ソリッドの意味とは?
「ソリッド」という言葉の意味をご存知ですか?「音楽で聞いたことのある言葉」「無地っぽい服でよくみる言葉」「メタルギア?」「英語?」など、よく聞く言葉であるものの本来の意味までは詳しく知らない場合もちらほら。
「ソリッド」は、有名ゲームのタイトルに、音楽表現に、映画のタイトルに、整髪料の商品名に、革靴の商品名にとジャンルを跨いで多くの作品や商品で登場する語です。
「ソリッド」という言葉は、「固体(状)なもの」「堅いこと。堅実であること」という意味が一般的に知られている意味です。
意味が分かったとしても、本来の「ソリッド」の意味が該当する「ソリッド」に「なぜ当てはまるのか?」釈然としない場合もあり、意味を認識する際のニュアンスのあいまいさが残ります。
今回はそんな「ソリッド」について徹底紹介していきます。「ソリッド」の由来から、特徴、対義語、例文を用いた使い方、注意点について順に紹介していき、「ソリッド」を深堀していきます。
ソリッドの由来
「ソリッド」の意味がわかったところで、「ソリッド」の由来はどこにあるのでしょうか?まずは「ソリッド」の語源から紐解いていきます。
「ソリッド」は外来語の英語で「solid」と書きます。この英語「solid」は外来語として、とても多くの意味を持っている多義語です。
この多義語として知られている英語「solid」。意味としては先述した2つの意味の他に、「同じ物質の」「頑丈な」「満場一致の」「丸々の。完全な」「一様な」「単色の。無地の」などの意味や、俗語として「すばらしい」という意味もあります。
こんなにいっぱいある意味を持っている英語「solid」ですが、もともとの語源はラテン語にあり、「solidus」にあります。
ラテン語「solidus」は「固体の」という意味で、その「solidus」には、さらなる語源である「solh-」という語根(単語の構成上、意味においてそれ以上分解できない基本的な部分)から来ています。
ラテン語の語根「solh-」は「完全な」という意味です。この語根「solh-」は「solidus」の他にもいろいろな派生語を生み出しており、「solidus」はその派生語の1つとして知られています。
「solid」には上記のような語源が存在しておりますが、「sondolidate(強固にする)」「consolidation(合併)」「solder(はんだ)」「soldier(兵士)」などの関連語も同じ語源から派生していて生まれています。
このように英語「solid」は先述したように多義語ですが、実は「完全の」「固体の」という原義があり、その1つ1つの意味は確かに違いますが、その原義から派生していることがわかります。
実際に、現在外来語として知られている「ソリッド」についても「固体の」という意味がありますので、原義は踏襲されて認識されていることが理解できます。
ソリッドの特徴
「ソリッド」の意味、由来を理解してきましたが、「ソリッド」という言葉には使用するにあたってどんな特徴を持った言葉なのでしょうか?
外来語「ソリッド」の意味は「固体(状)なもの」「堅いこと。堅実であること」という意味は先述しましたが、日本語の表現自体に抽象的なニュアンスを持たせていることがあり、あえて文中の「ソリッド」に触れていないケースも見られます。
以上外来語「ソリッド」の「抽象的なニュアンス」という意味の観点から、どのような特徴があるかを以下にご紹介いたします。
意味が多義であいまいな形容
「ソリッド」は文中で頻繁に登場する語です。「ソリッドな印象」「ソリッドなデザイン」などいろいろな評論が出回っている中で見かけますが、その使い方が一様ではありません。
使い方が一様でない理由は、「ソリッド」が外来語であり、先述した「固い」「完全な」という原義から応用されて、意味が原義を大きく外れないまでも変容し、さまざまなシーンに派生し意味が増えていった点にあります。
音楽業界でよく使われる
「ソリッド」が上記の「意味があいまいな形容」として頻繁に使われているジャンルの1つに「音楽業界」が挙げられます。具体的には「使い方」に譲りますが、ミュージシャンの音楽性を評論する雑誌や書籍などで散見されます。
「ソリッドなハードロック」「ソリッドなギタープレイ」など一見しただけでは「硬質な意味?」「手堅い?」「すばらしいという意味かな?」など「正確な意味」が分からないこともあり、解釈は読み手に「委ねられて」いる部分もあります。
ただ、音楽は「フィーリング」の世界であり、あえて「ソリッド」を「〇〇だ」と定義付けることをせず、多義語の中に埋没させることで聞き手の想像力を喚起させる役割も否定できません。
ファッション業界でよく使われる
「ソリッド」が上記の「意味があいまいな形容」として頻繁に使われているジャンルの1つに「ファッション業界」が挙げられます。具体的には「使い方」に譲りますが、ファッション業界でも衣装のキャプションで「ソリッド」の言葉が雑誌や書籍などで散見されます。
数多くの意味をもつ「ソリッド」。ファッション業界の場合、「ソリッド」の多くは「無地」という意味で使われることが多いです。「ソリッド(無地)なコーディネート」「ソリッド(無地)な色」などあります。
しかし、ファッション業界も音楽業界同様「感情」の世界であり、「無地」とは言わず、あえて外来語「ソリッド」を多義語の意味合いから逸脱させないことは、読み手のセンスを磨く上でも一役買っている面も否定できません。
ソリッドの対義語
ソリッドの意味、特徴は把握することができましたが、「ソリッド」の対義語はどんな言葉があるのでしょうか?原義が「固体の」「完全の」であり、その意味を逸脱しないまま、多くの意味を派生させている「ソリッド」。
対義語を明確にすることで、ソリッドという言葉の位置付けをより明確にすることができます。今回は「ソリッド」の原義である「固体の」「完全の」という意味から、対義語を類推し、いくつか当てはめていきます。
対義語リキッドは液体の意味
「ソリッド」の対義語として1つめに上げられる言葉は「リキッド」になります。この「リキッド」は表題に示したとおり「液体の」という意味になります。この言葉はどんな語源を持つ言葉なのでしょうか?
「リキッド」は「ソリッド」同様、英語の外来語です。英語では「liquid」と書きます。この英語「リキッド」も英語「ソリッド」同様ラテン語「liquidus(液体の)」に語源を持つ言葉です。
この「リキッド」も「ソリッド」同様、多義語として知られています。原義「液体の」以外に「透明な」「流れるような」「流動性の」「不安定な」「現金に換えやすい」「流音の」など様々です。しかし、「リキッド」も原義から外れた意味はありません。
「リキッド」は日本においても整髪剤の商品名や化粧品の商品名に一部として使われています。「ソリッド」とは異なり、原義「液体の」というカテゴリーは外れることはなく、原料が「液体」に因んだ商品がほとんどです。
ソリッドの使い方
では現在、外来語「ソリッド」は実生活でどのように使われているのでしょうか?「ソリッド」は本来の原義の流れを汲みつつ様々な意味へ派生し、汎用性がある語として認知され現在に至ります。
あらゆるシーンで使われている外来語「ソリッド」。先述の「特徴」で紹介した各業界のシーンも踏まえて、実際に見かける「ソリッド」の使い方をご参考いただき、今後の活用に役立てて頂ければ幸いです。
例文①
外来語「ソリッド」の使い方の1つの例文として、ライナーノーツが上げられます。ライナーノーツとは音楽レコードや音楽CDに付属している冊子などの解説文のことです。その解説文中に「ソリッド」が使われています。
「ソリッドなアンサンブルで後世に残るハードロックサウンドを創出した傑作だ」このようにライナーノーツで、アルバムなどの作品全体の評価や、各曲の紹介を行う際に、「ソリッド」が使われます。
ライナーノーツなどで「ソリッド」が使われる場合は、専らそのアーティストの「音」に関して言及する場合が圧倒的に多いです。歌詞などの世界観に「ソリッド」はあまり使うことがないので、ご留意ください。
例文②
外来語「ソリッド」の使い方の1つの例文として、ヘッドフォンなどの音楽を聴く上でのオプション商品が上げられます。音楽雑誌も例文①同様に商品広告文の中で「ソリッド」が使われています。
「ソリッドなデザインがより立体的なサウンドスケープを実現している」このように音楽関連商品でも、その商品をアピールする上で、「ソリッド」という言葉が使われます。
「音」に関してソリッドという言葉がよく使われている理由は、「固い」という意味から、「硬質な」というニュアンスに派生させていることもありますが、先述したように、その意味を聞き手の印象にある程度委ねている部分も否めません。
例文③
外来語「ソリッド」の使い方の1つの例文として、ファッションなどの業界での商品説明が上げられます。ファッション雑誌などで、キャプションの中で「ソリッド」が使われています。
「ソリッドカラーでシックな出で立ちが演出できる一枚となっています」このようにファッション関連商品でも、その商品をアピールする上で、「ソリッド」という言葉が使われます。
「ソリッドカラー」とは、メタリックカラーなどのキラキラ感のない光輝性粒子が含まれていないカラーで、原色だけの組み合わせの色のことを意味します。
「ソリッドカラー」のような使い方だけではなく、「ソリッドな色で落ち着いた印象などの例文」でも「ソリッド」が垣間見ることができます。この場合の「ソリッド」の意味は「特徴」で先述したように「無地の」「単色の」という表現で使用しています。
ではなぜソリッドを「無地の」という直訳をしないで、「ソリッド」という外来語のままでひょうげんしているのでしょうか?
この点ファッション関連で使われる「ソリッド」も音楽関連記事同様、ある程度「抽象的」な表現でとどめ、他の意味のニュアンスを残すことで、読み手や買い手が受け取るであろう、その商品へのイメージを良い方向へ膨らませることにつながっています。
ここで例え「無地の」という表現で使っているとしても、あえて「無地の」とは言わず、「ソリッド」と表現することで、読み手の商品イメージを膨らませ、購買動機へつなげる効果があります。
例文④
外来語「ソリッド」の使い方の1つの例文として、商品名や屋号などの「固有名詞の一部」が上げられます。日本各地、多くの商品名や屋号などで、「ソリッド」を用いています。
「ソリッドマーカー」「ソリッドステーク」「カームソリッド」「株式会社ソリッド」など「ソリッド〜」のように外来語をつなげて固有名詞の一部となった「ソリッド」が多く散見されます。
「なぜこんなに多くソリッドが使われているのか?」は一概には断定できません。原義である「固体の」「完全の」とは言い切らない方が「都合が良かったり」、「言葉の響きでなんとなく」など様々です。
「ソリッド」が頻繁に使われる理由はそれぞれにしろ、音楽やファッション業界のようにある程度の抽象化をすることで受けての印象を喚起させることには一役買っています。
ソリッドを使う際の注意点
「ソリッド」を日本で使う上で注意すべきポイントとしては、どんなポイントがあるでしょうか?「ソリッド」が多義語で意味に幅があり、解釈に難航するケースもあるので、そのポイントに触れながら、以下に「ソリッド」の注意点をおさらいしていきます。
あいまいな意味で使用する事がある
「ソリッド」を日本で使う上で注意すべきポイントとしては、意味の解釈です。「由来」「特徴」「使い方」で先述してきたように、「ソリッド」は多義語だけではなく、あいまいなニュアンスで使われているケースが多々ある言葉です。
文中などで使われており、外来語「ソリッド」が突如現れます。その際は原義である「完全の」「固体の」という言葉の意味から派生している意味を類推することが大切です。
しかし中には「どれにも当たらなく」解釈が釈然としない場合もあります。その場合は意味がわからない英語の歌を聴くときのように、フィーリングで解釈していく必要があります。
意味が近しい外来語も数多く存在する
「ソリッド」を日本で使う上で注意すべきもう1つの注意点としては、他の外来語との差別化です。「ソリッド」同様、「タイト」「シンプル」など同じシーンで使われる言葉も多々存在しています。
「ソリッド」は抽象的な意味を持つ言葉です。外来語を始め、このような抽象的な言葉が1文に複数存在すると、場合によっては読み手は文の意味の解釈に難航する恐れがありますので、ご留意ください。
ソリッドは固体のという意味
「ソリッド」の意味、由来、特徴、対義語、使い方、注意点を紹介してきました。「ソリッド」は原義は「固体の」「完全な」という意味ですが、外来語としても「すばらしい」「無地の」など意味が多岐に渡り、場合によっては「あいまいさ」を持つ言葉です。
ただ、「ソリッド」は人間の完成に訴えるジャンルに多用されている言葉であります。その多義の含蓄に、広がりを感じさせる言葉であることも確かです。
「ソリッド」を見かけた際は、一度どんな意味か立ち止まってイメージし、本記事がさらなる表現の理解の一助になれれば幸いです。