漸くの意味とは?
「漸く」という言葉は小説などの中でもテレビの中でも良く見たり聞いたりしますが、「漸く」の意味を問われた時にすぐに答えられないという人は少なくありません。
「漸く」という言葉はニュアンス的に理解しているという人が多いため、「漸く」の正しい意味を問われても答えられない人が多いです。
「漸く」という言葉にはいったいどのような意味があるのか、まずは「漸く」の意味についてご紹介しましょう。
やっとという意味
「漸く」の意味の一つ目は、「やっと」という意味です。「やっと」の意味は「長く時間をかけたりした後、あることが実現する」という意味で、たった三文字の平仮名であるにも関わらずかなり複雑な意味があります。
ですが「やっと」という言葉はイメージ的にどのような意味があるのか理解している人が多いため、このような複雑な意味で覚える必要はありません。
「漸く」にはいくつか意味がありますが、「漸く」の意味を簡単に覚えたいならこの「やっと」という意味で覚えておくと良いでしょう。
どうにかこうにかという意味
「漸く」の意味の二つ目は、「どうにかこうにか」という意味です。「どうにかこうにか」の意味は「やっとのことで」ですので、先にご紹介した「やっと」と同じ意味になります。
ですが「どうにかこうにか」の意味「やっとのことで」には「のことで」という強調する言い方が入っていますので、「やっと」より時間や手数がかかったことを意味すると言えます。
同じ「漸く」であっても「やっと」という意味と「どうにかこうにか」という意味では少し「やっと」の程度が違うということです。
時間や手間がかかった後に望みが実現するという意味
「漸く」の意味の三つ目は、「時間や手間がかかった後に望みが実現する」という意味です。先にご紹介した二つの意味に比べるとかなり複雑な意味で、先の二つの意味よりさらに「やっと」が強調された意味になります。
「漸く」という言葉は日常生活の中でも結構良く使われますが、「やっと」という意味で使う場合はかなりソフトで、「どうにかこうにか」という意味で使う場合は時間や手間がもう少しかかる感じです。
さらに「時間や手間がかかった後、望みが実現する」という意味になると、膨大な時間や手間がかかったことを意味しますので、とても苦労して何かが実現した場合にはこちらの意味で「漸く」が使われると言えます。
漸くの読み方
「漸く」の意味についてご紹介しましたので、次は「漸く」の読み方についてご紹介します。「漸く」という言葉は耳で聞くことも多いですが、漢字にして目で見ると読み方がわからない人も多いです。
「漸く」という言葉を口で言って使っている人の中にも、「漸く」を漢字で書かれると読み方がわからないという人もいます。
「漸く」という言葉はいったいどのような読み方なのか、「漸く」の読み方についてもご紹介しましょう。
漸くの読み方は「ようやく」
「漸く」の読み方は「ようやく」です。読み方を知らない人が「漸く」という漢字を見ると、ものすごく難しい言葉のように感じるでしょう。ですが実は「漸く」の読み方は「ようやく」と、とても簡単です。
方言の中には「ようよう」「ようや」と言う言葉がありますが、それらの方言も「漸く」から来ていて、「漸く」と同じ意味で使われます。
「漸く」の読み方は「ようやく」で、日常生活の中でも使われる簡単な言葉ですので、「漸く」は「ようやく」だと覚えておきましょう。
漸くの類義語
「漸く」の読み方についてご紹介しましたので、次は「漸く」の類義語についてご紹介します。「漸く」の意味は「やっと」「どうにかこうにか」「時間や手間がかかった後に望みが実現する」なので、似た意味を持つ言葉が類義語になります。
「漸く」の意味を三つご紹介しましたが、これらの意味のうちどれか一つにでもあてはまる意味を持つ言葉なら「漸く」の類語だと言えます。
「漸く」の意味と似た意味を持つ類義語にはいったいどのような言葉があるのか、「漸く」の類義語についてご紹介しましょう。
いよいよ
「漸く」の類義語の一つ目は、「いよいよ」です。「いよいよ」の意味は「とうとう」「ついに」「やっと」という意味で、「やっと」という意味が入っているため「漸く」の類義語になります。
「いよいよ」には他に「前よりもなお一層」「より一層」「ますます」という意味もありますので、こちらの意味では「漸く」の類義語にはなりません。
ですが「やっと」という意味が入っていますので、「いよいよ」は「漸く」の類義語の一つとして挙げられます。
ややに
「漸く」の類義語の二つ目は、「ややに」です。「ややに」の意味は「不特定の期間もしくは長い期間の後に」という意味で、「漸く」の意味「やっと」に似た意味を持つ類義語になります。
「漸く」の意味「やっと」には「長い時間をかけたりした後、あることが実現する」といういみがありますので、「長い時間をかけた後」という点で「ややに」は「漸く」の類義語と言うことができます。
ですが「漸く」の意味「やっと」には「あることが実現する」という意味も含まれていますので、その点では「ややに」は少し違います。
ついに
「漸く」の類義語の三つ目は、「ついに」です。「ついに」の意味は「長い時間が経って最終的な結果に達すること」という意味で、「漸く」の意味「やっと」と似た意味を持つ類義語だと言えます。
「漸く」の意味「やっと」には「あることが実現する」という意味がありますが、「ついに」の「最終的な結果に達する」とは少し異なります。
ですが「長い時間が経って何かに達する」という意味がありますので、「ついに」も「漸く」の類義語だと言うことができます。
おしまいに
「漸く」の類義語の四つ目は、「おしまいに」です。「おしまいに」の意味は「終わりに」という意味で、一見すると「漸く」とは意味が異なるように見えますが、「おしまいに」も「漸く」の類義語の一つです。
「おしまいに」という言葉には「長い時間が経って」というニュアンスが含まれるため、「漸く」の意味「やっと」の「長い時間をかけたりした後」と似た意味だと言えます。
ですが「おしまいに」には何かが実現されるという意味はありませんので、その点では「漸く」とは少し違います。
挙句に
「漸く」の類義語の五つ目は、「挙句に」です。「挙句に」の意味は「色々やってみていきついた結果」という意味ですので、こちらも「漸く」の意味とは少し違いますが「漸く」の類義語の一つとして挙げられます。
「挙句に」の意味のうち「色々やってみて」の部分は「長い時間をかけて」というイメージがあり、「いきついた結果」という意味もありますので、「挙句に」もかなり「漸く」に意味が近いです。
ですが「挙句に」という言葉はあまり良くない意味で使われることが多いため、その点では「漸く」とは少し違うと言えます。
とどのつまり
「漸く」の類義語の六つ目は、「とどのつまり」です。「とどのつまり」の意味は「物事の果て」「最終的に」という意味で、「漸く」とは全く意味が違うようですが「とどのつまり」も「漸く」の類義語です。
「とどのつまり」の意味「物事の果て」「最終的に」には長い時間をかけたというニュアンスがありますので、その点で「とどのつまり」も「漸く」の類義語として挙げられます。
ですが「とどのつまり」は最終的な結果があまり良くない場合に使われますので、使い方という点では「漸く」とは違うと言えます。
漸くの使い方・例文
「漸く」の類義語についてご紹介しましたので、次は「漸く」の使い方の例文についてご紹介します。「漸く」には「やっと」「どうにかこうにか」といった意味がありますので、このようなことを表現したい場合に「漸く」が使えます。
「漸く」という言葉は日常生活の中でも結構使われる言葉ですので、特に使い方が難しいわけではありませんが、「漸く」の正しい使い方がわからない人もいるでしょう。
「漸く」という言葉はいったいどのような使い方をすれば良いのか、「漸く」の使い方の例文についてご紹介しましょう。
例文①
「漸く」の使い方の例文の一つ目は、「台風で傷んだ家の修復にはしばらくかかったが、漸くきれいに直すことができた」という「漸く」の使い方の例文です。
「漸く」という言葉には「やっと」「どうにかこうにか」「時間や手間がかかった後に望みが実現する」という意味がありますので、「しばらく」といった時間や日数の経過を表す言葉とセットでの使い方が多いです。
「漸く」の後には必ず動詞が続きますが、この例文の場合は「きれいに直すことができた」に「漸く」がかかっています。
例文②
「漸く」の使い方の例文の二つ目は、「カメラマンになりたいと願い続けた彼の夢が漸くかなった」という例文です。この例文では「時間や手間がかかった後に望みが実現する」という意味で「漸く」が使われています。
「漸く」は時間や日数の経過を表す言葉とセットで使われることが多いとご紹介しましたが、この例文での時間や日数の経過を表す言葉は「願い続けた」になります。
長い年月に渡って何かの夢に向かって努力を続けた結果、夢がかなったという場合などにも「漸く」という言葉を使うことができます。
例文③
「漸く」の使い方の例文の三つ目は、「クライアントからの面倒な依頼が続いたが、漸く解放された」という例文です。この例文では「やっと」という意味で「漸く」が使われています。
この例文での時間や日数の経過を表す言葉は「続いた」です。「続いた」という言葉には「何かが終わった後、次の何かが始まった」という意味がありますので、時間経過を表すこともできます。
この例文での「漸く」には、面倒な依頼が続いたことからやっと解放されたという安堵感のイメージもあり、こういった場合にも「漸く」が使えると言えます。
例文④
「漸く」の使い方の例文の四つ目は、「自分の手に余る仕事だと思っていたが、漸く終わることができた」という例文です。この例文では「どうにかこうにか」という意味で「漸く」が使われています。
「どうにかこうにか」という言葉には苦労したというイメージがありますので、こういった時には「どうにかこうにか」という意味で「漸く」を使うことができます。
「漸く」という言葉は時間や日数を表す言葉とセットで使われることが多いですが、この例文のように時間や日数を表す言葉がなくても「漸く」を使うことはできます。
漸くの由来
「漸く」の使い方の例文についてご紹介しましたので、次は「漸く」の由来についてご紹介します。日本語にはかなり昔から使われていて語源や由来がある言葉が多いですが、「漸く」もそういう日本語の一つになります。
「漸く」という言葉は故事成語ではありませんので、昔の書物などに語源や由来はありませんが、ちゃんと由来はあります。
「漸く」という言葉にはいったいどのような由来があるのか、「漸く」の由来についてもご紹介しましょう。
川の流れを斬るという漢字が由来
「漸く」の由来は、「川の流れを斬る」という漢字です。「漸く」という言葉は川の水を表すさんずい辺と「斬る」という漢字からできていますが、川に流れる水を斬ることは現実的にはほぼ不可能です。
現実的にはほぼ不可能な「川に流れる水を斬る」ということをするためには膨大な時間や手間がかかりますが、いつかは必ずできるという期待が込められています。
そのため「漸く」という言葉には、「やっと」「どうにかこうにか」「時間や手間がかかった後に望みが実現する」という意味があるということです。
漸くの英語表記
「漸く」の由来についてご紹介しましたので、次は「漸く」の英語表記についてご紹介します。日本語には英語に翻訳することが難しい、繊細な意味や難解な意味を持つ言葉がたくさんありますが、「漸く」もそんな日本語の一つです。
「漸く」には「やっと」「どうにかこうにか」「時間や手間がかかった後に望みが実現する」という意味がありますが、これらすべての意味に対応する英語の単語はないので、「漸く」を英語に訳するには意訳が必要です。
「漸く」を英語表記するにはいったいどのような英語を使えば良いのか、「漸く」の英語表記についてご紹介しましょう。
おしまいにという意味の「finally」
「漸く」の英語表記に使われるのは、「finally」という英語です。「finally」の意味は「おしまいに」という意味ですが、「漸く」を英語表記する時に「finally」を使うのはあまり良いイメージがない場合もあります。
「漸く」を良い意味で使う時に使う英語として、「at last」という英語が挙げられます。「at last」には良い意味での「やっと」という意味があるため、「漸く」を良い意味で使い際には「at last」が使われます。
ですが「finally」は良い意味でも悪い意味でも使えますので、「漸く」を英語に翻訳する場合には「finally」が多く使われると言えます。
漸くはやっとという意味
「漸く」という言葉の意味や使い方の例文などについて色々とご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。「漸く」の意味は「やっと」という意味ですので、「漸く」の正しい意味を理解して正しく使いましょう。