チルアウトの意味とは
音楽ジャンルの「チルアウト」に関しては後述で詳しく説明しますので、前半は主にネットで最近たまに使われるようになった「チルアウト」という言葉の意味説明をします。「チルアウト」英語表記にすると「chill out」となり、英語圏に住んでいた経験がある人ならば、馴染み深い英語だと言えるでしょう。
英語で「chill out」という言葉は、親しい友人の間などではほぼ挨拶代わりのように使われるスラングです。「chill」は英語で「冷やす」という意味を指す動詞です。そして「chill out」という英語の本来の意味は、興奮している人や、起こっている人を見かけた時「Chill out, mate!」のように「頭を冷やせ」、「ちょっと落ち着け」のような意味があります。
しかし殆どのケースでは、スラングとして使われ始めた英語で、先述のように最後に「mate」や「man」、「bro」のような仲の良い友達を示すような言葉を付け「みんなでお酒を飲みながら遊んでいる時」や、「家で一人で特に何もしていない時」でも「chill out」という言葉で説明を終わらせるケースが非常に多く見られます。
意味①落ち着く
日本のネット上で「チルアウト」と使う場合は、単体で「チル」と「アウト」の間にスペースや点も入れずに「チルアウト」というような使い方をします。意味は3つあり、「落ち着く」という意味と、「くつろぐ」という意味、また「リラックスする」という意味があります。
基本的に、全て動詞として使われているので、その辺りの感覚や意味は英語のスラングで使う「chill out」と似ていると言えるでしょう。
意味②くつろぐ
先述のように「くつろぐ」ということを表現する際に「チルアウト」という言葉が使われます。初期段階のスラング英語での「chill out」も、初めの方は「数人の友達同士で、特に何の目的もない状態で誰かの家に集まり、ただダラダラすること」のような使われ方をしていました。
従って、「くつろぐ」という意味を日本語で「チルアウト」という表現で使うことは、本場での使い方や意味、または表現方法とそこまで違いはないと言えます。
意味③リラックスする
「リラックスする」と「くつろぐ」という言葉は、意味に殆ど違いは無く、「くつろぐ」という言葉を「チルアウト」と表現し始めたら、「くつろぐ」の類義語は、ほぼ全て「チルアウト」と表現されるのは、比較的普通の感覚だと言えるでしょう。また、「特に何もしておらず、ダラダラしていること」も「チルアウト」と表現されます。
英語の意味は「頭を冷やす」
先述の通り、本来の英語の正しい文法に則った「chill out」の使い方は「頭を冷やさ」や、「ちょっと落ち着け」など、動詞として使われる言い回しになります。また主語を使わずに単純に「Chill out」と使うと、基本的には「命令形」の表現になる為、目上の人や会社の上司などに使う場合は、キチンと主語を付けて使います。
例文として、仮に上司が訳もなくイライラしていたり、起こっている場合、「I don't know what's happened to You, but should chill out a bit, Sir」(何があったのか分かりませんが、少し落ち着いて下さい)のように、主語を付けた文章に最後に「Sir」を付けることで、より丁寧な言い回しにすることが出来ます。
実際に、海外旅行に行って、何が起こったのか分からない場合や、道を中年以上の男性に「Sir」を最後に付けることでかなり相手に好印象を与える事が出来ます。道を聞いて最後に「Thank you, Sir.」と、するだけ、相手に敬意を示すことが出来ます。
もともと「Sir」(サー)という言葉の意味は、イギリスに於いて何か特別なことを成し遂げたり、国の為に大きく貢献した実績が認められ、女王から特別に授かる、ナイト「勲爵士」の栄誉称号として使われていましたが、今では日常生活の中でも「Mr」より更に敬意を示す際に「Sir」という言葉が使われます。
カスタマーセンターなどにメールを送る際にも、相手の名前が分からない場合、殆どのケースで宛名の部分に「Dear, Sir」と記しておけば、問題ありません。近年では、一般人がAMAZONやGoogleに英語でメールを出すケースも増えているので、この「Sir」の使い方は、覚えておくと非常に便利なマメ知識です。
チルアウトの使い方
続いて、実際に日本のネットスラングとして使われている「チルアウト」の意味や使い方について説明します。英語でも同様ですが、「スラング」と聞くと多くの場合、ネガティブな意味を指す言葉に使われますが「チルアウト」に関しては、とても「平和的」な意味で、親しみを込めて使われるケースが多く見られます。
時間をゆっくり過ごす時に使用
東京のような都会で、毎日慌ただしく働いている人には、たまに「チルアウト」することをおすすます。先述説明したように「チルアウト」には既に「くつろぐ」や、「リラックスする」という意味が含まれている為、「リラックスする為に、チルアウトする。」のような使い方は出来ません。
例えば、「私は休日は家でゆっくりチルアウトするようにしている」という文章で、文章の中にある「チルアウトする」という言葉を、「リラックスする」や、「くつろぐようにする」と言い換えても不自然ではないので、上記の様な使い方が最も一般的だと言えるでしょう。
状況・事態に対しては使わない
「チルアウト」という言葉を使う上での注意点として、「チルアウト」という言葉は、あくまで「自分を含めた人」に対して使われる言葉で、「状況や事態」に対しては使われないという点です。例えば、「そろそろ大雨が降る予定だから、今は家で読書でもしながらチルアウトしよう。」という例文は正しい使い方だと言えます。
しかし、間違った使い方の例として「昨晩起きた繁華街での火災事故はもうチルアウトしたかな?」また、「少しでも早く、先日の火山の噴火がチルアウトすることを願うばかりだ。」のような例文は「火災事故や火山の噴火」などの「状況・事態に対して」落ち着くことを望むような使い方をしている為、間違った「チルアウト」の使い方だと言えます。
しかし、英語ではほぼ全ての現象に対し「chill out」で対処することが出来るので、そのうち日本で更に「チルアウト」という言葉が認知され始めたら、使い方が変わってくる可能性は大いに考えられると言えるでしょう。
チルアウトの例文
ここで実際に日本で最近使われ始めた「チルアウト」という言葉を使った例文をいくつか紹介します。但し、「チルアウト」という言葉に関して現状ではネットの上で、極少数の若者などの間で流行り始めたスラングの為、初めて会った人や、ネットには縁が無さそうな年配の方との会話の中では使わない方が無難だと言えるでしょう。
但し、「話題作り」の1つとして最近「チルアウト」という言葉がネットで流行っている、等の使い方をする分には、特に問題ないと言えるでしょう。
連休の予定
「チルアウト」は「落ち着く」や、「リラックスする」という意味がある為、仕事の合間に連休などがある場合、「チルアウト」を使った文章がいくつか考えられます。例文として「今年の連休は各地で猛暑らしいので、家でのんびりチルアウトすることにしよう。」や、「次の連休は、温泉にでも行って、ゆっくりチルアウトしよう」等の例文が挙げられます。
落ち着きたい時
人混みなどが苦手で、早く帰って落ち着きたい場合も「チルアウト」という表現で気持ちを表すことが出来ます。例えば、「今日観に行った映画はとても楽しかったけど、あまり人が多くて少し疲れたので、早くチルアウトする為に家に帰りたい。」のような例文が考えられます。
または、「上京してまだ半年しか経っておらず、未だに東京の人混みに慣れないので、今週末は実家に帰ってゆっくりチルアウトしよう。」のような例文を作ることが出来ます。
リラックス
続いて、リラックスを「チルアウト」に言い換えた例文をいくつか紹介します。例として「彼女はとても、まったりとしていて、落ち着いた性格なので一緒にいるとチルアウトできるよ。」のような例文や、「最近残業続きで疲れがたまっているので、マッサージにでも行ってチルアウトしたい。」といった例文が考えられます。
ここでもう一つ「チルアウト」の使い方について注意するべき点があります。あくまで「チルアウト」は動詞の形でのみ使用することが出来るので、自然と文章も「チルアウト」したい、「チルアウト」できる、また「チルアウト」しよう、のように普段日本語で動詞を使う時の文法で、「チルアウト」という言葉を使うようにしましょう。
従って、「彼女はまるでチルアウトのようだ。」また、「あの曲からはチルアウトを連想させる」のような使い方は間違いなので注意しましょう。
音楽用語のチルアウト
ここから説明する「チルアウト」は音楽用語の名詞として使われる「チルアウト」になります。「チルアウト」というジャンルの音楽の発祥は1990年代前中期です。このジャンルが「チルアウト」と呼ばれる理由に、楽曲のタイプがスローテンポで、まったりとくつろぐ際に最適な音楽であるという意味合いが強く含まれていることが挙げられます。
リラクゼーショナル
「チルアウト」系の音楽は、リラクゼーショナルな音楽として知られています。リラクゼーショナルという意味は「リラックス出来るような」という意味です。英語表記にすると「relaxational」となります。ここでも一つ覚えておくと非常に便利な英語の法則があります。
基本的に名詞の最後に「able」(可能な)がついている単語は、そのメインの名詞を「することを可能にする」という単語に変化します。「realax」に関しては、この法則が当てはまらないケースですが、よく耳にする、リーズナブル、フレキシブルなどがこの法則に当てはまります。
例えばリーズナブルと言えば「安い割にコスパが良い」という意味の完全な和製英語になっていますが。もとは「reason」(理由)+「able」(可能)で「reasonable」という英語になり意味は「合理的な」や、「妥当な」という意味です。その為、日本で「リーズナブルな価格の商品」というと「コスパが良い=合理的な値段」のように解釈されます。
この法則は色々な英単語に当てはまるので、知っておくと便利な英語の知識の一つだと言えるでしょう。
テクノの系譜
とてもリラクゼーショナルな音楽として知られている「チルアウト」ですが、音楽のジャンルで言うと「電子音楽」のジャンルに入ります。1980年代から音楽業界に電子音楽やダンスミュージックが流行り始め、「アンビエント」と呼ばれる電子音楽のジャンルが、「チルアウト」系音楽のもとになっています。
まったりとした楽曲
「チルアウト」のジャンルに入る音楽はリラクゼーショナルな音楽の為、まったりとした、スローテンポの音楽が多いのが特徴だと言えるでしょう。当時の主なダンスミュージックは、兎に角人々を盛り上がることに重点を置き、「チルアウト」のようなリラクゼーショナルな楽曲とは大きな違いがありました。
チルアウトとアンビエントの違い
「チルアウト」という音楽のジャンルの原形となった「アンビエント」という音楽のジャンルの違いについて説明します。基本的に、「チルアウト」と「アンビエント」はスローテンポのまったり系の音楽であるという共通点がありますが、「チルアウト」と「アンビエント」では根本的なコンセプトの意味合いに大きな違いがありました。
その他にも、よく「ジャンルが似ている」として認識されがちな、「チルアウト」と「アンビエント」の違いを説明します。
アンビエントは環境という意味を持つ
アンビエントの正式名称はアンビエント・ミュージックといい、和訳する場合「環境音楽」と和訳されるケースが多く見られます。英国の作曲家ブライアン・イーノが作り出した「環境音楽」時に音楽の枠を超えて、「思想」と表現されることもありました。この様なしっかりとした「コンセプト」がある「環境音楽」をアンビエントと言いいす。
このようなコンセプトに「チルアウト」と「アンビエント」の大きな違いが見られます。またもう一つの違いとして、「チルアウト」は、当時のダンスフロア(ディスコ)でよく聞かれていて、ダンスフロアにあるサイケ調の照明などを使い、観客を楽しませるというエンターテイメントの要素が強く見られました。これもこの2つの音楽の大きな違いだと言えます。
但し、「チルアウト」と「アンビエント」にはコンセプト上の大きな違いはありますが、音楽性の明確な違いについては、未だ議論の余地があると言えるでしょう。
チルアウトとは落ち着いたりリラックスすること
ここ数年で「ダイバーシティー」(多様性)、「アジェンダ」(議題)、「エビデンス」(証拠)など日本語で十分対応・表現できる言葉が、和製英語として使われるケースが増えてきています。意味は特になく、ただ「オシャレでカッコいいから」などの理由がメインだと思われますが、それに引き換え日本人の英語力はアジアの中で群を抜いて引くいと言えます。
新しい和製英語が作られる度に本来の「正しい日本語」という美しい文化を少しずつ変化させ、将来的には「日本語」自体が失われてしまう可能性もあります。「チルアウト」という表現を限定的に使うことは、使う人の自由であり、誰も止めることは出来ません。
横文字を多く使うのも良いですが、それと同時に日本が世界に誇れる「日本語」という文化も大切にすることが求められる時代に、今まさに突入しようとしています。