「不惑」の意味とは?
「不惑」と言う言葉を聞いたことはありますか?聞き覚えの無い方が多いでしょう。実は意味が2つあり年齢を表すときに使われることもあります。「不惑」の正しい意味を理解して日常会話で使ってみましょう。
「不惑」は40歳のこと
「不惑」は「ふわく」と読みます。「不惑」は「惑わないこと、心が乱れたり悩んだりしないこと」という意味があります。「惑」は「惑わす」という意味を持っていて、「不」は否定するときに使われるので「不惑」で「惑わない」という意味になります。
そして「不惑」にはもう一つの意味があり、「数え年40歳」という意味を持っています。「不惑」は40歳の異称となります。「不惑」が40歳の異称となったのには孔子の「論語」が関わっていますが詳しくは「不惑」の由来で紹介します。
「不惑」の対義語・類義語
「不惑」の2つの意味を理解したところで「不惑」の類語と対義語を紹介します。類語と対義語を知ることで「不惑」を深く理解することができ、普段はどのような言葉に置き換えて使っているのか知ることで「不惑」を身近に感じられます。
「不惑」の類義語
まず「不惑」の類義語を紹介します。「不惑」には「40歳」と「惑わない」という2つの意味があるので、それぞれの意味の類語を紹介します。更にその類語の詳しい意味とその言葉の使い方も解説します。
「40歳」の意味の類語
「不惑」の「40歳」という意味の類語である「四十路」、「初老」、「強仕」を紹介します。「四十路」は「よそぢ」と読みます。文字を見たまま「四十」が入っているので「40歳」を意味します。
「初老」は「しょろう」と読みます。「初老」は「中年を過ぎて老年に入りかけた年ごろ。40歳の異称。」という意味があります。「初老」の正式な意味は「40歳」ですが、最近は平均寿命が高く老年と感じる年齢が高くなってきているので、現在は60歳から65歳くらいを指します。
「教仕」は「きょうし」と読みます。「教仕」は聞き馴染みの無い言葉ですが、周から漢にかけて儒学者がまとめた礼に関する書物をまとめた「礼記」に「教」を40とするという記載があり、そこから「教仕」は40歳の意味を持つようになりました。
「不惑」の「惑わない」の意味の類語
「不惑」の「迷わない」の意味の類語を紹介します。「不惑」の類語である「決意」、「覚悟」、「腹をくくる」を紹介します。「決意」は「あることをしようと心に決める」という意味で使われます。「覚悟」は「困難なことを想定して、それを受け止める心構えをすること」という意味です。
そして「腹をくくる」は「決心を固める」という意味で使われます。「決意」、「覚悟」、「腹をくくる」は心に決めたり、心構えをするなど「不惑」の意味である「迷わない」と若干異なりますが意味として殆ど同じなので類語と言えるでしょう。
ちなみに「腹をくくる」の「腹」は「心や気持ち」を表していて、気持ちを硬く引き締めるという意味で「くくる」が使われます。「腹をくくる」は「腹をくくって頑張る」のように使われます。
「不惑」の対義語
「不惑」の「40歳」と「惑わない」の意味のそれぞれの類語を紹介しました。次は「不惑」の対義語を紹介します。「不惑」の類義語では「40歳」と「惑わない」の2つの意味を紹介しましたが、「40歳」の対義語は存在しないので、ここでは「惑わない」の対義語を紹介します。
「不惑」の対義語の意味
「不惑」の「惑わない」の意味の対義語を紹介します。「不惑」の対義語は「困惑」や「戸惑い」、「迷い」などがあります。「困惑」は「こんわく」と読みます。「困惑」は「どうしてよいかわからないさま」を意味します。
「戸惑い」は「とまどうこと」という意味です。そして「迷い」は「迷うこと。心が乱れて判断がつかない状況。」という意味があります。「困惑」と「戸惑い」、「迷い」は「不惑」の「迷わない」の真逆の意味になるので対義語になります。
「不惑」の使い方・例文
「不惑」の意味や類義語や対義語を理解できたところで続いて「不惑」の使い方を紹介します。「不惑」は聞き馴染みのない言葉で意味を理解しても使い方が分からない方も多いでしょう。そこで「不惑」を使った例文を4つ紹介します。
例文①
「不惑」を使った例文の1つ目を紹介します。「もうすぐ不惑の年になる」この例文は40歳を意味する「不惑」の使い方です。40歳と言わずに「不惑」ということで年齢に重みがでて、40歳になることへの意気込みが感じられる例文になっています。
例文②
「不惑」を使った2つ目の例文を紹介します。「彼女はスタイルが良く不惑に見えない。」この例文も「不惑」を40歳の意味で使っています。女性に対して40歳という年齢を言うと嫌悪感を抱かれる場合がありますが「不惑」を使うことで数字にとらわれず、女性自身も嫌な気分になりにくいでしょう。
例文③
「不惑」を使った3つ目の例文を紹介します。「いよいよ不惑の年に達する」この例文も「40歳」という意味で「不惑」を使っています。「40歳」ではなく「不惑」という言葉を使うことで「40歳」になる重みを感じたり、これからの意気込みを感じられる例文になっています。
例文④
「不惑」を使った4つ目の例文を紹介します。「今年で不惑になりますがますます精進してまいります」この例文はスピーチの一文を切り取った例文になります。
「40歳」ではなく「不惑」をスピーチ内で使うことで教養の高さや知識の多さを見せることができ、更に上の例文と同じく、40歳という歳への意気込みも含まれた意味になります。
「不惑」の由来・歴史
「不惑」の意味や使い方を紹介しましたが、そもそもなぜ40歳を「不惑」と呼ぶのでしょうか?そこで「不惑」の歴史や由来を紹介します。「不惑」の由来を知ることで40歳が「不惑」と呼ばれる謎が解明されるでしょう。
由来
「不惑」は「惑わない」という意味があります。「惑わない」を深く読み解くと「枠にとらわれない」という意味になります。40歳までに学問などをしっかり学んで、40歳からは枠にとらわれず自由に物事を見る時期であると考えらえます。
そこから「枠にとらわれない年齢」は「40歳」になったと考えられます。40歳で自由に物事を見る時期を終えて「50歳」の「知名」つまり天が自分自身に与えた役割や使命を悟る時期に繋がっていきます。
歴史
「不惑」の由来を紹介しましたが、40歳は枠にとらわれない年齢であるというのは孔子の考えからきています。「論語」の中で人は年齢とともに成長するという孔子の考え方から「不惑」が40歳を意味するようになりました。
ちなみに「論語」の中で孔子は他の年齢にも異称を付けていて、15歳は学問で身を立てる「志学」、30歳は独立した自説を持つ「而立」、そして40歳は「不惑」、50歳は「知命」、60歳は何事も素直に受け入れる「耳順」、70歳は思うままに行動できる「従心」となっています。
孔子の時代に考えられた、それぞれの年齢での役割ですが現代でも変わらずに通用する年齢の成長過程になっています。そこからも現代でも「不惑」が使われるのが理解できます。
「不惑」の英語表記
「不惑」の使い方や歴史を理解したところで「不惑」は英語ではどのように表現するのでしょうか?「不惑」という孔子が考えた素敵な言葉を外国の方にも説明して知ってもらうために英語で「不惑」を表現できるようになりましょう。
英語で40歳は「forty years old」
40歳を英語で表す方法は「forty years old」のみになります。なので「不惑」を直訳した「惑わない」という意味の英文をいくつか紹介します。まず1つ目は「have no delusions」で「惑わされない」という意味になります。「delusions」は「妄想、迷い、惑わし」という意味を持っています。
2つ目は「have a mind of tranquility」で「平穏な心持ち」という意味になります。少し違う視点での表し方ですが「惑わない」つまり「平穏な心を持っている」という意味に繋がるので「不惑」を表す英語になります。
3つ目は「not suffer from perplexities」で「困惑しない」という意味になります。「perplexities」は「困らせるもの」、「suffer from」で「(人が)(苦痛などを)経験する」という意味で使われます。
「不惑」は「40歳」という意味
「不惑」は「惑わず枠にとらわれない年齢」という孔子の考えから「40歳」という意味で使われます。孔子の考え方を理解することで「不惑」が「40歳」という意味で使われることに納得するでしょう。孔子のように年齢で成長を感じられる「不惑」などの異称を使ってみましょう。