若干の意味とは?
「若干」「弱冠」という言葉を見たり聞いたりしたことがあるという人はかなり多いでしょう。ですが「若干」と「弱冠」の意味を正しく知っているという人はそう多くはありません。
「若干」も「弱冠」も読み方は同じで「じゃっかん」ですが、実はそれぞれ意味が違いますので使い方も異なります。「若干」と「弱冠」の違いについては後で詳しくご紹介します。
まずは「弱冠」より良く使われている「若干」という言葉にはいったいどのような意味があるのか、「若干」の意味についてご紹介しましょう。
いくらかという意味
「若干」の意味の一つ目は、「いくらか」です。「いくらか」の意味は「少しの数」「少しの量」といった意味で、何らかのものが少ししかないことを表現しています。
「若干」という言葉はかなり色々な場面で使うことができる言葉ですが、少しであることを意味する「いくらか」という意味で使われることが多いです。
ですが「若干」などという難しい言葉を使わなくても良い場合も多いですので、口頭では「少し」と言うことが多いと言えます。
「少し」を「若干」と言うのはビジネスシーンなどやや改まった場面のことが多く、「少し」では柔らかすぎる場合に「若干」と言います。
さほど多くないという意味
「若干」の意味の二つ目は、「さほど多くない」です。「さほど多くない」の意味は「それほどたくさんではない」ですので、「少し」よりはやや多いことを指します。
「若干」は「少し」を意味する「いくらか」という意味で使われることが多いですが、こちらの「さほど多くない」という意味で使われることもあります。
「さほど多くない」という意味での「若干」も数や量を表現する場合に使いますが、こちらの意味で「若干」を使うのもビジネスシーンなどの改まった場面が多いと言えます。
多少その気味があるという意味
「若干」の意味の三つ目は、「多少その気味がある」という意味です。「多少その気味がある」の意味は「少しその傾向にある」という意味になります。
「若干」には「いくらか」「さほど多くない」という数や量を表現する意味での使い方の他に、「多少その気味がある」という傾向を表現する意味での使い方があります。
「多少その気味がある」という意味で「若干」という言葉を使うのは、「少し体調が悪い」などということを表現する場合で、こういった使い方ならビジネスシーンではなく日常生活の中でも「若干」は使えます。
若干の由来
「若干」の意味についてご紹介しましたので、次は「若干」の由来についてご紹介します。日本語の中には故事成語などのように由来や語源がある言葉などもたくさんありますが、「若干」にも由来があります。
「若干」という言葉の由来は漢字からは想像がつかないという人が多いですが、実はこの「若干」という漢字の中に「若干」の由来があります。
「若干」という言葉の由来とはいったいどのような由来なのか、「若干」の由来についてもご紹介しましょう。
「一」と「十」を意味する「干」が由来
「若干」の由来は「一(いち)」と「十(じゅう)」を意味する「干」にあります。「干」という文字には「干す」「乾く」といった意味がありますが、「若干」の由来になるのは「干」のそれらの意味ではありません。
「干」という文字を二つに分けると「一」と「十」になりますが、このことから「干」には「一から十まで」という意味になります。
数や量で言えば「一から十まで」などとても少ないと言えますので、「干」は「少ない」という意味になりますが、これに「順序を示す数値が小さい」という意味の「若い」がついてさらに少ないという意味になりました。
若干の類語
「若干」の由来についてご紹介しましたので、次は「若干」の類語についてご紹介します。「若干」の意味は「いくらか」「さほど多くない」「多少その気味がある」という意味ですので、これらに近い意味を持つ言葉が類語になります。
後で「若干」と「弱冠」との違いについてもご紹介しますので、「若干」の類語の他に「弱冠」の類語も合わせてご紹介します。
「若干」という言葉にはいったいどのような類語があるのか、「若干」の類語についてご紹介しましょう。
わずか
「若干」の類語の一つ目は、「わずか」です。「わずか」の意味は「きわめて少ししかないこと」「ほんの少し」です。「若干」には「少しの量」を表現する「いくらか」という意味がありますので、「わずか」は「若干」の類語になります。
「若干」も「わずか」も「少し」ということを表現する言葉ではありますが、「わずか」は「きわめて少し」というように「少し」を強調する表現です。
「若干」も「少し」ということを表現する言葉ではありますが、「少し」の程度という点では「わずか」は「若干」とは違うと言えます。
少しだけ
「若干」の類語の二つ目は、「少しだけ」です。「少しだけ」の意味は「程度や分量などがとても少ないさま」という意味で、「少し」ということを表現する言葉ですので「若干」の類語になります。
「少しだけ」という言葉は「少し」に「だけ」という言葉をつけることによって「とても少ない」ということを表現しています。
そのため少なさの程度という点で言えば「少しだけ」は「若干」よりもさらに少ないことを表現していますので、その点では「若干」とは少し違うと言えます。
ちょっと
「若干」の類語の三つ目は、「ちょっと」です。「ちょっと」の意味は「少しであること」ですので、「若干」の意味「いくらか」と同じ意味になり、「ちょっと」も「若干」の類語になります。
「若干」の意味「いくらか」は数や量が少ないということを表していますが、「ちょっと」が表すのは数や量だけではありません。
「ちょっと」は「若干」の意味「多少その気味がある」と同じような意味での使い方もできますので、「ちょっと」は「若干」に極めて近い類語だと言えます。
ちょっぴり
「若干」の類語の四つ目は、「ちょっぴり」です。「ちょっぴり」の意味は「分量や程度がわずかであること」「ほんの少し」という意味です。
「ちょっぴり」には「少し」という意味があるため「若干」の類語になりますが、「少し」の程度が「若干」とは異なります。
「ちょっぴり」は「ほんの少し」という意味ですので「若干」よりさらに少ないことを表します。その点では「ちょっぴり」は「若干」とは少し違いますが、「ちょっぴり」も「若干」の類語と言えます。
申し訳程度
「若干」の類語の五つ目は、「申し訳程度」です。「申し訳程度」の意味は「ほんのわずかな分量や程度」という意味で、少ない事を表すことから「若干」の類語と言えます。
ですが「申し訳程度」には「ほんのわずか」という意味がありますので、「若干」に比べるととても少ないということになります。
その点では「申し訳程度」は「若干」とは少し違った意味合いになりますが、「申し訳程度」も「若干」の類語の一つです。
微々たる
「若干」の類語の六つ目は、「微々たる」です。「微々たる」の意味は「程度や分量がほんの少しである」「大したことはない」で、「少し」という言葉が入っていますので「若干」の類語になります。
「ほんの少し」という点では「若干」とは「少し」の程度が違いますが、「微々たる」には「大したことはない」という意味もあり、こちらが「若干」の「さほど多くない」と似ています。
「微々たる」には「若干」の三つの意味の中の二つに似ている意味がありますので、「微々たる」も「若干」の類語だと言えます。
若年
ここまで「若干」の類語についてご紹介しましたので、「弱冠」の類語についてもご紹介します。後で「若干」と「弱冠」の違いについてご紹介しますが、簡単に言えば「弱冠」には「若い」という意味があります。
なので「弱冠」の類語は「若い」という意味がある言葉になります。「弱冠」の類語の一つ目は、「若年」です。「若年」の意味は「年が若いこと」「若者」という意味なので、「若い」という意味のある「弱冠」の類語になります。
年少
「弱冠」の類語の二つ目は、「年少」です。「年少」の意味は「年が少ないこと」「若いこと」「幼いこと」という意味ですので、「年少」も「弱冠」の類語の一つとして挙げられます。
「弱冠」の意味は「若い」ですが、実は他にも意味があります。これについてはこの後の「若干と弱冠の違い」で詳しくご紹介します。
若干と弱冠の違い
「若干」の類語と「弱冠」の類語についてご紹介しましたので、次は「若干」と「弱冠」の違いについてご紹介します。文字を見れば「若干」と「弱冠」は全く違いますが、読み方は同じなので耳で聞くと混同しやすいです。
ですが「若干」と「弱冠」では意味も使い方も違い、「若干」が良く使われるのに対して「弱冠」はあまり使われません。
「若干」と「弱冠」にはいったいどのような違いがあるのか、「若干」と「弱冠」の違いについてご紹介しましょう。
弱冠は若いという意味
「弱冠」の類語の所でも触れましたが、「弱冠」には「若い」という意味があります。「弱冠」には他に「男子の数え年二十歳(はたち)のこと」という意味もありますが、そちらの意味は中国の昔の言葉に由来があります。
昔の中国では20歳の男性の事を「弱」と呼んでいて、20歳になると成人の儀式で冠を頂きました。そのため「弱冠」という言葉が使われるようになりましたが、「弱冠」は20歳以下の人に使うこともできます。
また、30代の人であっても職業などによっては「弱冠」と言われることもあり、「弱冠」を使って良い年齢層は幅広いと言えます。
「弱冠」の意味は「若い」という意味ですので、「少し」を表す「若干」とは全く違うということを覚えておきましょう。
若干の使い方
「若干」と「弱冠」との違いについてご紹介しましたので、次は「若干」という言葉の使い方についてご紹介します。
「若干」には「いくらか」「さほど多くない「多少その気味がある」という意味がありますので、これらのことを言いたい場合に「若干」という言葉を使うことができます。
また「弱冠」には「若い」という意味がありますが、使い方はちょっと難しく、単に「若い」という意味では使われません。
「若干」と「弱冠」という言葉にはいったいどういう使い方があるのか、「若干」と「弱冠」の使い方の例文をご紹介しましょう。
例文①
「若干」の使い方の例文の一つ目は、「若干」の使い方の例文で「約束の時間に遅れてくるなど、彼女には若干ルーズな面がある」という例文です。この例文では「多少その気味がある」という意味で「若干」が使われています。
「若干」は数や量を表す「いくらか」という意味で使われることも多いですが、一般的な日常生活の中で使う場合にはこのように「多少その気味がある」という意味で使われることが多いと言えます。
例文②
「若干」の使い方の例文の二つ目は、「若干」を使った例文で「好きな芸能人のブログをいつも見ているが、最近更新頻度が若干減っている気がする」という例文です。この例文では「いくらか」という意味で「若干」が使われています。
「若干」は数や量を表す「いくらか」という意味で使われることも結構多いですが、この例文では「更新頻度」という「度合」の数を表すために「若干」という言葉が使われています。
例文③
「若干」の使い方の例文の三つ目は、「弱冠」を使った例文で「彼女は弱冠20歳にして博士号を取得したすごい人だ」という例文です。この例文では「年が若い」という意味で「弱冠」という言葉が使われています。
「弱冠」の意味は「若い」ですが、単なる「若い」ではなく「若いのにすごい」というニュアンスがあります。まだ若いのに大きな成果を上げた人などに対してこのように「弱冠」という言葉を使って賞賛するのが「弱冠」の主な使い方です。
例文④
「若干」の使い方の例文の四つ目は、「弱冠」を使った例文で「彼はとんでもない勤勉さと行動力で、弱冠35歳にして市長になった」という例文です。この例文でも「若い」という意味で「弱冠」が使われています。
先にご紹介した例文の「弱冠20歳」はいかにも「若い」ですが、こちらの例文では「35歳」なのでそう若いイメージがなく、「弱冠」の使い方として間違っているように見えますが、そうではありません。
「市長」というと一般的には高齢の人が多いですので、日本全国の「市長」に比べると35歳ははるかに若いです。こういった場合には35歳という年齢であっても「弱冠」という言葉を使うことができます。
若干はいくらかという意味
「若干」という言葉の意味や「弱冠」との違い、「若干」「弱冠」の類語や使い方の例文など色々とご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。
「若干」の意味は「いくらか」という意味で、「若い」を意味する「弱冠」とは使い方なども全く違います。「若干」と「弱冠」の意味を正しく理解して正しく使いましょう。