桜の花言葉と意味【全体】
日本人に親しみのある『桜の花』は春に咲き誇り、季節の行事としてお花見があります。桜は太陽の昇る白昼に見ても美しく、月夜のもとで眺める桜も素晴らしいものです。ですが桜の花言葉や意味についてご存じない方は少ないです。
知らない人は桜は『怖い』という印象が強く、花言葉や意味に良い印象を持っていません。次にそんな印象を与える『桜』の花言葉と意味をご紹介します。色別や品種別でもご紹介するのでこれを機に覚えてみてください。
最初に『桜の花』の花言葉についてです。色や品種は関係なく『桜』という全体の花言葉についてご紹介します。
花言葉①精神の美
桜の花言葉の一つには『精神の美』というものがあります。この『精神の美』という花言葉は西洋からきた花言葉で、由来となった逸話があります。
桜の花言葉の『精神の美』の由来となった逸話はアメリカの初代大統領の幼い頃のお話です。初代アメリカの大統領『ジョージ・ワシントン』は幼い頃に父が大切にしていた桜の木を誤って切ってしまいます。
ワシントンは隠すことなく正直に父に謝罪をしました。そんなワシントンに彼の父は叱ることなく、正直に言ってくれたことを逆に褒めました。その出来事のことから心の美しさを意味する『精神の美』という花言葉がつけられたという逸話です。
花言葉②優美な女性
桜の花言葉には『優美な女性』という意味があります。この『優美な女性』という花言葉は日本人の品格や性格からつけられたものと言われ、日本人の上品で美しいおしとやかな様子からつけられたとされています。
日本人は古くから清楚で落ち着いた性格を持ち、上品で美しい品格をもっている印象を与えています。その日本人の性格や振る舞いから、日本を代表する花の一つである『桜』にこのような花言葉がつけられました。
『優美(ゆうび)』という言葉の意味は『しとやかで美しい様子』『上品で美しい様子』です。『優美』というだけで桜の花にはピッタリの花言葉です。
花言葉③純正
『桜の花』の全体の花言葉についてこれまでご紹介してきました。ご紹介以外にも多くある『桜』の花言葉の最後にご紹介するのは『純正』です。純正とは漢字から意味を察する通り『純粋で正しい様子』です。
穢れなく清く美しい印象を与える『桜の花』にはピッタリの花言葉ですが、この花言葉は『曲がることがないまっすぐな心』も意味しています。自分の強い意志をもち、間違うことがない正しさを意味する『精神の美』に似た花言葉です。
たとえ一瞬だとしても、堂々と凛々しく咲き誇る『桜の花』には欠かせない花言葉です。短い期間の開花でも、人の視線や心を引き寄せてしまう桜だからこそつけられる花言葉です。
桜の花言葉【品種別】
最初にご紹介した桜の花言葉と意味は『桜』という全体の意味の花言葉でした。次にご紹介する『桜の花』の花言葉は様々な種類がある『品種』でご紹介します。桜(サクラ)はバラ科のスモモ属サクラ亜属に分類される広葉樹です。
品種は多数ありますが、日本で最も親しみのある品種は『ソメイヨシノ』です。桜といえばほとんどが『染井吉野(ソメイヨシノ』で、学校などに多く植えられているのもソメイヨシノです。ソメイヨシノを含め、品種別で桜の花言葉についてご紹介します。
ソメイヨシノ
最初に品種別でご紹介する『桜』は『染井吉野(ソメイヨシノ』です。ソメイヨシノの花の特徴は蕾(つぼみ)が濃い赤色で、花が開くたびに色が淡く白に近づくのが特徴です。五枚の花弁で『桜』の定番とされる形になっています。
『染井吉野(ソメイヨシノ)』という名前は江戸時代に桜を育成していた造園師が多く住んでいた集落からきています。その集落は『染井村』と呼ばれていて、のちにこの地名からとった『染井吉野(ソメイヨシノ)』と命名されました。
そんなソメイヨシノの花言葉は『純潔』『優れた美人』です。白い花の印象からこのような花言葉がつけられました。
シダレザクラ
続いてご紹介する桜の品種は『シダレザクラ』です。枝垂桜(シダレザクラ)は漢字から見てとれる通り、枝が垂れて花が下を向くのが特徴の桜です。ライトアップされたシダレザクラは夜桜の定番で、美しく妖艶(ようえん)な姿が特徴です。
このシダレザクラは濃い桜色をしていて、先ほどご紹介したソメイヨシノより早く咲きます。このシダレザクラの花言葉は『優美』『ごまかし』『純潔』です。全体の花言葉と異なり『ごまかし』や『純潔』といった、少し恥ずかしがりやな印象を与えます。
他の桜よりも枝が柔らかく、枝垂れる様子は何かを隠すようなそんな印象を与えるので『ごまかし』のような花言葉がついたとされます。
サトザクラ・ヤエザクラ
続いてご紹介するのは『サトザクラ』と『ヤエザクラ』です。里桜(サトザクラ)はサトザクラ属という品種の総称で、八重桜(ヤエザクラ)もこの類になります。ヤエザクラはソミエヨシノのように通常の桜の花びらが五枚なのに対し、六枚以上の花びらで構成されるのが特徴の八重咲の桜です。
サトザクラ、ヤエザクラの花言葉は『豊かな教養』『善良な教育』『しとやか』『理知』『理知に富んだ教育』です。知能や知識に関する花言葉が多く、八重咲から連想される花言葉です。
ヤマザクラ
続いてご紹介するのは『ヤマザクラ』です。この山桜(ヤマザクラ)は日本にある桜の中でも代表的な桜で、古くから和歌などでも多く詠われ親しまれています。大きな特徴としてはほかの桜よりも寿命が長いことです。ときには樹高三十メートルという大木にまでなります。
ヤマザクラを原種として品種改良されることが多く、ソメイヨシノにも似ていますが芽と花が同時に咲くことで区別しています。そんなヤマザクラの花言葉は『あなたに微笑む』『純潔』『高尚』『淡泊』『美麗』です。
高尚(こうしょう)とは上品という意味で、桜の主ともいえるヤマザクラにはピッタリの花言葉です。
フユザクラ
続いてご紹介する桜の花言葉は『フユザクラ』です。冬桜(フユザクラ)は年に二回花を咲かすのが特徴の桜で、春以外にも季節外れの桜として十一月から十二月にも桜が咲きます。
ソメイヨシノなどの桜と違い、一斉に咲かないため満開になることがほとんどないですが、モミジやカエデが色づく頃に咲くことがあるので紅葉と同時に楽しむことができます。
季節外れの桜として人気のフユザクラの花言葉は『冷静』です。季節外れに咲くフユザクラは『冷静』であり、曲がりのない咲き方をする姿は桜の全体の花言葉にもある『精神の美』の花言葉が似合う桜です。
カンザクラ
品種別にご紹介する最後の桜の花言葉は『カンザクラ』です。寒桜(カンザクラ)は冬の終わりから、春の始まりに咲く早咲きの桜です。花の付け根部分が赤いのが特徴で、花弁は五枚で縁にいくほど濃い桃色になります。葉は同時期か、桜が咲いたあとに展開します。
花に蜜などが多く、鳥や蜂などの生き物がよく集まっています。時にサクランボがなることがあるので、もし足元などに落ちていればカンザクラの可能性が高いです。
早咲きの桜で稀にサクランボがなることもある『カンザクラ』の花言葉は『気まぐれ』です。早く咲き、咲き終わりに稀にサクランボを落とすことがあるカンザクラにはピッタリの花言葉です。
桜の花言葉【色別】
続いてご紹介するのは『色別』での桜の花言葉です。桜の花にはこれまでもご紹介した通り、様々な色があります。白と桃色の混ざった『桜色』のみならず、白い桜、桃色の桜などがあります。次にご紹介する桜の色別の花言葉はその中でもご存じの方が少ない『紫色』の桜の花言葉もご紹介します。
桜なので定番の桜色でインプットされていると思いますが、「紫色の桜の花もあるんだ」という風に花言葉だけでなく色についても知ってみてください。『紫色』と『白色』の順にご紹介します。
紫
あまり聞きなじみのない『紫の桜』の花言葉についてご紹介します。紫色の桜は『紫桜(ムラサキザクラ)』という品種で紅紫色をしています。ムラサキザクラは角のない丸みを帯びた濃淡の美しい花びらで深く先端が切り込まれています。
このムラサキザクラの花弁は五枚ですが、花弁が十枚の桜もあり『八重紫(ヤエムラサキ)』と呼ばれています。
ムラサキザクラの花言葉は独自のものがありませんが、『紫色の桜』というと別の花を指す場合があります。品種として桜ではなくなってしまいますが『紫色の桜』といったら『ジャカランダ』という花を連想する人が少なからずいます。
『ジャカランダ』という花は別名『紫色の桜』と言われていて、花言葉が『名誉』『栄光』という風に花言葉がついています。桜の品種として紫色の桜は『ムラサキザクラ』ですが、紫の桜のほとんどが『ジャカランダ』のことを指します。
白
色別でご紹介する最後の桜の花言葉は『白色の桜』です。白色の桜は目にすることが多く、桜色のほとんどが白色に見える場合もあります。桃色と同じくらい白色も多く見かけるので、赤や紫と異なり身近に感じます。
この白色の桜の花言葉は『あなたに微笑む』です。桜が満開になり、それが白い花だと不思議と心が落ち着きます。洗礼されるような白の色合いと、風で揺れる桜がまるで微笑みかけているように感じます。青空に向かって白い花びらが舞う姿は思わず目が惹かれます。
本来なら白色は冷たい印象を与えますが、白色の桜は優しさと温かさを詰め合わせた柔らかい印象になります。これも『あなたに微笑む』という優しい花言葉がつけられた理由の一つでしょう。
桜の花言葉【西洋】
西洋にも桜の花言葉があります。それが『spiritual beauty(精神の美)』と『a good education(優れた教育)』の二つです。全体の桜の花言葉にもあった『spiritual beauty(精神の美)』はワシントンの逸話に基づかれています。
もう一つの『a good education(優れた教育)』はワシントンの逸話に基づかれていて、優れた教育を受けていたからこそワシントンは素直に謝ることができたのでしょう。そのため『a good education(優れた教育)』という花言葉が西洋ではできたとされます。
フランスの桜の花言葉「私を忘れないで」
フランスでの桜の花言葉には『私を忘れないで』という恋愛の花言葉があります。ここにきてようやく花言葉らしい『恋愛』が関わってきましたが、この『私を忘れないで』という花言葉は怖いという噂があります。しかし実際は怖くも何もなく恋愛らしく『切ない』だけです。
フランスでは桜が散る儚い様子に寂しさや切なさなどネガティブな印象を持っています。日本でも別れの象徴ではありますが、同時に新しい出会いへの期待もあります。
この時、フランスでは『Ne m'oubliez pas(私を忘れないで)』という花言葉を持つ、桜の散り際は恋人との別れの象徴になっているのです。確かに桜の散り際が『別れ』だけで『出会い』のシーズンでなかったら、日本でもそういったネガティブな印象を桜の花に持っていたかもしれません。
桜の花は咲いたと思ったらすぐに散ってしまいます。その様子が恋愛に似ているので例えられた理由の一つでしょう。
儚い恋愛を意味する
『私を忘れないで』は桜の花が散る様子を『恋人との別れ』に例えたフランスの恋愛の花言葉です。その儚い恋愛の様子が、儚い桜の散る様子にあてはめられました。桜の花が散る様子はまるで恋人との別れのようだ、と儚い恋愛に例えられました。
恋愛は儚いものなので、フランスで桜の花が散る様子はまさに『恋愛』そのものだったのでしょう。フランスらしいロマンティックな花言葉で、繊細な気持ちが見てとれる恋愛の花言葉です。
桜の花言葉が怖い?
少し先ほども触れましたが桜の花言葉が怖いと噂されることがあります。その怖いとされる理由は単純で、文豪や歴史を辿ると『怖い』とされているだけです。例えば桜の花が赤い理由は死者の血液や栄養を吸いとるなど、有名な桜の観光名所が元処刑場だったので噂されます。
この噂は白い花によくあることですが、白い花を赤い液体などにつけると色が赤く変わります。そのようなことからも噂されていますが、それが事実だったら確かに怖いです。しかし実際に桜の花が人の血液を吸いとり続けて何年も咲いてるはずがありません。
都市伝説のような噂が好きな人は一種の説として楽しんでもいいでしょう。花言葉も都市伝説のようなものなので、その由来や逸話、意味も本人のとらえ方によって花言葉が変わってきます。
自分の信じる逸話、由来や意味、都市伝説など、桜の花言葉を思い浮かべながら桜を見上げるのもまた一興です。
桜の下には死体が埋まっている
桜の花言葉が怖いと噂されるもう一つの理由は文豪『梶井基次郎』氏の『桜の樹の下には』です。この『桜の下には死体が埋まっている』は梶井基次郎氏の有名な作品の冒頭分で、読者が衝撃を受けた一つの作品です。
桜が綺麗に咲く理由は死体から栄養を取っているからなど、美しい桜に裏の顔をあてはめた作品です。読者に語り掛けるようなスタンスの物語で、読んだ人の心は一瞬で囚われます。
その梶井基次郎氏の『桜の樹の下には』が話題となり、読んだことがない人にまで『桜の下には死体が埋まっている』という一文が広がりました。それが桜の花言葉が怖いと噂される理由になりました。あくまで花言葉が怖いのではなく『桜』のことなので間違って覚えないようにしてください。
桜の花言葉は綺麗を連想するものが多い
これまで桜の花言葉についてご紹介してきました。品種別ではそれぞれの桜の特性を生かした花言葉がついていたり、色別の花言葉ではなかなか目にすることのない『紫色の桜』についてご紹介しました。
フランスでは桜を恋愛のようにとらえ『私を忘れないで』と美しい花言葉がありました。美しい花言葉もあれば『桜の花言葉が怖い』という噂もありましたが実際は『花言葉』ではなく『桜』です。
桜の花は儚く切ないものですが、桜の花言葉は綺麗で優しい言葉ばかりです。お気に入りの花言葉を見つけて桜を眺めてみると一層美しさが増すでしょう。