及第点の意味とは?
昨今ではあまり使われなくなった日本語の中に「及第点」という言葉があります。「及第点」という言葉を目にしたり耳にしたりしたことがあるという人は、若い人には結構少ないでしょう。なので「及第点」の意味を知っている人も少ないはずです。
昔の学校の先生や生徒達の間では「及第点」という言葉はかなりの頻度で使われてきましたが、昨今はあまり使われなくなりました。現代では学校ではなくスポーツ中継の解説者などの方が「及第点」を良く使っています。
最近ではあまり使われなくなった「及第点」という言葉にはどのような意味があるのか、「及第点」の意味についてご紹介しましょう。
合格するために必要な最低限の点数の意味
「及第点」の意味は「合格するために必要な最低限の点数」という意味です。学校のテストなどにおいて重要視されるのは点数ですが、学年やクラスの平均点程度の場合などには「及第点」という表現が使われることが多いです。
つまり「及第点」は「並みの点数」という意味にもなります。「及第点」の意味は「可もなく不可もなく、何とかぎりぎり合格点」といったニュアンスを含んでいますので、余裕で合格するような点数という意味ではないと言えます。
「及第点」の意味は「合格するために必要な最低限の点数」という意味で、かなりぎりぎりで合格の範囲に入る程度の点数を意味するということです。
及第点の読み方
「及第点」の意味についてご紹介しましたので、次は「及第点」の読み方についてもご紹介します。「及第点」の読み方が正しくできる人は少なくないはずですが、間違えた読み方をしているという人も少なくありません。
後でご紹介しますが、「及第点」の間違った読み方から生まれた言葉も存在します。当然、間違った読み方から生まれた言葉には何の意味もありませんが「及第点」と混同されることもあります。
この読み間違いから生まれた言葉については後でご紹介いたします。それでは「及第点」の正しい読み方についてご紹介しましょう。
及第点の読み方はきゅうだいてん
「及第点」の読み方は「きゅうだいてん」です。「及第点」は「及」と「第」と「点」からできていますので、それぞれの読み方がわかれば「及第点」の読み方はわかるでしょう。ですが意外に「及」の文字の読み方を知らない人が多いため、読み方が間違われます。
「及第点」の語源は中国で、「第」は「科挙試験に合格して身分が高くなったら住める大きな屋敷」といった意味で、それに「及ぶ(およぶ)」をつけることで「大きな屋敷に手が届く」という意味で「及第」という言葉ができたと言われています。
「及第点」の文字の読み方はそれぞれ「及(きゅう)」「第(だい)」「点(てん)」で、「及第点」の読み方は「きゅうだいてん」だと覚えておきましょう。
及第点の対義語・類語
「及第点」の意味と読み方についてご紹介しましたので、次は「及第点」の対義語と類語についてご紹介します。「及第点」の意味は「合格するために必要な最低限の点数」という意味ですので、これと反対の意味を持つ言葉が対義語になります。
「及第点」の意味と似た意味を持つ言葉が類語になりますが、「及第点」の類語はかなり多く存在していて日常的に使われている言葉が多いです。また、「及第点」の対義語も結構日常的に使われている言葉になります。
「及第点」の対義語と類語にはどのような言葉があるのか、「及第点」の対義語と類語についてご紹介しましょう。
及第点の対義語とその意味
それではまず、「及第点」の対義語とその意味についてご紹介します。「及第点」の意味は「合格するために必要な最低限の点数」という意味ですので、その意味とは反対の意味を持っている言葉が「及第点」の対義語になります。
「及第点」の意味はちょっと複雑なので、「及第点」と反対の意味というと想像がつかないという人もいるでしょう。ですが「及第点」の対義語はちゃんと存在しています。「及第点」の対義語とその意味についてご紹介しましょう。
落第点
「及第点」の対義語の一つ目は、「落第点」です。「落第点」の意味は「合格に満たない点数」という意味ですので、「合格するために必要な最低限の点数」という意味の「及第点」とは反対の意味になり、「及第点」の対義語と言えます。
昨今ではあまり「落第」という言葉が使われなくなりましたが、昔は学生の間で「落第したらどうしよう」などと良く言われていました。高校や大学で留年することを「落第」と言いますが、こちらも中国の科挙試験から来ています。
「及第点」と同じく「落第点」にも中国の科挙試験からきたという歴史がありますが、どちらもあまり良い意味のある言葉ではないということを覚えておきましょう。
赤点
「及第点」の対義語の二つ目は、「赤点」です。「赤点」の意味は「落第点」の意味ですので、「落第点」と同じく「合格に満たない点数」という意味になります。「赤点」とは各科目の試験で20点から30点程度の点数のことを指します。
「赤点」を取ると補習などを受けなければならなくなりますが、その補習によって落第を免れることもできますので、「赤点」を取ったからといって必ずしも落第するというわけではありませんので、完全な「落第点」とは言えないとも言えます。
ですが「落第点」も「赤点」も「合格に満たない点数」なので、「合格するために必要な最低限の点数」という意味を持つ「及第点」の対義語だと言うことができます。
及第点の類語とその意味
「及第点」の対義語についてご紹介しましたので、次は「及第点」の類語とその意味についてご紹介します。「及第点」の意味は「合格するために必要な最低限の点数」という意味ですので、この意味に似た意味を持つ言葉が「及第点」の類語になります。
実は「及第点」の類語は結構たくさんあり、意外な言葉が「及第点」の類語に分類されています。それでは「及第点」の類語にはどのような言葉があるのか、「及第点」の類語についてご紹介しましょう。
合格点
「及第点」の類語の一つ目は、「合格点」です。「合格点」の意味は「出来が一定の水準に達していて合格と見なせる点数」という意味で、「合格するために必要な最低限の点数」という意味を持つ「及第点」の類語だと言えます。
ですが「及第点」が合格ぎりぎりの点数のことを表すのに対して、「合格点」は出来が一定の水準に達している点数を表しますので、「合格点」の方が余裕を持って合格するイメージがあり、その点で「及第点」とは少し違います。
とりあえず何とか合格する「及第点」と、余裕を持って合格する「合格点」とでは少し異なるということですが、「合格点」は「及第点」の類語と言えます。
合格基準
「及第点」の類語の二つ目は、「合格基準」です。「合格基準」の意味は「それよりも優秀な成績が取れれば合格になる基準」という意味で、「及第点」の意味「合格するために必要な最低限の点数」という意味と似た類語だと言えます。
先に「及第点」の類語としてご紹介した「合格点」に対し、「合格基準」の方は「それよりも優秀なら合格になる基準」ですので、どちらかといえば「合格基準」の方が「及第点」の意味に近い類語であるとも言うことができます。
そこそこの出来
「及第点」の類語の三つ目は、「そこそこの出来」です。「そこそこの出来」の意味は「完全ではないものの、概ね良いと思われる結果」という意味ですので、ぎりぎり合格の意味を持つ「及第点」よりは良い結果を表します。
ですが「完全ではない」という点では「及第点」の意味「合格するために必要な最低限の点数」という意味に近いニュアンスがあるため、「そこそこの出来」という言葉も「及第点」の類語であると言うことができます。
まずまずの結果
「及第点」の類語の四つ目は、「まずまずの結果」です。「まずまずの結果」の意味は「それなりに良い結果」「ある程度満足できる結果」という意味ですので、こちらもぎりぎり合格のイメージのある「及第点」は少し異なります。
ですが、とりあえずぎりぎりで合格という場合であっても「まずまずの結果」という言葉を使うことはありますので、言葉を使うシチュエーションなどによっては「まずまずの結果」も「及第点」の類語だと言うことができます。
及第点の使い方・例文
「及第点」の対義語と類語についてご紹介しましたので、次は「及第点」の使い方と例文についてご紹介します。「及第点」の意味は「合格するために必要な最低限の点数」という意味ですので、この意味に当てはまる時に「及第点」という言葉を使うことができます。
「及第点」という言葉にはどのような使い方があるのか、「及第点」の使い方と例文をいくつかご紹介しましょう。
例文①
「及第点」の使い方と例文の一つ目は、「卒業論文にはかなり苦戦したが、何とか及第点に届いた」という例文です。「及第点」というのは「合格するために必要な最低限の点数」なので、「届く」という言葉を後ろに使うという使い方もできます。
「及第点に届く」という使い方の例文として他に「苦労して準備してきたプレゼンテーション用の資料が及第点に届いたと言われて安心した」というような例文も挙げられます。
例文②
「及第点」の使い方と例文の二つ目は、「色々調べて必死で作成したレポートに、及第点がもらえた」という例文です。「及第点」は「点数」のことを表しますので、「及第点」の後に「もらう」という言い方をつけた使い方もできます。
「及第点をもらう」を使った例文として、他にも「及第点をもらうために頑張って論文を作成した」といった使い方の例文が挙げられます。
例文③
「及第点」の使い方と例文の三つ目は、「これを落とすと単位を落としてしまうので、頑張って及第点を取った」という例文です。「及第点」は「点数」なので、「取る」という言葉を「及第点」の後ろにつけて使うこともできます。
「及第点を取る」を使った例文として、他にも「及第点を取らないと留年してしまう」という例文も挙げられます。
例文④
「及第点」の使い方と例文の四つ目は、「自分はものすごく頑張ったので、及第点レベルと言われてがっかりした」という例文が挙げられます。「及第点」には「取る」「もらう」などの動詞以外にも、「レベル」などの言葉をつけて使うという使い方があります。
似た使い方として他に「努力の甲斐もなく、及第点程度と言われてショックを受けた」といった例文も挙げられます。「及第点」はこのように、動詞をつけたり名詞をつけたりといった色々な使い方ができるということです。
及第点と次第点の違い
「及第点」の使い方と例文についてご紹介しましたので、次は「及第点」と「次第点」との違いについてご紹介します。先に「及第点」の読み方についてご紹介した中で、「次第点」については少し触れておきました。
「及第点」のことを「次第点」と言う人もいますが、「及第点」と「次第点」とは違います。「及第点」と「次第点」との違いとは何かについてご紹介しましょう。
次第点という言葉はない
「及第点」の代わりに「次第点」という言葉を使う人がいますが、実は「次第点」という日本語はありません。「及第点」を読み間違えて「しだいてん」と言った人がいて、それに適当に漢字をふったものが「次第点」です。
「次第点」という言葉は元々日本語にはない言葉ですので、「及第点」と「次第点」との違いをあえて言うなら、日本語であるか日本語でないかということになります。「次第点」は「及第点」の読み間違えから来ていますので、使わないよう注意しましょう。
及第点を使う際の注意点
次に「及第点」を使う際の注意点についてご紹介します。「及第点」の意味は「合格するために必要な最低限の点数」という意味ですので、それに見合うシチュエーションであれば使うことができますが、そうでない場合は使えません。
「及第点」を使う際にはどのような点に注意すれば良いのか、「及第点」を使う際の注意点についてご紹介しましょう。
合格点の意味では使えない
「及第点」を使う際の注意点として、「合格点」の意味では使えないということが挙げられます。先に「及第点」の類語の所で「合格点」をご紹介しましたが、「合格点」の意味には「余裕を持った合格」といったニュアンスが含まれています。
そのため、何とかぎりぎりで合格したといった場合には「及第点」は使えますが「合格点」は使えないと言えます。ぎりぎりの点数で滑り込みセーフといった場合には「合格点」という意味で「及第点」は使えないということです。
及第点は合格するために必要な最低限の点数という意味
「及第点」という言葉の意味や読み方、類語や対義語などについてご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。「及第点」の意味は「合格するために必要な最低限の点数」という意味ですので、使いどころを間違わないよう注意して使いましょう。