「来てください」の敬語表現を覚えよう!
学校を卒業して社会人になると、上司や取引先の相手などに対して敬語を使わなければならなくなりますが、意外なことに「来てください」というシンプルな言葉の敬語表現がわからずそのまま「来てください」と言う人もいます。
職場における人間関係を円滑にしたり、取引先と上手くやっていくためには敬語の使い方をきちんと覚えることが求められますが、「来てください」は結構良く使う言葉なので「来てください」の敬語表現はきちんと知っておく必要があります。
職場の上司や取引先の相手などに対して「来てください」と言いたい場合にはどのような敬語表現を使うべきなのか、「来てください」の敬語表現についてご紹介していきます。
「来てください」の意味
それではまず、「来てください」の意味についてご紹介します。「来てください」という言い方の意味を尋ねられたら「来てくださいの意味は来てくださいでしょ」などと答える人もいますが、「来てください」にはちゃんと意味があります。
日本人なら日本語をちゃんと理解しているかというと、実はそういう訳でもありません。全ての日本人が日本語を理解しているなら、国語のテストで赤点を取る人はいないはずですが実際には国語で赤点を取る人もいます。
「来てください」という言葉にはいったいどのような意味があるのか、「来てください」の意味についてご紹介しましょう。
「来てください」は敬語?
「来てください」の意味としてまず問題になるのは、「来てください」は敬語なのかどうかという点です。「来てください」は敬語っぽくありませんが、実はちゃんとした敬語表現になります。
友達などになら「明日何時にうちに来て」などと言い、「うちに来てください」とは言わないでしょう。「来てください」は「来て」に「ください」という丁寧な敬語表現を足した敬語になりますので、「来てください」は失礼には当たりません。
ですが「来てください」と会社の上司や取引先の相手などにストレートに言うと、「日本語を知らないのか」と呆れられてしまうこともあり、「来てください」は上司や取引先などに対して使うにはちょっと格の低い敬語だと言えます。
上司や取引先への「来てください」の敬語表現
「来てください」の意味についてご紹介しましたので、次は上司や取引先への「来てください」の敬語表現についてご紹介します。ビジネスシーンで上司や取引先に「来てください」と言うと、敬語でありながら敬語扱いされないことも多いです。
ビジネスシーンにおいて「来てください」という意味のことを上司や取引先の相手などに対して言いたい場合には、同じ意味を持つ他の言葉で言い換える必要があります。
ビジネスシーンで上司や取引先に「来てください」と言いたい際にはどのような敬語表現の言葉を使えば良いのか、上司や取引先への「来てください」の敬語表現についてご紹介しましょう。
お越しください
上司や取引先への「来てください」の敬語表現の一つ目は、「お越しください」です。「お越しください」はビジネスシーンでかなり良く使われる「来てください」の敬語表現で、上司に対しても取引先に対しても使えます。
例えば上司に会議室の方に来て欲しい場合には「来てください」ではなく「お越しください」と言えばOKですし、取引先の相手に自分の会社に来て欲しい場合にも「お越しください」と言えば全く失礼には当たりません。
「お越しください」の「お越し」は「行く」「来る」という意味のある尊敬語で、これに「する」の命令形の尊敬語である「ください」をつけることによってとても丁寧な「来てください」の敬語表現になります。
いらしてください
上司や取引先への「来てください」の敬語表現の二つ目は、「いらしてください」です。「いらしてください」は「いらっしゃってください」を省略した敬語表現で、「来てください」の敬語表現として良く使われています。
「いらしてください」の「いらして」は「いらっしゃって」の略で、「いらっしゃって」は「いる」の尊敬語です。この「いらして」に「ください」をつけることで「来てください」の敬語表現となります。
「いらしてください」も「お越しください」同様ビジネスシーンで良く使われる敬語表現で、上司にも取引先にも使うことができます。
いらっしゃってください
上司や取引先への「来てください」の敬語表現の三つ目は、「いらっしゃってください」です。先にご紹介した「いらしてください」を略さず言うのが「いらっしゃってください」で、「いらしてください」より丁寧な敬語表現になります。
「いらっしゃって」は「いる」の敬語表現で、それに「ください」をつけることでより丁寧な表現になっていますが、「いらっしゃってください」はちょっと言いにくいため「いらしてください」と略する人が多いと言えます。
ですが本来「いらしてください」ではなく「いらっしゃってください」の方が「来てください」の正しい敬語表現だと言えますので、「いらっしゃってください」と言われた方が良い気分になる上司や取引先の相手も多いです。
お立ち寄りください
上司や取引先への「来てください」の敬語表現の四つ目は、「お立ち寄りください」です。「お立ち寄りください」という言葉の意味は「目的地に行く途中などについでに寄る」といった意味なので、社内ではほぼ使いません。
「お立ち寄りください」という言葉はビジネスシーンで取引先の相手などに対して使うことが多く、相手が営業などで近くを通りかかることがあればついでに寄ってくれると嬉しいという気持ちを表す「来てください」です。
「お立ち寄りください」を会社の上司などに対して使う場合は「自分の家の近くに来たらついでにちょっと寄っていってくれると嬉しい」という意味で、ビジネスシーンでのちょっとした社交辞令的な使い方が多いです。
おいでください
上司や取引先への「来てください」の敬語表現の五つ目は、「おいでください」です。「おいで」は「行く」「来る」を意味する尊敬語で、その「おいで」に「ください」をつけた「おいでください」も「来てください」の言い換えに良く使われます。
「おいでください」という言い方はビジネスシーンで上司に対しても取引先の相手に対しても使うことができ、上司に「第一会議室においでください」と言ったり取引先に「是非我が社においでください」と言ったりできます。
ただ「おいでください」は「お越しください」に比べるとやや格の低い敬語表現だと受け取る人もいますので、「おいでください」を使うのをためらう人も少なくありません。
おいでいただけませんか?
上司や取引先への「来てください」の敬語表現の六つ目は、「おいでいただけませんか?」です。先にご紹介した「おいでください」をビジネスシーンで使いたい際には「おいでいただけませんか?」と言い換えるとより丁寧な言い方になります。
「おいでください」と言うと命令しているような感じに聞こえてしまいますが、「おいでいただけませんか?」と言うと腰を低くして相手の都合などを気にしている感じに聞こえるため、相手を悪い気持ちにはさせません。
上司や取引先への「来てください」の敬語表現には色々ありますが、いずれも「いただけませんか?」を末尾につけるとさらに丁寧になると言えます。
「来てください」のNGな敬語表現
上司や取引先への「来てください」の敬語表現についてご紹介しましたので、次は「来てください」のNGな敬語表現についてご紹介します。ビジネスシーンにおいて「来てください」の敬語表現を使いたい時に間違えやすいNGな敬語表現もあります。
社会人になったばかりで敬語表現があまりうまく使えない人が、先輩などが使っている言葉を聞きかじって間違った使い方をしてしまうこともあります。
「来てください」の敬語表現として間違っているのについうっかり使ってしまう言い方とはどのような言い方なのか、「来てください」のNGな敬語表現についてもご紹介しましょう。
ご足労ください
「来てください」のNGな敬語表現は、「ご足労ください」という言い方です。「ご足労」の意味は「足を運ぶ」「足を動かす」といった意味で、「ご足労いただき申し訳ございませんでした」というような使い方をする敬語表現です。
ビジネスにおける敬語表現に慣れていない新人さんなどの中には、「ご足労」は敬語表現なので「ください」をつければ良いと勘違いして「ご足労ください」と言ってしまう人もいますが、これは大変失礼に当たります。
「ご足労ください」は「足を運んでくださいよ」などと命令しているような言い方になり、取引先の相手に言うと気分を害してしまいますので決して「ご足労ください」と言ってはいけません。
「来てください」の敬語表現の使い方・例文
「来てください」のNGな敬語表現についてご紹介しましたので、次は「来てください」の敬語表現の使い方の例文をご紹介します。
「来てください」は「お越しください」「いらっしゃってください」などというように敬語表現できますが、これらの言葉を使って上司などに「来てください」と言いたくても使い方が分からないという人もいるでしょう。
「来てください」を敬語表現で言いたい場合「お越しください」などをどのように使えば良いのか、「来てください」の敬語表現の使い方の例文をいくつかご紹介しましょう。
例文①
「来てください」の敬語表現の使い方の例文の一つ目は、「課長、第二会議室まで至急お越しください」という例文です。「お越しください」は「来てください」の敬語表現として良く使われる言い方で、上司にも取引先にも使えます。
「お越しください」の使い方はとてもシンプルで、例文のようにただ単に「お越しください」と言えば良いのですが、さらに丁寧な言い方をしたい場合には「お越し願えませんか」というように言いましょう。
「お越しください」を「お越し願えませんか」にすると、社外の取引先相手にも使うことができます。「ご足労をおかけしますが、弊社営業部の方にお越し願えませんか?」と言えばとても丁寧な言い方になります。
例文②
「来てください」の敬語表現の使い方の例文の二つ目は、「機会がございましたら是非弊社にもお立ち寄りください」という例文です。「来てください」の敬語表現として「お立ち寄りください」も良く使われます。
「お立ち寄りください」は取引先の相手に対して使うことが多く、「自分の会社に来ることを目的としていない時についでにふらっと来てくれるとうれしい」という意味で使う一種の社交辞令とも言えます。
また「お立ち寄りください」は会社の上司や会社関係以外の知人などに対しても使うことができますので、「近くにいらっしゃることがありましたら、是非我が家にもお立ち寄りください」などという使い方もできます。
例文③
「来てください」の敬語表現の使い方の例文の三つ目は、「ご都合がよろしいようでしたら、我が社の記念パーティーにおいでいただけませんか?」という例文です。
「おいでいただけませんか?」は上司にも取引先にも使える「来てください」の敬語表現で、自分が低姿勢であることを相手に伝える言い方になります。
「おいでください」も「来てください」の敬語表現ではありますが、上司や取引先に対してはやはり「おいでください」より「おいでいただけませんか?」の方が良い印象を与えると言えます。
このように「来てください」の敬語表現は色々な使い方ができますが、基本的な敬語表現の使い方を覚えればさらに応用することもできますので、まずは色々な敬語表現を覚えて慣れることが大切です。
「来てください」の英語表現
「来てください」の敬語表現の使い方の例文をご紹介しましたので、次は「来てください」の英語表現をご紹介します。英語で「来てください」と言う機会はあまりありませんが、商社などでは海外の人と話をすることもあるでしょう。
そういった時に英語で「来てください」と言うにはどのような言い方をすれば良いのか、「来てください」の英語表現をご紹介しましょう。
Please come to~.
「来てください」の英語表現は、「Please come to ~」です。「please」は「お願いします」という意味の英語で、これに「来る」の意味の「come」と「へ」の意味の「to」をつけ、「~」には来てもらいたい場所が入ります。
これをさらに丁寧に言うと「Would you come to ~?」となります。「Would you」は英語の中では最上級と言える敬語表現なので、「Please come to ~」をさらに丁寧に言いたい場合にはこちらを使いましょう。
「来てください」の敬語表現をビジネスで活用しよう!
「来てください」の敬語表現の使い方や例文について色々とご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。社会人になると「来てください」の敬語表現は意外に良く使いますので、「来てください」の敬語表現をビジネスで活用しましょう。