器用貧乏の意味とは?
「器用貧乏」とよく言いますが、正しい使い方と意味を知っていますか?「器用貧乏」の意味は「大抵のことはうまくできてしまうので、いろいろなことに手を出し、どれも中途半端になり成功しない」という意味の四字熟語です。
当記事では「器用貧乏」の対義語・類語の意味を紹介し、「器用貧乏」の使い方を例文を挙げながら解説します。「器用貧乏」な人の特徴や向いている仕事まで紹介します。
「器用貧乏」を使う際の注意点を状況ごとに例を挙げて「器用貧乏」の使い方と意味、「器用貧乏」の英語表記を解説します。
器用貧乏の対義語・類語
まずは「器用貧乏」の対義語と類語を2つずつ紹介します。「器用貧乏」自体が相反する意味の単語を組み合わせた四字熟語となり、結局は大成しないという意味が特徴的な言葉です。
「器用貧乏」の対義語「オールラウンダー」と「一芸に秀でる」類語「広く浅く」と「多芸は無芸」それぞれの意味を紹介します。
対義語と意味①
「器用貧乏」の対義語①は「オールラウンダー」です。「なんでもできる」という意味は「器用貧乏」と同じですが、「器用貧乏」は「中途半端で成功しない」ということを意味します。
それに対し、「オールラウンダー」は「何をやっても優れている」という意味を表しますので、対義語となります。「オールラウンダー」の例文としては「彼は走攻守の3拍子を備えたオールラウンダーだ」
「彼女は多部署の仕事をこなし、オールラウンダーとして高い評価を得ている」などがあり、どちらの例文もひとつのジャンルだけでなくいろいろなことを高いレベルでできるという意味があります。
対義語と意味②
「器用貧乏」の対義語②は「一芸に秀でる」です。意味は「ひとつの芸が人よりも優れている」となり、「器用貧乏」の「なんでもできるが、中途半端で成功しない」という意味に対してひとつのことを極めた人を指すので対義語として使います。
「一芸に秀でる」の例文としては「彼は他のことはからっきしだが、仕事に関しては高い評価を得ている。一芸に秀でるとはこのことだ」や「一芸に秀でることで欠点が見えなくなる」などの使い方をします。
けっして器用ではありませんが、何かひとつのことを誰にも負けないくらいのレベルに到達している人を「一芸に秀でる」と言い、その様子を意味します。
類語と意味①
「器用貧乏」の類語①は「広く浅く」です。「器用貧乏」と同じく「広い範囲の知識や人間関係を持っているが、ひとつひとつに深さや強い関連を持っていない」という意味で使われることが多くなっている類語です。
しかし、「器用貧乏」が「成功しない」という意味に使われる特徴がありますが、「広く浅く」は客観的な能力や知識を言い表す使い方ができる類語となっています。
類語の「広く浅く」の例文としては「彼はなんでも知っているが、その知識は広く浅くといったところだ」や「彼女は広く浅くの人間関係を嫌う」などです。
類語と意味②
「器用貧乏」の類語②は「多芸は無芸」です。「器用貧乏」と同じく、相反する意味の単語を組み合わせた言葉となり、意味としては「多くの芸に通じていることは、精通した芸とはならず、結局は無芸に通じてしまう」という意味があります。
「多芸は無芸」の例文としては「彼はなんでもできるが、全てそこそこの水準で、多芸は無芸だ」や「多芸は無芸というが、彼女の歌や踊りはどれも月並みだ」などがあります。
「多芸は無芸」は「器用貧乏」の類語ですが、同様に褒め言葉として使う言葉ではありませんので、使い方や使う状況は気を付けなければなりません。
器用貧乏の使い方・例文
実際に「器用貧乏」を会話で使う時の使い方を例文を示しながら解説します。「器用貧乏」は「なんでもできる」というプラスな意味と「多方面に手を出して成功しない」というネガティブな意味が合わさった言葉という特徴があります。
主な使い方は「なんでもできたり、知っていたりするけれど、人より抜きん出ているところがない」という意味で使う言葉となっています。
例文①
「器用貧乏」の例文①は「兄は周りからなんでも知っていると褒められるが、上部のことを囓っただけで実は器用貧乏だ」です。
「器用貧乏」は人のことを指していう時には事実を言っていたとしても批判していると捉えられる特徴がありますので使い方には注意が必要です。
また、貧乏とついているからといって経済的な貧しさを意味しているのではなく、手に職や証左となる経験がつかないことを貧乏と言い表しています。
例文②
「器用貧乏」の例文②は「彼女はなんでも卒なくこなせる為に器用貧乏な扱い方をされている」です。この例文は事実を言っており、批判にはあたりません。
例文に出てくる彼女がどういう想いで仕事にあたっているのかを聞き、彼女が現状を抜け出そうと思っているのであれば積極的に手を貸し、現状のままを気に入っているのであればいらぬ世話を焼くのは野暮だと言えるでしょう。
例文③
「器用貧乏」例文③は「君は器用貧乏なところがあるが、なにかひとつに絞って仕事をするともっと伸びると思うよ」です。
これは相手のことを考えてアドバイスする場合の「器用貧乏」の使い方となります。「器用貧乏」をアドバイスに使う時は現状が「器用貧乏」でプラス「どのように行動すればいいか」を合わせていうようにしましょう。
「器用貧乏」だけだと批判されているような意味に捉えられてしまいますので、アドバイスに使う場合も使い方には注意しましょう。
例文④
「器用貧乏」例文④は「器用貧乏な人ほどなんでもできるので頼み事を断りずらい」です。「器用貧乏」な人の特徴は「なんでもできるあまりに特定の物事に執着があまりない」ということが挙げられます。
頼まれた事はある程度、合格点のクオリティーで仕上げてくれます。ですのでそこから注意されたり、改善を求められることがあまりないので成長しようと思う機会があまりありません。
上司であればこれほど便利な人材はいないのですが、本人にとっては「なんでもできるけど自分はどんなスキルを仕事を通じて得ることができたのだろう?」と悩みの種を持たせることになってしまいますので、気をつけましょう。
器用貧乏の特徴
「器用貧乏」な人の特徴はなんでもある程度の水準でこなせてしまう為、向上心が少なく、出世意欲などは希薄なものと言えます。
手先が器用というだけではなく、「掴んだら離さない」という執着心もあまりありませんので性格的には小ざっぱりした人だという特徴があります。
確かに、考えてみると大成している人は執着心が強かったり、人として一癖も二癖もある人が多いように感じてしまいます。スポットライトが強く当たる程、弱みは見えずらくなりますが、近くに行くと苦手に感じてしまうかもしれません。
その点、器用貧乏な人は何事にも興味や執着があまりないので人に嫌われにくい得な性格だといえます。但し、自分が「器用貧乏」だと自覚している場合はそんな「器用貧乏」な人の性格につけ込んで利用される恐れもありますので浮世離れするのも程々にしておいたほうがいいでしょう。
器用貧乏な人に向く仕事
「器用貧乏」な人は興味の対象が広く、そしてなんでもそこそここなせるようになると次へと行ってしまうフットワークの軽さが「器用貧乏」な人の主な性格となっています。
「自分が一番になりたい!」という気持ちや「とことんまで納得のいく物を作る」という仕事はあまりおすすめできません。「器用貧乏」な人に向く仕事を紹介します。
No.2のポスト
どの職業にも共通して欠かせない存在が優秀なNo.2です。会社には小さな組織から大きな組織までありますが、それぞれ上位の役職者を目指して働きはじめます。
最近ではワークライフバランスが重視される傾向にあり、全員が出世を目指して仕事をする時代ではありませんが、そんな役職者としてのポストもいずれは誰かが担わなければなりません。
「器用貧乏」な人はあまり出世意欲がない人も多いかもしれませんが、その反面利用されやすい立場にも立たされやすい傾向にあります。
そんな状況を掻い潜って自分が生きやすく仕事をする為にトップを目指すのではなく最強のNo.2を最初から目標にしてみてはいかがでしょうか?
最初からNo.2を目指せばトップを目指す人の敵になることも避けられますし、重宝がられる人になればいろいろな組織のしがらみを避けながら貧乏くじを引かされるリスクを最小限に押し留めることができます。
会社のトップが社長なら副社長を目指す。営業部のトップが部長なら副部長を目指す。など人それぞれフィールドの大きさは異なりますが、最強のNo.2であることには変わりません。
もうひとつメリットがあるとすれば最初からNo.2を目指す人は少数派ですので競争相手が少なく、ニッチな戦いとなるのでその点もより楽に生きられるポイントとなります。
秘書
「器用貧乏」な人に向く仕事は矢面に立つ仕事よりも人のサポートにまわるような仕事や職種が向いています。例えば秘書やコンサルタントなどです。
秘書は誰かのサポートとしてスケジュール管理や業務の調整、顧客の応対などが主な業務としてあげられますが、多くの場合トップになるような人はそういった細かい仕事が苦手です。
「器用貧乏」な人のなんでも卒なくこなせる能力と自分自身が「前に出たい!」という執着心がないことがプラスに働く仕事だといえます。
コンサルタント
コンサルタントは広い視野で会社を見て改善や業績の向上を求められる仕事です。自分のこととなると一点集中してしまい、物事が見えなくなってしまう人がほとんどです。
しかし「器用貧乏」な性格の人は自分のわからない業種であったとしても業務内容を想像し、全体を客観視する能力に長けていますのでコンサルタントも器用貧乏な人に向いている仕事だと言えます。
専業主婦・主夫
実は「器用貧乏」な人に一番向いている仕事は専業主婦・主夫かもしれません。「誰かのサポートをする」「執着が薄い」「なんでもこなす」という3拍子が揃わないとできない仕事です。
自分が汚していない洗濯物を洗い、子供の世話をしながら家事をする。といった当たり前のように思えることも実は究極のマルチタスクな仕事です。
なかなかスポットライトが当たらないですし、パートナーに恵まれないと評価もされにくい仕事ですが、誰かが担わなければならない仕事をこなし、サポートをすることができる「器用貧乏」な性格の人にこそ向いているのかもしれません。
器用貧乏を使う際の注意点
「器用貧乏」はポジティブな意味とネガティブな意味が合わさった四字熟語です。人を褒めるつもりで使っても、自分を謙遜する意味で使っても角が立つ言葉となります。実際に「器用貧乏」を使う時の注意点を解説します。
目上の人には使わない
「器用貧乏」は目上の人に使うのは避けるようにしましょう。「器用貧乏」の「なんでも卒なくこなす」という意味で使ったとしても「なんでも手を出し、成功しない」という意味が強調されてしまいます。
褒めるつもりで「器用貧乏」を使ったとしても相手を不快な気持ちにさせてしまう恐れがありますので目上の人に使うのは避けましょう。
自分には使わない
自分が人から褒められて謙遜の意味で「器用貧乏」を使うと目上の人に使った場合と逆の意味が強調されてしまいます。
「器用貧乏」のなんでもこなせるという意味が強調されて、自分の能力を見せびらかせているようなイメージとを相手に印象付けてしまいます。
褒め言葉としては使わない
人を褒める時に「器用貧乏」は使いません。「器用貧乏」は褒め言葉にならず、ただ相手を嫌な思いにさせてしまうだけとなります。
なんでもできる人を褒める時には「器用」や単純に「なんでもこなせて凄い!」と素直に言ってあげるようにしましょう。
器用貧乏の英語表記
「器用貧乏」の英語表記は「Jack of all trades master of none」です。直訳すると「ジャックはどんな商売もできるが、何も覚えていない」という意味になります。
まさに「器用貧乏」を言い表した英語表現となります。世界のどこにでも「器用貧乏」な人がいるということがよくわかる表現となります。
器用貧乏はそこそこという意味
「器用貧乏」には「なんでもできる」という意味と「いろいろできるがあまりに結局何も物にできていない」という意味が合わさった四字熟語です。
対義語ではなんでも高水準でできる「オールラウンダー」やひとつ特技があるという意味の「一芸に秀でる」を紹介しました。
なんでもできる人を褒める時には「オールラウンダー」という方がポジティブな意味が伝わります。「器用貧乏」な人は秘書やコンサルタントなど人の為に動く仕事が向いているといえますので参考にしてみて下さい。
「器用貧乏」はネガティブな意味が強く出る特徴がある言葉ですが、なんでもそこそこ器用にできるというのは実は才能なのだということを忘れないでください。