「掲載」の意味とは?
「掲載(けいさい)」という言葉は「雑誌に掲載する」「新聞に掲載される」のように使われて、よく目や耳にする表現です。
最近ではインターネットが普及したおかげで「ブログやSNSに掲載する」「Webニュースに掲載される」というように「掲載」という言葉の使用範囲が広がってきて、より身近な言葉になっています。
このように「掲載」はふだん何気なく聞いたり使ったりする言葉ですが、正しい意味はいったい何なのでしょうか。
「公の媒体に文章や写真をのせる」という意味
掲載するということは「公の媒体(ばいたい)」に文章や写真を発表するという意味です。「公の媒体(メディア)」の意味は、かつては書物や新聞、週刊誌などの雑誌が主流でした。
従って「掲載する人」は文章や記事を執筆する分筆家や記者、カメラマンなどのプロフェッショナルが主でした。
しかし最近はネットやスマホの普及で「公の媒体」が、ブログ、SNS、ホームページ、webニュースなど飛躍的に広がりました。
そのため記事を執筆する人はプロだけでなく、素人でも手軽に書いてアップできるので一般の人まで広がり「掲載」の意味も「公の媒体」の意味も変化しています。
また写真もスマホできれいに撮れるので、プロのカメラマンでなくても手軽にwebにアップできるので、「公の媒体」に写真を掲載するケースが非常に増えています。
このように「掲載する」とは、プライベートな自分の日記やメモではなく「公の媒体に文章や写真を載せて公開する」という意味です。
しかし公開することが簡単で便利になった反面、公にしたくない意志に反した記事や写真が掲載され、人を傷つけることもしばしば起こります。
「掲載」には非常に注意が必要な時代になってきたと言えます。何の考えもなく面白半分で掲載するのは訴訟や犯罪につながる恐れがあるので注意してください。
「掲載」の対義語・類語
「対義語」とは反対の意味や使い方をする言葉のことで「反対語」とも言います。類語とは同じような意味や似たような使い方をする言葉のことで「類義語」「同義語」とも言います。
たとえば白い紙に黒い文字を書けば文字がハッキリと見えます。「対義語」にも同じ意味があり、元の言葉の意味を反対の意味を検証することで、より鮮明に浮き上がらせる効果があります。
いっぽう「類語」には、飲み比べや食べ比べをすることで食品の味や特徴がよく分かるのと同じで、似た意味の言葉を比較検討することで、本来の意味をより分かりやすく解釈できます。
「掲載」の意味を理解する上でも同じ効果が期待できるので、これから「掲載」の対義語と類語の意味や使い方を紹介して検証してみます。
「掲載」の対義語
掲載の対義語には「不掲載」「未掲載」のように「掲載」を否定する意味の言葉と、掲載するという行為を否定した「削除」や「消去」「未執筆」などがあげられます。
「不掲載」や「未掲載」という言葉は、字面のとおり「掲載しない」という意味で、掲載と反対の意味になります。しかし単に否定しただけなので対義語と呼ぶには意味が弱いです。
「削除」や「消去」は、いったん掲載したものを「削ったり」「消したり」するという行為のことなので、反対の意味を持つ対義語としては少し的を外れています。
また「未執筆」は掲載するための「執筆する」という行為を止めるという意味なので、これも少々対義語の意味としてはイメージが薄いようです。このように「掲載」の対義語と正しく呼べる言葉は、日本語にはほとんど無いと言えます。
「掲載」の類語
掲載の類語には、対義語と違い同じような意味を持つ言葉がたくさんあります。「記載」「提示」「掲示」「登載」「公表」「公示」「発表」など数え切れないほどです。
これほど多くの類語が存在するのは「掲載」という言葉の意味は、英語で「publish(一般に広く公に発表する)」と訳されるように、意味そのもののイメージが広くパブリックだからです。
「記載」と「掲示」の意味についてはこの後の「掲載との違い」の章で詳しく説明するので、ここではその他の主な類語をいくつか紹介します。
登載
「登載(とうさい)」とは「文章を新聞や雑誌などにのせること」という意味で「掲載」に似ていることから類語に数えられています。
また「登」という漢字が使われていることから少し敷居の高いイメージがあり、公的な文書「官報に登載される」などのようにも使われます。
「掲載」の場合は、ブログに掲載するなど軽いイメージで使われることも多く、また写真をのせる場合にも使われる表現なのに対し、類語の「登載」は文章・文字をのせる場合に限られているところが少々違います。
公表
「公表」という類語は、割り合い馴染みのある言葉で「広く世間に発表する」「広くおおやけにする」という意味があります。
「今回の衆議院議員の選挙結果を公表する」「統一試験の解答を公表する」「ワールドカップランキング上位30名の選手を公表する」などのように使われて、ニュースなどでよく見かける言葉です。
ただ「掲載」の場合は、新聞や雑誌など文章主体のメディア媒体に発表するという意味合いが強いのに対し、類語の「公表」の場合は「広く世間に発表する」という行為に重点が置かれています。
「掲載」はテレビやラジオに掲載するとはいいませんが、「公表」の場合は「テレビで公表する」など発表する媒体にはこだわらないところに微妙な違いがあります。
「掲載」の使い方・例文
「掲載」という言葉の意味や類語をここまで解説してきましたが、実際にその言葉を使うためには例文を参照するのがもっとも良い方法です。
掲載の使い方には「掲載する」「掲載します」という能動的で現在・未来形を含む表現と、「掲載される」「掲載された」という受動的で過去形を含む表現があります。この4種類の表現を使った例文をこれから紹介します。
例文①「掲載する」「掲載します」
「する/します」という表現は「〜したい」「〜しよう」「〜するつもり」という現在形または未来形の意志や希望を表す表現です。「掲載する」「掲載します」を使った例文を紹介します。
「文章の一部だと誤解を生じる恐れがあるので、全文を掲載する」「先日の報道の中に一部間違いがあったので、ここに訂正文を掲載します」のように使います。
またもう少し未来形や希望を強調する場合は「昨今の報道記事には読者の注目を集めるために推測にもとづく内容が多く見られます。今後は事実にもとづく記事を掲載するよう努めます」のように表現します。
例文②「掲載される」「掲載された」
受動的な受身の形や過去形の「掲載される」「掲載された」を使った例文を紹介します。「優勝パレードの写真が、スポーツ新聞各紙1面トップに掲載された」「元社員の内部告発記事が某週刊誌に掲載されることによって、A社の不正が明るみに出た」
また「某有名芸能人のツーショット写真がブログに掲載されたのをキッカケに、ネットが大炎上した」「プライベート記事が掲載されることは、人権侵害にあたる」のように表現します。
「掲載」と記載・掲示の違い
「記載」と「掲示」は掲載の類語で、非常に似かよった意味を持っています。しかし、それぞれの意味や使い方には微妙に違うニュアンスが含まれています。
掲載と「記載」の違いと、掲載と「掲示」の違いを、それぞれの意味や使い方を比較することで違いを見つけてみましょう。
記載は「書類や書物に記す」という意味
記載の「記」という漢字は「書類に記入する」「ノートに記録する」「論文に記述する」のように使われ「何かに文章を書く」という意味です。
「載」という漢字は「積載(せきさい)」「搭載(とうさい)」のように車や船に荷物をのせる場合に使用されることもありますが、「連載(れんさい)」「転載(てんさい)」のように書物などにのせる意味の熟語に使われます。
つまり「記載」は「書類や書物に文章を書き示す」という意味で、広く第三者に発表することよりも「書く」という行為に重点が置かれた言葉です。
また記載する書類がノートや、会社に提出する書類、メモ帳など私的なものでもかまわないところが「掲載」と違います。
掲示は「伝えるべき事柄を人前に明示する」という意味
「掲示」という類語は「伝えたい事柄を、多くの人の目に触れるところに掲げて明らかにする」という意味で「掲載」と似ています。
しかし「掲載」の場合は、伝えて明らかにする場所が新聞や雑誌、ネットなどの公のメディア媒体です。
いっぽう「掲示」の場合は「掲示板に貼り出す」「受験合格者番号を正門わきに掲示する」「授業の時間変更を教室の黒板に掲示する」のように一目につく媒体が違います。
「掲載」を使う際の注意点
「掲載」という言葉は、新聞・雑誌・ネットなどのメディアに文章や写真をのせる際に使う言葉です。また「掲載する」のように能動的に使う場合と「掲載される」のように受動的に使う場合があります。
しかし「掲載」という言葉は、どのようなメディアにのせる場合にも使える言葉ではありません。では使えないケースや注意点を紹介します。
映像や動画では使えない
「掲載」という言葉は「新聞や雑誌に掲載する」とは使いますが「テレビやユーチューブに掲載する」「ラジオやCDに掲載する」とは言いません。
広告媒体でいうと「パンフレットに掲載する」とは言いますが「コマーシャル・CMに掲載する」とは言いません。
つまり「掲載」という言葉は、映像や動画、音や音楽を主体にするメディア(媒体)には「掲載する」という表現は使えません。文章や写真を主体とするメディアに対して使用できる言葉です。
掲載は「メディア(媒体)に文章や写真を載せる」という意味
「掲載する」とはテレビやラジオなどを除く「公のメディア(媒体)に文章や写真を載せる」という意味で、広く内外に公表することです。
掲載したことによる社会への影響も大きいため「掲載」には細心の注意が必要です。ネットやSNSなどの普及で簡単に個人が掲載し広く発信できるので、大きな事件にならないよう一人一人の注意が必要です。