正しい持ち方で包丁を使っていますか?
進学や就職などで一人暮らしを始めたり、結婚が決まったけれどまともに料理をしたことがない人などはまず、包丁の扱い方から覚える必要がありますが、「包丁の持ち方なんて簡単じゃん」などと言う人もいます。
実は包丁には正しい持ち方や握り方があり、ちゃんとした持ち方をしなければ下手をすれば大怪我をしてしまう恐れもあります。
包丁の持ち方の基本をしっかりと覚えれば、野菜や肉を安全に切って料理をすることができるので、料理をするために包丁の正しい持ち方を覚えることは必須になります。
包丁の正しい持ち方や握り方の基本の他、まな板の正しい扱い方や日常的な包丁のお手入れなどについて詳しくご紹介していきます。
包丁の正しい持ち方・握り方
それではまず包丁の正しい持ち方と握り方についてご紹介します。今までほとんど料理らしい料理をしたことがない人の多くは、包丁の正しい持ち方や握り方が分かっていない場合が多いと言えます。
テニスのラケットの握り方と同じように、包丁にもちゃんと正しい持ち方や握り方があり、正しい扱いをすれば食材を切るのが楽になる上に安全になります。
逆に言えば包丁の持ち方の基本を知らず間違った持ち方をすると包丁を落として怪我をしてしまったりして、料理どころではなくなってしまうということです。
でも包丁の正しい持ち方や握り方さえ覚えてしまえば怪我をしたりすることもないということなので、まずは包丁の扱い方の基本を覚えましょう。
持ち方①基本の持ち方「握り型」
包丁の正しい持ち方と握り方としてまず挙げられるのは、「握り型」という基本の持ち方です。手の平を上にして包丁の刃を上に向けて、人差し指と親指の間に包丁の柄を当てるようにしてそのまま握り込みます。
この時に注意しなければならないのは、出来る限り包丁の刃に近い包丁の柄の部分を握るということです。料理初心者は包丁の刃が怖いので刃からなるべく遠くを握ろうとしがちですが、これは危険です。
包丁の柄の下の方を握ってしまうと硬い食材などを切った時に包丁から手が離れてしまい、下に落としてしまう恐れがあります。包丁を握る時にはなるべく柄の一番上のあたりを握るようにしましょう。
持ち方②強く握りこむ「押さえ型」
包丁の正しい持ち方と握り方には他に、「押さえ型」という握り方があります。握り型は野菜などを切る際の持ち方になりますが、こちらの押さえ型は肉などのように繊維が切りにくい食材を切る際の持ち方になります。
押さえ型の握り方は、手の平を上に向けて、人差し指の上に横向きにした包丁の刃の下の方を置いて、人差し指と親指で包丁の刃の下の方を挟むようにして握ります。
料理初心者は包丁の刃を怖がりがちですが、包丁は切れる部分さえ持たなければ危険なものではありません。人差し指と親指で挟むのは包丁の刃の峰の方で、刃を持ったからといって手が切れるわけではないのでしっかり持ちましょう。
持ち方③人差し指をかける「指差し型」
包丁の正しい持ち方と握り方には他にも「指差し型」という握り方があります。手の平を上に向け、包丁の峰の部分を人差し指の上に乗せるようにしてそのまま握り込む持ち方で、人差し指で包丁をコントロールする持ち方です。
指差し型は刺身などのように柔らかい食材を切る時の持ち方で、お寿司屋さんなどがよくやっています。マグロの短冊を切り分けたりする際にはこの指差し型という持ち方をすると、切りにくい魚の身でも綺麗に切ることができます。
人差し指を包丁の峰に乗せることを怖がる人もいますが、峰の部分では指は切れません。時代劇で「安心しろ、峰打ちじゃ」というセリフがあるように、包丁の峰の部分では切れませんので安心して人差し指を添えましょう。
包丁の少し難しい持ち方・握り方
包丁の正しい持ち方と握り方の基本は先にご紹介した三つなので、まずはこれらの持ち方を覚えればOKですが、他にも包丁の持ち方はあります。自炊などでは先にご紹介した基本の持ち方で充分ですが、プロの持ち方というものもあります。
自炊を続けて料理に慣れてきたら、もっと上手になりたいと思う人は結構多いですが、そういう良い欲が出てきた時にはさらに難しい包丁の持ち方も覚えておくと良いでしょう。
料理のプロやプロに近い人達が使っている、ちょっと特殊な包丁の少し難しい持ち方と握り方もありますので、そちらもご紹介しておきましょう。
持ち方①皮引き(逆包丁)型
包丁の少し難しい持ち方と握り方としてまず、「皮引き(逆包丁)型」という持ち方が挙げられます。先に基本の包丁の持ち方のところで押さえ型という持ち方をご紹介しましたが、皮引き型は押さえ型の包丁を逆さにした持ち方です。
押さえ型では包丁の峰が上になりますが、皮引き型では包丁の峰が下になり、人差し指の上に包丁の刃の部分が乗るようになります。
「それじゃ切れないじゃない」と言う人もいるでしょうが、これは包丁を逆に動かすちょっと高度な持ち方で、魚の皮を身からはがす際に使われます。
お寿司屋さんなどの板前さんが魚をさばく時の包丁の持ち方で、包丁の刃を逆向けにして逆に動かすことによって安全に魚の皮をはがすことができます。
持ち方②ペンシル型
包丁の少し難しい持ち方と握り方には他に、「ペンシル型」という持ち方もあります。この持ち方は文字通り、鉛筆を持つときのように包丁を持つという持ち方で、料理のプロが良くやる包丁の持ち方になります。
和食や中華料理にはキュウリやウリなどに細かい細工がされているものがありますが、こういった細かい細工をする際にはこのペンシル型という持ち方で細かい作業をすることができます。
ペンシル型の持ち方は鉛筆を持つのと同じ持ち方なのでとても簡単ですが、実際にキュウリなどに細かい細工をすることは素人では大変難しく、料理初心者にはまだ無用の持ち方ではありますが、知識として覚えておくと良いでしょう。
包丁を使う際の正しい姿勢
包丁の基本の持ち方や少し難しい持ち方について分かってきたら、次は包丁を使う際の正しい姿勢について知りましょう。包丁に基本的な持ち方があるように、包丁を使う際の姿勢にもちゃんと基本があります。
立って包丁を使っていても正しい姿勢でなければ食包丁が上手に扱えなくなるので、包丁を使う際の正しい姿勢についても知る必要があると言えます。
調理台と体の間を握り拳一つ分開ける
包丁を使う際の正しい姿勢としてまず大切なポイントになるのは、調理台と体の間を握り拳一つ分開けるということです。たまに調理台に寄りかかって包丁を使っている人もいますが、これは間違った姿勢です。
包丁を使う際には調理台と自分の身体の間に握り拳一つ分ぐらいの間を開けて、自由に動けるようにするのが正しい姿勢です。
「もし包丁を落としちゃったら危ないじゃない」と言う人もいますが、正しい包丁の持ち方をしていればまず包丁を落とすことはないので、調理台と体の間は握り拳一つ分開けておきましょう。
まな板に対し少し斜めに立つ
調理台と自分の身体の間に握り拳一つ分開けたら、まな板に対して少し斜めに立つようにしましょう。利き手が右手なら右足を半歩ぐらい下げ、利き手が左手なら左足を半歩下げれば斜めの姿勢になります。
まな板に対してまっすぐ立っていると包丁をうまく扱うことができないため、食材を切りにくくなってしまいますが、斜めに立てば包丁が扱いやすくなります。
左利きの人は左足を半歩下げればOKですが、左利きなのに右利き用の包丁を購入してしまう人がかなりいます。包丁には右利き用と左利き用があるので、左利きの人は左利き用の包丁を購入するのも忘れないようにしましょう。
包丁の正しい使い方
包丁の基本的な持ち方や包丁を使う際の正しい姿勢が分かってきたら、それで安全に料理ができるかというとそういう訳でもありません。包丁には正しい持ち方や正しい姿勢の他にも正しい使い方というものがあります。
正しい持ち方と正しい姿勢に加えて正しい使い方をマスターすれば、初心者でも安心して料理を開始することができるので、包丁の正しい使い方についても知っておきましょう。
濡れた布巾を敷いてまな板を固定
包丁の正しい使い方としてまず挙げられるのは、濡れた布巾を敷いてまな板を固定するということです。一般的なのは木でできたまな板ですが、木のまな板は滑りやすく、力を入れて包丁を使うとまな板ごと動いてしまって危険です。
こういったことを防ぐために、濡れた布巾をまな板の下に敷いてまな板を固定することはとても大切です。空いた牛乳パックをまな板代わりに使う場合も同じように濡れた布巾を敷いてから牛乳パックを置きましょう。
昨今流行しているとても薄い樹脂製のまな板の場合は滑り止め加工されていますので、こういうタイプのまな板なら濡れた布巾を敷かなくても大丈夫です。
左手は猫の手にして添える
包丁の正しい使い方として次に挙げられるのは、左手は猫の手にして添えるということです。包丁で食材を切る際に手を平らなままで食材に添える人もいますが、これでは指を切ってしまいます。
包丁で食材を切る時には必ず、右利きの場合は左手を丸くして猫の手のようにして添え、左利きの場合は右手を猫の手にして食材を押さえます。
中学校の家庭科の授業で先生から「はい、左は猫の手」と習った人も多いはずですが、忘れてしまっているという人も多いので、「左手(右手)は猫の手」と覚えておきましょう。
包丁は引いて押す
包丁の正しい使い方として他には、包丁は引いて押すということも挙げられます。包丁を使って食材を切る際にはまず、まな板に対して直角になるように包丁を持ちますが、包丁を上に持ち上げてまな板に叩きつける切り方では切れません。
包丁を食材に当てたらまずは手前に向かって引きます。引いた後は向こうに向かって押しますが、この一連の動きで食材を切ることができます。
ただ食材によっては引くだけの方が良い場合も、押すだけの方が良い場合もあります。マグロの短冊などを切る際には引くだけで、肉を切る場合には押すだけでOKです。
皮むきは包丁を固定した状態で
包丁の正しい使い方として他には、皮むきは包丁を固定した状態でするということも挙げられます。ジャガイモやリンゴなどの皮むきをする際に、包丁の方を動かそうとする人もいますが、これは大変危険です。
野菜や果物の皮むきをする際には、包丁の峰に人差し指を添えた持ち方をして、野菜や果物の方をくるくると回すだけでOKです。
親指と人差し指をメインに使って野菜や果物を回せば、包丁の方はじっと固定した状態でも綺麗に皮をむくことができます。包丁の方を回すと野菜などを持った方の手を切ってしまう恐れもあるので注意しましょう。
包丁のお手入れの仕方
包丁の基本的な持ち方や正しい姿勢、包丁の正しい使い方が理解できればもう安全に包丁を使って料理をすることができるようになりますが、さらに包丁のお手入れの仕方を覚えればもう完璧です。
料理のプロは毎日のように包丁を研ぎますが、一般家庭の場合はそれほど大量の食材を切ったりすることはまずないので毎日包丁を研ぐ必要はありません。
ですが研ぐ以外にも包丁のお手入れ方法はあり、そちらは毎日しておかなければ包丁が駄目になってしまう恐れもありますので、包丁のお手入れ方法についてもちゃんと知っておきましょう。
毎日のお手入れ
包丁を毎日使って料理をするようになると、毎日ある程度のお手入れはしておく必要があります。食材には塩分なども含まれていますが、特に肉や魚などの脂は厄介です。
包丁を使ったら一日の最後にコップ一杯のお湯をかけて、乾いた布巾などで水気をふき取りましょう。包丁の柄を洗わないという人は主婦にも多いですが、包丁を洗う際には柄も忘れず洗うようにします。
包丁の柄にも食材の脂などがついているので、こちらもしっかり洗っておきましょう。包丁を洗ったら水気をふき取ってしっかりと乾かし、水気のない所で保管するのが包丁を錆びさせず使い続けるための大切なポイントです。
週に1回研ぐ
毎日のお手入れは洗って乾かすだけでOKですが、週に1回は研ぐことも忘れないようにしましょう。昔ながらの砥石は扱いが難しいという場合には、簡単に研ぐことができる便利グッズなどもありますのでそちらを使って研ぎましょう。
包丁を研いだら捨てる野菜くずなどでちょっとした試し切りをしておくのも大切です。包丁を研ぐと金属独特の匂いがしますが、こういった試し切りをすると金属臭を取ることができます。
砥石などがない場合には陶器などのお茶碗の底の高台部分に包丁の刃をこすり付けるようにすればちゃんと研げますので、お茶碗の底を使って研いでもOKです。
正しい包丁の持ち方で美味しい料理を作ろう!
包丁の正しい持ち方や握り方、正しい姿勢や使い方についてご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。正しい包丁の持ち方や姿勢や使い方をマスターして、安全に包丁を使って美味しい料理を作りましょう。