「ステレオタイプ」の意味
ステレオタイプという言葉を知っていますか。「東京は冷たい人が多い」や「〇〇さんはB型だからマイペース」など、普段の会話で話していませんか。実はこの考え方は、先入観や思い込みで決めてしまう思考「ステレオタイプ」と言います。
型にはまった考え方や物事の捉え方をしまうことで、人間誰しも持っているものの捉え方です。ここでは、ステレオタイプの意味について詳しく紹介していきます。
意味①社会に浸透している固定観念
ステレオタイプとは、社会に広く知れ渡っている固定概念のことを意味しています。ある物事や人に対して決まった考えやイメージをすることです。
また、昔ながらの考え方なども固定概念になります。お年寄り世代は「女性は結婚したら専業主婦になる」とか「男性は外で働く」ことが当たり前でした。今は働き方も多様化したため女性も外で仕事をする時代です。しかし、ステレオタイプは「女は中、男は外」という考え方をしてしまうのです。
意味②型にはまった物事の見方や認識
ステレオタイプには、型にはまった物事の見方や認識という意味もあります。決まった形式の考え方でしか考えられないので新鮮なアイディアや斬新さは誕生しません。
また、ステレオタイプの人は影響力のある人の言葉や考え方、信頼している人の価値観などを信じて思い込んでしまう傾向があります。正しいと感じたことは自分の価値観にし、自分の考えと他の人の考えが異なると他の人を「変な人」と感じてしまいます。
「ステレオタイプ」の類語
ステレオタイプは固定概念や先入観などの勝手に決まったイメージや昔からのイメージが根付いてしまった考え方のことを意味しています。決まった考え方や勝手なイメージなどの類語には、一体どんな言葉があるのでしょうか。
ここではステレオタイプの類語について紹介します。ステレオタイプの類語には、どんな意味を持っているのかも見ていきましょう。
既成概念
ステレオタイプの類語として「既成概念」という言葉が挙げられます。既成概念とは、すでに多くの人に広まっている一般的な考え方やイメージのことを言います。すでに多くの人に広まっている社会の常識や規範という意味があり、簡単に言うと一般常識やイメージのことを指しています。
また、既成概念には思い込みや先入観で物事を捉えてしまう原因になることもありステレオタイプの類語として用いられます。
ステレオタイプは、型にはまった考え方のことで多くの人が知っている常識や当たり前のイメージを表す「既成概念」と似ています。そのため、ステレオタイプの類語として「既成概念」という四字熟語が挙げられます。
典型的
ステレオタイプの類語として「典型的」も挙げられます。典型的とは「基本的な」や「一般的な」ものを表す時に使います。「典型的」という言葉は褒める時も否定する時にも使える便利な言葉です。
ステレオタイプの類語として使われる「典型的」は基本的な考え方や代表的なイメージなどのことを意味しています。「典型的な考え方だね」などというような使い方をします。ここでの「典型的」は「特別変わったことのない一般的な考え方」という意味を秘めています。
「ステレオタイプ」の対義語
ステレオタイプの類語には「一般的」や「基本的」という意味を持つ言葉が挙げられました。では、決まった考え方や型にはまった考え方をしてしまうステレオタイプの反対の意味を持つ対義語はどんな言葉があるのでしょうか。
「型にはまった」「決まった」という言葉の対義語はフリーや自由などがありますが、ステレオタイプの対義語には一体どんな意味を持つ言葉なのか見ていきましょう。
融通無碍
ステレオタイプの対義語として「融通無碍」という四字熟語が挙げられます。融通無碍とは、固執した行動や考えがなく自由きままという意味があります。決まった考え方にこだわるのではなく色んな考え方をしたり、状況に合わせて柔軟に対応できることなどの意味もあります。
決まった考え方や行動をするステレオタイプとは真逆の意味を持っています。そのため、ステレオタイプの対義語として用いられます。
英語での対義語
ステレオタイプは英語で「stereotype」と言います。英語のステレオタイプの対義語は逆ステレオタイプや反ステレオタイプなどがあります。英語では「reverse stereotype(逆ステレオタイプ)」・「counter-stereotyp(反ステレオタイプ)」と表記します。
ステレオタイプの対義語は型にはまらない、自由気ままという意味を持つ言葉が対義語として挙げられます。
「ステレオタイプ」の使い方
ステレオタイプは先入観や思い込みで考えてしまうという特徴を紹介しました。ここではステレオタイプの使い方を紹介します。
人はテレビや動画など様々な影響を受けて物や人に対して先入観や思い込みで勝手にイメージを作り上げてしまいます。無意識にイメージを作り上げ、それを思い込むようになります。ここで紹介するステレオタイプの種類に自分が当てはまっていないかチェックしながら見てみて下さい。
性別
性別ステレオタイプは性別だけでイメージした男女のことです。「女性らしい」「男性らしい」という言葉があります。女性は気が利く、愛嬌がある、お喋りが好きなどのイメージがあり、男性は頼りになる、強い、たくましいなどのイメージがあるでしょう。
しかし、実際は全ての女性がお喋りが好きではないし、全ての男性が強いということもありません。これは「女性、男性はこうあるべきだ」と固定概念にとらわれたステレオタイプ思考になります。
性別ステレオタイプの使い方
未だに「女は愛嬌だ」や「男性は頼りになるもの」などといったイメージが根強く残っていて「女だから」「男だから」という風潮は残っています。何気ない会話でも「やっぱり女性は優しい」や「男性は頼りになる」などという会話を耳にします。
血液型
血液型ステレオタイプは、血液型を理由に決まった性格をイメージする考え方です。日本人には比較的に多いと言われているステレオタイプです。A型だから心配性で几帳面、B型はマイペース、O型は大雑把、AB型は二面性があるなどと血液型で性格を決める考え方です。
血液型ステレオタイプの使い方
血液型ステレオタイプの使い方は簡単で日常会話でよく耳にすることばかりです。例えば、友人などの性格を見て「Aちゃんは大雑把だからO型っぽい」などのような使い方をします。また、「部長はB型っぽくない」というような反対意見は血液型ステレオタイプの対義語ともいわれています。
人種・国籍
人種・国籍のステレオタイプは人種と国籍でついたイメージのことです。「日本人は真面目で時間に厳しい」「南米の人は陽気」「黒人は貧しい」など国や人種によって勝手なイメージが作られています。その国の全員がイメージに当てはまることはないので人種・国籍のステレオタイプと言います。
人種・国籍ステレオタイプの使い方
人種・国籍ステレオタイプの使い方は意外にも自分の心の中にあるものです。テレビや動画の影響もあり、行ったこともない国や会ったこともない人種に勝手なイメージで「ロシア人は綺麗」や「アメリカは怖い」などのような使い方をします。
地域
地域ステレオタイプは、地域と住んでいる人のイメージを勝手に関連付けることです。地域ステレオタイプはマスメディアの影響が大きく地域のイメージやレッテルが貼られてしまうこともあります。
その地域に住んでいる人全員がマスメディアで紹介されたような人ではないし、地域全体が人付き合いが薄いなんてこともありません。マスメディアの影響で多くの人が地域ステレオタイプに陥ってしまっているかもしれません。
地域ステレオタイプの使い方
地域ステレオタイプの使い方は「大阪のおばちゃんは面白い」や「東京の人は冷たい」などです。大阪のおばちゃん全員が面白いわけでもないし、東京の人でも優しい人はいるので勝手についてしまったおおよその地域のイメージで話をしていることが多いです。
仕事
仕事のステレオタイプは、仕事に就いている人への固定概念のことです。仕事ステレオタイプは国や地域によって違いはあるようです。日本では「保育士は女性の仕事」や「スポーツ選手は勉強が苦手」などといった固定概念があります。
これも全ての人が当てはまるわけではなく、完全なる職業のイメージです。この職に就く人はこういう人だと先入観や思い込みで決めてしまうのです。
仕事ステレオタイプの使い方
仕事ステレオタイプとは、職業と性格を関連付けるような使い方をします。一般的な事務やサラリーマンよりも、多くの人が就けないような特殊な職業はより性格や人のイメージが湧きやすく仕事ステレオタイプ思考になりやすいのです。
例えば「職人」と言えば気難しくあまり喋らない寡黙な人が多いイメージがあるのではないでしょうか。しかし、全ての人が当てはまるわけではないのです。
ステレオタイプと言われる人の特徴
ステレオタイプには様々な種類があり、誰でも無意識に持ってしまう思考です。ここでは、ステレオタイプ思考になってしまう人の特徴を紹介しています。
ステレオタイプは基本的に大人しく特に目立たないという特徴を持っています。気づかないうちにステレオタイプ思考になってしまっているかもしれないという人は、ステレオタイプと言われる人の特徴もチェックしてみてください。
個性がない
ステレオタイプの人は「個性がない」という特徴があります。ステレオタイプの人は自分がなく、周りに合わせる特徴があります。
周りと同じように無難に生きることで特にトラブルも起こさずに過ごせると考えています。ステレオタイプは平穏で穏便に生活したいと考えているので、個性を出して穏便に生活できないことを避けているのです。
また、個性を変な人や変わった人というイメージを持っているので決して自分が変な人というカテゴリーに入りたくないという気持ちもあるのでしょう。
自己主張しない
ステレオタイプの人は考えるときに型に当てはめて考えるので自分で考えることがなく、自分の意見を持つこともありません。そのため「自己主張しない」という特徴があります。
ステレオタイプは考える時のパターンが決まっているので自分で新しく考える必要もないのです。また、ステレオタイプは周りの意見や目を気にする特徴もあるため、周囲の意見に反対されないよう自己主張しない場合もあるのです。
回りに流されやすい人
固定概念や型にはまった考え方を好むステレオタイプは自分の意見がないので、周囲の意見に賛成します。
誰かが言った意見に皆が賛成すればステレオタイプも賛成するので「周りに流されやすい」特徴があります。ステレオタイプは型にはまった考え方なので自分の意見がなく、周囲に何か言われたらすぐに流されてしまいます。
また、自分の意見があっても周囲の意見に逆らうことができない特徴もあるので自分の意見を言わずに心の奥にしまってしまいます。
向上心が無い
ステレオタイプの人は平凡な生活を好むので「向上心がない」という特徴があります。ステレオタイプは特に変化のない日々を過ごしたいと考えているので仕事や勉強に対して目標がなく、チャレンジ精神が低い人が多いです。
そのため、良くも悪くも今まで通りの生活を送っています。特に変化のない仕事環境や内容・目標もないので、成長することもありません。
また、ステレオタイプは周囲とは違う考えや行動を嫌う特徴があります。そのため、何か目標や目的をもって頑張ったりすることもありません。ステレオタイプは、今まで通り変化のない毎日を過ごせれば良いと考えているのです。
「ステレオタイプ」の英語表現
ステレオタイプはもともとアメリカで使われていたことから始まっています。英語でもステレオタイプと言い読みます。日本にも英語そのままの状態で伝わって使われています。ここでは、ステレオタイプの英語表記や使い方、語源について紹介します。
日本語で使われている意味と変わらない
ステレオタイプは英語で「stereotype」と言い、型にはまった考え方などを意味しています。英語でも日本で使われている意味とあまり変わりがありません。英語の辞書より「stereotype」は典型・定型化した考え方・型にはめるといった意味を持っています。
型抜きのように同じという意味から生まれた言葉
もともと英語の「stereotype」は「同じかな型で打ち出された鉛版」という意味を持つ言葉でした。昔の印刷技術として用いられていた「ステロ版」が大元になっていて、ステロ版のように型にはまったように同じ、というところから英語でステレオタイプと言われるようになりました。
「ステレオタイプ」は固定観念・型通りを意味する
ステレオタイプは一般常識のような当たり前な思考も存在しています。しかし、偏ったステレオタイプ思考をもってしまう人も少なくありません。
ステレオタイプ思考になってしまうと型にはまった考え方となり、面白味や斬新さなどが欠けてしまいます。ステレオタイプ思考になっているかを自分で判断することは難しいので周りの協力を得て自分の思考の癖や周りの人の思考の癖を向き合ってみるのも良いでしょう。
自分のステレオタイプ思考を発見したら直すのではなく、ステレオタイプ思考と上手に付き合っていくことが大切です。