かぼちゃにはたくさんの種類がある
毎日の食卓に欠かせないかぼちゃですが、かぼちゃにはたくさんの種類があることをご存じですか。日本ではかぼちゃというと緑のかぼちゃをイメージする人が多いですが、ハロウィンのジャック・オ・ランタンはオレンジ色のかぼちゃからできています。
あれは緑のかぼちゃが熟してオレンジになったり、ハロウィンだからかぼちゃをオレンジにしているわけではありません。そういう種類のかぼちゃがあるのです。そのように身近なかぼちゃですがいろいろな種類があります。
一般的な緑色のかぼちゃからオレンジ色や黄色のかぼちゃ、丸いかぼちゃから細長いかぼちゃやひょうたんのようなかぼちゃなど見た目も様々ですが、味や食感もそれぞれです。
かぼちゃの種類によって味や甘みが異なる
栄養価も高く料理方法も豊富なので食卓に上ることも多いです。そんなかぼちゃですが、品種によって味や甘みが異なります。
料理しやすくおいしく頂けるかぼちゃですが、種類によって違いがあるので適した料理も違ってきます。かぼちゃの種類に詳しくなってより美味しいかぼちゃ料理を楽しみませんか。
かぼちゃの大まかな種類・品種
美味しく食べるためにもかぼちゃの種類について知っておきましょう。かぼちゃには多くの種類があり、3種類27品目のかぼちゃがあります。
普段あまり意識することはありませんが、かぼちゃは大きく分けて西洋かぼちゃ・日本かぼちゃ・ペポかぼちゃの3種類があります。
西洋かぼちゃの特徴
南アメリカが原産の西洋かぼちゃは強い甘みが特徴です。その甘みは日本のかぼちゃの倍とも言われています。栄養価も高くカロテンなども豊富に含んでいます。食感はホクホクとしたものが多いです。
スーパーで良く取り扱われている「えびすかぼちゃ」も西洋かぼちゃの一種です。それ以外にも多くの種類があり14品種ものかぼちゃがあります。形もバラエティに富んでいて小さくて可愛らしいものや細長いかぼちゃ、更にはひょうたんのような形のかぼちゃまで見た目も楽しいものが多いです。
日本かぼちゃの特徴
日本かぼちゃは1500年代にポルトガル船から伝来したかぼちゃが元になっています。1800年代に西洋かぼちゃが導入されるまでは日本で一般的に食べられていました。
ホクホクとした食感の西洋かぼちゃと比べると食感はねっとりしていますが味はあっさりとているのが特徴です。西洋かぼちゃに比べて煮崩れしないものが多いのでじっくり煮る煮物などには最適です。
ペポかぼちゃの特徴
ヘポかぼちゃは北米の冷涼地が原産のかぼちゃです。ヘポかぼちゃはあまり聞きなじみのないという方も多いかもしれません。
ハロウィーンで良く飾られているオレンジ色のかぼちゃはヘポかぼちゃの一種になります。そのせいかヘポかぼちゃはおもちゃかぼちゃなんていわれることもあります。
日本かぼちゃの種類
古くに日本に伝えられた日本かぼちゃですがスーパーなどで見かけることも少ないのが現状です。甘みが少なく淡泊な味のものが多いですが煮崩れしにくく、上品な味わいなで懐石料理などには欠かせないものでもあります。
ブランドかぼちゃなどもあり、手に入りにくいものも多いですが代表的な日本かぼちゃをいくつかご紹介します。
栗皮かぼちゃ
一般によく出回っている「黒皮栗かぼちゃ」と名前は非常に似ていますが、違う種類のかぼちゃとなります。非常に希少で多くは宮崎県で伝統野菜として丁寧に栽培されています。
日本料理の最高級食材の一つとも言われなかなか入手が困難ですが、果肉は粘質でなめらか、味はまろやかな甘みが特徴です。煮崩れしにくく小豆と一緒に煮た「黒皮いとこ煮」が有名です。
手のひらサイズの「坊ちゃんかぼちゃ」
坊ちゃんかぼちゃの一番の特徴はその大きさです。見た目は普通のかぼちゃですが重さ500g程度の手のひらサイズ。小さく育ってしまったかぼちゃと勘違いされることも多いですが、そうではなくて小さい品種となります。
二つ目の特徴はその栄養価にあります。小さいながらも糖質やたんぱく質も豊富です。中でもビタミンAは普通のかぼちゃの3倍以上と栄養価が優れています。甘みも強くホクホクとした食感を楽しめますが、普通のかぼちゃに比べてやや割高ですが、栄養価が高いことを考えれば納得です。
そのサイズを利用して中身をくり抜いて器として使うのもおすすめの料理方法です。グラタンやプリンなどに利用するとちょっとオシャレな一品となります。もちろん中身の黄色い部分もグラタンやプリンなどにおいしく利用できます。
高級ブランドの「宿儺かぼちゃ」
古くから岐阜県高山市丹生川町周辺で自家用として栽培されていた品種でしたが、この地の特産品とするために研究を重ね、2001年に「宿儺かぼちゃ」と命名され新しい品種のかぼちゃとなりました。宿儺は(すくな)と読みます。
ヘチマのような細長い形が特徴で後でご紹介する長かぼちゃに似ています。細長い形状はそっくりですが宿儺かぼちゃは若干色が薄いです。
高山市丹生川町の特産品として管理が徹底されているため値段も高いブランドかぼちゃですが、安定した品質のものが得られます。
甘みが強くかぼちゃの青臭さが少ないためスイーツなどにも良く利用されます。また、独特の細長い形状から料理の見た目を楽しくできるので料理人にも好んで愛用されています。
貯蔵性が良い「雪化粧」
白い皮が特徴の「雪化粧」。白皮かぼちゃの一品種です。雪化粧は北海道などの寒冷地で夏から秋口に収穫されますが長期保存にも向いています。
緑のかぼちゃが品薄になりがちな冬至のころにスーパーで目にする機会も増える品種でもあります。質感は少し粉っぽくしっかりとした甘みがあります。
煮物などでもおいしく頂けますが、しっかりとした甘みがあるのでパンやサラダに入れても甘みが負けないのでおすすめです。
ラグビーボールの形をした「ロロンかぼちゃ」
形に特徴のあるロロンかぼちゃをご存じですか?スーパーなどで売っている機会も少ないのであまり見たことがないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
楕円形で細長く本当にラグビーボールのような形をしているかぼちゃですが、重さ2kgほどのものが多くしっかりとしたかぼちゃです。
ホクホクしているのでコロッケにしてもおいしいです。また、薄くスライスして焼いてもおいしいのでBBQなどにもぴったりです。ロロンかぼちゃを見かけたらぜひ試してみてください。
表面がとても固い「伯爵かぼちゃ」
「雪化粧」と同じく白かぼちゃの品種に「伯爵かぼちゃ」があります。宮城県の渡辺採種場で品種改良されたかぼちゃです。見た目の白さとは異なり中身はきれいな黄色です。
「雪化粧」よりも皮の色が白く肉質は粉質です。3か月以上の長期保存が可能なところは「雪化粧」と同様です。じっくり加熱することでしっとりとした食感と甘みが生まれます。オーブンなどで焼いて温野菜のサラダなどにするのがぴったりです。
西洋のかぼちゃの種類
西洋かぼちゃはホクホクとした食感が魅力です。甘みも強いので日本でも人気があります。β-カロテンやビタミンE、ビタミンCなどの栄養素も豊富です。
ホクホクとした食感を味わえる蒸し料理や揚げ物、コロッケやパンプキンパイなどのおかしいもよく合います。西洋かぼちゃの一種の黒皮栗南瓜は日本でも多く栽培されていて北海道や東北地方で収穫されています。
栗のようにほくほく「黒皮栗南瓜」
ホクホクとした口当たりから栗の名前がついた「黒皮栗南瓜」は実は西洋かぼちゃの一種です。「黒皮栗南瓜」という品種のかぼちゃがあるわけではなく、総称です。広く一般に売られている「えびすかぼちゃ」もこのかぼちゃの種類の分類される一品種です。
日本のスーパーで一般に売られているかぼちゃの9割は「黒皮栗南瓜」の種類だとも言われています。見た目の特徴は濃い緑に細く薄い緑色の線の入っていることです。
一般に食されているのでレシピも豊富でいろいろな料理に合うかぼちゃです。加熱すると甘みが増すので煮物などにも向いています。
一年中手に入れることができますが収穫時期は夏であることが多く、夏に収穫したものを寝かせた秋から冬にかけての時期が一番おいしく食べれます。
オレンジのひょうたんのような形をした「バターナッツ」
オレンジ色のひょうたんのようなかぼちゃは「バターナッツ」という品種です。ひょうたんのような見た目も特徴的ですがその味にも個性的です。バターのようなねっとりとした食感とフルーティーな甘みが楽しめます。
細長いひょうたん型のかぼちゃのヘタに近い上の方はやや水っぽく、ひょうたんの下の方、種の入っている部分は甘みが強いという特徴があります。また、かぼちゃには珍しく生で食べることもできます。
しっとりとした食感と強い甘みが楽しめるバターナッツかぼちゃですが、種以外は食べることができます。舌触りがよいのでポタージュやプリンにも向いています。フライパンでソテーしたりグリル野菜として楽しむときは皮つきのままでもおいしく食べれます。
ひょうたんのような形は可愛らしくアメリカでは人気のかぼちゃでかぼちゃと言えばバターナッツという人も多いようです。日本でもちょっとずつ知名度が上がってきています。日本のスーパーでもこの独特のひょうたん型が普通に並ぶ日が楽しみです。
黄色く可愛い「プチィーニ」
可愛らしいかぼちゃの代表と言えばプッチィーニかぼちゃです。見た目も黄色がかったオレンジ色でかわいいのですが、サイズも可愛らしいかぼちゃで200g~300g程度のミニカボチャです。カボチャです。ハロウィーンの飾りつけに使われたりもします。
きれいな黄色で飾り付け用のかぼちゃと思ってしまいがちですが、食べてもおいしいかぼちゃです。果肉は粉質で甘みが楽しめます。また可愛らしいサイズから中身をくり抜いて容器として使ったりする楽しみもある一度で三度楽しめるかぼちゃです。
細長い見た目の「長カボチャ」
ヘチマのような甘みが楽しめます。細長い形をしたかぼちゃを長かぼちゃと言います。多くの品種がありますが、どれも身は黄色でホクホクとした食感と甘みが楽しめます。
味は栗南瓜に似ているので煮物からポタージュスープまで幅広く楽しめますが、細長い形状を利用してステーキのように焼いたり薄くスライスして食材を巻くなどの加工したりと細長い形状を利用した幅広いレシピが楽しめます。
美味しいかぼちゃの選び方
せっかくのかぼちゃ、おいしいものを選びたいですが、どのようなポイントでかぼちゃを選べばいいのでしょうか。かぼちゃに含まれる澱粉は熟成することで糖分に変わりよりおいしくなります。
葉物野菜と違い新鮮なものほどおいしいというわけではないのです。かぼちゃを選ぶ時のポイントをまとめてみました。
カボチャを選ぶポイント
美味しいかぼちゃを選ぶにはまず、「つやのあるもの」です。皮の表面につやがあるものがおすすめです。かぼちゃによっては部分的に黄色やオレンジの部分があるものがあります。これは地面と接していたせいで日焼けしなかった部分になります。
多少の色むらは味に大きな影響はありません。むしろかぼちゃの内側の色を示しているのでオレンジや黄色が濃いものほどおいしいかぼちゃという判断の目安になります。
外側の色も重要です。細長いひょうたん型のバターナッツかぼちゃ等は果皮の色が濃いものが熟していておすすめです。
次は軸に注目します。軸は太く軸の周りがへこんでいるものがおすすめです。形も重要です。左右対称の形の整ったものがおいしいとされています。形のいびつなものは受粉不良の可能性も。
これは!と思ったかぼちゃは実際に手に持ってみましょう。手に持った時にずっしりと感じるものの方が実が詰まっていて良いでしょう。皮もしっかりしているものを選びます。
カットしてあるかぼちゃを買うときは果肉の色に注目します。濃いオレンジ色をしているものを選びましょう。種にも注目です。種がふっくらしているものはホクホクしてる証拠です。
かぼちゃの保存方法
美味しいかぼちゃを選んで来たら保存方法も気になります。かぼちゃは保存性の高い野菜の一つですが、保存方法によっておいしく食べれる期間も変わってきます。
買ってきたかぼちゃを丸のまま保存するのが一番長期保存ができます。涼しくて風通しの良いところにおいておけば2か月くらい保存できます。
カットした場合はいくつかしておきたいことがあります。薄黄色の中わたは傷みやすいので保存する前にスプーンなどで取り除いておきましょう。中わたを取り除いた後はラップで切り口をピッタリ包んで冷蔵庫で保存します。
1週間を目途に使いたいところです。カットしたものを買ってきた場合はなるべく早く使うことをおすすめします。
かぼちゃを食べきらないときには冷凍保存もおすすめです。冷凍する際は冷蔵庫で保存する場合と同じように種と中ワタを取り除き使用する形や大きさに切ってから冷凍します。
冷凍したかぼちゃを利用するときは解凍せずそのまま料理に使います。解凍してしまうとかぼちゃに含まれる水分が抜けてしまうので注意しましょう。煮物などの場合は沸騰した煮汁に冷凍したかぼちゃを入れることで煮崩れも防げます。
かぼちゃの種類ごとの美味しさを楽しもう
かぼちゃにもたくさんの種類があります。ホクホクとした食感のものや甘みの強いもの、食感がなめらかなものなど味も様々です。
細長い形状が特徴の宿儺かぼちゃや黒皮かぼちゃのように高価なブランドかぼちゃから日本ではあまり見かけないひょうたん型のバターナッツかぼちゃ、黄色くて可愛らしいプチィーニなど個性豊かな南瓜も数多くあります。
普段食べているかぼちゃももちろんおいしいですが料理に合わせてちょっと変わったかぼちゃを利用してみると普段の料理もちょっと新しいレシピのように楽しめます。いろいろなかぼちゃを楽しんでください。