「時節」の意味とは?使い方や読み方を例文付きで分かりやすく解説!

「時節」の意味とは?使い方や読み方を例文付きで分かりやすく解説!

季節や時期の意味としてよく使われる「時節(じせつ)」を深掘りしてみました。意味は複数あり、それぞれ使い方が異なります。時節の類義語や英語訳、間違えやすい表現も合わせて紹介します。正しい使い方を覚えて、さらっと使いこなしたい言葉です。

記事の目次

  1. 1.時節の意味とは?
  2. 2.時節の由来
  3. 3.時節の特徴
  4. 4.時節の類語
  5. 5.時節の使い方
  6. 6.時節は「季節」「(世の中の)情勢」「時期」という意味

時節の意味とは?

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時節の読み方は、「じせつ」です。意味は大きく分けて3つあり、自然の移り変わりを指す時(とき)の流れや世の中の状況・社会の情勢、そして物事を行う時期・機会のことです。時節は、季節だけでなく現在の状況や物事に着手するタイミングを意味する言葉としてよく使われます。

「時節」は、古文にもよく出てくる言葉です。現代では、なんのためらいもなく時節(じせつ)と読みますが、「とき」や「をりふし」という読み方がありました。「時節」の読み方を「とき」と読む例は、徳富蘆花の『不如帰(ほととぎす)』があげられます。

また、「時節」を「をりふし」と読む例は、上田敏の『海潮音』です。「とき」や「をりふし」の読み方は、旧字や新字、旧かなや新かなが使われた時代背景があるのでしょう。

時節の由来

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時節には3つの意味があり、場面に応じた使い方が必要です。時節の意味を把握して、使い方をしっかりと考えましょう。時節は、読み方を訓読みにして分解すると、言葉の由来がよくわかります。

時(とき)は、時間が流れていく現象を指します。代表的な意味は、時刻や時代、時点、時間などです。節(ふし)は、何かの区切りとなる場所や地点を指す意味があります。ビジネスの場面では、機会や時期などの意味で使われることが多いでしょう。

時節を「とき」や「をりふし」と読んでいた時代は明治の頃ですので、漢字やひらがなの使い方がまだ一定していなかったことが考えられます。「をりふし」は「折節」が当てられているので、似たような意味で1つの読み方ができあがったのでしょう。

時節の特徴

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時節の特徴の1つは、季節と同じ意味を持つ挨拶の言葉として使われます。2つめは、時間の経過やある時点を指す使い方、行動するタイミングを指す使い方です。示している時間の長さが異なりますが、「とき」でまとめられます。

時節の使い方によって類語が異なりますので、文脈から意味を把握しましょう。場面により類語を使ってわかりやすく表現すると、相手の不安感を取り除くことができ、思い違いや認識の相違を防げます。

挨拶の意味

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時節で季節や気候のことを表現する場合、挨拶の意味を兼ねている場合が多いです。手紙文の前文として、「少しずつ春めいてくる時節になりました。」などの例文が一般的です。

時節に「柄(がら)」をつけた読み方は、「時節柄(じせつがら)」です。時節柄は、「時節に相応して」という意味になり、季節の挨拶以外の意味も含まれています。特定の時期を示さずに、挨拶として「時節柄、ご自愛ください。」と文書の結びに使えるので重宝な一文です。

また、ビジネス上の特定の時期を指して「時節柄」と使うことができます。挨拶文として「時節柄お忙しいことと存じますが」とした場合、「業界の繁忙期でお忙しいでしょうが」という意味を含んでいます。日本語らしい相手への気遣いの表現として使いたい一文です。

時期の意味

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時節には「時期」の意味があります。何かの行動を起こすによい機会であるという意味です。一定の長さの時間を表す場合や「今」のタイミングというある時点の「とき」を指すこともあります。

「時節に合う」は、よく使われる言葉で、世の中の出来事や情勢と自分の行動が比較する場面で使うことが多いでしょう。例文として、「業績がよくないのに、高級な社用車に買い換えるのは時節に合わない」などです。言葉を言い換えると「状況」や「情勢」が当てはまるでしょう。

「時節を待つ」は「チャンスが来るのを待つ」という意味です。一見すると受け身に見えますが、内心はアンテナを張り巡らしているような場面でしょう。例文としては、「時節を待って支店を立ち上げる」という使い方です。

時節の類語

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時節の類語は、複数の意味から適切な表現を選びます。例えば、季節の意味の類語は、候や季節、シーズンなどが当たります。機会の意味では、状況や情勢などがあります。時期の意味としては、好機や潮時、チャンスなどがよく使われます。

数ある類語の中から、季節の意味と機会の意味の使い方を紹介します。例文を参考に自分で使いやすい定型文を作成しておくとよいでしょう。時節は使いやすい言葉ですので、間違えやすい点を集中的に学ぶのもよい方法です。

季節という意味の類語

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時節の類語として「季節」があげられます。同意義ですから、区別なく使えます。四季の風情を表して、手紙や文書の挨拶文の中でよく見受けられます。例えば、「色とりどりの花を見かける季節になってきました。」などです。

時節に似ている言葉の中で間違えやすい表現は、「時節の折」や「時節の候」があります。「折」や「候」に季節の意味があるため、「時候の折」は「季節の季節」と意味をなさず不適切です。同じ意味が重複するため間違った使い方であると覚えておきましょう。

世の中の情勢という意味の類語

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時節には、世の中の状況や情勢という意味があります。視野の広い内容で、政治や経済、社会情勢などの話題を取り上げる場合に使えます。会話や文書の内容に応じて使われている意味を察しましょう。

「時節に合う」という使い方があります。その場の状況に応じて、世の情勢と照らし合わせてと言い換えることができます。例としては「時節に合った行動が求められます。」などです。

時節の使い方

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時節の使い方を意味に応じた例文を使って紹介します。季節の意味の使い方は分かりやすいですが、世の中の情勢や時期、機会などの意味は、話題全体から判断するとよいでしょう。

時節を英語訳する場合も、もとの意味に応じて使い分けします。季節以外の意味は場面に応じて言い回しがあり、英語特有の慣用句が使われることがあります。ビジネスでよく英語を使われる方は、下準備をしておくとよいでしょう。

例文①

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「時節」を季節の意味で使う場合、間違えやすい表現があります。例文として、「桜の咲く時節となりました。」などがあります。手紙の前文で「候」を使う定型文言に対して、候の代わりに時節を使うことはしません。「新緑の候」を「新緑の時節」とは使わないので注意しましょう。

「時節」を使う相手は誰でもよいですが、「時節柄」とした場合には、注意が必要です。「時節柄、ご自愛ください。」は、相手が健康の場合に使える気遣いの表現です。挨拶の定型文としてよく使われるので、使えない場面があることを押さえておきましょう。

例文②

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「時節」を「世の中の情勢」という意味で使う場合の例文を紹介しましょう。「2009年のインフルエンザが流行した時節と同じようにマスクが不足しています。」などです。ある時点の世の中の動きや状況で一定の期間の幅があり、時節を時期と言い換えることができます。

他に「国内の時節に不安があるので、旅行は控えた方がよいでしょう。」などの例文ができます。話題に上っている内容が広い視点から見ている表現に時節が使われています。

例文③

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時節を時期や機会を意味する例文としては、「自分にとって大切な人と関わる時節が巡ってきました。」などと使えます。会話中は、類語の時期や機会という言葉がより簡単で意味がわかりやすい場合もあるでしょう。

「時節を待つ」「チャンスを待つ」「機会を待つ」「好機を待つ」などと言い換えることができます。場面に応じた言葉を選択できる力をつけましょう。類語を上手に交えて誤解のないような意思疎通がよいです。

例文④

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時節を英語訳する場合、意味に応じて使い分けます。時節を季節の意味で使う場合は、「season」や「time」などがあり、文脈に応じた英語を工夫しましょう。例えば、「in all season's」「at this time of year」などが一例です。

世の中の情勢という意味で使う場合は、「social conditions」や「social situation」など以外にも適切な英語表現があるので、その場にふさわしい英単語を選びましょう。

さらに、機会や時期という意味であれば、英語訳は「opprtunity」や「chance」を使うことが多いでしょう。「improve the opprtunity」や「Now is your chance.」などの例文があげられます。

時節は「季節」「(世の中の)情勢」「時期」という意味

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時節は、「季節」「(世の中の)情勢」「時期」と大きく分けて3種類の意味があります。「時節柄」という場合は、季節のことだけでなくビジネス上のある一定の期間を指すこともあります。

時節の類語は意味によって異なるので、文脈全体を意識して選択しましょう。世の中の状況を示したり、個人の好機を指したりできるため、時節は多くの場面で使うことができます。

buusencho_sunu
ライター

buusencho_sunu

活字が大好きで、読書と言えば紙の本、和文化が好きで茶道を勉強中です。どちらも終わりがないので、一生続けることができるのが幸せです。物事を調べる楽しさを知って毎日奮闘しているこの頃です。人の役に立てるような文章を書くことを目指しています。

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