「アーカイブ」の意味とは?
「アーカイブ」の意味は、大切なものを保存しておく保管場所、または大切なものそのものを指しています。大切なものとは、歴史的な記録、史料、美術品などが相当し、図書館や博物館がそれらを保管、保存する場所と言えるでしょう。
現在では、最もよく使われる意味としてはコンピューター用語としてかも知れません。コンピューターの出現以降で最も大切なものとは情報そのものであり、情報を保管しておく領域や情報を記録する方法を「アーカイブ」と呼ぶようになりました。
以下では、この「アーカイブ」の意味や使い方、また情報社会でのアーカイブの例としてGmailやインスタでのアーカイブの機能について紹介します。またいくつか例文を紹介していきます。
「アーカイブ」の由来
アーカイブの由来について見ていきましょう。英語でのスペルはarchiveですが、もともとはラテン語のarchivumで「記録の保管庫」という意味。更にその語源は政府を意味するarkheなのだそうです。
政府などの行政は昔から色々な公文書を扱っていたと考えられるので、それらの大切な記録を保管するという意味に転じていったのだと推測できます。
「アーカイブ」の特徴
アーカイブの意味や由来を見てきましたが、アーカイブとはそもそもどういうものか、むしろインスタのアーカイブ機能しかご存じない方には、まだ曖昧な部分が残っているかも知れません。
以下では、アーカイブの特徴として、よく誤解される「アーカイブ=圧縮」という考え方について、また保管場所、記録そのものであるという説明をしていきます。
アーカイブ=圧縮の意味ではない
コンピュータの世界で「アーカイブ」と言えば、古い情報やまとめておきたい情報を圧縮ファイルとして保管することが真っ先に想起されますが、実はアーカイブの意味には情報を圧縮するという意味はありません。
コンピュータの世界であっても、情報の保管にはスペース(記憶容量)が必要ですが、情報は一定のアルゴリズムで圧縮と展開(圧縮と解凍と言ったりします)ができます。
情報を圧縮すれば記録のためのスペースが節約できるので、記録の保管には圧縮がセットのことが多かったのです。そこでアーカイブ=圧縮という意味であると誤解されたと考えられます。
コンピュータのプログラマなどは常にプログラムを改変して、新しいものをリリースするので、すぐに消したくない過去データが沢山形成され、次々保存していったので、アーカイブを多用し、かつ圧縮も多用したのでしょう。
保管場所・または記録そのものの意味
前述したとおり、アーカイブとは大切なものをきちんと保管しておく保管場所、またはその記録そのものの意味で使われます。具体的な例としては、国会図書館や美術館、博物館とそれらの所蔵品がありますが、例えば「NHKアーカイブス」がわかりやすいかも知れません。
NHKアーカイブスは、NHKがこれまで取材、制作してきた貴重なドキュメンタリー映像や作品などを所蔵する施設ですが、過去作品自体も「アーカイブス」と呼ぶこともあります。映像も音声も貴重な記録であり、きちんと後世に残すべきと考えてのことでしょう。
「アーカイブ」の機能
Gmailやインスタから「アーカイブ」という言葉に親しんだ方からすると、アーカイブは非表示だったり分類だったりといった意味に解釈しているかも知れません。以下では、Gmailやインスタでのアーカイブの機能についてご紹介していきます。
Gmailでのアーカイブの機能
メールはとても便利なツールではありますが、欠点はすぐに山ほど溜まってしまい非常に見にくくなることです。この解消にGmailでは「アーカイブ」という仕組みを導入しています。
メールはまず「受信トレイ」に入ってきますが、この受信トレイは山のようなメールで占拠され、すぐに見通しが悪くなります。要らないメールは即削除できますが、削除はしたくないけど受信トレイに残したくない、というメールはどうすればよいでしょうか?
その解決方法がGmailでのアーカイブ機能です。アーカイブすると受信トレイからはあたかも削除されたように見えますが、「すべてのメール」というホルダに格納されています。受信トレイはスッキリしますし、後からでも簡単に元に戻すことができます。
元に戻したいときは、「すべてのメール」で該当メールを探し、「受信トレイに戻る」を選択するだけ。参照し終わったらまたアーカイブしておけば受信トレイでは非表示にできます。
インスタでのアーカイブの機能
次にインスタでのアーカイブの機能について見ていきましょう。アーカイブは他のユーザーから非公開にする機能になり、削除の意味と誤解する方もいますが、削除とは全く異なります。むしろ「保管」という意味から考えると通じるものがあります。
インスタで上げた写真を、他のユーザーやフォロワーなどから一旦非公開にしたい、だけど削除するのは惜しい、といった場合、このアーカイブを使うと対外的には非公開になりますが、自分だけは見ることができる状態にできます。
Gmailと同じで、アーカイブを解除するのは簡単にできます。非公開にしていた写真を選んで「プロフィールに表示」を選択すればOK。削除すると復活させるのは面倒ですが、アーカイブでは復活が容易なので非常に便利な機能と言えるでしょう。
「アーカイブ」の使い方
アーカイブの意味や由来、IT時代のツールとしての側面を見てきましたが、以下では「アーカイブ」という言葉の使い方について、ビジネスシーンでの使い方や動詞的な使い方など、いくつか具体的な例を挙げて示していきます。
例文①
「今までの資料はきちんとアーカイブしておいて」とはどんな意味でしょうか?また、どうすればよいでしょうか?資料が紙資料なら、バインダーにまとめて書庫にしまうことかも知れませんし、電子情報なら適切な保管場所にわかりやすくインデックスを付けるなどして保管すれば良いでしょう。
例文②
「関係資料が不足しているから、アーキビストに相談して」と言われたら意味わかりますか?アーキビストとは、資料の収集や整理を行う専門家のこと。例えば映画製作での時代考証などでは歴史的な資料調査が必要になるかも知れません。
組織の内部にアーキビストがいればその人に相談ですし、内部に居なければ外部に連絡しましょう。アーカイブのことはアーキビストに聞け、です。
例文③
AIや画像認識の世界では、「顔画像の膨大なアーカイブデータから機械学習させる」と言った使い方がされることがあります。まさに電子的な書庫の中に、様々な画像がストックされ、それをもとに機械学習が為されることで現在の顔認証の機能が向上してきたという歴史があります。
例文④
「このアーカイブは開かないぞ。違うアーカイバを探してきて」と言われたらどうしますか?アーカイバの意味はアーカイブするソフトウエアのことです。
前述したようにアーカイブには圧縮という意味はありませんが、アーカイバには圧縮方法によって互換性がないことがあります。それぞれのアーカイブに合ったアーカイバが存在することになるため、違うアーカイバが必要になってしまいます。ググってダウンロードしましょう。
「アーカイブ」の注意点
さて、様々なアーカイブについて大分理解が深まってきましたが、アーカイブという言葉の使い方でまだ若干誤解があり注意したい点があります。
歴史的に見て、これだけ情報が爆発的に増大する状況は、過去にはありませんでした。情報の記録が紙ベースだった時代に比べると、デジタル情報のアーカイブは保管するだけにとどまらず、如何に活用するかが焦点になります。そのためにはどうしたら良いでしょうか?
アーカイブしただけではデータベースの意味を持たない
アーカイブという言葉には、保管、保存という意味がありましたが、ただ単純に情報を保管しただけでは使いこなしが難しいかも知れません。使いやすい形にして保管することが大切です。
紙ベースの時代でも、適切にインデックスを付け、書架毎に分類し、格納することでアーカイブデータを参照しやすくしていました。ところがデジタルの時代では、それがますます難しくなっていきます。データベース化しながらアーカイブしないと、使えないものにならないかも知れません。
アーカイブさえすれば安泰と誤解する人もいるかも知れませんが、アーカイブはデータベース化を合わせて実施して初めて有効活用ができます。救世主は検索エンジンなのかAIなのかわかりませんが、完璧ではありません。活用を考えてアーカイブすることが重要です。
「アーカイブ」は大切な記録の保管庫・または記録そのものの意味
アーカイブの意味や由来を含め、デジタル時代の機能、言葉の使い方、注意点についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
アーカイブという言葉が使われ始めたのはコンピュータが登場し始めた1980年代と言われますが、その頃の意味はファイルをまとめ、圧縮するという単純な意味でした。その後、NHKアーカイブスの登場により、急速に市民権を得て、Gmailやインスタで更に普及してきました。
そのため、もともとの意味や使い方について、誤解を持っている方も多かったのではないでしょうか?いろいろな意味や使い方について、参考にしていただけたら幸いです。