望外の意味とは?
みなさんは、「望外」という言葉を聞いたことがありますか。また意味を知っていますか。「望外の喜び」や「望外の僥倖」などというように使われます。案外や意外、存外など似たような言葉はありますが、それぞれひとつひとつ言葉が生まれているように、それぞれの言葉に違った意味があります。
「望外」には、思いのほかという意味が含まれますが、案外や存外などの言葉にも思いのほかという意味が含まれます。それでは「望外」とはどのような意味なのでしょうか。「望外」とは、「望んでいた以上に良いこと」を意味します。ですので、思いのほかという意味も含まれています。
しかし、希望していた以上に良いことになったことを意味するので、予想していた以上に悪い結果となったときに使うことはできません。望外の使い方や、対義語・類語、英語での表現などについてご説明いたします。
望外の対義語・類語
望外の意味は、望んでいた以上に良いことです。これは思っていた、予想していた良いことや良い結果以上の、良いことが起こったことを表しています。
また望外は、望んでいた結果よりも、思いがけもしなかった良い結果となったという意味を持つことから、謙虚さが現れる言葉となっています。このような良い意味を持つ望外の対義語や、類語にはどのような言葉があるのでしょうか。
望外の対義語とは
望外の対義語についてですが、正確にはないようです。ですが、望外の使い方として予想以上という意味が含まれているので、予想していたよりも悪い結果となったことや、想定の範囲以内であることなどが対義する意味、対義語に当たります。
ですので、案の定や予想通り、想定内、不測の事態や期待以下であることなどが、望外の対義語として列記されます。思っていた通りのことであったり、また考えていたことよりも悪いこととなった場合が、望外の反対の意味で、対義語となります。
望外の類語とは
それでは対義語とは反対に、どのような言葉が望外の類語となるのでしょうか。望外の類語とされているものは、いくつかあります。想像以上や、予想外であるといった意味での使い方をされている言葉が、類語に挙げられます。
望外の類語としては、想像を上回る・期待以上・予測を超えた・はかり知れないなどが挙げられます。また案外や意外、存外なども思いのほかや、予想外であることを意味しており、望外と使い方が似ているとこもあります。
しかし、望外は良いことを意味した使い方とは違って、案外や意外、存外などは良い意味でも、悪い意味でも使われる言葉となっています。
望外の使い方・例文
望外は希望していた以上に良いことを意味しますが、果たしてどのような使い方があるのでしょうか。そして望外は、どのような場面で使うのが正しいのでしょう。
よく使われる表現として、望外の結果や、望外の喜びなどといった言葉があります。これらはこれ以上ないというほどに良い結果となったこと、これ以上ない喜び、嬉しさを表す言葉です。
他にも望外の使い方は、いくつかあります。ここからは例文を用いて、望外の使い方について詳しく説明していきます。以下の例文から、望外の正しい使い方について理解していきましょう。
例文①
望外の喜びという言葉は、これ以上ないという喜びを表します。また望外の喜びは、ビジネス界でもよく使われる言葉とされています。会社での上司など、目上の立場の方々に対して、謙虚な姿勢で感謝の気持ちや喜びを伝えることに適しています。
皆様のご助力のおかげで、このプロジェクトは成功を収めることができました。このことに望外の喜びを感じております。というように述べることができます。
例文②
みなさんは、望外の僥倖という言葉を聞いたことがありますか。他にも望外の幸せや、望外の幸運といわれたりもします。僥倖という言葉は、偶然手に入れた幸せ、思いがけない幸せ、また幸せになれるように願う様子のことを意味します。
コツコツと努力して手に入れた幸せというよりも、運が強く関係して手に入れた幸せを表しています。ですので、彼は先日宝くじに当たり、望外の僥倖を手に入れました。というような例文になります。
例文③
望外は想定以上の良い結果や、様子のことを意味します。これまでに継続してきた努力や、その間に培ってきた実力を考えた上で、予想していた良い結果や成果を超えてくることが望外という言葉を使う状況に適しています。
例文としては、このようになります。地道な努力を重ねてきた彼は、多くの人にその姿勢が評価されることとなり、望外な出世に驚きを隠せませんでした。
例文④
思いがけない出来事や結果を表す時にも、望外という言葉は使われます。もちろん良い結果を生んだときに限って、使われます。以下が例文となります。
今大会の中で一番の小柄な選手とされ、一勝もできないのではないかとささやかれていたが、その選手が優勝をするという望外な結果となりました。
望外と存外の違い
ここまで望外の意味や使い方について、ご説明いたしました。望外と似たような言葉で、存外という言葉があります。望外は願っていた以上のことを意味し、良い状況だけのことを示しています。
それに対して、存外は思っていたこと、予想していたことと程度が異なるという意味で使われます。また存外はもう一つの意味もあります。存外の二つ目の意味は、無礼であることや、非常識な行動をすることです。
しかし、この二つ目の意味は、最近ではあまり使用されていないそうです。存外の一つ目の意味、思っていたことと様子や程度が違うということは、望外の意味にとても似ています。しかし、存外は望外とは違って良い状況だけに使う言葉ではなく、悪い状況においても使用されます。
存外は思っていたことと様子や程度が違うという意味
存外は、思っていたことと違うという意味で使われます。望外と同じように、良い状況で使われる言葉でもありますが、悪い状況でも使用されます。存外の使い方は、案外や意外などとも似ています。
例えば、存外早く終了したや、存外な謝礼をいただいたなど、予想していたことよりも程度が上である、良い状況に使われるときもあります。
ですが、他にも存外美味しくなかったや、存外に難しいなどといったように予想していた以上に程度が下である、悪い状況を示す際にも使用される言葉でもあります。望外は、あくまでポジティブで、良い状況であることを示します。
対して、存外は思っていたことと程度が異なる、違うという意味で、それが必ず良い意味で使われているということではありません。
望外を使う際の注意点
望外を使用する際の注意点について、ご説明いたします。望外と似たような言葉は、みなさんもいくつか聞いたことがあるのではないのでしょうか。
望外は予想外のことが起きた、想定していた範囲外という意味で使用します。また望外は良いことがあったときに限り、使う言葉です。望外の喜びや、望外の僥倖などというように良い言葉につながるような意味を、望外は持っています。
悪い状況になった場合では使えない
望外は、思っていた以上に悪い状況になってしまった場合に対して、使用する言葉ではありません。望外は、期待以上や、願ってもいないというような言葉が似たような意味として挙げられます。
ですので、ネガティブな言葉につながることはありません。必ず予想していた以上に良いことが起こったという時にだけ使うように、気をつけるようにしましょう。
望外の由来・歴史
これまで望外の意味や、正しい使い方、使う際の注意点についてご説明いたしました。望んでいた以上の良いことを意味する望外は、その意味が文字にも表れているようになっています。望外という言葉はいつ、どのように出来たのでしょうか。望外の由来や、歴史について調べていきましょう。
由来
望外の由来は、文明9年の室町時代中期に成立された「史記」の注釈書といわれている「史記抄」の文章の中にあり、「かかる思もよらぬ、望外なる事ぢゃとて」ということが書かれています。望外の由来は、「史記抄」に記されているこの一文であると考えられています。
歴史
約550年前に望外という言葉が、「史記抄」という書物の中の一文に記され、言葉が生まれました。この長い間に大きく意味が変わることなく、当初使われていた意味と同じように現代でも使っています。
現代でも、将棋界で活躍している藤井聡太さんがインタビューの際に、望外の結果、僥倖という言葉を使っており、大変話題になりました。
望外の英語表記
「unexpected」が、望外の英語表記に当たります。この望外の英語表記についてですが、望外の意味を正確に表した言葉は、英語にはありません。
望外を英語で表現する際には、「意外」や「予想外」という意味を持つ英語「unexpected」を用います。予想していたことと異なる、という意味になります。また望外の喜びは、英語で「more than I can dream of」で表現することができます。
望外は望んでいた以上に良い結果が出たという意味
望外は自分が思っていた良いことよりも、さらに良いことが起こった様子に対して使える言葉です。望外と似たような言葉はいくつかありますが、少しずつ意味が違ってくるので、それぞれにある言葉の意味を意識して使うようにしましょう。
また望外は、謙虚な姿勢を表すことができ、良い印象を与えられる言葉です。相手に失礼のないように喜びを伝える言葉として覚えておきましょう。