長幼の序の意味とは?
昨今では滅多に使われなくなりましたが、「長幼の序」という言葉があります。「長幼の序」という言葉を聞いたことがないという人は結構多く、そのため「長幼の序」という言葉の意味も知らない人が多いと言えます。
日本語にはことわざがたくさんありますが、実は「長幼の序」という言葉もこうしたことわざの一つです。「長幼の序」はことわざではありますが、あまり良く知られていないことわざで、ややマイナーなことわざです。
「長幼の序」という言葉にはいったいどのような意味があるのか、まずは「長幼の序」の意味についてご紹介しましょう。
子供は年長者を敬い年長者は子供を慈しむという意味
「長幼の序」の意味は「子供は年長者を敬い年長者は子供を慈しむ」という意味で、「子供」には「年少者」「若者」なども含まれています。
年長者を敬い子供を慈しむというのは当然のことですが、元々「長幼の序」は子供に対して「子供は年長者を敬い年長者は子供を慈しむ」ということを教育することわざですので、年長者に対して使うことはないと言えます。
ですが「長幼の序」という言葉はことわざとしてではなく単に順序を表すために文章の中で使うこともあり、そういった場合には年長者を含む複数の人に対して使われます。
長幼の序の類語
「長幼の序」の意味についてご紹介しましたので、次は「長幼の序」の類語についてご紹介します。「長幼の序」の意味は「子供は年長者を敬い年長者は子供を慈しむ」なので、この意味に近い意味を持つ言葉が「長幼の序」の類語になります。
「長幼の序」の意味はかなり長くて複雑なので、「長幼の序」に似た意味を持つ言葉を探すのは難しく、完全に意味が一致する類語はほぼなく、「長幼の序」の「序」に近い意味を含む言葉が「長幼の序」の類語として挙げられます。
「長幼の序」という言葉に近い意味を持つ類語にはいったいどのような言葉があるのか、「長幼の序」の類語についてご紹介しましょう。
上下関係
「長幼の序」の類語の一つ目は、「上下関係」です。「上下関係」の意味は「社会的な力が上の者と下の者との関係」という意味で、強い者と弱い者の関係を意味することから「長幼の序」の類語の一つとして挙げられます。
「上下関係」は会社の上司と部下などの関係のことを言いますが、本来「上下関係」とは下の者が上の者を敬い上の者が下の者を大切にするニュアンスがあるため、「長幼の序」とかなり似た意味を持った類語です。
ですが昨今では上司が部下にパワハラやモラハラなどの嫌がらせをするといったケースもあり、本来の「上下関係」ではなくなってきましたので、昨今の「上下関係」は「長幼の序」とは異なってきたとも言えます。
先輩後輩関係
「長幼の序」の類語の二つ目は、「先輩後輩関係」です。「先輩後輩関係」の意味は「学校や会社などで、先に入った者と後で入った者の関係」という意味で、「先輩後輩関係」も「長幼の序」の類語になります。
「先輩後輩関係」も先にご紹介した「上下関係」同様、先輩は後輩を可愛がり後輩は先輩を敬うといったニュアンスがありますので、意味的には「長幼の序」とは違ってもニュアンス的には「長幼の序」の類語です。
「先輩後輩関係」も「上下関係」同様、昨今では関係性が悪くなっていることもしばしばありますので、本来の「先輩後輩関係」とは異なってきたと言えます。
師弟関係
「長幼の序」の類語の三つ目は、「師弟関係」です。「師弟関係」の意味は「師匠と弟子の関係」「先生と生徒の関係」という意味で、「師弟関係」も「長幼の序」に近い意味を持つ類語の一つです。
「師弟関係」にも「師匠は弟子を可愛がり弟子は師匠を敬う」といったニュアンスがありますので、「長幼の序」にかなり近いと言えます。
「上下関係」や「先輩後輩関係」は昨今その関係性が崩れてきていますが、「師弟関係」はまだそう悪くなってはいない場合が多いため、「師弟関係」は現代でも「長幼の序」に近い言葉だと言うことができます。
親分子分の関係
「長幼の序」の類語の四つ目は、「親分子分の関係」です。「親分子分の関係」の意味は「親子関係を模した主従関係での主人と従者」という意味で、「親分子分の関係」も「長幼の序」の類語の一つです。
「親分子分の関係」も「親分は子分を可愛がり子分は親分を敬う」といったニュアンスがありますので、そういった点でも「親分子分の関係」も「長幼の序」に近い意味を持つ類語になります。
昨今では「親分子分の関係」といった言葉はほとんど使われなくなりましたので、「親分子分の関係」は現代でも通用する類語だとは言えませんが、「親分子分の関係」も「長幼の序」の類語の一つなのでご紹介しました。
縦の関係
「長幼の序」の類語の五つ目は、「縦の関係」です。「縦の関係」の意味は「対人関係における上下関係」という意味で、「縦の関係」も「長幼の序」の類語の一つになります。
「縦の関係」の意味の中に「上下関係」という言葉が含まれていますが、「縦の関係」は「上下関係」に比べるとあまり良いニュアンスがありません。
「縦の関係」は「上の者には従わなくてはならない」というニュアンスがあり、あまり良いイメージで使われる言葉ではないという点で、「長幼の序」とは少し異なると言えます。
長幼の序の使い方・例文
「長幼の序」の類語についてご紹介しましたので、次は「長幼の序」の使い方の例文についてご紹介します。「長幼の序」の意味は「子供は年長者を敬い年長者は子供を慈しむ」という意味なので、こういったことを表す際に「長幼の序」を使えます。
「長幼の序」という言葉はことわざなので、一般的な日常生活の中で使われることはめったにありません。そのため「長幼の序」の使い方はちょっと難しいと言えます。
「長幼の序」という言葉はいったいどのような使い方をすれば良いのか、「長幼の序」の使い方の例文についてご紹介しましょう。
例文①
「長幼の序」の使い方の例文の一つ目は、「就職した会社では長幼の序というものはなく実力ですべてが決まる」という例文です。
「長幼の序」ということわざは会社のポリシーなどにおいて使われることがありますが、この例文でも会社のポリシーとして「長幼の序」が使われています。
「長幼の序」の意味は「子供は年長者を敬い年長者は子供を慈しむ」という意味なので優しいイメージがありますが、これがないというのはかなり厳しいイメージになります。
例文②
「長幼の序」の使い方の例文の二つ目は、「長幼の序ということわざを知って、もっと親子関係を大切にしなければならないと思った」という例文です。
「長幼の序」ということわざは知らない人も多いですが、「長幼の序」ということわざを知ると人間関係の大切さを改めて思い知る人も多いと言えます。
子供を慈しむことや年長者を敬うことはごく普通のことですが、それを普通だと思わない傾向にある昨今の世の中のことを表す例文です。
例文③
「長幼の序」の使い方の例文の三つ目は、「彼は長幼の序についてきちんと両親から教えられて育ったらしく、年長者に対する敬意をいつも忘れない」という例文です。
「長幼の序」ということわざをきちんと理解していて、それを子供に教える親もいますが、そういう育ち方をした子供は礼儀正しく年長者を立てる子供になると言えます。
実際には「長幼の序」ということわざを知っている人は少ないですが、「長幼の序」の意味と似た考え方をする人は少なからず存在していて、そういう人は子供をきちんと教育しています。
例文④
「長幼の序」の使い方の例文の四つ目は、「長幼の序ということわざ通り、彼らの師弟関係は円満なので見ていても気持ちが良い」という例文です。
「長幼の序」の意味は「子供は年長者を敬い年長者は子供を慈しむ」という意味ですが、年の離れた師弟関係などに対して使うこともあります。
このように「長幼の序」という言葉は色々な使い方ができますが、一般的な日常生活の中で使われることはほとんどなく、「長幼の序」の使い方は結構難しいと言えます。
長幼の序と年功序列の違い
「長幼の序」の使い方の例文についてご紹介しましたので、次は「長幼の序」と「年功序列」の違いについてご紹介します。「長幼の序」と間違って使われることが多い言葉に「年功序列」という言葉があります。
「長幼の序」と比べると「年功序列」という言葉は良く使われますが、「長幼の序」と「年功序列」は異なった意味を持っていますので、「長幼の序」の代わりに「年功序列」を使うことはできません。
「長幼の序」と「年功序列」という言葉にはいったいどのような違いがあるのか、「長幼の序」と「年功序列」の違いについてご紹介しましょう。
年功序列は年齢順に序列ができるという意味
「長幼の序」と「年功序列」の違いは、「年功序列」は「年齢順に序列ができる」という意味だということです。「年功序列」は職場の年齢順に序列ができる場合に使われる言葉で、単純に序列ができるということを表しています。
「長幼の序」の意味は「子供は年長者を敬い年長者は子供を慈しむ」という意味で、年齢順に序列ができるというニュアンスはありません。
このため「年功序列」は「長幼の序」の代わりに使うことはできませんが、「長幼の序」と「年功序列」の意味の違いを理解していない人は混同して使ってしまいますので、「長幼の序」と「年功序列」の使い分けには注意が必要です。
長幼の序を使う際の注意点
「長幼の序」と「年功序列」の違いについてご紹介しましたので、次は「長幼の序」を使う際の注意点についてご紹介します。
先にご紹介した「長幼の序」と「年功序列」の違いの所で「長幼の序」と「年功序列」の意味の違いに注意しなければならないとご紹介しましたが、「長幼の序」を使う際には他にも注意しなければならない点があります。
「長幼の序」という言葉を使う際にはいったいどのような点に注意しなければならないのか、「長幼の序」を使う際の注意点についてご紹介しましょう。
お年寄りを大切にという意味だけでは使えない
「長幼の序」を使う際の注意点は、「お年寄りを大切に」という意味だけでは使えないということです。「長幼の序」の意味は「お年寄りを大切に」という意味だと勘違いしている人は少なくありません。
「お年寄りを大切に」という意味で「長幼の序」という言葉を使っている人もいますが、「長幼の序」の意味は「子供は年長者を敬い年長者は子供を慈しむ」という意味なので、「お年寄りを大切に」という意味ではありません。
「長幼の序」は単に「お年寄りを大切に」という意味ではありませんので、間違った意味で「長幼の序」を覚えている人は「長幼の序」を使う際には注意が必要です。
長幼の序の由来
「長幼の序」を使う際の注意点についてご紹介しましたので、次は「長幼の序」の由来についてご紹介します。難解な言葉や繊細な言葉が多い日本語には由来や語源がありますが、「長幼の序」もそんな日本語のうちの一つです。
「長幼の序」という言葉は堅いイメージがありますが、この堅いイメージ通り大昔から伝えられてきた言葉で、結構重い由来があります。
「長幼の序」という言葉にはいったいどのような由来があるのか、「長幼の序」の由来についてご紹介しましょう。
儒教の教えが由来
「長幼の序」の由来は、儒教の教えにあります。儒教とは古代の中国で孔子(こうし)の思想に従って始まった教えのことで、その中の「人の守るべき五つの道」を示す「五倫(ごりん)」の中に「長幼の序」があります。
「五倫」には他に父と子の間の愛情を表す「父子の親」、主君と臣下の間の礼儀を表す「君臣の義」、夫と妻がそれぞれ担う役割を表す「夫婦の別」、友人の間の信頼を表す「朋友の信」があります。
「長幼の序」はこの「五倫」の一つで、年下の人間と年上の人間の間の秩序を表します。元々「長幼の序」は「五倫」の一つだったのですが、単独でことわざとして使われるようになったのが現代の「長幼の序」の由来です。
長幼の序の英語表記
「長幼の序」の由来についてご紹介しましたので、次は「長幼の序」の英語表記についてご紹介します。複雑な意味を持つ言葉や繊細な意味を持つ言葉が多い日本語は英語に訳することが難しいですが、「長幼の序」もそんな日本語の一つです。
欧米には「長幼の序」の意味「子供は年長者を敬い年長者は子供を慈しむ」という考え方はありませんので、「長幼の序」を英語表記するのは大変難しいと言えます。
「長幼の序」という言葉を英語表記するにはいったいどのような英語を使えば良いのか、「長幼の序」の英語表記についてもご紹介しましょう。
年上や先輩を意味する「seniority」
「長幼の序」の英語表記には、年上や先輩を意味する「seniority」が使われ、「in the order of seniority」という言い回しが使われます。ですがこれでは単に「先輩に従う」という意味になってしまいます。
欧米では年齢に関係なく人間は平等であるという考え方なので、「長幼の序」に当たる言葉はなく、「長幼の序」を完全に英訳できる英語はないと言えます。
長幼の序は「子供は年長者を敬い年長者は子供を慈しむ」という意味
「長幼の序」という言葉の意味や使い方などについて色々とご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。「長幼の序」は「子供は年長者を敬い年長者は子供を慈しむ」という意味なので、正しい意味を理解して正しく使いましょう。