「滅相もない」の意味や使い方を解説!敬語表現もマスターしよう!

「滅相もない」の意味や使い方を解説!敬語表現もマスターしよう!

「滅相もない」を何気なく使っている人はいませんか。「滅相もない」は昔からる日本語ですが、きちんと意味を理解して使っているという人は少ないです。そこで今回は、「滅相もない」の意味や敬語表現、正しい使い方をご紹介していきます。「滅相もない」の理解を深めましょう。

記事の目次

  1. 1.「滅相もない」の意味とは?
  2. 2.「滅相もない」の由来
  3. 3.「滅相もない」の特徴
  4. 4.「滅相もない」の類語
  5. 5.「滅相もない」の使い方
  6. 6.「滅相もない」の使い方の注意点
  7. 7.「滅相もない」は謙遜を表現する「とんでもない」という意味

「滅相もない」の意味とは?

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時代劇のTV番組などで、上の者から下の者へ恐縮するようなことを言われた場合、「滅相もない!」と頭を下げているシーンを見たことがあるという人も多いでしょう。

「滅相もない」は「めっそうもない」と読み、現代でもビジネスシーンではよく耳にすることも多い言葉です。そのため、何となくニュアンスはわかるものの、ふわっとした理解で使っている人も多いのではないでしょうか。まずは、「滅相もない」の正しい意味を理解しましょう。

「滅相もない」の意味は「とんでもない」

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「滅相もない」の意味としては、「とんでもない」になります。この「とんでもない」というのは否定的ではなく、「私にはもったいないです」などといったように謙虚さを表現しています。

時代劇で言えば、「褒美をつかわす」と言われ、家臣が「滅相もございません!」と答えているシーンがわかりやすいのではないでしょうか。「滅相もない」は、上司など目上の人に対して使う言葉で、「私なんてとんでもないです」などといったように謙遜している言葉になります。

つまり、目上の人が言ってくれたことを、身に余るとして否定するときに「そんなことないですよ」という意味で使う言葉です。

「滅相もない」には相手の言葉を否定する意味がある

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「滅相もない」は「とんでもない」という謙遜の意味がありつつも、一方で強く否定するときにも使うことが多い表現です。例えば、あらぬ疑いや誤解が生じたときに、それを正すために、「ありえない!」と強く否定する意味で使います。

上司が部下に「この発注した?数を間違えて、先方が困っているよ」と言われ、「滅相もないことです!私じゃないですよ」といったような使い方をするので覚えておきましょう。

特に、上司に対しては「滅相もないの類語」でも詳しくご紹介する「とんでもない」という類語表現はしません。「滅相もないことです」と敬語表現を使うようにしてください。

「滅相もない」の由来

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「滅相もない」の由来としては、仏教用語から来ています。仏教では、「四相(しそう)」といって物事の移り変わりを、生・住・異・滅の4段階で表現することがあります。

「四相」の意味としては、「生相(せいそう)」で生まれるを、「住相(じゅうそう)」で存在する(生きる)こと、「異相(いそう)」で変化する(老いる)、「滅相(めつそう)」で消える(死ぬ)ことになります。

この消えて死んでしまう「滅相」が「滅相もない」の由来といわれています。「滅相」は命が消えてしまうことから「滅相どころではない」が転じ、「滅相もない」と使われるようになったと言われています。

「滅相もない」の特徴

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「このお品をどうぞお持ちになってください」「滅相もないです。いただけません」といった会話を聞くと、どんなイメージが浮かぶでしょうか。「滅相もない」には、「いえいえとんでもないです。恐縮です」などといったように、少し遠慮するようなイメージを持つという人も多いでしょう。

もちろんそのイメージで間違いではないですが、「滅相もない」の特徴を捉えることでより深く意味を取られることができるので、ご紹介していきます。

「滅相もない」には謙遜する意味がある

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「滅相もない」の一番の特徴としては、自分をへりくだって言う謙遜の言葉であるということです。一番わかりやすい使い方としては、相手から褒められた場合に謙遜するために「滅相もないです」といった形になります。

相手から褒められても、素直に「そうなんです」と答えてしまうと、「え、自信過剰では?」といったような印象を持たれる可能性があります。また、謙遜したつもりで「そんなことないです」では、相手の褒めた好意に対して失礼に当たります。

そのため、相手から褒められた場合の謙遜の仕方として「滅相もない」という言葉を使うようにしましょう。「今回のプレゼンは素晴らしい出来だったよ」「滅相もないです。ありがとうございます」といった使い方をします。

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自分をへりくだるという行為自体、外国から見ると珍しい文化です。「滅相もない」という言葉も日本独特のものともいえ、謙虚な姿勢を見せることができます。謙遜しつつも、褒めてくれたことに感謝や、他の尽力があったことを伝えられると、より円滑な人間関係を築くことが可能です。

「滅相もない」は簡単な英語で表現できる

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「滅相もない」の意味を考えると、英語での表現は難しくなると思う人もいるでしょう。確かに、「滅相もない」は奥ゆかしさが感じられる日本独特の言葉ですが、英語で表現するのは以外と簡単です。

「滅相もない」を英語で表現する場合、「Don't be absurd」や「That's out of the question」といったものになります。「Don't be absurd」は直訳すると「ばかげたことをいうな」となりますが、「滅相もない」を否定的な意味で使う場合は、「Don't be absurd」で表現します。

「That's out of the question」を直訳すると「それは問題外だ」という意味になりますが、例えば、何かトラブルがあって取引先の人が謝罪をしてきた場合、「That's out of the question」を使って、全く問題ないですという意味を伝えることができます。

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後述でご紹介する「滅相もないの類語」の「恐縮です」も「Sorry to trouble you」と英語で表現することが可能です。また、同じく類語の「お気遣いありがとうございます」も「I appreciate the concern」や「Thank you for your concern」と表現することが可能です。

このように、「滅相もない」と聞くと英語表現は難しく感じても、ニュアンスが同じ類語であれば簡単に表現することもできます。

「滅相もない」は謝罪に使わない

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「滅相もない」は、謙遜と謙虚さを示す言葉であるとお話ししました。注意してほしいのが、謙虚さを表現するとしても、謝罪の返答としては使われることが、ほぼないということです。

「滅相もない」には謙遜と謙虚さを感じまう。そのため、「滅相もない」を謝罪に対しての返答に使ってもいいと思う人も多いでしょう。しかし、謝罪に対して「滅相もないです」を使うことは、次の例文のようなシュチュエーションであることが多いです。

「今回の件は誠に申し訳ございませんでした」「滅相もない!こちらも確認のミスがありましたので、気になさらないでください」など、相手が謝罪したことに謙遜し、相手を気遣う使い方になるので覚えておきましょう。決して、自分の謝罪としては使いません。

「滅相もない」の類語

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たとえば、友人同士で「今のナイスプレイだな!」「滅相もない!」といった会話をしていたらどう思いますか?多くの人が違和感を感じるのではないでしょうか。

「滅相もない」はやや堅苦しく、友人同士で使うには表現としては適さない印象があります。また、目上の人との会話であっても、少しフランクな言葉で会話ができる先輩である場合では、「滅相もない」という言葉は向きません。

そのため、同じ意味を持つ類語に言い換える必要があります。「滅相もない」には、たくさんの類語があるので例文と共にご紹介していきましょう。

①類語「決してそんなことはない」

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「滅相もない」の類語として、「決してそんなことはない」という言葉があります。「滅相もない」よりも、謙遜や謙虚さといった印象はやや薄れます。次の例文を見てみましょう。

「あなたのおかげで完成しました」「いえ!滅相もありません。みんなで協力したからですよ」といった会話では、硬いイメージを持ちます。しかし、「いえ!決してそんなことはないです。みんなで協力したからですよ」だと、少し近い関係性に感じるでしょう。

使う相手によっては、「滅相もない」よりも少しフランクに「決してそんなことはない」を用いた方が適切な表現になります。

②類語「とんでもない」

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冒頭で、「滅相もない」には「とんでもない」という意味があるというお話しをしましたが、この「とんでもない」という表現は類語になります。

「君のおかげで売り上げが伸びたよ」「とんでもないです。皆さんが率先して販売してくれたからですよ」などといったような使い方をします。

もし相手が目上の人であれば、「とんでもない」を「滅相もありません。皆さんが率先して販売してくれたおかげです」などといったように言い換えて使うことが可能です。

③類語「恐れ入ります」

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目上の人に対しての使う「滅相もない」の類語として「恐れいります」もあります。「恐れ入ります」はもともと、相手の行為に感謝して恐縮するという意味があるため、「ありがとうございます」「私なんてまだまだです」といった意味で、「滅相もない」と言い換えができる類語になります。

例文としては、「企画書、さすがだったよ」「恐れ入ります。今後も頑張ります」や、「この間はありがとう。妻も喜んでいたよ」「恐れ入ります。喜んでいただけて幸いです」といったような使い方になります。

もちろん、「企画書、さすがだったよ」「滅相もないことでございます。今後も頑張ります」といったように、言い換えることも可能です。

④類語「恐縮です」

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「恐れ入ります」と同じように、相手の褒め言葉に対し謙遜を示す類語として「恐縮です」もあります。「大したことではありません」や「ありがとうございます」といった意味があり、ビジネスシーンでもよく使われる言葉です。

「一時はどうなるかとハラハラしました。あなたの対応のおかげです。」「大変恐縮です。何よりも無事に終わってよかったですね。」や「この間の原本、直しがなくてよかったよ。成長したな」「恐縮です。もっとできるよう精進していきます」

例文のように、先輩や取引先の人に褒められた場合に、謙遜を表現するときに「恐縮です」を使うことができる類語です。「滅相もない」と同様に謙遜する姿勢を表現するために使い、同僚や友達には適していない言葉なので覚えておきましょう。

⑤類語「濡れ衣」

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「滅相もない」には、あらぬ疑いをかけられたときにも使うというお話しをしました。その場合の類語としては「濡れ衣」があります。上司からあらぬ疑いをかけられたとき、次のようになります。

「これをやったのはきみだね?」「それは濡れ衣です!私じゃありません」といったように、「濡れ衣」は「滅相もない」に比べて強い否定的な表現になり、「私は無実だと」切実に訴える言葉です。

そのため、疑いをかけられたときも「濡れ衣」を使うべきか、「滅相もない」を使うべきか迷うケースもありますが、今後も良好な関係を続けるには「濡れ衣」という強い否定よりも、相手を立てつつ否定できる「滅相もない」と否定を表現する方がおすすめです。

⑥類語「お気遣いありがとう」

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相手が気遣いを見せてくれた場合、感謝の意味を込めた類語として「お気遣いありがとうございます」があります。

取引先で会議が長引くことを予想し、お弁当など軽食を出してくれた場合、「滅相もないです。ありがとうございます」と伝えるのもいいですが、「お気遣いありがとうございます。ありがたくいただきます」と表現することもできます。

「滅相もない」に比べて「お気遣いありがとうございます」は、気遣いに気づいていますと相手に示したり、感謝を伝えることが可能です。取引先の人もすがすがしい気持ちになるでしょう。

「滅相もない」の使い方

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ここからは「滅相もない」の使い方をご紹介しましょう。「滅相もない」は相手によって使い分ける必要があります。また、謙遜するのか相手の言葉を否定するのかによって使い方も異なるので確認しましょう。例文と一緒にお話しするので、ぜひ参考にしてください。

例文①

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「滅相もない」の使い方は、謙虚な気持ちを表すときに多く用いられるとお話ししました。次のような例文をご紹介しましょう。

「立派な息子さんですね」と言われたら「滅相もない。まだまだ手のかかる息子ですよ」や、「会社の業績がいいようで、もう安泰なんじゃないですか」「滅相もない。御社のおかげでここまで来れました。」などといったように褒められた場合の受け答えといった形の使い方をします。

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ただ、先にお話ししたように、類語の謙遜する意味のことばであっても、「そんなことでないです」では、少々フランクな印象を与えてしまうこともあるので覚えておきましょう。

友人間など距離が近い相手には「そんなことないですよ」などと類語を使用するのは問題ありませんが、ビジネスシーンで「そんなことないですよ」を使うと、「TPOがなっていない」と判断されかねません。ビジネスシーンでは、敬語で「滅相もないことです」を使いましょう。

例文②

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「滅相もない」には謙遜ではありますが、相手のいったことを強く否定する言葉としても使うことができます。

例えば、「とってもいい演奏でしたよ。」「滅相もない!あんなガタガタな演奏をしてお恥ずかしい」や「あなたが対応したんですか?」「滅相もない!私は書庫で資料を探しておりました」などといった使い方があります。

あらぬ疑いをかけられたときなど、謙虚さを示しつつ違うことは違うということを伝えるために「滅相もない」を使って表現するので覚えておいてください。

例文③

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「滅相もない」は否定する意味もあります。しかし、もっと柔らかく謙遜して断るというときにも使われることが多い言葉です。例文を見てみましょう。

「今までよりも重大な責任のある仕事を担当するなんて、私には滅相もないです」「頼りにしてくださるなんて、滅相もないことです。私には荷が重すぎます。」例文のニュアンスでも伝わるように、「私にはもったいない」という意味でも「滅相もない」という表現をします。

「できません」と断るよりも、任せられたことに嬉しさを感じつつも、断らなければいけない感情を表現するため、「滅相もない」を使った方が柔らかく伝えることができるでしょう。

例文④

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「滅相もない」の使い方によって、嬉しさを謙遜しつつも伝えることができます。例えば、お客様から褒めてもらえたとき、「佐藤様からそう言っていただけるなんて、滅相もないです。今後も誠心誠意対応させていただきます」などとった会話ができます。

褒めてもらって身に余ると感じつつも、感謝を伝えることができるので、「滅相もありません。今後も誠心誠意対応させていただきます」よりも柔らかく感じるでしょう。

「滅相もない」の使い方の注意点

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個々では、「滅相もない」の注意点についてお話ししていきます。注意点をよく理解していなければ、間違った使い方をしてしまうことも考えられます。

また、目上の人に使う場合、敬語にして使うことが望ましいですが、注意点してほしいポイントがあります。例文を用いて表現方法の注意点について解説していくので、理解を深めていきましょう。

「滅相もない」は強い否定に感じることがある

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「滅相もない」の使い方によっては、相手からすると強い否定の言葉に感じることがあります。そのため、否定の意味を込めて「滅相もない」を使う場合は、強くなりすぎないように注意が必要です。

たとえば、「私がやったなんて滅相もない!」と言われるとどんな印象を持つでしょうか。敬語であり謙遜はしているものの、表現としては「私がやったなんて考えられない!」「私がやったなんてありえない!」といったように強めの否定といった印象を持つ人も多いでしょう。

先にお話ししたように、「滅相もない」には相手が言った言葉を強く否定する言葉としても使われることがあります。しかし、相手を否定する分、言い方に気をつけなくては相手に不快な思いをさせてしまうことがあるので注意しましょう。

「滅相もございません」は間違い

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冒頭で、「滅相もないの意味」をご紹介したときに、時代劇にある「褒美をつかわす」「滅相もございません」という会話を例にお話しをしました。この会話に違和感を感じなかった人も多いのではないでしょうか。「滅相もございません」は敬語なので問題ないと思うでしょう。

実は、「滅相もございません」という言葉は、敬語表現として疑問視されている分でもあります。「滅相もない」というのは形容詞です。つまり「滅相」と「ない」に分かれた単語というわけではなく、「滅相もない」で一つの単語になることになります。

そのため、「滅相もございません」となると「滅相」と「ございません(敬語)」となり、「滅相もない」の敬語にはならないのです。とはいえ、上司に向かって「滅相もない」というのは、敬語ではないので適しません。

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目上の人に向かって「滅相もない」を使う場合、敬語表現にして伝える必要があります。「滅相もない」を敬語にする場合、「滅相もないことです」や、「滅相もないことでございます」と表現しましょう。

例文としては、上司より「今回の活躍はすばらしかったね。今後も期待しているよ」と言われた場合、「滅相もない」を敬語表現にすると、「滅相もないことです。チームで全力を出し切ったおかげです」といったようになります。

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また、類語である「とんでもない」を敬語表現にする場合、「とんでもございません」とはなりません。やはり「滅相もない」と同じように、「とんでも」と「ない」を分けて考えずに「とんでもない」で一つの単語になるためです。

「とんでもない」を敬語表現にする場合は、「とんでもないことです」や「とんでもないことでございます」といった使い方をします。

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ただし、文法的には「滅相もございません」が間違っていたとしても、日々言葉は進化し変化していくものです。現在では「滅相もございません」「とんでもございません」も問題がないという見方もあります。臨機応変に対応していくようにしましょう。

「滅相もない」は謙遜を表現する「とんでもない」という意味

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ここまで、ビジネスでも使うことが多い「滅相もない」の意味や敬語表現、使うときに注意点などを例文と共にお話ししました。

「滅相もない」には、謙遜し謙虚さを表現する「とんでもない」などといった意味と、あらなぬ誤解が生じた場合に否定する意味があります。いずれも、上司や先輩など目上の人に向かって使う言葉なので、同僚や友人に使うのは正しい使い方ではありません。

「滅相もない」は意味をニュアンスでとらえ理解していたとしても、正しく理解している人は以外と少ないです。これを機会に、「滅相もない」を正しく使い、語彙力の向上を目指しましょう!

なーこ
ライター

なーこ

子どもが大きくなりフリーのWEBライターを始めて早数年。自分の語彙力のなさを持ち前の探求心でカバーし、日々奮闘中です。子育て・教育・生活・お寺・婚活・クレジットカードなどさまざまなジャンルの経験を活かしつつ、役立つ情報を正確にお届けします。

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