ケサランパサランは実在する?
今のところ、ケサランパサランが実在することを裏付ける、確固たる証拠はありませんが、ケサランパサランには古くから多くの伝説が存在します。
また日本各地において,さらに世界各地においても多数の目撃情報があり、その正体や逸話に、現在も多くの人々が魅了され続けています。
伝説の未確認生物
「民間伝承上の謎の生物」とされているケサランパサラン。その見た目は、タンポポの綿毛やウサギのしっぽのように白くふわふわしていて、空中を浮遊していると言われています。
また、大きさは手のひらに乗る程度の小ぶりなサイズですが、一つひとつに力を宿し、人の運気に大きく影響すると言われています。
日本に古来から生息していたものなのか、外国から飛来してきたものなのか、はたまた貿易などで輸入されてきたものなのか。その起源についても、やはり謎が多く、未確認のままです。
ケサランパサランの語源
ケサランパサランの語源には、幾つかの説があります。1つ目はスペイン語説「Que Será Será (ケセラセラ)」 であり、「何とかなるさ」という意味です。
2つめは梵語(古代インドの伝承を基にした言葉)説「袈裟羅・婆裟羅」です。袈裟は仏教の僧侶が身に着ける衣装であり、婆裟羅は自由奔放な様子を表し、風になびいてふわふわとあちらこちらに飛んでいる様子を思い浮かべることができます。
3つめは「平佐羅婆佐留(へいさるばさる)」と言われる、牛や馬などの獣の体内で生産される結石や胆石で、漢方薬材料に使われているものです。
そして4つめは「何とかなるさ」という意味の東北地方の方言です。いずれも語源になりうる有力説ですが、断言できる決め手はありません。
1970年代におこったケサランパサランブーム
ケサランパサランの話は、古くから東北地方の一部で代々受け継がれていましたが、1970年代後半に朝日新聞に取り上げられたことがきっかけに、日本で大ブームを引きおこしました。
これを皮切りに、各メディアでこぞってケサランパサランを取り上げ、子ども達をはじめとする多くの人々は、伝説の未確認生物ケサランパサランを手に入れようと、空を見上げたり、自然豊かな野を探し回ったりしました。
ケサランパサランの伝説
ケサランパサランは江戸時代の百科事典「和漢三才図会」にも記載されていることから、江戸時代にはすでに存在が確認され、話題になっていたこともわかります。
そして「未確認生物」といわれている割には、実在を思わせるリアルな話が多数存在します。続いてケサランパサランにまつわる伝説を紹介します。
見たら幸せになるという伝説
ケサランパサランに関わる伝説は多くあり、地域によって多少の違いはあります。その中でも特に多いのは、ケサランパサランは小さな個体一つひとつに力を宿しており、見つけると幸せになるというお話です。
しかし、ケサランパサランを見たことや、捕まえたことを他の人に話してしたり、捕まえたケサランパサランを他の人に見せたりすると、幸せになる効力が無くなってしまうと言われています。
また、捕まえてきて家で育てる時は、「1年に1度しか見てはいけない」とされ、これも守らないと幸せが逃げてしまうので、育てる時にも注意が必要です。
ケサランパサランは代々受け継がれてきた
東北地方のとある地域では、自分はもちろんのこと、子孫まで末永く幸せであることを願い、ケサランパサランを代々受け継いできていると言われています。
ただし、ケサランパサランを捕まえたことを話したり、正体を見せたりすると幸せの効力が無くなってしまうため、一体誰の家にケサランパサランがいるか、周りの人々は実在することを知る由もありませんでした。
ケサランパサランの寿命や生態
では、実際に見つけたケサランパサランを家に持ち帰り、育てたり、増やしたりするためには、ケサランパサランが一体どんな生態であるかを知る必要があります。続いて、ケサランパサランはどんな生態で、またどのくらいの寿命があるのかについて説明します。
ケサランパサランの寿命は不明
ケサランパサランは、分裂して増えますが、その寿命は2~3年と言われており、寿命になると色あせて崩れてしまうと言われています。
しかし、1年に1度しか見られないこと、またどれも同じような形態をしていて、一つひとつの見分けがつきにくいことなどから、実際にはどのくらい生きていたのかを判断することは難しいです。
ケサランパサランの生態は生き物
「ケサランパサランは、餌を与えると分裂して増えたり、数年で色あせて崩れてしまう」などの様子から判断すると、その正体は生き物ではないかと推測できます。
また様々な情報から、人々は捕まえたケサランパサランを生き物として大切に扱い、餌を与えて育てていた様子をうかがうこともできます。
ケサランパサランの正体は諸説がある
ケサランパサランの生態は、科学的に解明されておらず未だはっきりしません。では、ケサランパサランの正体は一体何なのでしょうか。
存在自体は未確認ではありますが、その正体については、生き物という説だけではなく、様々な説が存在します。続いて、ケサランパサランの正体についての諸説を紹介します。
ケサランパサランの正体①昆虫説
1つ目は昆虫説です。昆虫のなかでも「アオバハゴロモ」の幼虫は、ケサランパサランの特徴と似たような、白くてふわふわとした綿毛状の分泌物を身にまとっています。
しかし、幼虫のうちは羽はなく、ぴょんぴょん跳ねる程度であり、空中をふわふわ飛ぶといった様子ではありません。また、雪虫と言われるアブラムシ科の虫も、ふわふわとした体毛があり、こちらはかなり小ぶりですが一説とされています。
ケサランパサランの正体②妖怪説
次は、妖怪説です。「けうけげん」という妖怪が、ケサランパサランの正体と考えられていて、けうけげんは漢字表記で、毛羽毛現または希有希現とされています。
けうけげんは、鳥山石燕の画集「今昔百鬼拾遺」に出てくる日本妖怪であり、外見は毛むくじゃらの疫病神だと言われています。
ケサランパサランの正体③植物動物説
動物あるいは植物であるという説です。動物だとすれば、ワシやタカなどがウサギを食べ、排せつされたものに消化できなった毛が混ざり、それが乾燥や寒さで縮み球状になったものと考えられています。
植物であるとすれば、綿毛状の形体からいって、タンポポやあざみなどの何らかの植物に由来するものという説があり、今のところこちらが一番有力な説とされています。
ケサランパサランの正体④鉱物説
続いて鉱物説です。こちらは「オーケン石」で、別名ラビットテールといわれるようにふわふわとした見た目をしていて思わず触りたくなりますが、触るとすぐに壊れてしまうので取り扱いに注意が必要です。
しかしオーケン石は、インドのデカン高原などの一定条件が整ったところでしか産出されません。また、空中を浮遊したり、分裂して増えたり、餌を必要とするものではないため、ケサランパサランと見た目は一致しますが、違う可能性が高いです。
ケサランパサランはどこにいる?
ケサランパサランに関する話題は西洋にも実在し、「ゴッサマー(gossamer)」「エンゼルヘアー」と呼ばれる未確認生物が存在すると言われています。
これらはケサランパサランと同様のものだと考えられています。では日本においては、どこで見つけることができるのでしょうか。
日本全国で目撃例がある
ケサランパサランの伝説は、古くから東北地方に実在しますが、目撃情報は日本全国に及びます。そのため、どこにいても見つけられる可能性があります。
ケサランパサランは、別名ビワの木の精とも呼ばれ、ビワの木の辺りでの目撃情報が多くあります。ビワの木がある、自然豊かな場所で探してみると、見つかる可能性が高くなるかもしれません。
ケサランパサランは白粉を食べる
実はケサランパサランは、「白粉」つまり化粧道具の一つである「おしろい」を食べると言われています。おしろいとは、芸者さんなどが顔やデコルテを白く仕上げる時に使う、今でいうとファンデーションのような道具です。
もし実在するケサランパサランを捕まえたら、穴をあけて通気性をよくした桐箱の中に入れましょう。桐の素材は自ら乾湿の調整ができ、また断熱、防腐、防虫、殺虫の効果があるため、ケサランパサランは快適な環境で過ごすことができます。
そして、ケサランパサランの姿を見ないように気をつけながら、餌となるおしろいをあげることで育てることができます。
ケサランパサランは古くから言い伝えられる不思議な生物!
ケサランパサランは、様々な説や目撃情報はありますが、どれも実在するという決定的な証拠には至らず、謎が多い不思議な存在のままです。ふわふわ空中を浮遊し、見つけると幸せになるというケサランパサラン伝説は、後世にも言い伝えられることでしょう。