「やばみ」「つらみ」の意味とは?
最近、「やばみ」「つらみ」など「○○み」という言葉をよく耳にします。若者の間ではTwitterやLINEなどのSNS上でよく使われており、日常会話の中でも使う人はいるようです。その中から今回は、「やばみ」と「つらみ」について解説していきます。
「やばみ」「つらみ」の意味は、そのまま言葉通りに「やばい」と「つらい」といった意味となります。「やばみ」「つらみ」の「み」を「い」に変えるだけで、元の言葉になりました。
言葉をそのまま「やばい」「つらい」と言えば伝わるものを、なぜ「やばみ」「つらみ」と言葉を変えて表現しているのでしょうか。
「やばみ」「つらみ」の由来
文法的に見ると、「○○み」は主に「やばい」「つらい」や「うれしい」など、形容詞の後に付いて名詞を作る働きを持つ「接尾語」と呼ばれるもので、辞書にも載っている「旨み」「深み」「つらみ」などに適用されます。
しかし、本来は「○○み」がつかない「やばい」「うれしい」や、「食べたい」や「分かる」などにも「○○み」を使うようになりました。本来は「○○さ」をつけて「やばさ」「食べたさ」と表現してきましたが、「分かる」には接尾語はつくものではありません。
では、なぜ「○○み」をつける表現を使うようになったのでしょうか。その理由はいくつかあるため、順番に解説していきます。
「○○み」を広い範囲で使うようになった
形容詞の後について名詞を作る働きを持つ接尾辞「○○み」を、本来よりも広い範囲の言葉にも付けて使うようになったと言われています。
本来は「○○み」が使われない「やばい」や「うれしい」などの感情を名詞化し、「やばみ(を感じる・がある)」といったように自分から距離を置いた表現をすることで、少し遠回しな表現を使うことができます。
大人の使う「この日程では厳しいものがあります」の「もの」や「ところ」といった表現と同様のもので、若者はそれを「○○み」を使うことで表現しているのではないでしょうか。
SNSの特性が影響している
若者言葉で重視されているものとして、使いやすさの他に新鮮さが動機として考えられていますが、「やばみ」「つらみ」が流行した理由として、Twitterという自分の気持ちや考えを「つぶやく」という特性を持つツールが影響しているとも言われています。
従来使われてきた「○○さ」ではなく「○○み」を使うことで、少し冗談のようにも受け取れる「ネタ」として自分の感情や欲求を誰かに見せやすくなるというものです。
また、「やばみ」「つらみ」などの「○○み」による名詞化について、「甘み(甘い味)」、「丸み(丸い形)」、「かゆみ(かゆいという感覚)」などの「自分が知覚できる感覚」を「○○み」で名詞化する使われ方もするため、単なる名詞化でなく実感を伴う名詞化がされたと言われています。
若者言葉の歴史から語尾をかわいいものにしている
これまでは文法的な観点から解説をしてきましたが、若者言葉の流行傾向から「やばみ」「つらみ」が使われる理由を考察していきます。例えば、「やばぽよ」や「つらたん」など語尾を「○○ぽよ」「○○たん」というように変えて表現することが流行していた時期があります。
このように「やばい」「つらい」を「やばみ」「つらみ」として表現することも、これまでの若者言葉の流行傾向から語尾を変えることでかわいい表現にして使っているため、特に深い意味はないという説があります。
また、「やばみ」「つらみ」などの「○○み」という語尾を変える表現方法は、かわいらしさの他にもTwitterなどのSNSなどで単純に使いやすいからという理由でも流行しているようです。
「やばみ」「つらみ」の使い方
「やばみ」「つらみ」の意味が「やばい」「つらい」ということ、そして「やばみ」「つらみ」の由来について複数の説があることがわかりました。では、どういった場面で、どういった使い方で「やばみ」「つらみ」を使えばよいのでしょうか。
使い方としては「やばい」「つらい」と同様の使い方をしますが、言葉そのものの意味が多様なために使いどころに悩む人もいるでしょう。ここからは、TwitterなどのSNSで使われている「やばみ」「つらみ」が若者たちの間でどういった使い方をされているのか、例文を交えて解説していきます。
例文①
「やばみ」は通常使われる「やばい」同様に、喜びや興奮、危機感や蔑みなどの様々な感情を表す言葉となります。「やばみ」一言で様々な意味を持つため、相手の言葉に対して反射的に「それやばみじゃん」と答えることもあるでしょう。
例えば、様々な感情表現の中から危機的状況を表すために「やばみ」を使うとした場合、例文としては「今日テストなのに勉強してなくてマジやばみ」や「タピオカにハマりすぎて体重がやばみ」などといった使い方をします。
例文②
「つらみ」は「つらい」という意味なので「つらみ」を使う状況というものもつらいときが多いでしょう。また、言葉に続けて「~が深い」や「~を感じる」を付けることで「やばみを感じる」「つらみが深い」といった使い方もします。
そういった場合には「彼女に振られてつらみがすごい」や「財布を落としてつらみが深い」、「寝てなくてやばみを感じる」などといった使い方をします。
例文③
TwitterなどのSNSで若者によく使われる言葉ですが、「つらみがやばみ」といった使い方をする場合もあります。こちらは「とてもつらい」という意味合いで使われていますが、「つらみ」と「やばみ」の合わせ技となります。
例文としては「好きな人に振られてつらみがやばみ」や「筋トレのしすぎで筋肉痛のつらみがやばみ」などといった使い方をします。
「つらみがやばみ」と連続して続くと、最早やばいのかつらいのかわからなくなりますが、「とてもつらい」という意味合いで使うことができる言葉となります。
例文④
「やばみ」「つらみ」をネガティブなつらさではなく、「うれしさに胸がいっぱいになってつらい・やばい」といったポジティブなつらさを表現する場合にも使います。
例文としては「○○ダイエットの効果がすごすぎてやばみを感じる」や「推しているアイドルの写真集が尊くてつらみ」といった使い方になります。ネガティブな状況だけでなく、ポジティブな状況でも使える便利な言葉だということがわかりました。
「やばみ」「つらみ」の注意点
「やばみ」「つらみ」の使い方も理解できたところで、ここからは「やばみ」「つらみ」を使用する上での注意点について解説していきます。
使い方に関しては、「やばい」「つらい」と同じように使用すればいいものの、使用するのが好ましくない場面というものはあります。
また、自分より目上の立場の人に対して「やばみですね」「風邪気味でつらみが深いんですよ」といった言葉遣いをするのも大人としては望ましくないため、使用する場面や相手に注意が必要となります。
ビジネスシーンなどでの使用には適していない
ビジネスシーンに限った話ではありませんが、敬語を使うシーンでは若者言葉を使うことは望ましくありません。「この案件やばみですね」「先方が難色を示していてつらみが深いです」といった会話をするのはいかがなものでしょうか。ビジネスシーンでは原則として敬語を使うものです。
「やばみ」を言い換えるならば「問題がある」「危険です」、「つらみ」を言い換えるならば「つらい」「厳しい」などといった言葉があります。上司や先生など目上の人と話すときには適切な言葉を使うのが大人としてのマナーです。
また、「○○み」という言葉遣いにイラっとする人もいます。日本語として聞き慣れないと感じる人もいるため、TwitterなどのSNS上で流行している言葉を使用する場合は、流行している場のみで使うのが好ましいです。口語で使う場合は相手が若者言葉を使っても問題ないかを確認しましょう。
「やばみ」「つらみ」は「やばい」「つらい」という意味
「やばみ」とは「やばい」、「つらみ」とは「つらい」という意味で、言葉の語尾に「○○み」をつけることで名詞になっていることがわかりました。また、「うれしみ」や「ねむみ」など若者の間では語尾に「み」をつけた言葉が数多く存在しており、意味は本来の言葉と同様のものとなります。
言葉の使い方や意味合いは時代とともに移り変わります。「やばみ」「つらみ」はかわいらしい響きを持っており、使いやすいことからTwitterなどのSNS上で流行している若者言葉ですが、使う相手や場面を考えて使用していきましょう。