意向の意味とは?
ビジネスシーンやテレビのニュースなどの中で「意向」という言葉が使われることは結構ありますが、「意向」の正しい意味を理解している人はそう多くありません。
ビジネスで「意向」という言葉を日常的に使っているという人でさえ、「意向」の正しい意味を理解していない場合もあります。
ですが実の所「意向」という言葉にはそう難しい意味はなく、意外に簡単で覚えやすい意味を持っていると言えます。
「意向」という言葉にはいったいどのような意味があるのか、まずは「意向」の意味についてご紹介しましょう。
心の向かう所という意味
「意向」の意味の一つ目は、「心の向かう所」という意味です。「心の向かう所」と言うと何やら難しい意味のようですが、これは簡単に言うと「心が何をしたいか何を求めているのか」という表現になります。
「ご飯が食べたい」というのも「心の向かう所」だと言えますし、ビジネス関連で取引先に対して何か要望があるといった場合も「心の向かう所」だと言えます。
「何をしたいか」「何が欲しいか」など「心が求めるもの」が「意向」の意味「心の向かう所」の意味だと言えます。
このようにしたらどうかという考えという意味
「意向」の意味の二つ目は、「このようにしたらどうかという考え」という意味です。「意向」という言葉はビジネスシーンなどにおいて相手に意見を伝える時などにも使われます。
そういった時には「このようにしたらどうかという考え」という意味で「意向」という言葉が使われますが、ビジネスシーンではこういった意味で「意向」を使うことがかなり多いです。
ビジネスシーンなどにおいては相手に意見を求める場合にも「意向」が使われますが、そういった場合にも「このようにしたらどうかという考え」という意味で「意向」が使われます。
思惑という意味
「意向」の意味の三つ目は、「思惑(おもわく)」という意味です。「思惑」の意味は「思う所」「考え」「意図」という意味で、こちらの比較的単純な意味でも「意向」は使われます。
政治関連のニュースなどにおいても「意向」という言葉は結構使われますが、その場合には単純に「考え」という意味を表現するために「意向」が使われていることが多いです。
「思惑」というと良いイメージの表現ではないと思う人も多いですが、「意向」の意味としての「思惑」は単に「考え」という意味を表現していると言えます。
意向の由来
「意向」の意味についてご紹介しましたので、次は「意向」の由来についてご紹介します。日本語には故事成語のように昔から使われていて語源や由来がある言葉がたくさんあります。
「意向」という言葉は故事成語ではありませんので、大層な語源や由来はありませんが、ちゃんと由来はあります。
「意向」という言葉にはいったいどのような由来があるのか、「意向」の由来についてもご紹介しましょう。
思っていることを意味する漢字が由来
「意向」の由来は、「思っていること」を意味する漢字です。「意向」の「意」という漢字には「思っていること」という意味があります。
「意向」の「意」の文字は「意見」などという言葉にも使われていますが、こちらも「思っていること」という意味になります。
「意向」の「向」の文字には「向かう」「その方へ向く」ということを表現していて、「意」と「向」が合わさることで「心の向かう所」ということを表現する「意向」になったというのが「意向」の由来です。
意向の類語
「意向」の由来についてご紹介しましたので、次は「意向」の類語についてご紹介します。「意向」の意味は「心の向かう所」「このようにしたらどうかという考え」「思惑」ですので、似た意味を持つ言葉が「意向」の類語になります。
「意向」という言葉には三つの意味がありますが、このいずれかの意味と似た意味を持つ言葉なら「意向」の類語だと言うことができます。
「意向」という言葉と似た意味を持つ類語にはいったいどのような言葉があるのか、「意向」の類語についてご紹介しましょう。
考え
「意向」の類語の一つ目は、「考え」です。「考え」の意味は「考えること」「思うこと」という意味です。「意向」の意味の一つ「思惑」の意味「考え」と同じですので、「考え」は「意向」の類語になります。
「意向」という言葉はビジネスシーンなどで良く使われますが、「考え」という意味で「意向」という言葉を使うことも多いです。
「意向」という言葉はちょっと堅い表現の言葉なのでビジネス向きですが、「考え」はビジネスで使うにはちょっと柔らかい表現ですので、ビジネスでは「意向」を使った方が良いでしょう。
意見
「意向」の類語の二つ目は、「意見」です。「意見」の意味は「あることについて持っている考え」という意味で、「考え」という言葉が入っているため「意見」も「意向」の類語の一つに数えられます。
ですが「意見」には「自分の考えを述べて人を戒める」という全く違った意味もあり、この場合には「意見する」などという使い方をします。
「意向」という言葉は「意見」のように「する」をつけて使うことはできませんので、そういった点では「意見」は「意向」とは少し違います。
主張
「意向」の類語の三つ目は、「主張」です。「主張」の意味は「自分の意見を強く言い張ること」「強く言い張る自分の意見」という意味です。
「意向」の類語として先に「意見」をご紹介しましたので、「意見」という意味のある「主張」も「意向」の類語の一つだと言えます。
ですが「主張」には「強く言い張る」という、強調するような表現する意味もありますので、そういった点では「主張」は「意向」とは違います。
見解
「意向」の類語の四つ目は、「見解」です。「見解」の意味は「ものごとに対する考え方や評価」「意見」という意味で、「考え方」という言葉が入っているため「見解」も「意向」の類語だと言えます。
「見解」という言葉は「見解をお聞かせ願えませんか」などという敬語表現がされることもありますが、「意向」をビジネスなどで使う場合には「ご」を前に付けます。
「見解」も「意向」の類語の一つではありますが、敬語表現にしても「ご」をつけず「見解」のままだという点では「意向」とは違います。
所見
「意向」の類語の五つ目は、「所見」です。「所見」の意味は「見た所」「考えているところ」という意味で、「考えている」という意味があるため「所見」も「意向」の類語の一つになります。
「所見」の意味「考えているところ」は「意向」とかなり近い意味を持っていると言えますが、「所見」は「見た所」という意味で使われることが多いです。
見たところどのようであるかを表現する時に「医師の所見」などという使い方をしますので、その点では「所見」は「意向」とは少し違うと言えます。
心づもり
「意向」の類語の六つ目は、「心づもり」です。「心づもり」の意味は「あらかじめこうしよう、こうなるだろうと考えておく」という意味です。
「意向」には「このようにしたらどうかという考え」という意味もありますので、「心づもり」は「意向」のこちらの意味に近い意味を持つ類語になります。
「心づもり」という言葉はあまり良くないイメージを持つ人もいますので、そういった点では「意向」とは少し違いがあると言えます。
評価
「意向」の類語の七つ目は、「評価」です。「評価」の意味は「ものごとの善悪や美醜などを考えて価値を見定める」という意味です。
「評価」という言葉の意味の中に「考えて」という言葉がありますので、「評価」も「意向」の類語の一つとして挙げられます。
ですが「評価」は「価値を見定める」という意味が最も重要ですので、その点では「意向」とは違うと言えます。
希望
「意向」の類語の八つ目は、「希望」です。「希望」の意味は「こうなれば良いと思うこと」という意味で、「意向」をビジネスの取引先などに使う場合には「希望」という意味合いも含むことから、「意向」の類語になります。
「意向」という言葉は取引先の相手などに対して相手の「希望」などを伺う場合にも使われます。
こういった場合には「意向」は「希望」と言い換えることもできますので、「希望」も「意向」の類語だと言うことができます。
要望
「意向」の類語の九つ目は、「要望」です。「要望」の意味は「これこれのことをして欲しいと願うこと」という意味です。
「要望」は先にご紹介した「希望」と同じような意味合いがありますので、「意向」を相手に対して使う場合には「意向」は「要望」という意味も含むと言えます。
取引先などに対して「意向」を伺う場合には、「要望」と言い換えることもできますので、その点でも「要望」は「意向」の類語になります。
所望
「意向」の類語の十個目は、「所望」です。「所望」の意味は「望みとするもの」「望むこと」という意味です。
取引先などに対して「意向」を使う場合には「所望」という意味で使うこともありますので、「所望」も「意向」の類語の一つになります。
このように「意向」にはたくさんの類語がありますが、「意向」の代わりに使うことができるものもあれば、「意向」の代わりに使うことはできない類語もあります。
意向の使い方
「意向」の類語についてご紹介しましたので、次は「意向」の使い方についてご紹介します。「意向」という言葉には「心の向かう所」「このようにしたらどうかという考え」「思惑」という意味があります。
なのでこれらの意味にあてはまることを表現したい場合に「意向」という言葉を使うことができますが、「考え」という意味で「意向」を使えば意外に簡単に使うことができます。
「意向」という言葉はいったいどのように使えば良いのか、「意向」の使い方の例文についてご紹介しましょう。
例文①
「意向」の使い方の例文の一つ目は、「取引先の意向で色々シミュレーションしてみたが、あまり良い結果は出なさそうだ」という例文です。この例文では「このようにしたらどうかという考え」という意味で「意向」が使われています。
「意向」という言葉はビジネスシーンなどで良く使われますが、このように相手の考えや意見という意味で「意向」という言葉が使われることはとても多いです。
例文②
「意向」の使い方の例文の二つ目は、「その条件での取引は無理だという意向を得意先に伝えたが、どうしてもと強引に押し切られてしまった」という例文です。この例文では「考え」という意味で「意向」が使われています。
「意向」という言葉はビジネスなどで良く使われますが、相手の考えを表す時に使われるだけでなく、自分の意見や考えを表す時にも使われます。
例文③
「意向」の使い方の例文の三つ目は、「彼女は退職したいという意向を示したが、彼女の有能さを高く買っている上司から、給料を上げるから考え直すようにと引き留められた」という例文です。
この例文では「心の向かう所」という意味で「意向」という言葉が使われています。「退職したい」という方向へ心が向かっているといったことを表現したい場合にも、「意向」という言葉を使うことができます。
例文④
「意向」の使い方の例文の四つ目は、「ご意向をお聞かせいただけましたら、出来る限りそれに沿うようにさせて頂きます」という例文です。
ここまでにご紹介してきた「意向」の使い方では、相手に対しても「意向」と言っていましたが、実際にビジネスシーンなどで相手の意見を聞く場合にはこのように「ご意向」と言います。
この件につきましては、後でご紹介する「意向」の注意点についての所で詳しくご紹介しますので、そちらをご覧ください。
意向の注意点
「意向」の使い方の例文についてご紹介しましたので、次は「意向」の注意点についてご紹介します。「意向」という言葉は「考え」という意味で簡単に使うことができますが、使う際には注意が必要なこともあります。
「意向」という言葉はビジネスシーンで使われることが結構多いですが、「意向」の使い方を間違うと失礼にあたることもあります。
「意向」という言葉を使う際にはいったいどのような点に注意しなければならないのか、「意向」の注意点についてもご紹介しましょう。
相手に使う場合は「ご意向」
「意向」の注意点として、相手に使う場合は「ご意向」と言うということが挙げられます。取引先などの相手に対して「意向をお聞かせください」などと言ってしまうと、敬語表現としては足りず失礼になります。
相手に対して「意向」という言葉を使う場合には、「ご意向をお聞かせください」「ご意向をお聞かせ願えないでしょうか」などというように、必ず頭に「ご」をつけなければなりません。
相手に対して直接言うわけではない場合には「取引先の意向」などと言っても失礼ではありませんが、相手に対して直接言う場合には「意向」では失礼ですので必ず「ご意向」と言いましょう。
意向は心の向かう所という意味
「意向」という言葉の意味や使い方の例文、「意向」の類語などについて色々とご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。
「意向」の意味は「心の向かう所」「このようにしたらどうかという考え」「思惑」ですので、「意向」の正しい意味を理解して正しく使いましょう。