「邂逅」の意味
邂逅(かいこう)とは『思いがけない出会い』や『偶然めぐりあうこと』を意味します。使い方によって印象が良くも悪くも変わりますが、多くは『過去との邂逅』などと悪い意味で使われることが多いです。『運命の邂逅』は良し悪し、どちらの印象も与えます。
邂逅の意味として『運命の邂逅』を使い方を例文にすると、『もう二度と会いたくない人と出会ってしまった』『こんなところで会えるなんて運命みたいだ』という風になります。悪い意味でも、良い意味でも使われるので、その言葉の意味を見抜くことが大事です。
次に『邂逅』の主な意味である『思いがけない出会い』と『偶然めぐりあうこと』を例文に用いて使い方を簡単にご紹介します。
意味①思いがけない出会い
邂逅の意味の一つは『思いがけない出会い』です。何年も前に会ったとの再会や、会いたかった人と前触れもな出会えたた時に使える言葉です。使い方の例文は『旧友との邂逅』、『あなたとの邂逅は運命を感じた』などです。運命的な出会いに使われ、『出会い』と言葉をつけるよりも『邂逅』と言うことで言葉の重みが増します。
『思いがけない』の言葉はネガティブな印象を与えやすいです。『思いがけずに出逢ってしまった』と言われると『会いたくない人と会ったんだな』と聴き手は思いやすいです。『邂逅』は良し悪しの両方の意味を与えるので使い方によって意味が変わります。
意味②偶然めぐりあうこと
邂逅の意味の一つは『偶然めぐりあうこと』です。先ほどの『思いがけない出会い』よりも前向きで明るい意味で使われることが多いです。『偶然』は『思いがけない』よりも運命的な出会いの意味を与えます。『会いたくない人と偶然会ってしまった』というのはなかなか使われません。
どちらかと言うと『ご近所さんと偶然スーパーで会ったのよ』という風に嫌な印象は与えません。しかし会話の中で『邂逅』という言葉をなかなか使うことはないので、文芸書などに出てきた時に感じてみてください。
「邂逅」の読み方
続いて『邂逅』の読み方についてです。『邂逅』は、昔『邂逅なり(わくらばなり)』と読まれ、『邂逅(かいこう)』と同じに近い意味を持っています。邂逅は『偶然めぐりあうこと』『思いがけない出会い』ですが、邂逅なりは『偶然に』『たまたま』『まれに』という風に意味の特徴が同じです。
読み方・かいこう
『邂逅』の読み方は『かいこう』と読みます。普段の会話では使い慣れていなかったり、聞くことが少ない言葉ですが、文芸をたしなむ人などは目にする機会が多いでしょう。その際に『邂逅なり』と送り仮名が書かれていると『わくらばなり』という読み方になります。送り仮名がつく、つかないでは読み方が変わるので注意が必要です。
『邂逅』の読み方は『かいこう』と読みますが、『邂逅なり』は古くに使われていた言葉なので『かいこうなり』とは読みません。邂逅は『邂逅なり(かいこうなり)』が語源ですが現代ではほとんど使われません。
ちなみに『邂逅』と『邂逅なり』では読み方だけでなく意味も使い方も微妙に変わります。『邂逅なり』とは古語なので『邂逅』よりも目にする機会はほとんどありませんが、文豪たちの小説には度々登場する言葉なので興味がある方は『邂逅』と『邂逅なり』の違いを読んで探してみてください。
「邂逅」の類義語
続いて『邂逅』の類義語についてご紹介します。類義語とは似た意味を持つ言葉のことです。今回は『邂逅』の類義語である『遭遇』『奇遇』『鉢合わせ』を意味や使い方を例文を用いてご紹介します。類義語なのでどれも意味は似ていますが、使い方は異なるので確認してみてください。
遭遇
邂逅の類義語の一つ目は『遭遇』です。『遭遇』の読み方は『そうぐう』で、意味は『思いがけず、めぐりあうこと』『予期せずに出会うこと』です。この言葉は悪い意味で使われることが多く、『タイミングが悪い時などに人や物事と思いがけず、出会ってしまった時』のような使い方をされます。
なので『邂逅』が良し悪しの両方の意味で使われるのと異なり、『遭遇』は悪い意味で使われることがほとんどです。『邂逅』と『遭遇』のように同じような意味を持つ類義語でも、その言葉によって使い方も意味も変わります。
奇遇
ご紹介する邂逅の類義語の二つ目は『奇遇』です。奇遇の読み方は『きぐう』で、意味は『思いがけなく出会うこと』『意外なめぐりあい』です。この言葉は私生活においても使われる言葉で、『邂逅』と違い、多くの会話に登場する邂逅の類義語です。『出先で知り合いとばったり会った』という時にも『奇遇ね』と会話の中で使われます。
その際に『こんなところで会うなんて奇遇だね』『あなたもここに来ていたのね。奇遇だわ』と出先で知り合いとばったりと会うと、このように会話が始まることが多いです。『奇遇』もしくは『偶然』が、『多くの思いがけない出会い』の際での会話に使われます。
鉢合わせ
ご紹介する邂逅の類義語の三つめは『鉢合わせ』です。『鉢合わせ』の読み方は『はちあわせ』で、意味は『頭と頭がぶつかり合うこと』『正面衝突すること』『思いがけなくばったり会うこと』です。今までご紹介した類義語とはひと味違い、『頭と頭がぶつかり合う』『正面衝突』という意味を持っています。
邂逅の類義語の『鉢合わせ』には『頭と頭がぶつかり合うこと』『正面衝突すること』という意味を持っています。この鉢合わせの意味には由来があるので、簡単にご紹介します。
鉢合わせという言葉は『鉢』が語源の由来とされています。鉢の形が頭蓋骨に似ていることから『頭』を表す言葉になり、出会いがしらに頭と頭がぶつかるという由来から、『頭合わせ』つまり『鉢合わせ』となったとされています。そこから偶然出会うことを『鉢合わせ』というようになりました。
「邂逅」の使い方と例文
続いて『邂逅』の使い方と例文についてご紹介します。今までも軽く触れてきましたが、『邂逅』には多くの例文と使い方があります。会話の中ではあまり使われませんが、文芸書やメディアなどのタイトル、テーマなどでも使われることがあるので、この機会にぜひ覚えてみてください。
文章では良悪両方の意味で使用
最初の方でもご紹介しましたが『邂逅』には良し悪しの両方の意味で使用されます。『思いがけない出会い』という意味を持っていますが、これを聞いただけでは『良い』方にも『悪い』方にも考えが浮かびます。『過去との邂逅』つまり『過去との思いがけない出会い』は良い意味でも悪い意味でも使われます。
良い意味での使い方は『別れた恋人と運命的に邂逅した』『長年探していたアルバム写真と邂逅した』と例文ができます。この例文を悪い意味で表現すると『別れた恋人と邂逅してしまった』『捨てたはずのアルバム写真と邂逅した』と言い回しをすると意味は逆転します。
運命を感じるめぐり合い
邂逅を使った文章を作る時に『運命を感じるめぐり合い』はよく使われる意味合いです。『あなたとあの時に邂逅したから今の私がいる』という風に運命的な出会いが表現されます。『あの時、この物事に邂逅したから今の私がいる』という風に、物事に対しても使うことができます。
意味を知っている場合に『邂逅』という言葉を目にすると、『運命の出会い』と直感的に脳が判断します。それほど『邂逅』は日常的になく、極まれな意味を表す言葉です。なので『運命的な出会い』、すなわち『邂逅』と覚えるのも良いでしょう。
二度と経験したくない出会い
『運命を感じるめぐり合い』とは異なり、『二度と経験したくない出会い』も『邂逅』を使った文章で表現されます。『運命を感じるめぐり合い』が良い意味を表し、『二度と経験したくない出会い』は悪い意味を表します。どちらも『運命』を感じる出会いに変わりはありませんが、嫌な『運命の出会い』もあるので例文を用いてご紹介します。
『あなたとこんな邂逅をしなければこんなことにならなかったのに』や『今日、事故現場と邂逅してしまった』は悪い意味での邂逅の使い方です。どちらも『二度と経験したくない出会い』を表現しています。
「邂逅」の英語表現
『邂逅』の英語表現にはさまざまな英語があります。邂逅を英語すると『Encounter』と書いて『エンカウンター』と読みます。Encounter(エンカウンター)は『出会う』『遭遇する』という意味です。ですが、邂逅は『思いがけない出会い』『偶然めぐりあうこと』という意味を持っていて、良し悪しの意味も変わります。
英語表現する際には表現したい文章に沿った英語を選ぶことが大切です。邂逅を英語表現する場合は『Encounter』が相応しいですが、こちらは邂逅を英語で表現しただけなので英語の文章となると変わります。これから様々な『邂逅』を英語表現した例文をご紹介します。
予期せぬ状況でばったりと出会った場合
『予期せぬ状況でばったりと出会った』場合に使う『邂逅』の英語表現は『Encounter』ではありません。この場合、邂逅の意味が持つ『予期せぬ』の英語表現は『Unexpected』です。これは『予想外の』という意味になります。『予期せぬ』の『Unexpected』を使った英語での表現を次の例文を使ってご紹介します。
『私は予想外の場所でばったりと知り合いに会いました』という例文を英語表現にすると『I met an acquaintance in the unexpected situation』になります。一概に『邂逅』と言っても、シーンによって英語での表現が変わってきます。予想外、予定外、予期せぬという英語の文章を使う時は『Unexpected』を選ぶと良いでしょう。
『Unexpected』の例文をもう一つご紹介します。ご紹介するのは『突然の訪問者』です。先ほどの『私は予想外の場所でばったりと知り合いに会いました』とは違い、短い例文ですが同じ『Unexpected』を使います。英語で表記すると『Unexpected visitor』です。
偶然を意味する表現
『偶然』を意味する『邂逅』の英語表現は『Chance』です。『彼に偶然出会いました。』という例文を英語で表現すると『I met him by chance.』になります。『Chance』という言葉は日常的にも使われる英語です。『チャンス』と聞くと好機や運気などを想像しますが、『彼に偶然出会いました』では『Chance』という言葉が使われます。
それからもう一つ『偶然』を意味する英語表現があります。それが『Coincidence』です。Chanceが『その人にとって好機な機会』を意味する『偶然』だった場合、Coincidence』は『お互いにとって嬉しい合致』を意味する『偶然』になります。
『Coincidence』の使い方の例文として『劇場で彼女に会ったのはまったくの偶然です。』を英語で表現すると、『It is pure coincidence that I met her in the theater』となります。これで『Coincidence』を使った英語での表現ができます。
鉢合わせを意味する表現
最後に『鉢合わせ』を意味する英語の表現をご紹介します。鉢合わせの英語表現は『邂逅』の英語表現である『Encounter(エンカウンター)』が一番近いです。鉢合わせを英語表現する時にも『Encounter』が使われる場合があります。次の例文で『鉢合わせ』の英語表現の使い方をご紹介します。
『今日、彼と二度目の鉢合わせをした』という例文で『鉢合わせ』の英語の表現をご説明します。『今日、彼と二度目の鉢合わせをした』を英語表現にすると『I did the second bumping of heads with him today』です。
これは『鉢合わせ』の意味であり、由来である『頭と頭が衝突した』という風に英語表現がされます。『鉢合わせ』に限らず英語表現は日本語と同じで、様々な表現の仕方があります。なのでその文章にあったフレーズを見つけて使ってみてください。
「邂逅」は偶然めぐり合うことを意味する
あまり馴染みのない言葉の『邂逅』は『思いがけない出会い』と『偶然めぐり合うこと』の二つの意味を持っています。素敵な邂逅もあれば、複雑な邂逅もあります。それでも『偶然めぐり合うこと』に変わりはありません。日々の物事や人との邂逅を大切に、ふと『今日、こんな懐かしい人と邂逅した』と口に出してみてもいいかもしれません。
同じような意味を持つ類義語もたくさんあります。しかしどれもにているだけで『同じ』ではありません。日々の生活する中で様々な『邂逅』を感じてみてください。