推奨の意味とは?
取扱説明書などでよく見かける「推奨」ですが、読み方は「すいしょう」と読みます。「推」には、押し出す・おしあげる、「奨」にはすすめる・たすけるなどといった意味を持っています。
2つの意味を合わせて推奨には「優れている点があり、人にすすめること」といった意味があるので覚えておきましょう。
よく見かける言葉としては「推奨環境」や、「推奨動作環境」といったものがあります。この場合も、「この環境がよりおすすめ」「この環境で動かすことがよりおすすめ」といった、相手にこの使い方の方がいいですよといった意味合いになります。
推奨の対義語・類語
「推奨」は、使われる頻度も多くありふれた言葉とも言えます。しかし、「推奨」には類語と対義語があるため、使い方には注意をする必要があります。そこで、「推奨」の類語と対義語についてふれていきましょう。
推奨の類語である「推薦」や「推挙」の意味と使い方
推奨の類語は多くあり、その中でもより意味が似ている「推薦」や「推挙」といった言葉があります。「推奨」とどちらを使っても間違いではないといったケースがあるほど、似ている類語ではありますが、意味のニュアンスが若干異なります。
「推薦」は「すいせん」と読み、人や物を対象に、他よりも優れているものとして推しすすめる意味があります。使い方としては、「候補者を推薦する」「学校推薦図書」といった形です。「推薦」も「推奨」と同様に日常的に使用することが多い言葉になります。
「推挙」は「すいきょ」と読み、物・人・場所など対象が幅広い「推奨」に対して、人物限定でより優れているとしてすすめる意味を持っています。「彼を部長に推挙する」などといったように、より適している人財だとして勧める使い方をするので、覚えておきましょう。
この他の類語としてはストレートに、「薦める」も類語としてあり。「すすめる」と読みます。「薦める」は、人に対して「この立候補者を薦める」といったように、人や物などを採用するよう促す形で使います。
同じ「すすめる」という意味合いを持つ言葉であっても、少しずつニュアンスが異なるので覚えておくと、語彙力が向上します。
推奨の対義語「禁止」と「制止」
意外に思う方も多いですが、「推奨」の対義語は、「禁止」「制止」といった「してはいけない」と行動を抑制する意味を持つ言葉になります。
「禁止」には「してはいけないと命令すること」という意味があり、「制止」は「行動をせず抑えること」といった意味を持っています。物事を良いこととしてすすめる「推奨」に対して、その人の行動を抑えてしまう言葉が対義語になるので覚えておきましょう。
推奨の使い方・例文
「推奨」は類語が数多くあるため、使い方に戸惑う方もいます。「推奨」は、主に相手に対して物事などをすすめる意味を持たせたいときに使います。そのため、基本の使い方としては「~を推奨する」「~が推奨している、〇という商品は」といったような形になるので覚えておいてください。
「推奨」はあくまで「すすめる」という意味があり、強制的にしてくださいといった意味ではありません。しかし、「推奨」の使い方によっては受ける印象も違います。そこをふまえた上で、4つの例文と受ける印象についてご紹介しましょう。
例文①
「この参考書は、志望大学の教授が推奨しているものです」といったように、誰かが優れているとしてすすめる意味で使われます。「推奨」という言葉を使うことによって、たくさんある参考書の中から、教授が推す1冊は価値あるものとしてとらえることが可能です。
類語として紹介した「推薦」も同じ使い方ができるので、どちらを使ったとしても間違いではないでしょう。
例文②
「どのノートパソコンを購入しようか迷ったが、結局大学の入学案内で推奨されていたものを購入した」といった使い方もあります。
この使い方をすると、自分としては他のノートパソコンでも問題ないが、大学側がおすすめするノートパソコンの方が、問題なく抗議などで使いやすいだろうといった意思も感じ取ることができます。
商品に対して「推奨」という言葉を使うことによって、その商品を購入しておけばトラブルが少ない、問題なく使用できる印象を持つことが可能です。
例文③
冒頭でお話ししたように、推奨の使い方として「推奨環境」などといったものがあり、例文としては、次のようになります。
「パソコンのネット通信が切れたのは、推奨環境に適していないからか」この場合、メーカーがおすすめする環境下でパソコンを起動させていなかったがために、ネット通信が遮断されてしまったことを表しています。
この場合の「推奨」は、「あくまでおすすめではありますが、使い方によっては推奨通りにしなかったために使用に不便を感じる可能性もある」ということを差しています。
特に、説明書に記載されている「推奨」は、なるべく守った方がよりスムーズに問題なくその製品を使うことができるという意味合いもあるので覚えておきましょう。
例文④
「三ツ星レストランシェフ推奨、オーブンレンジ」といった商品の広告としても「推奨」は使われます。オーブンレンジを探しているときに、このようなうたい文句が掲げられているものと、全くないものとでは、印象が違ってきませんか?
中には、「プロの料理人がお勧めすすなら、きっといいオーブンレンジのはず」と思い購入してしまう方もいるでしょう。力がある人やその道を究めた実力者がおすすめする商品のキャッチフレーズとして、「推奨」は幅広く使われています。
推奨と奨励の違い
類語ではありませんが、よく混合されやすい言葉として「奨励」があります。「奨励」は「しょうれい」と読み、意味としては「あることを良いこととして、人に強くすすめること」をいいます。
「あれ?推奨との違いは?人にすすめるのは同じでは?」と思われる方も多いですが、似ているように思われる「推奨」と「奨励」は、ニュアンスが全く違うのでその違いについてお話ししましょう。
奨励は強く勧めるという意味
「推奨」と「奨励」の意味の違いを簡単にいえば、人にすすめる強さです。「推奨」の意味としては、あくまで「~した方がいいですよ」「ぜひやってみてください」といったやんわりとした印象を与える方法になります。
しかし、「奨励」の意味は、「~をやるべきですよ」といったニュアンスになります。もちろん「奨励」にも強制力はないのですが、例えるなら、目上の人が部下に対して、断れない形で商品をすすめるようなイメージの意味になります。例文としては、次のようなものがあるので見てみましょう。
「我が社は、今年度より社員の健康の向上・維持を計るため、スポーツを奨励することにしました。強制ではありませんが、各自心がけるようにしましょう」
強く勧めるニュアンスのある「奨励」は、使い方として目上の人には向いていないので注意しましょう。「推奨」と「奨励」の違いは、すすめる力に強制力を感じるかどうかになります。
推奨を使う際の注意点
日常的によく耳にし、使いやすい「推奨」ですが、使い方には注意が必要です。また、同じ「推」や「奨」の字を使う類語もあるの気をつけましょう。そして「推奨」が持つ意味として、次のような意味では使うことができないので覚えておいてください。
強制的に~するようにという意味では使えない
何度もいいますが、「推奨」には強制力がありません。あくまで「AよりもBのほうがいいよ」といったように、おすすめするだけの意味があります。
例えば、どうしてもAという参考書を生徒に購入してほしい場合は、「推奨」を使ってはいけません。「推奨」を使ってしまうと、ただの宣伝効果として受け取られるだけで、中には違う参考書を購入する方も出てきてしまいます。
「推奨」はあくまで、やんわりとこっちの方が優れているよと、おすすめする意味であるだけで強制力はないのです。
推奨はお勧めするという意味
普段何気なく使っている方も多い「推奨」ですが、あくまで優しくおすすめする意味を持つ言葉であり、強制力はありません。そのため、より強くおすすめしたい場合は「奨励」という言葉を用いますが、言葉を選ばなくてはいけない相手には向かない言葉なので注意が必要です。
「推奨」の使い方としては、「~を推奨する」「~が推奨する商品」などといった形になります。「AでもBでも選択の自由だけど、Aの方が優れているからおすすめだよ」といったニュアンスで使うのがいいでしょう。