「実践」の意味とは?
私たちが日常的に良く使う言葉として「実践」があります。英語では「practice(プラクティス)」ですが、「実践」を使う時の例文を挙げると、自分で目標を立てて「健康のために1日1万歩を実践する」といったような使い方をよくします。
ここでは、そんな「実践」という言葉の意味について、使い方や例文なども交えながら説明していきます。
「実践」という言葉の持つ意味
まず、実践という言葉はどのような意味を持っているのかということについて説明します。「実践」という言葉には、「実際に行動を起こす」という意味があります。つまり、言葉だけではなく行動を伴うということです。
行動を伴わない場合は、「理論」ということになり、行動を伴う「実践」とは意味が異なり、使い分けをしなければなりません。英語の「プラクティス」の基になったのがギリシャ語の「活動」という意味の言葉であることからも明らかです。
「実践」の英語での表現
「実践」の英語での表現は「practice(プラクティス)」といいます。この言葉は、古代ギリシャで「活動」という意味の「プラクシス」が由来となっていて、「実践」の概念の由来と深く結びついています
英語での表現は、「実践」という言葉の意味や概念の骨格をなす、実際の行動を伴うということとも結びついており、英語での表現を見ると、古代ギリシャから「実践」は実際の行動を伴うという意味や概念があったことが分かります。
「実践」の由来
「実践」という言葉は、誰もが意味や概念を知っているような言葉の1つですが、その由来はあまり知られていません。ここでは、そんな「実践」という言葉の由来や、そもそも「実践」という意味や概念はどこから始まったのかを紹介します。
「実践」という概念の始まりは、古代ギリシャにまで遡りますが、その頃の「実践」はまだ、意味や概念が混沌としていました。ですが、古代ギリシャの概念が英語の「プラクティス」という表現に発展し、「実践」と言う言葉の意味や概念の由来になっています。
「実践」の由来は古代ギリシャにまで遡る
前述のように、「実践」の意味や概念の由来はとても古く、古代ギリシャにまで遡ります。元々は「活動」という意味のギリシャ語「プラクシス」が由来で、その頃の哲学者、プラトンやアリストテレスも使っています。
その頃の古代ギリシャ哲学では、「実践」と言う言葉の意味や概念は、現代とは少し異なり、神を観想するという意味の「テオリア」と相対するものとして使われていました。ギリシャ語の「プラクシス」が英語で実践」を意味する「プラクティス」の基になっています。
「テオリア」の対義語としての「実践」
前述したように、古代ギリシャでは、「実践」は、神の観想という意味の「テオリア」の対義語として使われていて、「テオリア」が永遠や神を意味するものであったのに対して、「実践」は人間や一時的なものを意味するものとして使い分けしていました。
この頃のギリシャ哲学では、重視されるのはあくまでも「テオリア」でしたが、後に中世になってから、「理論」と「実践」が重ねて考えられるようになり、現在の「実践」の意味や概念の基礎が生まれてきます。
中世に現在の「実践」の意味づけや基礎概念が出来た
中世になっても始めは古代ギリシャと変わらず「テオリア」が重視されていましたが、次第に「理論」と「実践」つまり実際に行動することが結び付けられるようになり、現在の「実践」の意味や概念の基礎が出来てきます。
そして、フランシス・ベーコンなどによって、「理論」から実際に行動を伴う「実践」とを結び付ける、現在の「実践」、英語の「プラクティス」の意味や概念が作られていきました。
自然科学の「実践」とそれ以外に分かれた
前述したように、中世になると、「理論」と「実践」が結び付けられるようになりましたが、それと同時に、自然科学における「理論」や「実践」とそれ以外を意味する「理論」や「実践」に分かれるようになります。
また、中世においては、「理論」から労働としての「実践」がなされるというように「理論」と「実践」が労働に結び付けられるような意味づけや概念が主になっていきました。
近現代における「実践」の意味づけや概念
近現代においては、「実践」の意味や概念はいくつかに分かれています。主なものを挙げると、マルクスによる、「理論と実践は統一されて組織を生み出す」という意味づけや概念、あくまでも「慣習的行動と実践との差」を追求しようとする意味づけや概念などです。
このうち、マルクスによる概念は、後に「労働」と「実践」を結び付けて、共産主義へと発展していき、フランスやドイツなどで生まれた他の「実践」の意味づけや概念とは一線を画していきます。
フランスやドイツでの「実践」の意味づけや概念
マルクスによる「労働」と「実践」を結び付ける「実践」の概念の問題点を受けて、フランスやドイツでは、「実践」の概念を「慣習的行動」との差との検討や、意味づけ、再構築を行うことがされてきました。
現在でも、この試みはまだ行われているといえ、哲学的な「実践」の意味づけや概念はまだ発展途中とも言えます。しかし、大まかにいうと、「実践」の概念には実際の行動が伴うことと言えます。
「実践」の特徴
前述したように、「実践」という言葉には、大まかに言うと、「理論」とは異なり行動を伴うという概念が含まれています。ここでは、そんな「実践」という言葉や概念のもつ特徴についていろいろと説明していきます。
「由来」で説明したように、時代とともに「実践」という言葉の概念は変化してきました。しかし、最も大きな特徴である「行動を伴う」という概念は、何時の時代も変わっていません。、
「理論」と「実践」の意味や概念の違い
「実践」と同じく、良く使われる言葉に「理論」があります。似た場面で使われることが多いのですが、この「理論」と「実践」が持つ意味は大きく異なり、使い方を気を付けないと伝えたい事の意味が正しく伝わらないことになります。
「理論」には行動が伴うとは限りませんが、「実践」には必ず行動が伴います。ですので、「理論」を「実践」することはあっても、マルクス主義の考え方以外で「実践」から「理論」が出来ることはありませんので使い分けする必要があります。
「実践」には行動が伴う
今までに述べているように、英語の「実践」の由来がギリシャ語の「活動」であるように、1番の特徴は「行動を伴う」ということです。この「行動を伴う」という特徴は、時代とともに「実践」の概念が変化していく中でも変わりませんでした。
現在でも、「理論」は言っても行動を伴っていない場合は、「実践出来ていない」という例文のような使い方をするように、「実践」とは言いません。英語の「実践」の由来がギリシャ語の「活動」という意味であることから当然と言えます。
「実践」の類義語と対義語
「実践」という言葉には、いくつもの類義語や対義語があります。それぞれに「実践」と似ている点や異なる点があります。ここでは、そんな「実践」という言葉の類義語と対義語の中から、いくつかを選んで説明していきます。
「実践」という言葉の類義語や対義語と意味を正しく覚えて、「実践」ときちんと使い分け出来るようにしましょう。
「実践」の類義語
まず初めに、ここでは「実践」の類義語をいくつか挙げて、「実践」との同じ点と異なる点を説明していきます。どの言葉も「実践」と似た意味を持ち、時には同じような使い方をするので、間違いやすい言葉です。
日常的にも使うことが多い言葉ですが、「実践」とは、少しずつ意味が異なり、使い分けをする必要のある言葉ばかりです。
「実践」の類義語「実施」
「実施」という言葉は、「実践」と似た意味で実際の行動を伴う時に日常的に良く使われます。しかし、「実践」という言葉と異なり、「実施」という言葉は、主にイベントなどを行う時に使うというように使い分けされます。
「実施」という言葉の使い方の例文としては、イベントなどを行うときに、「水道管を修理するために断水を実施する」というような使い方をします。
「実践」の類義語「実行」
「実行」という言葉も、「実践」と似た使い方で日常的に使われる類義語です。ですが、「実践」とは異なり、主に、考えを行動に移すと言う意味で使われる言葉で、その点で、「実践」とは明確に使い分けされます。
「実行」という言葉の使い方を例文で見てみると、「今夜、計画を実行に移す」というように、考えていることを行動に移すという意味で使うことが多く、使い分けされています。
「実践」の類義語「実戦」
「実戦」という言葉も、「実践」と似たような意味の使い方で日常的に使われる言葉です。ただ、「実戦」という言葉を使う場合は、スポーツなどで「実戦経験」というように使われて、「実践」とは使い分けされています。
「実戦」の使い方を例文で見てみると、スポーツなどで実際の試合での対戦経験が多いときに、「実戦経験が豊富だ」というような使い方をします。
「実践」と「実戦」の大きな違い
私たちが日常的によくつ良く使う、「実践」と「実戦」はどちらも「じっせん」と読み、実際の行動を伴いますが、一番大きな違いは、「実践」と異なり、「実戦」の場合は、実際の行動と経験が結びついていることです。
ですので、「実戦」の場合、スポーツで「実戦経験」と言ったり、セミナーなどの内容のことを「実戦に役立つ」と言ったりします。
実践の対義語
次に、「実践」の対義語となる言葉をいくつかあげます。中には、正確には「実践」の対義語とは意味づけが少し異なるものもありますが、主に対義語と同じような意味の使い方をされることが多い言葉です。
日常的に良く使われる言葉ですので、それぞれの対義語の違いも正しく覚えて正しく使い分けが出来るようにしましょう。
実践の対義語「理論」
「実践」の対義語としてまず挙げられるのが、「理論」です。「理論」と「実践」の違いの項でも記したように、「理論」は、あくまでも考えのことを指し、実際の行動を伴う「実践」とは相対する意味を持っていて使い分けされています。
ですので、マルクス主義の考え方を除いては、実際の行動を伴うことを指す「実践」が「理論」を生み出すことはありません。例文を示すと、「それは理論的には可能だが実践するのは不可能だ」というような使い方をします。
「実践」の対義語「空論」
もう1つ「実践」と相対する意味で、対義語として使われることが多い言葉として「空論」が挙げられます。この「空論」という言葉は「理論上は可能でも実践するのは不可能」という事を表すときに使われる言葉です。
「空論」という言葉の使い方を例文で記してみると、「そんなのは卓上の空論だよ」というような使い方をします。つまり、理論上は可能のように見えても、実際には実践不可能ということです。
「実践」の使い方
日常的によく使われる「実践」という言葉ですが、ここではどのような意味でどのような使い方をするかと言うことを例文をいくつかあげながら説明していきます。例文を見ながら、「実践」という言葉の意味や使い方を覚えて正しく使えるようにしましょう。
日常的によく使う言葉だからこそ、意味や使い方を覚えて正しく使えるようになることが重要です。そうすることによって、相手とのコミュニケーションもスムーズに行くようになります。
例文①
「実践」という言葉の日常的によく使われる例文で、最初に挙げるのは、「考えるだけでなく、実践してみよう」です。この例文は、「考えるだけでなく、実際に行動してみよう」と言う意味です。「理論」を組み立てるのは簡単にできますが、実際に行動を起こすにはとても勇気がいります。
理論上は可能でも、実際に行動を伴う「実践」を、意味通りにするとなると、現実には不可能なことが沢山あります。少なくとも、現時点では不可能と言えるものです。ですから、「理論」を組み立てるときには、「実践」も可能かどうかよく考える必要があります。
例文②
次に「実践」という言葉を使った例文として挙げるのは、「健康のために毎日1万歩を実践しよう」です。この例文の意味は、読んだ通りで、「健康で過ごすために、するといいと言われている毎日1万歩歩くようにしよう」と言うことです。この場合は、「〜する」と言う意味の使い方をします。
よく健康には何をするといいなど、〜のためには〜するといいと言われることがあります。そのようなときに、「だから〜する」と言う意味で、「実践する」という言葉を使います。
例文③
3番目に「実践」と言う言葉を使った例文として挙げるのは、「立てた目標を実践する」です。この例文の意味は、「目標を立てるだけでなく、実際に目標に向かって行動すること」です。目標というものは、立てるだけでは意味がありません。実際に行動して達成するようにすることが大事です。
例文④
4番目に挙げる例文は、「理論を実践することが大切だ」です。「理論」も、目標と同じく、ただ提唱しているだけでは意味がありません。もちろん、「理論」を考えることは大切なのですが、「理論」を実際に行動を起こして「実践」することが大切です。
「理論」にしても、実際に「実践」することが可能な理論であることが重要です。どんなに立派な理論でも、実際には実践不可能であれば、意味がありません。
「実践」使用時の注意点
ここまで、「実践」という言葉の持つ意味や英語での表現、由来、使い方などについて述べてきましたが、ここでは、実際に使うときに注意するべき点について説明していきます。間違った使い方をすると、本当に伝えたいことが正しく伝わらなくなってしまうので、正しく理解しましょう。
「実践」の類義語や対義語と正しく使い分けする
「実践」という言葉には、類義語や対義語が多くあります。特に、類義語には「実施」や「実行」など、「実際に行動を伴うこと」という意味で、似た意味をもつ言葉があり、それぞれを使うべき場面が異なるので、類義語と対義語の項に述べたように、使い分けをきちんとできるようにしましょう。
また、「理論」と「実施」もよく混同して使われやすい言葉です。「理論」という言葉には、必ずしも「行動」は伴いませんので、この点もよく注意して使い分けするようにしましょう。
「実践」という言葉は「実際に行動を起こす」という意味
「実践」という言葉は、「理論」と異なり、実際の行動を伴います。よく「理論」と混同されて使われることがありますが、「理論」だけのものは、実際には不可能な「卓上の空論」となってしまい、意味のないものですので、「理論」だけでなく、「実践」できるようにしましょう。