ行為をしている場合などによく用いられています。たまに良い意味で使われることもありますが、その場合は大体「灯台下暗し」といった言葉に置き換えられることが多いでしょう。
同じ穴の狢の対義語・類義語
そもそも同じ穴の狢という言葉に対義語や類語なんてあるの?と思った人もいるでしょう。実際、同じ穴の狢という言葉の対義語・類語を知らない人が多いのではないでしょうか。実は同じ穴の狢にも対義語や類語はあります。
ここまでは同じ穴の狢の意味について解説しましたが、それを踏まえたうえでここからは対義語・類語について意味も合わせて紹介していきます。
同じ穴の狢の対義語「犬猿の仲」の意味
同じ穴の狢の対義語は、よく聞くことが多い「犬猿の仲」という言葉です。読み方は(けいえんのなか)です。意味としては第三者から見た通り敵対関係にあるという点が、同類・仲間という意味である同じ穴の狢とは正反対の意味となります。
同じ穴の狢の類義語
ここからは「同じ穴の狢」の類語を紹介していきます。これから紹介する類語は「同じ穴の狢」の意味と同じものもあれば、全てが同じ意味という訳ではなく「同類・仲間」という意味で同じような意味を持つ類語もあります。
今まで同じ穴の狢の類語を知らなかった人も知識の幅が広がるので読書などをする人は覚えておくと、さらに読書が楽しくなるかもしれません。
同じ穴の狢の類義語①五十歩百歩と意味
同じ穴の狢の一つ目の類語は「五十歩百歩」です。読み方は(ごじゅっぽひゃっぽ)です。聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。「五十歩百歩」の意味は、多少は違っているけど大して変りないという意味です。
同じ穴の狢の意味とは全て同じという訳ではなく、同類・仲間を表しているという意味が共通しているので類語とされています。
同じ穴の狢の類義語②どんぐりの背比べと意味
二つ目の類語は「どんぐりの背比べ」です。意味は集団においてどれもこれも似たり寄ったりで抜きんでた者がいないという意味です。このことわざも同じ穴の狢と全て意味が同じという訳ではありませんか同類・仲間という意味で共通しています。
同じ穴の狢の類義語③目くそ鼻くそを笑うと意味
三つ目の類語は「目くそ鼻くそを笑う」です。このことわざは、日常会話で聞くことがあまりないので意味を知らない人も多いかもしれません。意味は自分を棚に上げて他人を嘲るさまを表していることわざです。
意味のところで説明しましたが、同じ穴の狢は人を馬鹿にしている当人が見下している相手と同じ事をしている時に使います。目くそ鼻くそを笑うも同じ状況の時に使うため類語とされています。
同じ穴の狢の類義語④人の振り見て我が振り直せと意味
四つ目の類語は「人の振り見て我が振り直せ」です。意味は他人の行動や性格などを見て自分を反省し改めよという意味です。このことわざも同じ穴の狢と意味が正確に同じではないですが、類語とされています。
同じ穴の狢の類義語⑤一つ穴の狐の意味
五つ目は「一つ穴の狐(ひとつあなのきつね)」という言葉です。「同じ穴の狢」と意味は全く同じで、狐の部分を狸に置き換えられている「一つ穴の狸(ひとつあなのたぬき)」と表していることもあります。
同じ穴の狢の使い方・例文
ここからは同じ穴の狢の正しい使い方と合わせて、「同じ穴の狢」を用いて悪い意味で使われる場合の例文を紹介していきます。
アニメやドラマなどでは「結局貴方たちって同じ穴の狢なのね」や「俺もお前らも同じ穴の狢ってやつだ」などといった使われ方をしている事が多いです。第三者から見た二人の人間に使う場合と自分と別の人間を表す時に使う場合があります。
しかし、意味やそういう使い方は分かっていてもいざ文章にしてみようと思うとどうしたら良いか分からなくなってしまう人もいるのではないでしょうか?
「同じ穴の狢を使って分を書けという問題が出題されたけど、イマイチ使い方が分からない」という学生さんをはじめ、趣味で文章を書く際に使いたい、今まで間違った使い方をしていたという人などはこれを機に正しい使い方を覚えておきましょう。
例文①
一つ目の例文を紹介していきます。あまり評判の良くない友人Aと久しぶりに会う事になったことを前提とした例文にしてみます。
「あまり評判の良くない友人Aと久しぶりに会ったが、自分も同じ穴の狢だと思われたくないので縁を切るつもりだ」のように自分が悪事を働いていなかったとしても悪事を働いている人と一緒にいる事で同類として見られてしまうという意味での使い方もできます。
例文②
続いては、例文二つ目を紹介していきます。今度は遅刻常習者で仕事をしない同僚と普段誠実で評判の良い課長がいることを前提とした例文にしてみます。
「遅刻が多く仕事をせずサボってばかりの同僚Bが課長に激しく叱られていた。そんな課長が実は会議だと嘘を吐いて仕事をサボっていたらしい。同僚Bと課長は同じ穴の狢だったという訳だ」
この例文は、普段は誠実でサボりなどをしないような人が実はサボっていたという事を表しています。意味で説明した「一見無関係そうに見えて実は同類」というのが分かりやすい例文なので、まだ上手く文章にできないという人は参考にしてみてください。
例文③
続いては、とある有名人が不祥事を起こしてしまったことを前提とした例文にしていきます。「最近とある有名人が不祥事を起こし、そのことについて友人は批判していた。にも関わらず、その友人は有名人と同じ事をしていたようだ。結局友人も同じ穴の狢だったようだ」
例文④
続いては、クラスで一部の人間によるいじめがあることをを前提にした例文にしてみると「いじめを行っている主犯格はもちろん悪いが、そのいじめを見てみぬふりをしている周りの人間も自分も所詮同じ穴の狢である」
例文①~例文③までは第三者目線で二人の人物を表すものでしたが、この例文は自分と第三者を同じ穴の狢とした文章にすることも可能です。このように同じ穴の狢は使うシーンは限られてしまうものの、使い方さえ覚えてしまえば簡単に文章にする事ができます。
今まで同じ穴の狢の意味と使い方が分からなかった人や間違った使い方をしていた人もこれらの例文を参考にしてみては如何でしょうか。
同じ穴の狢の由来
皆さんは同じ穴の狢の「狢」の読み方と意味を知っていますか?狢という漢字は普段あまり使うことも、見かけることも多くない漢字なので読み方を知らない人も多いのではないでしょうか。読み方は狢(むじな)と読みますが、地方によっては「まみ」という読み方をしている事もあります。
また、「狢」を「貉」という字を使って表現しているところもあるようです。読み方はそのまま「貉(むじな)」と読みます。
同じ穴の狢の由来とは
同じ穴の狢の由来を知っていますか?狢という字は獣偏(けものへん)なので、何となく動物だと分かりますが何の動物が由来か分からない人も多いのではないでしょうか。狢って動物なんて聞いたことないけど…と思っている人もいるでしょう。
実際、狢という動物は存在しておらず主にアナグマの事を示しているようです。ですが、定義も曖昧なようでアナグマ=狢は同じ存在とは限らないそうです。なので基本的に狢=アナグマとしているようですが、狸やハクビシン、テンなどで例えている地域もあります。
アナグマは穴を掘る事を得意としています。一方で狸は穴を掘ることは得意ではありませんが穴を住処としています。その事からアナグマの堀った巣穴に狸が居る場こともあり、アナグマと狸が同居しているということから、同じ穴の狢という言葉の由来になったとされています。
また、狸や狐は昔話などで人を化かし悪さするキャラクターとして出ていることが多いそうです。人間から見ると狢=悪玉といった意味で共通していることから「同じ穴の狢」といわれるようになったようです。
類語でも少し触れましたが「同じ穴の狐」や「同じ穴の狸」といった狢を言い替えたものや、同じ穴を言い替えた「一つ穴の狢」という言葉もあります。意味はいずれも同じ穴の狢と変わりません。
同じ穴の狢は同類という意味
これまで「同じ穴の狢」の意味や使い方、由来などを説明してきましたが如何だったでしょうか?「同じ穴の狢」はあまり馴染みないことわざで、今まで何となくニュアンスで分かっていたけれど、ちゃんとした意味は知らなかったという人も多かったのでは?
同じ穴の狢は、一見無関係そうに見えて実は同類という意味と基本悪い意味で使われている言葉だという2点を抑えておくことをおすすめします。日常会話で頻繁に用いられる言葉ではないので、意味をきちんと理解して正しい使い方をしましょう。
また「一つ穴の狐」や「一つ穴の狢」など同じ穴の狢と同じ意味のことわざや、対義語・類語もあるので、もう学生で使う事はないという人でも覚えておくと知識の幅が広がります。