「愚息」の意味とは?
「ぐそく」という読み方をする、「愚息」ですが、どういった意味を持っているかご存じでしょうか?「愚かな息子」と書くことから、自分の息子を貶すために使う人もいるものの、全くもって違った意味を持っています。
簡潔に言えば、「愚息」は、自分の息子を謙って言うことを意味していて、謙遜表現の一種とされています。次の項目から、「愚息」の対義語や、使い方、英語表現について詳しく解説していくので、気になる人はぜひ参考にしてみてください。
「愚息」の対義語・類語
一般的に謙遜表現である、「愚息」が使われるのは、家父長制度や男性社会の名残りとされています。日常生活の中であまり使わない意味合いの「愚息」ではあるものの、しっかりと対義語や類語も把握しておくことによって、いざ使うときに便利かもしれません。
「愚息」の対義語として、「愚女」や、「荊妻」、「山妻」について解説していきます。一方で「愚息」の類語として、「倅」や、「豚犬」、「愛息」を使うことが多く、気になる人は意味などを要チェックです。
対義語①「愚女」の意味
まず紹介していきたい「愚息」の対義語は、「愚女」となっていて、「娘」といった漢字を使わないことに疑問を感じる人もいるかもしれません。家父長制度を重要視していた時代は、後継にあたる息子を紹介する機会も多かったので、わざわざ娘を紹介することがなかったのです。
時代を経ると共に、娘をへりくだる表現を必要とする人が増え、「愚女」といった言葉ができました。あまり「愚息」も使わないものの、「愚女」も使わないので、意味だけを把握しておきましょう。
対義語②「荊妻」の意味
次に紹介していきたい「愚息」の対義語は、「荊妻」となります。基本的に「愚妻」を使うことが多いものの、中には「荊妻」を使う人も存在し、自分の妻をへりくだっていうといった意味を持っている言葉として知られています。
中国の後漢の時代に荊のかんざしを身につけ、夫にうやうやしく仕えたという故事から由来しています。「愚妻」と同様に、日常生活の中では使われない言葉なので、軽く意味だけ覚えておくことをおすすめします。
対義語③「山妻」の意味
もしかしたら身内に「愚」といった単語を使うのは避けたいかもしれませんが、そんな時に「山妻」を使ってみてください。一般的に「荊妻」よりも、古風な言い方ではあるものの、田舎育ちの妻のことを意味しているそうです。
「愚息」だけでなく、「愚息」の類義語もあまり使われない中で、田舎において「山妻」は使いやすいかもしれません。一般的に「愚」を使った夫をへりくだる表現はないので、主に妻子に使われる対義語が多いことを覚えておきましょう。
類語①「倅」の意味
まず紹介していきたい「愚息」の類語は、 自分の息子をへりくだって言うと言う意味を持つ、「倅」といった言葉となります。「愚息」と違って、他人の息子や、子供、若輩者に対して使われる言葉でもあるので、しっかりと違いを把握しておきましょう。
元々は「やせ枯れ」といった言葉が語源とされていて、室町時代までさかのぼると、女の子にまで使われる表現だったそうです。基本的に息子や子供を卑下して言う表現なので、日常生活の中では使わない方がいいかもしれません。
類語②「豚犬」の意味
次に紹介していきたい「愚息」の類語は、「豚犬」となっていて、あまり耳慣れない言葉かもしれません。「豚」と「犬」が組み合わさった言葉ではあるものの、しっかりと自分の子供をへりくだるといった意味を持っていて、まさしく「愚息」の類語となります。
もちろん「愚息」の類語として使ってもいいのですが、愚か者と言う意味も持っているので、こちらも普段使いには向いていないのです。似た表現として「豚児」もありますが、これからの項目で紹介していきます。
類語③「愛息」の意味
ここまで様々な類語や対義語について解説してきましたが、最後に「愛息」といった類語をご紹介します。字面からわかるように、親の可愛がっている息子という意味を持っていて、「愚息」よりも使う機会も多いかもしれません。
この表現に関しては、娘に対する表現もあり、「愛嬢」が使われています。基本的に「愚息」に関係している類語や対義語を、日常生活の中で使うことは稀なので、軽く意味だけ覚えておきましょう。
「愚息」の使い方・例文
「愚息」は「愚かな息子」といった言い回しとなっているものの、悪口の一種ではなく、しっかりと愛おしい息子に対して使われる言葉なのです。ほのかに自分の息子は賢い子だと言いたい表現となっていて、もしかしたら使い方が気になる人もいるかもしれません。
そこでこの項目では、「愚息」の使い方を、例文を使って解説していきます。親同士の会話の中で、自分の愛おしい息子を褒めちぎるのではなく、「愚息」を使ってスマートに謙遜してみてください。
例文①
まず紹介していきたい「愚息」の使い方は、一般的にママ友の間で使われる表現となります。例文としては、「愚息が、毎日お世話になっております。」といった使い方が可能で、一番オーソドックスと言ってもいいかもしれません。
優秀な息子と言いたいところをぐっと抑えて、「愚息」といった言い回しをすることによって、嫌みのない印象を与えることができます。いざ「愚息」を使う機会があったら、ぜひこういった例文を参考にしてみてください。
例文②
次に紹介したい「愚息」の使い方は、息子がトラブルを起こした時に、謝る表現となります。例文を挙げると、「愚息に代わって、お詫びいたします。申し訳ございません。」といった言い方が可能です。
愚かな息子という意味を持っているわけではないものの、何か過ちを起こしたときに、しっかりと先方に謝罪を入れましょう。一般的に挨拶や自慢したいときに使う「愚息」は、もちろん謝罪の文章にも使うことができます。
例文③
自分の息子をへりくだって言うことといった意味を持っている「愚息」は、若い息子だけでなく、ある程度成長した息子に対しても使うことができます。そこで、仕事に励んでいる息子の話をするときに使い方をご紹介します。
例文を挙げるならば、「愚息ながら、仕事には打ち込んでいるようです。」のように使われることが多いかもしれません。基本的に息子にへりくだって言うことの「愚息」は、他の子どもに対して使うのを避けて、しっかりと意味や使い方を把握しておきましょう。
例文④
最後に紹介していきたい「愚息」の使い方は、息子の不在の中、何かしら自慢したことがあるときの例文となります。簡潔に言えば、「愚息は高校に進学し、今イギリスに留学してます。」といった例文を使うことができます。
基本的に自分の息子のことを自慢してしまうと、どこかトラブルにつながるので、息子をへりくだって言うことという意味の「愚息」を使っていきましょう。次の項目で、「愚息」と「豚児」の違いを解説していくので、気になる人はぜひ参考にしてみてください。
「愚息」と「豚児」の違い
ここまで説明してきたように、「愚息」は、自分の子供をへりくだって言うと言う意味を持っている言葉です。「愚息」には似ている意味の類義がたくさんあるものの、「倅」や、「豚犬」、「愛息」だけでなく、「豚児」を使う人が多いことをご存じでしたか?
「豚児」は自分の子供をへりくだって言うという意味を持っていて、「愚息」と同じ意味を持っているものの、明確に違いがあることを覚えておきましょう。次の項目で、「愚息」と「豚児」の違いの意味の違いを詳しく解説していきます。
「豚児」は自分の子供をへりくだって言うという意味
「豚児」は自分の子供をへりくだって言うという意味を持っているものの、「愚息」と比べて、大胆に卑下していると言ってもいいかもしれません。基本的に日本人は微妙な謙遜表現を使のを好むので、あまり「豚児」を使うことはあまりないのです。
元々は中国の「豚児犬子」といった言葉から由来していて、「豚児犬子」も同様に、自分の子供をへりくだって言うという意味があるそうです。現代の中国では、あまり「豚児」を使わずに、控えめな「犬子」を使う人が増えています。
「愚息」を使う際の注意点
ここまで「愚息」の意味や例文について解説してきましたが、いくつか「愚息」を使う際の注意点もあることを把握しておきましょう。日常生活の中で、「愚息」はあまり使わないものの、いざ使うときの参考にしてみてください。
簡潔に言えば、息子に対して直接使う場面では使えないことや、愚かな息子という意味ではないことが注意点となります。次の項目で、「愚息」を使う際の注意点を詳しく解説していきます。
息子に対して直接使う場面では使えない
「愚息」は、自分の息子をへりくだって言うことという意味を持っていることから、息子に対して直接使う場面では使えません。本人に対して謙遜表現を使う必要はないので、褒めるときは、しっかりと褒めてあげることをおすすめします。
「愚息」の意味からわかるように、他人の子供に対しても使えないので、使いシーンや対象は見極めるべきです。あまり「愚息」を日常の中で使う人は少ないのですが、いざ使ったときに間違えないように心がけましょう。
愚かな息子という意味ではない
ここまで説明してきたように、「愚息」は、自分の息子をへりくだって言うことという意味を持っているのです。基本的に文字通り意味を受け取ってしまう人が多いので、しっかりと「愚かな息子
」といった意味ではないことを再確認しておきましょう。
息子を溺愛するのはとてもいいことではあるものの、本当に自慢してしまうと、他の家族との関係性が悪化してしまうかもしれません。いざ自分の息子をへりくだって言うことという意味を持っている「愚息」を使うときは、正確に意味を把握しておくことが大切です。
「愚息」の由来・歴史
どのような言葉にも由来や歴史はあるように、「愚息」の由来や歴史を把握しておくことによって、より一層理解を促すことができます。そこでこの項目では、「愚息」の由来や歴史について詳しく解説していきます。
シンプルに「愚息」の意味を調べるのではなく、「愚」と「息」に分けておくと、分かりやすいかもしれません。さらに「愚息」について学びたいと思っている人は、ぜひ「愚息」の由来や歴史を参考にしてみてください。
由来
「愚」といった漢字の由来として、骨が浮き出ているさまを表していて、次第に馬鹿馬鹿しいといった意味を持つようになりました。一般的に「愚息」が、「愚かな息子」といった間違った意味でとらえられてしまうのは、「愚」の意味のせいと言ってもいいかもしれません。
基本的に「息子」を意味している「息」は、元々江戸時代において生を意味すると言われていました。鼻から息を吸って、息が出入りする様子から、次第に安息といった意味を持つようになったのです。
歴史
ここまで説明してきたように、「愚息」は、自分の息子をへりくだって言うことという意味を持っています。決して息子を貶すための言葉ではなく、正確に言い表すと、愚かな自分の息子と表現しているに過ぎないのです。
一般的に家父長制度や男性社会の名残りとして「愚息」は使われているので、使う機会がなければ、わざわざ使う必要はありません。次の項目では、何かと気になる人の多い「愚息」の英語表記について解説していきます。
「愚息」の英語表記
「愚息」の英語表記と聞くと、「stupid son」と訳したくなる人もいるのですが、正確には間違っていることを覚えておきましょう。さらに英語に、謙遜表現もないので、ぴったりな「愚息」の英語表記はないと言ってもいいかもしれません。
どうしても「愚息」を英語で表したいときは、「son」といった英語表記を使うと、ある程度意味を伝えることができます。次の項目で、英語表記の「son」の意味について解説していきます。
英語表記「son」の意味
一般的に英語で「stupid son」と言ってしまうと、文字通り馬鹿な息子と捉えられてしまうので、できるだけシンプルに「son」を使っていきましょう。ただ単に息子といった単語ではあるものの、海外では息子を紹介するときにも使います。
もう少しだけ親しみのこもった英語表記を使いたいときは、「my boy」などを使うと、「son」より距離感が近づくと言ってもいいかもしれません。ここまで英語表記の「son」について説明してきましたが、ぜひ英会話で使ってみてください。
「愚息」は自分の息子をへりくだって言うことという意味
この記事では、「愚息」の意味と英語表記を紹介してきました。「愚息」は、自分の息子をへりくだって言うことという意味を持っています。
合わせて、「愚息」の使い方を、例文を使って説明してきました。あまり日常会話の中で使われる表現ではないのですが、いざ使うときの参考にしてみるといいかもしれません。ぜひ「愚息」を使って、会話の中で息子を謙遜しましょう。