寿司の正しい数え方は?重さの単位「貫」の意味・由来や種類別の呼び方も解説!

寿司の正しい数え方は?重さの単位「貫」の意味・由来や種類別の呼び方も解説!

最近では寿司の数え方の単位として「貫」を使うことが当たり前になっています。そもそもこの「貫」とはどういう意味なのでしょうか。寿司の種類によって数え方に変化はあるのか、そして、そもそも数え方に「貫」を使うようになった由来などについて紹介します。

記事の目次

  1. 1.寿司の正しい数え方
  2. 2.寿司の数え方「貫」の意味
  3. 3.寿司の数え方「貫」の由来
  4. 4.寿司の数え方の歴史とは
  5. 5.寿司の数え方は江戸時代の握り寿司が大きく影響!

寿司の正しい数え方

Photo byChonow

寿司を数える時はどんな単位を使いますか。多くの人が「1貫」と答えるでしょう。このように寿司の中でも握り寿司を数えるとき、「1個」とは言わず「1貫」と呼ぶのが今では当たり前のようになっています。

寿司職人達の間では昔から使われていた寿司の単位である「貫」がマスメディアに紹介されたのは、1970年代の雑誌や書物の中でした。以来、寿司の数を言う時に「貫」を使うことが人々に広まっていき、すっかり定着していきました。

果たして寿司の単位を「貫」とするのは正しいのでしょうか。「貫」の意味や、由来などについても紹介していきます。

握り寿司や軍艦巻きは「貫」

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寿司の数え方は実に多様です。巻き寿司は出来上がり時は一巻でも、カットをすると1切れもしくは1個になります。いなり寿司や卵でくるまれた茶巾寿司は1個、手巻き寿司になると1本です。また、寿司を家で食べる場合、折り詰めに入れたら1折、桶に入っていたら1桶、と状況によって寿司は様々な単位を使います。

そんな中、握り寿司なら先ほど紹介したように1貫です。他の寿司の単位は「個」や「切れ」などよく使うものであるのに対し、この「貫」だけがあまりどころか、ほとんど使うことのない単位です。

なぜ、握り寿司には「貫」が使われるようになったのでしょう。そして、そもそもこの「貫」とはどのような意味なのでしょうか。

寿司の数え方「貫」の意味

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それでは「貫」について説明していきます。まずはそもそも「貫」とは何を意味する単位であるかについてです。数の数え方の単位といえば、先ほどの「個」や「切れ」以外にも「枚」「片」、動物であれば「匹」「頭」「羽」などを様々な種類の単位を使いますが、どこにも「貫」は使われていません。

「貫」には「貫通」や「一貫性」という言葉がありますが、数え方の単位には特に関係していません。「貫」はどのような時に使う単位なのでしょう。

「貫」は質量の単位

「個」や「枚」「頭」などはすべて、食べ物や動物など物体を数える時の単位でしたが、「貫」とは質量の単位を表します。質量とは物体が持っている重さや長さのことで、質量の単位とはつまりキログラムやメートルなどを意味します。それでもやはり、普段は「貫」を使うことはないですし、耳にすることもありません。

「尺貫法」という言葉を聞いたことはないでしょうか。1958年に使用が禁止された計量の単位ですが、それまでは一般的に使われていました。「貫」の文字が出てきているように、その頃までは重さの単位として「貫」は用いられていたのです。

寿司の数え方「貫」の由来

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そのような質量の単位がなぜ、寿司の数え方である「貫」として使われるようになったのでしょう。

「1貫」とは現在の3.75kgをさします。江戸時代の寿司は1貫が3.75kgもあったということなのでしょうか。どのような由来で「貫」が使われるようになったのかを紹介します。

貫には様々な説が存在する

寿司の数え方の単位に「貫」が使われるようになった由来には諸説あります。寿司職人の間に「2カン(もしくは5カン)のチャンチキ」という言葉があります。これは「寿司2貫(5貫)と海苔巻き1本」をさすと伝えられています。

余談ですが「チャンチキ」とは太鼓を「チャンチキチキ」と叩く音が由来です。江戸時代、海苔巻きを3等分し、1切れは横長に、残り2切れはそこにクロスするように置きました。その2切れを太鼓のばちに見立てたことから、チャンチキと呼ぶようになりました。

1970年代に雑誌や書物で「寿司の数え方は貫」と最初に紹介した時は具体的な理由まで記されていませんでした。なので、現在でも決定的な裏付けのある理由は見つかっていません。それでは由来となっている仮説とその意味を紹介していきましょう。

海苔巻きの巻物を一巻と数えた

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ひとつめの由来は「海苔巻きの巻物を一巻と数えた」です。巻物の数え方は漢数字で書いて「一巻」とするのが普通です。この「一巻」という漢字は「ひとまき」とも「いっかん」とも読めます。この「巻」を「かん」と読むことから寿司の単位を「貫」とするという仮説が生まれました。

しかしこの海苔巻き一巻をそのまま食べる時といえば、ここ最近になって定着した節分での恵方巻ぐらいです。普段は1切れずつに切って食べるのが普通です。

加えて、「貫」は海苔巻きではなく、握り寿司の単位として使われています。よって、この説には少し無理があるでしょう。

重さの単位の「貫」からきた

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ふたつめは「重さの単位の「貫」からきた」です。先ほど説明したように、「貫」は「個」や「匹」とは違い、質量である重さの単位です。1貫を現在で使う単位に直すと3.75kgです。寿司1個にしてはかなりの重さです。

しかし、江戸時代の寿司の重さは40gほどでした。3.75kgにはほど遠い数字です。これは寿司の重さではなく、別の重さを示しています。

それは、寿司を握る時に「1貫の氷を重しにするぐらい」しっかり握るよう伝えたという、力加減を意味する重さです。そのため「貫」と呼ばれるようになったという説があります。

とは言っても3.75kgの重さというのはかなりの重量なので、寿司飯をよほど強く握ることになります。こちらはあくまでも例え話として使われていたのでしょう。

江戸時代の穴あき銭と同じ重さ

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次は「江戸時代の穴あき銭と同じ重さ」です。穴あき銭、つまり一文銭の重さは3.75gでした。江戸時代、一文銭100枚を縄や麻紐で通したものを「百文差」と言っており、同じように1000枚通したものは「一貫文差」と呼ばれていました。この「百文差」の重さが当時の寿司と同じ重さであり、それを誇張して1貫としたというのがこの説です。

一文銭100枚の重さは375gです。現在においてこの重さぐらいの身近なものと言えば、350mlのペットボトルになります。寿司1個がペットボトルに相当するというのはかなりの大きさになります。なのでこの説もやはり無理があります。

もっとも、現存している江戸にあった寿司屋の寿司を描いた図には、12cmほどの鮎の姿寿司が見られます。これを参考にしているとしたらこの説は通ります。

「貫」という漢字の由来

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様々な国語辞典には寿司の単位として「カン」が載っていても、漢字に関しては「貫」だとは明確に書かれていません。多くが当て字であるとして「貫」と「巻」の2種類を掲載しています。これは発祥が明確ではないためです。

確かに、今まで紹介した中で質量の単位としての「貫」や数え方としての「巻」が登場しました。つまり、これらをふまえての当て字ということになります。

寿司の数え方の歴史とは

数え方の前に寿司の歴史について少し触れます。握り寿司が誕生したのは江戸時代です。江戸の町で江戸前、すなわち江戸湾で採れる新鮮な魚介類を寿司に使用して提供されたのが始まりでした。

それまでの寿司には、発酵させて作るなれずしが奈良時代、京都や滋賀にありました。また関西地方では箱寿司、押し寿司などが食されていました。

誰が握り寿司を考案したかには諸説があります。江戸時代に寿司店を開いた「与兵衛鮓」の華屋与兵衛の曾孫が文献に記してました。そこには、与兵衛以前にも他の誰かが握鮓(当時の表記)を出したが、始祖といえるのは与兵衛であると書かれています。

一人前の握り寿司は9種類

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江戸時代、寿司は今のように1種類の寿司ネタごとに出てくるのではなく、9種類のネタが盛りつけられたものを1人前としていました。このなごりが今も、9種類の寿司を盛り付けた寿司屋のランチメニューとして残っています。

現在の握り寿司の重さはだいたい20gほどです。江戸時代では、先ほどの375gは重過ぎるにしても、現在の2~4倍はありました。なので、40~120gです。つまり、9種類のネタが盛り付けられた1人前の寿司の重さは40g×9個で360gとなります。

重さの単位である1貫は3750gなので、約1/10の重さです。しかし、これを江戸っ子たちは気前よく「目方1貫分の握り寿司」と言って、寿司の数え方として定着したという説もあります。

寿司の数え方は江戸時代の握り寿司が大きく影響!

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以上のように、寿司の数え方については江戸時代から始まった握り寿司が大きく影響していますが、どれも「説」であって、決め手に欠けるものばかりでした。

その当時、せっかちな江戸っ子たちは手早く食べることを好むため、現在の2倍以上ある寿司の大きさが一般的となっていました。そしてそれが、「貫」という単位になったきっかけとなりました。

与謝蕪村や小林一茶も句の中に寿司(当時の表記は鮓)が登場しているほど、江戸の人たちに寿司は好まれていました。寿司は、今も昔の人々の身近にあります。

とりほ
ライター

とりほ

2019年6月よりキュレーション記事や署名記事を書いております。趣味は手仕事と読書と映画・演劇鑑賞です。個人でもTwitterやBlogをして発信中です。

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