ぞんざいの意味とは?
「ぞんざい」とはいい加減な様子や扱い、乱暴な様、雑なことを指します。一般的には漢字を使わずひらがなで「ぞんざい」を書きます。「ぞんざいな態度をとる」や「ぞんざいな口を利く」のように、形容動詞として使われます。
細かく見ていくと、ほぼ三つの意味に分けられます。一つ目は雑な扱いや、いい加減な様を表わす意味。二つ目は、丁寧さに欠けた、乱暴な扱いを表す場合。
三つめはまじめに受け取らないで、受け流すような態度をあらわす場合があります。どれも、似たような対応を意味していますが、どれも良い意味では使われません。
ぞんざいの対義語・類語
ぞんざいの対義語、類語について見ていきましょう。ぞんざいは大きく考えると丁寧さに欠けるという意味を表します。丁寧さに欠けた状態がどのようなものなのかについてそれぞれ対義語や類語があるので対義語も類語も多くあります。
前の項でぞんざいの意味を大まかに三つの意味に分けました。そのぞんざいの三つの意味に照らし合わせながら、対義語、類語それぞれに分けてご紹介します。
ぞんざいの対義語と意味
雑でいい加減。乱暴、真剣みに欠ける態度に対した使い方の対義語には「丁寧」が相応しいです。ぞんざいのどの意味に対しても丁寧なら網羅しています。
ぞんざいの一つ目の意味である雑であることをしめす使い方に対しては、丁寧以外にも丹念、念入りなどの対義語が考えられます。二つ目の意味である乱暴な振る舞いに対しては丁寧に加えて丁重、が対義語になります。
三つ目の受け流して真剣でない様を表す使い方にはやはり丁寧、礼儀正しいなどが対義語として挙げられます。一般的には丁寧が対義語と思っていれば間違いありません。
ぞんざいの類語と意味
類語には物事を大枠でとらえる「大雑把」は一つ目の意味を表す使い方の類語です。同じような意味の類語として「粗放」「粗末」があります。
二つ目の乱暴な様を表す使い方については「粗野」「粗略」の類語があります。三つ目の真剣に受け止めない意味の類語では「おざなり」がやる気のないさまを表します。
他にも真剣に取り組まない「適当」。気を使わない「粗雑」、秩序のないさまを表す「杜撰」などが挙げられます。他にも多くの類語が存在します。
おざなりとなおざり
ぞんざいの類語の一つである、おざなりとなおざりについて詳しく見ていきましょう。この二つは使っているひらがなも似ており、音が似ているので間違えられやすいです。
おざなりはいい加減な対応や言動をするという意味でぞんざいの類語の一つです。もともとは御座なりと書き、接待などの場である御座敷で形ばかりの心無い対応をすることを表しています。
一方なおざりは注意を向けずにいい加減にする、ほったらかしにするなどの意味でやはりぞんざいの類語の一つです。直去り=そのままで去る=いい加減という意味になったと考えられています。どちらもいい加減という意味がありますが、語源やちょっとしたニュアンスに違いがあるようです。
ぞんざいの使い方・例文
ぞんざいはとにかく丁寧でない様を表します。そんなぞんざいはどのような使い方をするのでしょうか。最後の文字が「い」なので形容詞と間違えられることもあります。
基本的には「ぞんざいな○○だ」のように形容動詞として使い方が一般的です。「ぞんざいな態度だ」や「ぞんざいな扱いを受けた」などです。ぞんざいの使い方について具体的な例文を交えてご紹介します。
例文①
例文①「最近、みんな書類の扱いがぞんざいだ。きちんとして欲しい。」扱いとぞんざいは良くともに使われる言葉です。扱いが雑であったり、乱雑である、誠意がないことを示す使い方がされています。
この場合は書類の扱いが雑であることを咎めていると考えられます。他にもこの場合は整理整頓がなされていない状況を示しています。
例文②
例文②「ぞんざいな扱いを受けて、気分を害した」例文①の他にも扱いとぞんざいを用いた文章はよく使われます。ぞんざいな扱いの意味はおおむね、「丁寧に扱われなかった」という意味を表します。
乱暴に扱われたのか、適当にあしらわれたのかは文脈や発言者の態度からくみ取るしかありませんが、誠意のない扱いに不満を示していることが使い方から読み取れます。
例文③
例文③「取引先に、ぞんざいな態度を取るなんて、何を考えているんだ。」ぞんざいな扱いと同じくらいよく耳にするのが「ぞんざいな態度」という言葉ではないでしょうか。
「ぞんざいな扱い」は受け身なのに対して、「ぞんざいな態度」は雑な態度をとるという能動的なときに使われます。例文②で「ぞんざいな扱いを受けて、気分を害した」人のそばには「ぞんざいな態度」をした人がいると考えられます。ぞんざいな扱いとぞんざいな態度は表裏のようになっています。
「ぞんざいな扱いを受けて、気分を害した」は「ぞんざいな態度を取られて、気分を害した」とも言い換えれらます。いずれにせよ失礼な態度をとったということには変わりありません。社会人として「ぞんざいな態度」を取らないように気を付けたいものです。
例文④
例文④「彼女はぞんざいにテーブルの上を片付け始めた」例文①②は、比較的失礼な態度で相手を不快にさせる使い方を見てきました。今回は純粋に雑な態度を表した例文です。心ここにあらずできれいにするという目的ではなく、適当に片づけをしている様を表しています。
ぞんざいな態度や扱いを人にする場合は、本来のぞんざいの雑なという意味に加えて「無礼な」という感情がプラスされることが多い傾向にあります。
一方物に対してぞんざいである場合は、雑な、丁寧でない、という本来ぞんざいが持っている意味で使われる場合がほとんどでしょう。
ぞんざいの慣用表現
ぞんざいという言葉は一緒に使われる言葉がいくつかあります。例文で扱ったようにぞんざいな態度、ぞんざいな扱いはよく出る言葉です。
それ以外にもぞんざいな口を利くというと生意気な口を利くという意味としても使われます。ぞんざいな対応をするはぞんざいな扱いと同じような意味で使われます。
ぞんざいな作業なども使われることの多い言葉と言えるでしょう。また、最近ではあまり使われませんがぞんざいを強調するときに使われるいけぞんざいという言葉もあります。
ぞんざいを使う際の注意点
ぞんざいとはいい加減な様や真剣に取り組まない様を表す言葉です。日常や職場などでも利用されることがありますが、いい意味で使われることはありません。
いい加減という意味で使われるぞんざいですが、ぞんざいという言葉を使うときにはいくつか気にしておきたいことがあります。
積極的な意味では使わない
ぞんざいの意味の中には乱暴な様を表すとありますが、実際に乱暴なだけを表す意味では使いません。どちらかというとぞんざいには消極的、やる気がないさまを表します。
積極的に乱暴というよりも、あくまでやる気がない態度の上での乱暴な様を表します。他の意味で使うときも「ぞんざい」の底の部分にはいい加減でやる気がない態度があるということを踏まえたうえで使うのが良いでしょう。
ぞんざいを使うときの注意
ぞんざいにはいい加減な態度や、やる気がないという意味を持っているので、人に対して使うときは注意が必要です。一生懸命やっているのに、ミスをしてしまったときや緊張してミスをしてしまった時などには使わないように気を付けたいものです。
やる気があるのにやる気がないと判断されたと思われてしまいます。やる気を認められていないことで、本当にやる気がなくなってしまったり心が折れてしまったりする心配があります。
ぞんざいと言われたときの注意点
「ぞんざいに扱うな」や「ぞんざいな口きかれた」などと言われたときには、やる気がない、丁寧さに欠けることを非難されています。
行動だけでなく、態度ややる気に不満があるということが示されています。普段の仕事ぶりなどに丁寧さが欠けていないかどうか、注意を払う必要があります。
また、ぞんざいな態度をとっていると、人間関係にも支障をきたします。相手が傷ついていることを示しています。自分の行動に対して「ぞんざい」という言葉を使われたときには、聞き逃さないようにしたいものです。
ぞんざいの由来・歴史
ぞんざいという言葉の意味や対義語、類語について詳しくなりました。思っていたよりも幅広い意味で対義語や類語も多い言葉です。
ぞんざいという言葉の由来と歴史について調べてみました。言葉の歴史と由来について知ることで、よりぞんざいという言葉の理解に役立ちます。
由来
ぞんざいという言葉の由来は二説あります。麁雑(粗雑・そざつ)が転じてぞんざいになったという説と「存在のまま」が略されてぞんざいになったという説です。
一つ目の説では、麁という漢字には粗い、うといという意味があり、「そ」が「ぞん」になったと考えられています。
「存在まま」はあるがままと読み、その意味は”あるがまま好き勝手にふるまう”を表している為、いい加減な様に繋がると考えられています。存在のままからくるとされる説はやや強引で文法的にも疑問があるとされています。漢字表現にもかかわってきます。
歴史
ぞんざいは江戸時代からある言葉です。現在は形容動詞として用いられていますが、古くは「ぞんざいして」という形で動詞として使われていたようです。
そのことからも、語源が「存在のまま」からぞんざいに変化したという説には文法的にも馴染みにくく、あまり良い説とはされていません。
ぞんざいの英語表記
ぞんざいを英語で表現するときはどのような言葉を選べばよいのでしょうか?日本語では大雑把や乱雑など丁寧でない様と覚えていれば困らないぞんざいという言葉。
ぞんざいの類語を見てみると、「大雑把」「適当」「粗雑」など様々な類語があります。それぞれの類語によって合う英語表現が違うので、なかなか難しいところもあります。
雑なことを意味する場合
ぞんざいの一つ目の意味である雑なことを示す場合は、注意が足りないcarelessもしくはcarelesslyを用いることが多いです。I did careless work.(私はぞんざいな仕事をした)やHe said carelessly.(彼はぞんざいに言った)などです。
類語の無精な、ずぼらなという意味のslovenlyを用いても良いでしょう。He is a slovenly person.(彼はずぼらです)。他にも類語としてslipshod(仕事ぶりなどがずさんな)なども雑なことを表します。
丁寧さに欠けることを意味する場合
丁寧さに欠けるという意味で使う場合はその都度合う英単語を選ぶ必要があります。乱雑な筆跡ならscratchy writting、scratchyには走り書きのという意味があります。
粗野な態度という場合にはrugged manner、ruggedには無骨なという意味があります。無礼な態度の場合はrude attitudeのようにどのように丁寧でないのかということに注目してそれに合う類語を探して英語にするとよいでしょう。
まじめにうけとらないことを意味する場合
おざなりで受け流すような意味でぞんざいを使う場合はperfunctoryがよいでしょう。perfunctoryには通り一遍の、やる気のないという意味があります。perfunctory greeting(気のない挨拶)。仕事ぶりが雑であることを意味するslipshodは言葉や服装がぞんないなときにも使えます。
軽視するという意味のslightもまじめに受け取らない態度を表すときに使えます。動詞なのでHe slighted my opinion.のように使うと良いでしょう。
ぞんざいの漢字
「ぞんざい」には漢字表記があるという説とないという説の二説があります。漢字表記があるという説では「存在」の漢字を利用します。夏目漱石が『吾輩は猫である』の著書の中で「ぞんざい」に「存在」という漢字をあてたことが有名です。
語源でもご説明した通り、「存在のまま」が語源という説からこの漢字を使われていることも考えられます。「存在のまま」が語源という説も未詳です。
辞書によっては、「ぞんざい」に「存在」の漢字表記があるもの、「存在(借字)」としているなど様々です。一般的にはあえて「存在」の漢字を当てずに、ひらがなで書くのが良いでしょう。
ぞんざいは丁寧さに欠けるという意味
ぞんざいには丁寧さに欠けるという意味がありました。漢字についてもあるという説とないという説があったり、語源についても二説あったりと、謎の多い言葉です。
江戸時代から使われている言葉だけあって、幅広いところで使える言葉でもあります。いろいろな意味を表すことができます。根底にいい加減でやる気のないさまがあるということを知っておくと、適切に使うことができます。
使われたときには相手に不満があることも分かるので、日常会話やビジネスでもぜひ今回読んだ知識を参考にしてください。