巻き舌ができない原因
「巻き舌」ができない人、苦手だと感じている人が意外に多いようです。巻き舌ができない人には、3つの原因があると言われています。まずは、この巻き舌ができない原因を知ることが、やり方を上達させるコツの第一歩でしょう。
今回は、巻き舌のやり方や上達する練習方法のコツ、できない原因やおすすめの練習方法などもご紹介していきます。巻き舌ができないと諦めている人や悩んでいる人は、ぜひおすすめの練習方法を参考に実践してみてください。
日本語にはない発音のため
巻き舌ができないのは、巻き舌が日本語にはない発音であるという原因が挙げられます。そのため、日常的に日本語で会話をする日本人にとって、必要のない巻き舌ができない、苦手である、ということは仕方のないことと言えるでしょう。
巻き舌とは、タングトリルと呼ばれこともあり、舌を使って発音する方法のひとつです。日本語では、ラ行の子音ははじき音と呼ばれる発音となります。しかし、江戸言葉のべらんめえ口調などは巻き舌を使い荒々しい言葉遣いになることから、巻き舌の発音は下品である、と感じている人も少なからずいるようです。
「R(アール)」を巻き舌で発音するのは、イタリア語やスペイン語など欧州の言語が多いです。日本語にはない発音のため、これらの言語を使い会話するためには、巻き舌のやり方を覚える必要があります。
舌の筋肉が弱いため
巻き舌ができないのは、巻き舌を使うための筋肉が弱いことも原因として挙げられます。巻き舌は日本語では使われない発音です。そのため、日本人は巻き舌に必要な筋肉が発達していないと考えられます。
言葉を発音するためには、舌の筋肉が必要になります。巻き舌に必要な筋肉を鍛えるやり方を練習方法に取り入れることが、上達するコツとなるでしょう。
苦手意識を持っているため
巻き舌は日本語にはない発音のため、自分はできない、と苦手意識を持っていることも原因として挙げられます。なにごとも、苦手意識を持っていると上達が遅くなる原因となります。まずは、巻き舌のやり方を覚えることが大切です。
子どものころ、縄跳びや逆上がりの練習をした経験があるでしょう。それらができるようになるために、やり方を学び、練習方法に従い、日々努力したのではないでしょうか。
一度やり方やコツをマスターしたものは、一生使うことができる自分の財産となります。苦手意識を持たないことは難しいかもしれませんが、「自分はできる」と信じて練習に取り組みましょう。
巻き舌のメリット
巻き舌ができない原因についてご紹介しましたが、実際に巻き舌が上達することでどのようなメリットがあるのでしょうか。巻き舌ができないと悩んでいる原因は人それぞれでしょうが、巻き舌が上達することで悩んでいる原因以外にも効果を発揮することがあります。
ここからは、巻き舌が上達することによるメリットについて、3つの項目に分け詳しくご紹介していきます。
歌が上手くなる
巻き舌が上達すると、歌が上手くなるというメリットがあります。巻き舌をすることで舌がスムーズに動かせるようになり、音程がブレずに発声することができます。
巻き舌を取り入れることで表現の幅が広がり、聞き手にとってより魅力的な曲に仕上がります。インパクトを与えることもできるので、重要な部分では特に強調して巻き舌を使う方法もあります。
滑舌が良くなる
巻き舌が上達すると、滑舌が良くなるというメリットもあります。巻き舌は発音にも大きな影響を与えるため、上達することではっきりと聞き取りやすい発音ができるようになります。
舌の筋肉が弱いと、滑舌も悪くなると言われています。滑舌が悪いと悩んでいる人は、巻き舌の練習をすることで改善されるでしょう。
外国語の発音が良くなる
巻き舌が上達すると、外国語の発音が良くなります。先ほどご紹介したように、イタリア語やスペイン語のほかにも、オランダ語やギリシャ語など欧州の言語で会話するときに役立ちます。欧州のほかにも、タイ語やモンゴル語など、「R」を巻き舌で発音する言語は世界的に最も多いため、グローバルに活躍したい人などは特におすすめです。
巻き舌のやり方・上達練習方法
巻き舌ができない原因や巻き舌が上達するメリットについてご紹介しましたが、実際に巻き舌が上達するためにはコツがあります。巻き舌が上達するためには、まず、やり方を覚える必要があります。そして、上達するためには日々継続して練習することも大切です。
巻き舌のやり方や練習方法は、100%上達する保証があるものではありません。なにごとも人には向き不向きがあるように、巻き舌のやり方や練習方法も、それぞれ向き不向きがあるでしょう。ここからは、巻き舌のやり方や上達するおすすめの練習方法について5つの項目に分けてご紹介していきます。できる方法から複数取り入れることをおすすめします。
おすすめのやり方①舌の筋肉を鍛える
巻き舌ができない原因として、舌の筋肉が弱いことを指摘しました。巻き舌を上達させるためには、必要な筋肉を鍛える必要があります。発音するための基礎ともいえる「舌の筋肉を鍛える」ことを意識しましょう。
具体的なやり方は4つの段階に分かれています。第1段階は、口を閉じ、下唇と歯茎の間に舌先を入れた状態にします。第2段階は、舌先に力を入れ、歯茎の外側をなぞるよう左右にゆっくり動かします。第3段階は、上唇と歯茎の間に舌先を入れた状態にします。第4段階は、舌先に力を入れ、歯茎の外側をなぞるよう左右にゆっくり動かします。目安は3往復です。
これは、普段使っていない舌の筋肉を鍛えるために有効な練習方法です。しかし、慣れてない動きを無理して続けることは、舌への負担が大きくなる原因です。慣れるまでは、複数回連続でやるよりも、何回かに分けて練習することをおすすめします。
おすすめのやり方②ラ行の発音をする
舌の筋肉を鍛える練習に慣れてきたら、発声練習も取り入れましょう。発声練習のやり方は、「ラ行の発音をする」ことをおすすめします。
具体的なやり方は、「さっぽろらーめんとろろいも(札幌ラーメンとろろ芋)」という言葉を何度も言う練習方法です。拍子抜けした人もいるかもしれませんが、この言葉を何度も発音することで、実際に巻き舌が上達したと評価が高い言葉です。ラ行の発音が多く使われているため、ラ行の発音を練習するためにおすすめの言葉です。
さっぽろらーめんの「ポロ」は、半濁音からラ行への切り替えし発音の練習になります。また、さっぽろらーめんの「ロラ」や、とろろの「ロロ」は、ラ行の連続発音の練習に適していると言えるでしょう。
ラ行の発音をするときは、巻き舌と同じく、舌先が上あごにつくかつかないかの動きを意識しましょう。また、上を向いて発声することで、より巻き舌のコツがつかめるようになるでしょう。
おすすめのやり方③Rの発音トレーニング
発声練習のやり方は、「ラ行の発音をする」ことのほかに「Rの発音をする」トレーニングもおすすめです。「R」を巻き舌で発音する言語が多いとご紹介したように、Rを多く取り入れた言葉を何度も言うやり方が、巻き舌のおすすめ練習になります。
ここでは、言語学者の黒田龍之助先生が考案したRの発音をするトレーニングをご紹介していきます。トレーニング方法は4つの段階に分かれています。
第1段階は「pru、pra、pru、pra~」、第2段階は「tru、tra、tru、tra~」、第3段階は「ara、oro、ara、oro~」、第4段階は「ar、arr、arrr、arrr~」と徐々に長く発声するようにトレーニングします。第1段階から第4段階までを繰り返し発声することで、舌が巻き舌の動きのコツを覚えていくようです。
おすすめのやり方④ぶんぶんぶんを歌う
歌うことが好きな人は、「ぶんぶんぶんを歌う」という練習方法もおすすめです。ぶんぶんぶんは子どもの時に習った歌のひとつではないでしょうか。歌詞を忘れてしまったという人も、この機会に覚えなおしてみるのもおすすめです。
ぶんぶんぶんを使った巻き舌のやり方は、ただ歌うだけでは練習にはなりません。すべての言葉のあいだに「る」を入れることで、巻き舌の練習になります。
具体的に歌詞をご紹介します。ぶんぶんぶんに「る」を入れると、「ぶるんぶるんぶるん はるちるがるとるぶるん おるいるけるのるまるわるりるにる のるばるらるがるさるいるたるよる ぶるんぶるんぶるん はるちるがるとるぶるん」という歌詞になります。慣れてきたら徐々にスピードアップし、早口言葉のように歌うことが練習のコツです。
おすすめのやり方⑤コロちゃんを繰り返す
「コロちゃんを繰り返す」という発声練習のやり方は、一般の人が考案した方法です。コロちゃんを繰り返すことで徐々に巻き舌が上達したことが広まり、実際にこの練習方法を実践し上達したというケースが多く報告されているようです。
「コロ」という言葉のを発声する舌の動きが巻き舌の動きに似ているため、効果があるのではないかと言われています。下の動きを意識して発声することがコツと言えるでしょう。
巻き舌が長く続かない時は?
巻き舌は上達してきたが、長く続かないと悩む人も少なくないようです。巻き舌のやり方は、長く続けるためのコツがあります。
ここでは、巻き舌が長く続かない時の注意点について、2つの項目に分けてご紹介していきます。
口に力が入りすぎる
巻き舌が長く続かない人は、口に力が入りすぎていないかチェックしましょう。巻き舌は、ボイスレッスン前にする舌のストレッチとも言われています。この舌ストレッチをすることで、舌の動きがスムーズになり滑舌が良くなるようです。
つまり、口に力が入りすぎている時は、舌をスムーズに動かすことができない状態であるということです。巻き舌を長く続けるためには、口に力を入れすぎず、リラックスすることが大切です。
口が開いていない
巻き舌が長く続かない時は、口が開いていない可能性があります。巻き舌を長く続かせるコツは、口が開いた状態に関係します。
巻き舌は、空気の流れが重要になります。空気の流れを止めないよう、口を少し開けた状態を保つことを意識しましょう。
巻き舌が上手なアーティスト
巻き舌の練習には、巻き舌が上手なアーティストを取り入れることもおすすめです。巻き舌が上手なアーティストの歌い方を想像し、実際に真似して歌うことで、舌が巻き舌の動きをナチュラルに覚えることが期待できます。
ここからは、巻き舌が上手なアーティスト3名と、それぞれおすすめの曲についてもご紹介していきます。
椎名林檎
巻き舌が上手な女性アーティストとして必ず名前が挙がるのは「椎名林檎」です。ラ行の発音が特徴的で、魅力あふれる歌い方と世界観も人気の理由でしょう。椎名林檎の歌い方を真似したいと思っているファンも多いようです。
どの曲も魅力的な巻き舌を取り入れていますが、特に「歌舞伎町の女王」や「本能」がおすすめです。椎名林檎を知らない人でも、一度聞くとラ行の発音が耳に残るのではないでしょうか。
清春
「清春」は、巻き舌が上手な男性アーティストとしてよく名前が挙がるひとりです。ロックバンド黒夢やSADS、シンガーソングライターとしての活動もしています。
SADSとして発表された「忘却の空」がおすすめの巻き舌の曲です。特に「空」の部分の巻き舌に人気があるようで、SADSの代表曲としても有名です。
浅井健一
「浅井健一」も、巻き舌が上手な男性アーティストとしてよく名前が挙がります。別名「ベンジー」とも呼ばれており、ロックバンドBLANKEY JET CITYから始まり20年以上活動しています。現在はSHERBETSとソロ活動を行っているようです。
ロックバンドBLANKEY JET CITY時代に発表された「SALINGER」という曲の巻き舌に人気があります。
巻き舌上達の目安
なにごとも、新しいことに挑戦するときは、どのくらいで上達するのか気になるでしょう。人それぞれ上達の度合いは違うので、早い人は1~2週間、遅い人は半年など開きが生じます。
コツをつかむことで、昨日までできなかったことが今日できたということはよくあります。根気強く練習することが大切です。また、自分に合った練習方法かどうかも重要なポイントです。ひとつの方法に頼らず、いくつか組み合わせることで可能性が広がるかもしれません。
巻き舌のやり方を覚え、実際に練習した人は、4ヶ月~半年ほどで上達した人が多いと言われています。まずはこの期間を目安に巻き舌の練習をしましょう。
巻き舌のコツをつかめば発音が上手くなる!
巻き舌のコツをつかむことで、発音が上手くなります。滑舌が悪くて聞き取りづらいと言われる人、憧れのアーティストの歌い方を真似したい人、外国語をかっこよく話したい人など、巻き舌はさまざまな人にメリットがあります。長く続けるコツなども参考にし、毎日練習して巻き舌をマスターしましょう。