鋭意作成中の意味とは?
「鋭意作成中」の意味を見る前に、読み方を確認しておきましょう。「作成中」の読み方は説明するまでもなく、「さくせいちゅう」です。では、「鋭意」の読み方はというと、「えいい」と読みます。
「鋭意」の読み方をご存じの人もいるでしょうが、あまり頻繁に使われる言葉ではないだけに最初に読み方を示しておきます。読み方がわかったら、今度な意味の番です。これも「作成中」の意味は解説の必要がないでしょう。「作っている最中」ということです。
では、「鋭意」とはどういう意味なのかというと、まずその意味を知るために「鋭意」を2つに分けてみましょう。「鋭い」と「意」に分かれますが、これを解釈すると、「気持ちを鋭くすする」ということだとわかるでしょう。
「気持ちを鋭くする」とは、「気持ちを鋭敏にする」「気持ちを一か所に集めて集中する」という感じなります。つまり、「鋭意」で「鋭く突き刺さるように一点に向ける」という意味合いが出てきます。
その結果、「鋭意作成中」で、「気持ちや心をそのことだけに集中して作っています」という意味になり、とても励んでいる様子を表しています。
鋭意作成中の特徴
「鋭意作成中」という言葉が持つ特徴について考えてみましょう。「鋭意作成中」という言葉を日常で使うことはまずありませんが、どのような場面でどのように使う言葉なのかよく特徴を検証してみる必要がありそうです。
鋭意作成中はビジネスで使う
「鋭意作成中」という言葉は、よくビジネスシーンで使われます。「一生懸命作成に励んでいます」という意味合いで用いることが多いです。「鋭意作成中」の使い方の例文は後程載せますが、ビジネスシーンで使う分には違和感のない言葉です。
では、どんなビジネスシーンで「鋭意作成中」を使うかというと、上司に書類作成を頼まれて、懸命に作っている最中に「鋭意作成中です」と答えることがあります。また、演劇などのシナリオを作っているライターが「鋭意作成中です」と言う場合もあります。
それから、ホームページの作成を任された人が急いで作成している時などにもよく「鋭意作成中です」と応答することがあります。このようにビジネスシーンではさまざまな場面で「鋭意作成中」が使われます。
鋭意は強い言葉
「鋭意作成中」の「鋭意」は、かなり強い言葉です。「気持ちを鋭くする」という意味から言ってもその強さがわかるでしょうが、軽い気持ちで使わない方がいい言葉です。つまり、いい加減に作成しているのに、「鋭意作成中」などとは言わない方が賢明です。
難しい言葉を使いたがる人がいて、気軽に「鋭意作成中」などと言うかもしれませんが、それを聞いた人は、かなり身を入れて作っているのだなと判断します。それだけに期待も高まりますが、その作成したものが期待外れだと、がっかりさせてしまいます。
鋭意は自分自身や身内のことに使う
「鋭意作成中」の「鋭意」という言葉は、自分自身や身内が一生懸命頑張るという意味で使います。自分自身に対して使う場合は、あえて主語を付けない場合がほとんどですが、ひたむきに頑張っている様子を上司や目上に伝えたい時に用いる言葉です。
したがって、他人、特に相手に「鋭意」という言葉を使うことはあまりありません。「鋭意作成してくれ」とか「鋭意努力してくれたまえ」などの使い方は相手に頑張りを強要しているようなところがあり、失礼になる場合があります。
鋭意作成中は前向きな言葉
「鋭意作成中」という言葉は強い言葉で、頑張ってもうまく行きそうにない、努力した結果がいいとは限らないという場面では使いません。今作成していることを成功させてみせる、うまく行かせられるという場合に使用します。
つまり、かなり前向きな表現であり、自信のある受け答えであると言えます。そのため、相手もかなり期待しますが、その期待に応えられるという心意気がある場合にのみ使うのがいいです。
鋭意作成中と答えれば相手も安心する
「鋭意作成中です」と答えられると、現在相当気合いを入れて作成に取り組んでいるのだなという印象になります。それだけに、相手はひとまず安心します。それだけ努力しているのなら、いい成果が得られるだろうと期待し、心をなでおろすのです。
多少作成物の進捗状況が遅れていても、作成している当人が「鋭意作成中です」と言うと、相手も大丈夫そうだなと思います。そう答えた当人は相手の気持ちを裏切らないように努力しなければいけません。
ここぞという時に使う
「鋭意作成中」という言葉は説得効果がかなりあるので、ここぞという時に使ってみましょう。進捗状況を聞かれた時に、「鋭意作成中です」と一言答えれば、それだけで相手も納得します。それだけに乱用はせず、大事な場面でのみ用いるのがおすすめです。
鋭意作成中の類語
「鋭意作成中」という言葉にはどんな類語があるのか見てみましょう。特に「鋭意」という言葉をどう言い換えればいいのかに焦点を絞ってみます。類語を勉強すると。「鋭意作成中」や「鋭意」の意味がより深く理解できるようになるでしょう。
類語①
「鋭意作成中」の最初の類語は、「無我夢中になって作成しております」です。「鋭意作成中」の「鋭意」とは、「そのことだけに集中して取り組んでいる」ということですが、「無我夢中」も「我を忘れるほど没頭している」という意味です。
つまり、両方の意味は重なり合う部分があるので、類語ということになります。これを作ることにのみに意識を向けている、頼まれたことを仕上げることだけしか考えていないという場合は、いずれかの表現を用いるといいです。なお、「無我夢中」の読み方は「むがむちゅう」です。
類語②
次の「鋭意作成中」の類語は、「熱心に作成しています」です。「熱心」とは、「情熱を込めて打ち込む」という意味ですが、その様子には「鋭意」と共通する部分があります。したがって、類語というわけです。
ただ、「鋭意作成中」に比べると、「熱心に作成しています」の方がやや軽い表現です。そのため、類語であるとはいっても、使い方は微妙に違う部分もあるので、「鋭意作成中」と言うほどの自信がない場合は、こちらの表現を使うといいかもしれません。
類語③
「誠心誠意取り組んでおります」も「鋭意作成中」の類語です。「誠心誠意」と書いて、読み方は「せいしんせいい」です。「誠心誠意」とは、「真心を持って取り組む」ということですが、非常にまじめに努力する様子が「鋭意」のひたむきさに似ています。
そのために、類語として取り上げたのですが、「誠心誠意取り組みます」は、作成以外の対象にも使える表現です。ということは、「鋭意作成中」の類語であるとはいっても、応用範囲はより広くなります。
類語④
「一生懸命」という言葉はよく使われますが、「一生懸命に取り組んでいます」と言えば、「鋭意作成中」の類語ということになります。「一生懸命」には、「精いっぱい努力する」「力を尽くして頑張る」というイメージがあり、「鋭意」の意味と近いです。
したがって、「鋭意作成中」を「一生懸命に取り組んでいます」「一生懸命作成に励んでいます」と言い換えることができます。ただ、言葉のニュアンスとしては「鋭意作成中」の方が強そうです。
類語⑤
「真摯に取り組む」という言い方がありますが、これは「真面目にひたむきに取り組む」ということです。「真摯」の読み方は「しんし」ですが、この意味にも「鋭意作成中」に通じるものがあるので、類語に入れてみました。
類語⑥
人間は何事にも全力で取り組まなければいけませんが、全力で取り組んでいる様子は「鋭意作成中」のイメージにかぶさります。「ただいま全力で取り組んでいるので、しばらくお待ちください」などのような使い方がされますが、「鋭意作成中」の言い換え表現としてぴったりです。
鋭意作成中の使い方
「鋭意作成中」の意味、特徴、類語がわかったとしても、実際にどのように使えばいいのかまだ使い方がわからないという人もいるかもしれません。そこで、具体的な使い方の例文を示します。その例文を参考にご自分でも使ってみてください。
なお、「鋭意作成中」の例文を載せるとともに、似たような表現の使い方の例文も紹介します。合わせて、うまく使えるように工夫してください。
例文①
ビジネスシーンでよく使われる「鋭意作成中」にはさまざまな応用例があります。まず、最初の使い方の例文は、「先日ご提案があったプランについての企画書は、現在鋭意作成中です」というものです。
企画書の製作を任された場合、全力で取り組まなければいけませんが、その様子を伝えるのに上記のような例文を用いることができます。上司から「企画書の作成は進んでいる?」と聞かれた場合は、このように答えれば納得してもらえるでしょう。
例文②
ビジネスシーンでは、次のような会話のキャッチボールが行われることがよくあります。「前回の作品は大変な好評でした。お客様は次の作品をとても期待していますが、その作成状況はどうなっているでしょうか?」。
それに対して、製作者は「現在新作を鋭意作成中です。いい作品ができそうなので、もうしばらくお待ちください」と答える場合があります。この例文のように答えると、相手もどんな作品ができるのだろうと期待を膨らませて待つことでしょう。
例文③
「鋭意作成」するのは新作ばかりとは限りません。提案された内容を修正する場合にも「鋭意作成中」と言う場合があります。どのような場面でそうなるのかを確認しておきましょう。
まず、「多くの人が待ち望んでいる最新の社内システムの開発の進み具合ですが、どのような状況になっているでしょうか?」と質問が出ます。
それに対する応答は、「順調に開発を進めていましたが、先日○○課の社員から素晴らしい案を提示していただき、現在修正案を鋭意作成中です」となります。新作であろうが修正案であろうが、一生懸命作成している場合には、この例文のような使い方になります。
例文④
2020年3月時点では、コロナウィルスによる感染がなかなか収まりそうにありませんが、その対応策を企業でも検討する場合があるでしょう。対応策のまとめを指示された社員には次のような質問が飛び、以下のように答えるかもしれません。
「コロナウィルス感染に対しての対応策の作成はどうなっている」「現在鋭意作成中です。できるだけ早く対応策をまとめ、社員が安心できるように万全の準備をしたいと思います」。すでに対応策はできているでしょうが、さらなる対応策の作成が求められる場合の受け答えです。
例文⑤
「鋭意作成中」でも、その作成過程では迷いや悩みが生じる場合もあります。そのような時は、アドバイスの一つでももらいたくなるでしょう。そこで、次のような例文を使うことがあります。
「今度の発表会でのプレゼン資料は順調にできている?」と聞かれたことに対して、「現在鋭意作成中です。ただ、資料の途中でどのようなプランを選択すべきか迷っております。何かいいアドバイスがあれば、いただきたいのですが」と答える人もいます。
このような「鋭意作成中」の使い方もあり、「鋭意作成中」だから全く問題なく作成が進行しているとは限らないということです.もし迷っていること、悩んでいることがあれば、正直に「鋭意作成中」と言った後に、その内容を伝えるといいでしょう。
例文⑥
業績が不振の会社などでは、その状況を挽回する方策を考えなければいけません。そのような方策の作成をチームに任せる場合があります。その場合、まず上司は次のような質問をします。「今後のわが社が取るべき方策の指針はまとまった?」。
それに対して、チーム代表者は、「現在鋭意作成中です。これがまとまれば、わが社の業績も大きく回復する可能性があります」などのように自信をもって答えるかもしれません。このように「鋭意作成中」の使い方は、かなり前向きなものとなる場合が多いです。
例文⑦
ホームページの作成を請け負っている会社や個人がいますが、そのような人たちも「鋭意作成中」という表現をよく使います。まず、依頼した人の質問ですが、「先日頼んでおいたホームページ作成の件ですが、どうなりましたか?」となります。
作成を頼まれた側は、次のように答えるでしょう。「現在鋭意作成中です。もうしばらくしたら出来上がりますから、それまでしばしご猶予をいただきたく存じます」。とても丁寧な返答であり、相手もこの返答に満足することでしょう。
鋭意作成中と似た言い方
「鋭意作成中」と似たような表現があるので、参考のためのその使い方の例文も載せておきましょう。と言っても、使い方自体は「鋭意作成中」と変わる部分はあまりなく、同じように使えます。したがって、状況に応じて言葉を入れ替えるといいでしょう。
鋭意努力しております
「鋭意努力」という表現もビジネスシーンでよく使われますが、例文はこうなります。「お客様からご要望があった件ですが、鋭意努力して対応してまいります」となります。とても熱心に対応しようという様子が感じられる例文です。
鋭意対応します
「一生懸命対応する」と言いたい場合は、「鋭意対応します」と表現することもできます。使い方は、「電話で殺到している注文については、担当員が鋭意対応します」です。注文が殺到し、当初は混乱もしたのでしょうが、今後は大丈夫ですという時の答えになります。
鋭意検討中
何か頼まれごとがあった場合に「検討中」と答える人がいます。これでも答えにはなっていますが、相手は本当に真剣に考えてくれているのか不安になる場合があります。その場合は、「鋭意」という言葉を添えることで、相手を安心させることができます。
つまり「鋭意検討中です」と言うことで、かなり身を入れて検討している様子が伝わるのです。使い方の例文を示しておきましょう。「先日提案された案については鋭意検討中ですから、もうしばらく返答をお待ちください」のような例文となります。
鋭意製作中です
「鋭意作成中」と似たような表現に「鋭意製作中」があります。読み方は「えいいせいさくちゅう」ですが、ともに一生懸命作っている最中ですということです。ただ、「鋭意製作中」という言葉は、どちらかというと道具や器具を使って、作品や実用品を作る場合に使うことが多いです。
この場合の例文ですが、「現在新たにお店で販売するデバイスを鋭意製作中です」のようになります。熱心に製作している様子がうかがえる例文です。
鋭意執筆中です
「執筆」という言葉の読み方は「しっぴつ」です。「しゅひつ」という読み方もありますが、意味が違います。「執筆」は小説家やシナリオライターが作品を書く時によく使います。「鋭意執筆中です」と言えば、相当熱を入れて作品を作っているということになります。
使い方の例文は、「現在、○○の次のシリーズを鋭意執筆中です。こうご期待!」などのようになります。作家が現在の仕事の状況についてブログで発表しているような文章です。
鋭意作成中の注意点
「鋭意製作中」を使う上での注意点がいくつかあります。まず、乱発はしないことです。「鋭意」という言葉はここ一番で使うのがいいです。もし何度も尋ねられて、同じように「鋭意作成中です」と答えると、かえって一生懸命さを疑われます。
次に、複数の人に作業を任されている場合です。それぞれに対して「鋭意作成中です」とは言えても、別の人がいる前でもう一人の人に「鋭意作成中です」と言わない方がいいです。これだと、別の人は自分の任せた作業はどうなっているのだろうと不安になります。
そして、これは特徴のコーナーでも取り上げましたが、「鋭意」という言葉は自分や身内、自分の所属しているチームに対して使うのが普通です、相手を対象に、「鋭意努力してください」では、上から目線になり、失礼となります。
鋭意作成中の英語表現
「鋭意作成中」を英語でどう言えばいいのか、訳し方を考えてみましょう。その場合、和英辞典やネットで調べることになりますが、いくつか候補が出てきます。その候補の中から代表的な英語表現を取り上げましょう。
英語訳①
「work hard」とは、「一生懸命働く」ということで、中学生でもわかる英語です。その「work hard」を現在進行形にすると、「鋭意作成中」というニュアンスが出てきます。「We are working hard.」で、「私たちは一生懸命作業に取り組んでいます」という意味になります。
つまり、この英語表現は「鋭意作成中」という風にとらえることができます。「現在、一生懸命作っています」ということになります。なお、「work」と「hard」の読み方は解説しなくてもいいでしょう。
英語訳②
次の「鋭意作成中」の英語訳は、「trying to do so」です。「やろうと努力している、試みている」という意味です。したがって、「I'm trying to do so.」で、「鋭意作成中」ということになります。簡単な英語表現で、読み方も簡単ですが、ぜひ使ってみてください。
英語訳③
「work in progress」とは、「進行中の作業」「生産中の未完成品」という意味の英語の表現ですが、これで「鋭意作成中」と似たような意味になります。特に「鋭意」という言葉の英語訳にはなっていませんが、ニュアンスとしては「一生懸命作業をしている」という感じです。
「progress」という英語の読み方ですが、動詞形の場合は後ろにアクセントがあります。ここで紹介した例は名詞形なので、「pro」の方にアクセントがあります。
鋭意作成中は一生懸命作っているという意味
ここまで、「鋭意作成中」の意味、特徴、類語、使い方、注意点、英語表現などを見てみました。「鋭意作成中」とは、「心をそのことだけに集中して、一生懸命作っています」ということですが、かなり強い表現なので、ここぞという時に用いるようにしましょう。