マンガンとアルカリの違い
電気屋さんやコンビニなどに行くと乾電池を売っていますが、その種類はマンガンとアルカリとなっています。どちらを買うか迷うこともあるでしょうが、値段で決めている人も多いでしょう。値段はアルカリ電池のほうが高いので、こちらのほうが性能がいいと思うかもしれません。しかし、実際の違いがどこにあるのかわからないでしょうから、解説します。
材料の分量と仕組み・電解液が違う
マンガン電池もアルカリ電池も、使われている材料に違いはありません。どちらも、プラス極側に二酸化マンガン、マイナス極側に亜鉛が用いられています。つまり、反応の仕方自体は同じなのです。では、それぞれの種類でどこに違いがあるのかというと、材料の分量と仕組み・電解液などです。まず、分量の問題ですが、アルカリ電池のほうが多いです。
乾電池のプラス極とマイナス極に浸す液体を電解液と言います。その電解液の物質がそれぞれの種類で違います。マンガン電池は塩化亜鉛、アルカリ電池は水酸化カリウムを使っています。電解液の違いは重要で、電圧や性能に差が生じます。
どちらの種類も二酸化マンガンと亜鉛の反応で電気を生み出しますが、アルカリ電池の場合、電解液がアルカリ性の物質なので、アルカリの名称がつけられています。
電池のパワーが違う
材料の分量と仕組み・電解液などの違いが見られる双方の電池ですが、その違いのせいでパワーも違います。アルカリ電池のほうがパワーが強く、長く使えます。一方、マンガン電池はパワーが弱いですが、休み休み使うことで電圧が回復するという利点もあります。パワーについては、値段で予想ができるでしょうが、その原理についてもわかったでしょう。
マイナス極の亜鉛にも違いがある
マンガン電池もアルカリ電池もマイナス極には亜鉛が用いられています。しかし、この亜鉛の形態が違います。まず、マンガン電池の場合は板状亜鉛となっています。一方、アルカリ電池の場合は粉末状です。この違いは表面積の差となって表れ、アルカリ電池のほうが電流が多く取れ、パワーも容量も大きくなるのです。
マンガン・アルカリ乾電池の特徴
「マンガンとアルカリの違い」という冒頭のコーナーでもそれぞれの種類の特徴について簡単に見てみましたが、もう少し詳しく検証してみましょう。店頭で売られているマンガン電池とアルカリ電池は、外見も違いますが、中身にも大きな差があります。したがって、実際に使う場合は、その特徴をよく知っておく必要があります。
マンガン乾電池の特徴
まず、マンガン電池は値段が安いです。使われている材料の分量などの点で、価格が抑えられています。値段で乾電池を選ぶのなら、このほうが経済的でしょう。次に、すでに説明したようにパワーの点でアルカリ電池にかないません。値段が安くてもパワーが劣るので、損をする場合もあります。
これも説明してありますが、マンガン電池は休憩をはさむと電圧が回復します。この利点を活かすためにも、連続使用しない機器にはマンガン電池を使うほうがいいでしょう。具体的な機器については後程取り上げます。
赤と黒の違い
マンガン電池には、赤いデザインのものと黒いデザインのものがあります。それぞれどこに違いがあるのか知らない人もいるでしょう。そこで解説すると、赤よりも黒のほうが性能がよく、長持ちします。黒いマンガン電池は赤いものを改良した結果生まれたものです。したがって、同じマンガン電池を買うのなら、黒のほうがおすすめです。
この赤と黒のマンガン電池の違いは、もともとは松下電工が考え出したものです。それが他のメーカーにも伝わって、どこでも赤と黒のマンガン電池を作るようになりました。ただ、最近は赤いマンガン電池は少なくなり、あまり売られていません。
アルカリ乾電池の特徴
アルカリ電池の特徴は、なんといっても長持ちすることです。普通に使っている場合、マンガン電池の2~5倍くらいの期間使えます。したがって、乾電池を取り換える回数が少なくて済みます。ただ、容量や持ちがいい分、値段は高めです。メーカーや種類によっても違いますが、中にはかなり高額のアルカリ電池もあります。
アルカリ電池は容量だけではなく、パワーも大きいです。乾電池の選び方については次のコーナーで詳しく解説しますが、基本的に電力を多く使用するものにはマンガン電池よりもアルカリ電池の使用がおすすめです。
アルカリ電池は液漏れしやすい?
アルカリ電池を長い間放置しておくと液漏れの恐れがあります。マンガン電池にも液漏れの可能性がありますが、その率はアルカリ電池よりも低いです。したがって、アルカリ電池の使用には注意が必要です。アルカリ電池の電気が取れなくなった場合や長時間使わない場合は、抜いておいたほうがいいでしょう。
マンガン・アルカリ乾電池の選び方
マンガン電池とアルカリ電池の違いや特徴がわかったところで、今度はその選び方を考えてみましょう。店頭に両方の種類の電池が売られている場合、値段を選び方の基準としている人も多いでしょうが、それだけではいけません。それぞれの種類の特徴をよく考えてから、購入する必要があります。
マンガン乾電池向きの製品
マンガン電池の特徴を見ればわかるように、パワーが弱くなっています。それでいて休みながら使うと電圧が回復します。つまり、乾電池の選び方でマンガン電池を選択する場合は、その特徴から機器を決めなければいけません。そのような機器はいろいろありますが、代表的なものを挙げてみましょう。
マンガン電池はこんなものに使おう
まず、テレビやエアコンのリモコンは、使用電力が弱いのでマンガン電池が向いています。それだけでなく、連続使用するものではないという理由もあります。つまり、休み休み使うものなので、電圧が回復するのです。したがって、乾電池の選び方でアルカリ電池を使ってはいけないということはありませんが、もったいないです。
次に懐中電灯も使用電力が少ないし、使う時間も限られています。停電時には連続使用ということもありますが、そうでなければ無理にアルカリ電池を使う必要はありません。
それから、置時計にもマンガン電池の使用がおすすめです。置時計の場合は連続使用ではありますが、使われる電力が小さいので、マンガン電池で十分用を足します。マンガン電池を使っても、電池が切れなければ遅れることはありません。
アルカリ乾電池向きの製品
アルカリ電池の特徴は、容量が大きく長持ちすることとパワーが強いことです。したがって、その特徴を十分考えたうえで購入し、使用しなければいけません。ただ、アルカリ電池といっても、種類は多く、値段もさまざまです。それらの種類によって、容量やパワーに若干の差があること確かです。
アルカリ電池はこんな製品に
短い時間で大きなパワーが必要な機器というと、デジタルカメラや電動歯ブラシ、おもちゃのモーターなどがあります。これらの機器にマンガン電池を使えないことはないのですが、アルカリ電池のほうが合っています。同じ電池でも適切な選び方をしたほうが、機器も使いやすくなり、楽しくなるでしょう。
それから、ICレコーダーやミュージックプレイヤーもパワーが必要な機器です。したがって、アルカリ電池のほうがいいでしょう。また、ガスコンロの点火に使う電池は、連続使用ではありませんが、瞬間的にパワーがいるので、アルカリ電池が向いています。
ワイアレスマウスの場合、使用電力は大きくありませんが、休み休み使うというものではなく、何度も使うでしょう。したがって、乾電池の選び方でもアルカリ電池のほうがおすすめです。なお、懐中電灯はマンガン電池だと説明しましたが、LEDの場合はアルカリです。
マンガン・アルカリ乾電池の注意点
マンガン電池とアルカリ電池の選び方を見てみましたが、それぞれの種類に合う合わないがあるので、それも選び方の注意点です。しかし、注意点はそれだけではなくほかにもいろいろあるので、それを確認してみましょう。乾電池を使う場合は、注意点をよくチェックしてからでないと、危険な場合もあります。
マンガンとアルカリの併用はNG
まだマンガン電池が残っているけれど、アルカリ電池を買ってきたから両方を併用してみましょうという人がいるかもしれません。しかし、これは危険です。機器に違う種類の乾電池を使うと、発熱、液漏れ、破裂することがあります。たかが乾電池くらいなどと考えず、注意点をしっかり守りましょう。
同じ種類・メーカーの電池を使うのが安全
違う種類の乾電池、つまりマンガンとアルカリ電池の併用も危険ですが、メーカーの違いやそのメーカーの中での種類にも気を付けましょう。まず基本的な注意点として同じメーカーの乾電池を一つの機器に使います。メーカーが違うと、特徴も違い、バランスが悪くなって、何らかのトラブルにつながる場合があります。
では、メーカーが同じなら何でもいいかというと、そういうわけにいきません。メーカー内でも同じ種類の乾電池を使わなければいけません。それが機器の故障やトラブルを避ける道です。
もし違う種類の乾電池を使って、何らかの問題が起きたら、それは自己責任ということになります。メーカーは何の保証もしてくれないでしょう。したがって、この注意点は最重要項目と言えます。
電池の取り換えは一度にする
乾電池をバラバラに交換する人がいますが、これもよくありません。というのは、古い乾電池と新しい乾電池を一緒に使うと、新しい乾電池の容量やパワーは適用されず、古い電池の影響が濃く出てしまうからです。そうなれば機器の動作もフル稼働というわけにはいかないでしょう。
もう一つ古い乾電池と新しい電池の併用がいけない理由は、古い電池が消耗しきった場合、液漏れの恐れがあるのです。そうなれば、危険もあるので、この注意点も必ず守りましょう。
電池の液漏れへの対処法
アルカリ電池は液漏れしやすいという説明をしましたが、液漏れすると、アルカリ性や弱酸性(マンガン電池の場合)の液体が肌に付着したり、目に入ったりして、大変危険です。やけどや失明の原因になる場合もあるので、液漏れは何としてでも防がなければいけません。その対処法ですが「電池が切れたら外す」「しばらく使わない機器からも外す」です。
液漏れの液体が身体に付着した場合、まず大量の水で洗いましょう。それだけでうまく収まる場合もありますが、まだ気になる症状があるようなら、医師の診断を受けてください。
衣服に液体がついた場合は、その部分に触らないようにしながら脱ぎ、やはり水で洗います。それから、洗濯をすれば大丈夫ですが、時には変色や劣化の原因となることもあります。
他の金属製品と同じ場所で保存しない
意外に気が付かない注意点ですが、乾電池を他の金属製品と一緒に保管しないようにしましょう。たとえば、ヘアピン、ネックレス、コイン、鍵などです。どうしてこれらのものと一緒に保管してはいけないのかというと、金属製品には電気が流れる危険性があります。そうなると、ショートして、発熱や発火の原因となる場合があるのです。
開封したときの注意点
乾電池を開封し、そのまま使わない場合は、念のためプラス極とマイナス極をビニールテープなどで封をし、絶縁しておきましょう。そこまでしなければいけないのかと思う人もいるでしょうが、これらの部分が金属製品に触れると、上記のような状態になることがあります。絶対になるというわけではありませんが、万が一のことを考えておきましょう。
幼児の手の届かないよう注意する
幼児というものは、なんでもおもちゃにしてしまいます。乾電池でもそれは変わりなく、もてあそんだり、なめたり、かじったり、場合によったら飲み込んでしまう場合もあります。そうなると大変な事態になるので、乾電池は必ず幼児の手の届かないところに保管しておきましょう。これも重要な注意点です。
充電しない
乾電池は充電用電池とは違います。本来の仕組みが充電には向いていないのです。それを無理に充電器を使って充電しようとすると、液漏れ、発熱、発火、爆発の危険が生じます。普通はそんなことをする人はいないでしょうが、気まぐれを起こしてやる人が出ないとは言い切れないので、注意点として指摘しておきます。
マンガン・アルカリ乾電池の処分方法
乾電池の処分についてはあまり考えずに不燃ごみとして捨てているという人も多いでしょう。それ自体は間違いではありませんが、いくつか注意点もあります。乾電池自体はマンガン電池もアルカリ電池も不燃ゴミですが、100%安全なものというわけではありません。したがって、気を付けて処分する必要があります。
絶縁して捨てる
使用済みの乾電池はできるだけ早く処分するのがいいのですが、それが不可能な場合、プラス極とマイナス極を絶縁しておきましょう。絶縁は、セロテープやビニールテープを貼ることでできます。また、すぐに処分する場合も、絶縁はしておいたほうがいいでしょう。特に複数の乾電池を捨てる場合は、電流が流れてしまうことがあるので、絶縁は重要です。
自治体ごとに注意事項がある
基本的に乾電池は不燃ゴミですが、自治体によって扱いが違う場合があります。したがって、お住いの自治体に正しい乾電池の処分方法を確認しておきましょう。また、自治体への問い合わせが面倒な場合は、インターネットで検索できるケースがあります。それから、企業ごとに乾電池の捨て方をアドバイスしている場合もあります。
マンガン・アルカリ乾電池は注意点を守って使うことが大切
ここまで、マンガンとアルカリ電池の違い、それぞれの特徴、選び方、注意点などについて解説しました。マンガンとアルカリ電池を選ぶ場合、値段を基準にしているという人が大多数でしょうが、その特徴にも注意しなければいけません。そのうえで、使い方や処分方法にも気を使い、有効利用してください。