定年退職後の失業保険のもらい方まとめ!条件や金額の計算方法も紹介!

定年退職後の失業保険のもらい方まとめ!条件や金額の計算方法も紹介!

会社勤務の方が定年退職を迎えた後、条件によって失業保険受給の申請をすることができます。受給できる金額も条件も場合によって異なるのであらかじめ定年退職後にどれくらいの失業保険がもらえるのか知っておく方が家計を考えるうえで有利ですので、詳細を解説していきます。

記事の目次

  1. 1.定年退職後に申請できる失業保険は二つ
  2. 2.定年退職後の失業保険の条件
  3. 3.定年退職後の支給日数と期間
  4. 4.定年退職後の失業保険の金額の計算方法
  5. 5.定年退職後の失業保険のもらい方と手続き
  6. 6.定年退職後の失業保険をもらう注意点
  7. 7.定年退職後の失業保険は条件を満たせば受給できる

定年退職後に申請できる失業保険は二つ

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今回は、定年退職後の失業保険について解説をします。定年退職後に失業保険を受給できる可能性があることを認識していない方も多いといわれていますが、実は条件によっては定年退職後の失業保険申請が可能になるケースがあります。

失業保険は、働く意思と能力を持っていながら、定職に就くことができず失業状態になっている方に支給される保険ですので、定年退職後の年齢が60歳以上でも条件次第で受給を受けることができます。

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今回は、定年退職後に失業保険受給を申請する際の手続きやもらい方、金額などの計算方法、受給できる期間などについて解説をしていきます。手続きや受給条件、計算方法などにはかなり細かい規定があります。

定年退職後に失業保険を受給しようと計画している方は、事前にもらい方や手続き方法、受給条件などを調べておき、自分のケースではどれくらいの期間もらえるのか、あるいは受給額の計算をしてどれくらいの金額をもらえるのか把握しておきましょう。

60歳~64歳で定年退職した場合

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まず、60歳以上、64歳以下の年齢で定年退職した後の失業保険の受給について紹介します。こちらの年齢で失業保険の申請をする場合は、基本的に60歳未満の失業者の方が失業保険を申請するもらい方と手続きとしては同じになります。

受給できる条件も同じになります。そのため、失業保険の受給可否は、一般の場合の条件を参照して問題ありません。退職理由が自己都合か会社都合かの判断により受給期間などに差が生じますが、定年退職をしているという点で会社都合となるケースが多くなるため、有利な条件で受給できる場合が多いです。

60歳未満の受給と同様

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60歳から64歳の間に定年退職をしたのち、失業保険を請求する際の支給条件やもらい方、手続き方法は基本的に60歳未満の方が失業保険を請求する際の手続きと同様です。いわゆる労働保険における基本手当を請求することになります。

定年退職をする前の就労状況や退職理由によって、90日から360日の期間内で失業保険の給付日数が決定されます。ハローワークで求人情報をチェックして求職活動をするなどの支給条件が一般の失業者と同様に設定されているため、十分に内容をチェックして条件をクリアする必要があります。

65歳以上で定年退職した場合

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次に、65歳以上で定年退職をした場合の失業保険支給について説明をします。65歳以上の方に支給されるのは、65歳未満の方に支給される基本手当とは異なり、「高年齢求職者給付金」という内容が支給されます。

基本手当の支給日数よりもかなり少なく、定年退職前の就業状況により30日か50日の支給期間が決定されいます。労働保険の被保険者期間が1年以上の場合は50日、1年未満の場合は30日となります。

支給は一度だけ

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「高年齢求職者給付金」は、基本手当と異なり支給は一括で一度きりとなります。失業認定日から5日間以内で一括で支払われるため、受給のタイミングが早く早めに資金を獲得したい方にとっては非常に頼りになる制度となります。

「高年齢求職者給付金」のもらい方や手続きの方法などは基本手当と同様です。一定の求職活動をする必要があります。また、所定の申請用紙も提出する必要があります。必要書類なども同様なので、事前に確認しておき早めに申請するようにしましょう。

定年退職後の失業保険の条件

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定年退職後の失業保険の受給において、年齢によって失業保険の種類が異なることを紹介してきました。続いては、それぞれの手当ての支給される条件について紹介をします。手続き方法としてはそれぞれ違いはほぼありませんが、前職の離職前の終了機関などの要件もあるため事前にチェックしておきましょう。

基本手当と高年齢求職者給付金を受給する際のそれぞれの支給条件について紹介していきます。定年退職が近い方が自分のケースに置きかえてみて、きちんと条件を満たしているのかチェックしておきましょう。

基本手当をもらう条件

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まず、失業保険のうち60歳から64歳以内の方の基本手当を受給する際の条件などについて紹介をします。基本手当を受給する手続きは、基本的に60歳未満の一般的な失業者と同様になります。

条件としては、以下の3項目設定されています。第一に、定年退職をした時の年齢が60歳以上65歳未満であることです。第二に、定年退職をする前に勤務していた企業において、雇用保険被保険者期間が6ヶ月以上あったかどうか、という点です。第三に、就職する意思と能力があるものの、失業状態となっていることです。

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2項目目の「定年退職をする前に勤務していた企業において、雇用保険被保険者期間が6ヶ月以上あったかどうか」という点における被保険者期間とは、定年退職日の以前から数え、1ヶ月ごとに期間を区切り、その各期間ごとに賃金支払いの計算根拠となった日数が11日以上ある月を1ヶ月として計算します。

すなわち、雇用保険の被保険者期間が6か月以上あったとしても、各月の勤務日数が10日以下の月が多かった場合、支給条件をクリアできないケースが起こることもあります。自分のケースに置き換え、条件を食うリアしているかどうかチェックしておくべきです。

高年齢求職者給付金の条件

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次に、65歳以上に定年退職をした方が受給する失業保険である高年齢求職者給付金の支給条件について説明します。基本手当と高年齢求職者給付金では、支給される金額や支給のタイミング、支給方法に違いはありますが、支給される条件はほぼ同様になります。

すなわち、定年退職をする前に勤務していた企業において、雇用保険被保険者期間が6ヶ月以上あったことと、就職する意思と能力があるものの失業状態となっていることが挙げられます。65歳以上といっても同様にハローワークで求職活動をしている報告をするなどの要件をクリアしないと高年齢求職者給付金は支給されません。

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定年退職後の支給日数と期間

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ここまで、定年退職後の失業保険の支給条件について紹介してきました。続いては、失業保険の支給日数とその期間について紹介します。これらの条件を決めるのは、失業状態になる前の就業状況に左右されることになります。

また、前職の会社を退職するにあたり、その理由が自己都合か会社都合かによって支給の条件が変わってきます。自己都合よりも会社都合の方がもちろん良い条件で失業保険を支給してもらうことができます。

会社によって自己都合なのか会社都合なのかの判断には差があるので、あらかじめ企業担当者に問い合わせておくのも有効な手段です。いざという時に困らないよう、事前にチェックしておきましょう。

自己都合と会社都合の判断

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定年退職で失業保険の申請をする場合、自己都合による退職なのか、会社都合による退職なのかにより条件が異なってきますので、この判断は非常に重要です。会社の規定通りに退職するので、会社都合となると思っている方も多いですが、実際にはむしろ自己都合と判断されるケースの方が多いといわれています。

最近は60歳以上でも希望すれば継続して勤務することができる企業が増えてきています。その企業の場合、働くこともできるが60歳で退職する選択をした場合は、自己都合となります。

逆に、継続勤務を希望したものの会社側の判断で雇用を打ち切った場合、会社都合の定年退職とみなされるケースが多いです。失業手当を考えるうえで重要なポイントとなるので、事前にチェックしておきましょう。

自己都合の場合

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まず、定年退職の事由が自己都合と判断された場合の失業保険の支給日数について解説します。64歳以下の基本手当に限定して解説します。給付日数の決定は、前職で勤務していた機関によってなされます。勤務期間が長いほど失業保険の給付日数も多くなります。

雇用保険の被保険者期間が1年以上10年未満の場合、90日の給付日数となります。雇用保険の被保険者期間が10年以上20年未満の場合は120日、それ以上の場合は150日という規定になっています。

自己都合には二つのパターンがある

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定年退職で会社を辞職したケースで、自己都合と判断されるケースの多くは二つのパターンに分類されます。一つ目は、60歳以降の再雇用などの継続勤務の規定がある会社において、契約更新の申請をしない判断をしたケースです。働ける環境が整っているにもかかわらず継続をしなかったため自己都合と判断されます。

二つ目は、継続勤務の規定がない会社において、特別の申請をせず60歳で辞職するケースです。こちらのケースは会社都合ではないかと思う方も多いですが、就業規則などで60歳になったら退職することが明確に定められているため、自己都合と判断されます。

会社都合の場合

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次に、会社都合と判断されて定年退職をした場合の失業保険の支給日数について解説します。こちらの受給者は、特定受給資格者と称され、一般の受給者よりも優遇された内容で失業保険を受給することができます。

申請する際の年齢によって日数が変わってきますが、今回は60歳以上に限定して紹介します。雇用保険の被保険者期間が1年以上5年未満の場合は150日、5年以上10年未満の場合は180日、10年以上15年未満の場合は210日、20年以上の場合は240日と規定されていて、かなり優遇されることが分かります。

定年退職の理由が自己都合となるのか会社都合となるのかによって、失業保険の面ではかなりの違いが生じるので、自分のケースがどちらに当てはまるのか事前に調べておき、会社都合とできる対処方法がないか検討してみましょう。

再就職まで休養などしたい場合

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定年退職後、しばらく休養したいなどの理由で失業保険の申請を延期したいと考える方も多くいます。失業保険においては、この対応が可能です。離職日の翌日から2ヶ月以内に所定の延長手続きを行なえば、失業保険受給が最長で1年間延長することが可能です。

延長期間を終えた後所定の手続きを行なえば失業保険の給付が受けられます。定年退職後の失業保険のもらい方は多岐にわたり、選択肢が広いことが特徴です。

定年退職後の失業保険の金額の計算方法

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定年退職時に失業保険を申請した際の支給日数について紹介しました。続いては定年退職後の失業保険の金額の計算方法について解説します。定年退職する前の前職における収入の金額と支給日数により総額の計算金額が影響を受けます。

計算方法は、まず基本手当の日額を計算し、それに支給日数を乗じて算出されます。基本手当の日額は、離職日から遡って6ヶ月分の給与総額を180で割って計算されます。これを賃金日額と呼びますが、一部例外があるので事前に調査しておきましょう。

この賃金日額に一定の給付率を乗じて計算されるのが基本手当日額です。給付率は、賃金日額の金額により定められています。賃金日額が高額になるほど支給率は低くなるよう設定されています。

支給日の違いについて

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失業保険の支給日は、退職理由により異なってきます。自己都合の場合も会社都合と認定されている場合でも共通しているのが、待期期間というものが設定されている点です。失業保険の認定を受けてから7日間がこれに当たります。この期間は手続きを進めることができないので注意が必要です。

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自己都合の場合、この待期期間を終えてから3カ月の給付制限を終えたのち、最初に失業認定を受けてから5日前後で受給できます。会社都合の場合は、待期期間ののち最初に失業認定を受けてから5日前後での支給となります。会社負担と自己負担との差により、支給のタイミングにはかなりの差があることが分かります

計算方法の具体例

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失業保険の計算を具体的に例示します。前職における一月の給与が39万円で給付日数が120日だった場合で計算します。賃金日額は39×6÷180=1.3万円となります。支給率50%を乗じて0.65万円が基本手当日額となります。

この基本手当日額に支給日数の120日を乗じます。0.65×120=78万円が失業保険の総額となります。もらい方は、一括ではなく数カ月に分けて受給することになります。

定年退職後の失業保険のもらい方と手続き

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定年退職後の失業保険の具体的な金額の計算方法を解説しました。続いては、定年退職後の失業保険のもらい方と手続きの方法について紹介します。失業保険と聞くと難しそうな印象を受ける方も多いかもしれませんが、ハローワークから提示された指示に従って準備をすれば、それほど難しいことはありません。

退職前に失業保険のもらい方を理解しておき、あらかじめ必要書類の準備を進めておくと安心です。離職前に会社から受領する書類についても理解しておくとなお安心です。

必要書類

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失業保険のもらい方として、必要となる書類は以下となります。一つ目は、離職時に会社から受領する「雇用保険被保険者離職票」(1-2)です。二つ目は、マイナンバーカード・通知カード・個人番号の記載のある住民票から一種類です。三つめは、身元確認書一種類です。運転免許証などが該当します。

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四つ目は、公的医療保険の被保険者証・児童扶養手当証明書などから異なる二種類を用意します。五つ目は、最近撮影した写真2枚です。縦3センチ、横2.5センチのサイズになります。これに加え、印鑑と本人名義の預金通帳あるいはキャッシュカードが必要です。

あらかじめ用意しておくこともできる書類が多いので、余裕のあるうちに準備しておくと手続きをスムーズに進めることができるのでお勧めです。

ハローワークでの手続き

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必要な書類などを揃えた後の失業保険のもらい方としては、ハローワークでの手続きを進める必要があります。まず、ハローワークに準備されている離職証明書への記載をします。次に、求職の申込み及び受給資格決定を行い「雇用保険被保険者証(1・2)」をハローワーク窓口に提出します。

その後、雇用保険受給者初回説明会に出席する必要があります。設定されている失業認定日にハローワークに行き、最初の失業認定を受け、その5日前後で失業保険金が給付されます。失業保険のもらい方に不安がある場合はハローワークになんでも相談しましょう。

定年退職後の失業保険をもらう注意点

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失業保険のハローワークにおける申請手続き及び失業保険料のもらい方について説明しました。最後に、定年退職後に失業保険を受給する際の注意点について解説します。定年退職後の家計を考えるうえで、失業保険や年金は貴重な収入源となるため、あらかじめ注意するべきポイントをつかんでおき、後で困らないようにしましょう。

特に年金との関連は注意しておくべきです。場合によっては失業保険を申請しない方が賢い選択となるケースも考えられます。いろんなケースにおいて試算をして、最も経済的な選択ができるよう準備しましょう。

失業保険の受給中は年金が停止

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定年退職後、失業保険の申請をした後は、厚生年金や国民年金の支給がストップします。最近は、65歳以前に年金を受給すると年金額が減額される規定があるため、65歳まで受給しない選択をする方も増えてきていますが、年金受給者においては注意するべき重要なポイントです。

ハローワークで求職の申し込みをすることで、失業保険の受給が始まっていなくても、求職申込月の翌月から受給終了までの間、年金の支給が停止されますので、注意しておきましょう。

「高年齢求職者給付金」制度なら年金と同時にもらえる

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失業手当の基本手当の方は、前述のように厚生年金や国民年金と同時に受給することはできませんが、65歳以上の場合に支給される失業手当である「高年齢求職者給付金」の場合は年金と同時に受給を受けることができます。

65歳を超えている方はたいていの場合年金をもらっている状態です。この年齢から再就職を目指す場合は、年金との関連を気にすることなく失業手当を受給することができます。もれなく申請をして少しでも家計を補えるようにしましょう。

再就職したときの手続き

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失業手当受給中に再就職が決まった場合、まだ残りの失業手当受給日数が残っていると損をすると考えている方が多いですが、これを補てんし早期再就職を促進する取り組みとして、「再就職手当」という制度が用意されています。

これは、失業保険を受給しながら求職活動をしている中で、一年を超えて雇用されることがほぼ確実と考えられる、安定した仕事に就くことができた場合に一時金として給付される内容になっています。早期に再就職が決まったらもったいないと考える必要はありません。

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再就職が決まった場合のハローワークにおける手続きについて説明します。まずハローワークの窓口で再就職が決まったことを報告します。次に、再就職先に依頼して採用証明書への記入をしてもらいます。採用証明書はハローワークに所定フォームが用意されています。

続いて、ハローワークで最後の失業認定を受けます。就職日の前日になります。採用証明書、失業認定申告書、雇用保険受給資格者証、の提出が必要になります。印鑑も用意しておきましょう。手続き後、再就職手当支給申請書を受領します。

再就職手当支給申請書の事業主欄を再就職先に記載してもらい、本人欄に自分で追記をしてハローワークに提出すれば、再就職手当の申請は完了です。再就職した一カ月以内に申請することが必要なので注意しましょう。

定年退職後の失業保険は条件を満たせば受給できる

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以上、定年退職後の失業保険の受給に関して詳細を解説してきましたがいかがでしたでしょうか。年齢によって失業保険の内容が変わってくること、離職前の理由や勤務状況によって支給日数や単価が変動すること、ハローワークでの失業保険のもらい方、再就職時の手続きなどについてまとめてきました。

特に年金受給との関連については注意を要します。失業保険の受給時は年金がストップすることを念頭に置いて、どの選択をすれば最も経済的に公的制度を利用することができるのか、いろんなケースを試算して最も賢い選択ができるようにしましょう。

また、失業保険は受給できる条件に細かい設定がなされています。失業保険を受給できるかも含め、どれくらいの金額の失業手当を退職後に受給できるのか、あらかじめ試算をしておき失業手当がどれくらい家計の助けになるのか計算しておきましょう。

yokatayama
ライター

yokatayama

サラリーマンとして得た知識と経験でわかりやすい記事を提供していきたいです。インターネット上にあふれる情報は信ぴょう性を確認することが難しいですが、可能な限り正確で時節に応じた内容の文章を提供します。

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