レギュレーターの仕組みと構造とは?
いろいろな機械のパーツの中でも、「レギュレーター」と呼ばれるパーツが原因で機械が故障に至ることがままあります。しかし、レギュレーターの存在を知らなければ、今現在起きてる故障の原因がいったいどこなのかわからなくなります。
ここからは、バイクのパーツの一つとして是非とも知っておきたい「レギュレーター」の存在について一つ一つ順番に説明していきます。レギュレーターと一体どんな仕組みと構造をしているパーツなのでしょうか。
レギュレーターとは
レギュレーターというのは、正式名称が「レギュレート・レクチファイア」と呼ばれるバイクのパーツの一つです。バイクだけではなくて様々な機械に使われていて、その主な仕組みは各種機器の電流・電圧の調整にあります。
バイク以外の機械の仕組みと構造はレギュレーターとレクチファイアはそれぞれで別で存在しており、機能そのものを分けて搭載します。しかしバイクのパーツにおいてのレギュレーターは、レクチファイアと一体化しています。
難しい構造ではない!
続いてレギュレーターの構造についてですが、内部構造はそれほど複雑ではありません。部品のサイズそのものもそれほど大きくはないので、レギュレーターの中を開いてみると、数本の線が配線されているだけで、とても単純な仕組みと構造をしています。
しかし、冒頭で述べたように、レギュレーターの機能には各種機器の電流や電圧を調整する機能が与えられているため、レギュレーターがなければバイクは動かなくなります。
レクチファイアとの関係性
バイクを動かすためには電気が必要です。電気はエンジンによって稼働するジェネレーターから生み出され、発電された電力は交流の電気信号として生み出されます。当然このままでは使用することができないため、レクチファイアへと流されます。
レクチファイアでは、交流として流された電流を直流の電流へと変換する機能が与えられています。直流の電流へと変換することによって、ようやくバイクで使うための電流になる仕組みなのです。
レクチファイアで直流として変換された電流は、次にレギュレーターへと流れてきます。レギュレーターに流れてきた電流は、ムラのあるばらけた状態で入ってくるため、レギュレーターによって安定した電流へと変化させられます。
レクチファイアは生み出された電流を支える電力へと変える機能が、レギュレーターは不安定な電流をより安定して使いやすいものへと変化させる機能が、それぞれ与えられている仕組みとなっています。
レギュレーターによるバイクの故障時の症状
続いては、レギュレーターの故障によるさまざまな問題についての説明を続けていきます。レギュレーターの故障が起きた場合、専門用語で「パンクする」と言います。タイヤがパンクするのとは少し違うので文脈に注意して話したい言葉となっています。
そしてレギュレーターが故障すると、様々な問題が発生します。それでは一体どんな問題が発生し、どのような症例へと発展していくのでしょうか。全ての原因がレギュレーターにあるわけではありませんが、原因の一つとして考えておくべきでしょう。
バッテリーの液漏れ・充電不可
バッテリーの液が異常に漏れやすくなったり、バッテリーの充電が正しくできなくなってしまった場合は、レギュレーターが故障した可能性が考えられるようになります。バッテリーが正しく充電できなくなってしまえば、当然バイクは走りません。
セルは回転しても、エンジンがまるでかからなくなってしまった、というような場合もレギュレーターのパンクやバッテリーの不調を疑ってかかるべきでしょう。
ヘッドライトが切れやすい
レギュレーターの不調によって起こることというのは、正しく電圧が調整されなくなるために発生することといえます。そのため、レギュレーターが故障すると、ヘッドライトなどの電気系統が非常に不安定になる仕組みと構造なのです。
つまり、急激な電圧の変化によってヘッドライトが切れやすくなってしまったりするのです。急にヘッドライトの明かりが不安定になったり、ヘッドライトが頻繁に切れやすくなってしまうようであれば、レギュレーターのパンクを疑うべきでしょう。
バッテリー上りが頻繁に起こる
電圧の変化が急激なになってしまうレギュレーターの故障が引き起こす問題として、バッテリーへの影響は非常に大きくなります。前述した液漏れや充電不可だけではなく、バッテリーそのものの劣化が非常に早くなります。
これは、必要以上に高い電圧や急激に電圧が弱くなったりすることにより、不安定な電圧がバッテリーに異常な負荷をかけてしまい、バッテリーそのものの性能の劣化が非常に早くなってしまうのです。
劣化しやすい「開放型バッテリー」の特徴
バッテリー本体に蓋をされていない「開放型バッテリー」が搭載されている場合、充電時の電気分解により、バッテリー液が元々減りやすい構造となっているため、急激な劣化時に判断がしやすいという特徴があります。
バッテリーから異臭がする、というような場合はレギュレーターのパンクによって急激にバッテリー液が消耗されている可能性が考えられます。
なお、バッテリー本体の蓋がしっかりと締められている「密閉型バッテリー」は、レギュレーターのパンクなどによって起こる急激な劣化によって、バッテリー本体が膨らんでくる問題が考えられます。いずれにしても、バッテリーに異常がないかの確認はしっかり行いましょう。
レギュレーターが故障する原因
それにしても、それほどまでに多くの電気系統への影響を持つレギュレーターが故障してしまう原因というのは一体何なのでしょうか。その仕組みと構造について、レギュレーターが持つ問題点を紐解いていきましょう。
また、故障しないようにするためにはどのような対処法が最適なのかについても、故障の原因を知ることで考えられるようになります。対策を明確にするためにも、レギュレーターの故障原因については理解を深めておく必要があります。
カットした電流熱
レギュレーターが故障する原因の中で最も多いのは、溜まってしまった「熱」です。非常に大きな熱を発生させる発動機を持つバイクの仕組みと構造の中で、レギュレーターもまた発熱しやすいパーツの一つです。
レギュレーターに備え付けられているフィンによって、一定量の放熱を行う仕組みと構造にはなっていますが、備え付けられている場所によっては正しく放熱が行えない場合があります。
レギュレーターは、電圧を安定させるために大量の熱を放出します。電流の波が大きければ大きいほどその熱は大きくなりますので、そうした現象が故障の原因になるのです。
ということは、レギュレーターが発生する熱に対して対処法や対策を行なっていれば、レギュレーターがパンクする可能性を大幅に減少させることができるということになります。
少しずつ劣化
そしてもう一つのレギュレーターが故障する原因が、経過年数による劣化です。金属でできた部品ですので、放熱や発熱を繰り返すうちに徐々に劣化していきます。すると、本来であれば期待できる性能が十分に発揮されず、結果として故障の原因になります。
こうした劣化現象を止めるには、そもそも放熱や発熱を抑える対処法が必要になるわけですが、少しばかりの延命処置にしかならないので、仕組みや構造上の問題と言えます。
レギュレーターの寿命
乗っているバイクの構造や、レギュレーターが取り付けられている仕組みによって、それぞれ寿命がどの程度になってくるのかは変わってしまいます。そのため一概に、レギュレーターが平均的にはどのぐらいの寿命なのかについては様々です。
半年で壊れてしまったり、ある日突然壊れてしまう場合もあるので、あなたのバイクの電気系統の状態などを確認しながら、定期的なレギュレーターの点検や交換を行うことがおすすめです。
レギュレーターの故障対処法
レギュレーターが故障しないようにするための対処法について、様々な対処法が考えられますのでいくつかの情報をまとめて紹介します。これらの対処法を実行することで、レギュレーターが熱なのによって故障しにくい状態を作ります。
基本的には、発生する熱の対策が主な対処法になりますが、以下の方法以外にもレギュレーターそのものの位置を変更する対処法なども考えられますので様々な対処法を試してみると良いでしょう。
ヒートシンク
レギュレーターの放熱への対処法としてもっとも典型的な対処法が、ヒートシンクをレギュレーターに設置するという対処法です。レギュレーターは基本的に空気の通りが悪い場所に設置されていることが多いため、放熱面積を確保することがポイントです。
ヒートシンクは、レギュレーターから発生する熱を受け止める幅を広げてくれるパーツで、良いものであればそれだけで大幅な発熱効率がえられるようになります。
バイクの車種によってはあらかじめ既に取り付けられているものもありますので、その場合は現在取り付けられているものよりも良いものを取り付けるというような改善点が考えられます。
強制冷却ファン
続いての対処法は、先ほど説明したヒートシンクだけでは放熱がうまくいかない場合の対処法です。その方法とは、レギュレーターから発生した熱がヒートシンクに伝わり、その熱が風に乗って発散されていく仕組みと構造にさらに手を加える方法です。
つまり、レギュレーターに取り付けられたヒートシンクに強制冷却ファンを取り付けるという方法になります。パソコンのCPUなどにも取り付けられているようなファンを取り付けるのですが、この方法はそれほど簡単とは言えません。
ある程度の電気的な知識が必要になりますので、強制冷却ファンを取り付ける場合には、配置されているパーツのスペース的な確保であったり、電装系の加工を直接行う技術が必要になります。
ダクト
レギュレーターにヒートシンクを取り付けたり、強制冷却ファンを取り付けても、シートカウル内に熱がこもるようであれば、その効果は半減してしまいます。ですので、シートカウルの内部に空気を取り入れるように、ダクトを設置しましょう。
ダクトからは新鮮な空気が常に供給されるので、熱っぽくよどんでしまったシートカウル内の空気を、新鮮で涼やかなものへと変えることができます。そうすればより効果的な冷却効果が生まれるというわけです。
レギュレーター故障か分からない場合
レギュレーターが故障していることが原因で問題が発生しているのか、レギュレーターの故障とは全く関係のないところで故障が発生しているのか、そうした判断が難しい場合の対処方法について説明します。
もしもそのような状況になった場合は、以下のような手順でレギュレーターが故障しているのか、それともしていないのかについて判断しましょう。それほど難しい方法ではないので、確認の手段としておぼえておくべきでしょう。
テスターの使用
レギュレーターが故障しているのかどうかを判断する最も基本的な方法は、「テスター」を使用してバッテリーの電圧を測定してみることから始めましょう。
テスターのレンジは「直流」で、電圧範囲は100V(ボルト)に設定します。テスターの電極をそれぞれプラスとマイナスにつなげて、バッテリーの電圧が安定しているかどうかを計測します。この時に電圧が13.5Vから15Vとであれば正常と考えられます。
以上の電圧よりも妙に数字が低いような場合は、バッテリーが正しく充電されていない状態です。また高い場合は、過剰な充電が行われていることが考えられ、レギュレーターの異常だと考えられます。
バイク専門
「テスターの使い方がわからない」といった場合や、「テスター自体を持っていない」、「どうしたらいいのかよく分からない」というような時は、バイクの専門店であるバイクショップへと訪れてみましょう。
レギュレーターそのものの交換はそれほど難しいものではないので、ほぼ全てのバイクショップで故障の原因がレギュレーターの異常であると判断された場合は、すぐに交換してもらえます。
多少の工賃はかかってしまいますが、安全で確実しかもて早く修理してもらうことができるので、あなたがどうしても不安だと思うのであれば専門家であるバイクショップにお願いするほうが良いでしょう。
レギュレーターは電流や電圧の制御に大切!
バイクにとってどのパーツもとても大切なものですが、レギュレーターのような比較的繊細な部品は、なかなか初心者では判断がしづらく難しいパーツと考えがちです。しかしもしもこのような異常が発生した場合は、自分で判断できるように「テスター」は用意しておくべきでしょう。
そしてできることなら、あなた自身がレギュレーターそのものを交換できるように、あなたのバイクを守るためにもスキルアップすることがよりよいバイクライフを満喫する手助けとなるでしょう。